43 / 55
第42話 使用人お針子隊
ホリーのリメイク事業は従業員やお針子を募集するものの全く応募者がいない。
それだけ呪われ侯爵のジンジャーの影響が強いのだが、ホリーは開き直った。
「まだ失敗じゃないわ。始まってないもの」
「でも~奥様~。私達縫物は好きですしお給金の足しにはなりますからありがたいですけど、売れなきゃ話にならないですよ~」
イルミの愚痴は御尤も。
先代侯爵夫人の残したドレスは大量にあり、実は屋敷の中のクローゼットだけではなく倉庫や納屋にある長持と呼ばれる衣装ケースの中にはまだ大量に眠っている。
そんな中、唯一新しく雇い入れられたケイトリンはイルミたちの縫うドレスで更に余った布をチクチクと縫い合わせていた。
「ケイトリンさん、何を作ってるの?」
「これは余った布が勿体ないと思いまして、模様を揃えてトドラー用の服に出来ないかなと」
「へぇ…でも袋になってない?」
「実は…両面なんです。子供って直ぐに転んだりして服が破れたりするんです。お出かけの時に引っかけてしまったりすると冬とか寒いままになってしまうので裏返せば別の模様になって着て帰れるかな?と。袖とか取れちゃうくらいだと無理ですけ‥‥ど‥‥どうされました?」
全員が食い入るようにケイトリンにぐいぐいと前のめり。
ケイトリンは驚いているが、イルミたちもその発想に驚いている。
「これよ!!ケイトリンさん!奥様呼んでくる!さっきの説明お願いできます?」
「え、えぇ。構いませんが…」
イルミは「奥様~!!お~く~さ~まぁぁ!」大きな声をあげながら部屋を飛び出していった。
残った使用人たちはケイトリンがまだ途中ですというトドラー用のブルゾンを「見せて?」と手に取って裏と表を交互に見た。
「中綿を入れると良いかなと。ただ子供は動きもあるし洗濯でも中綿が寄ってしまったりするので布を継ぐ部分で綿も区切るんです。そうすれば全体的にごっそり寄る事もない…かと…えぇーっと‥」
「すごい!!ケイトリンさん!すっごぉい!!」
「そんなこと…ありません」
使用人たちはケイトリンを尊敬の眼差しで見つめる。
ケイトリンは気恥ずかしそうに照れて俯いた。
バタバタとイルミがホリーを連れて戻ってくる。
「奥様!見てください!大人用じゃなくて子供用!しかも!しかもですよ!!」
イルミは裏と表、両方が表であり裏でもありと得意げ。
「ここから先は、はいっ!ケイトリンさん。説明をお願いしますっ!」
「は、はい…大きさはこの場合は3、4歳児を想定しているんですけども、お子様の成長によって2~5歳まで。それで…その年齢の子供は外遊びも好きですし、よく転んだりもするので…あの…汚れても…裏返して…」
「ケイトリンさんっ!!」
段々と言葉が先細りになっていくケイトリンだったが、ホリーは感動してケイトリンを抱きしめた。
「素敵!素敵よ!よく考えられているわ。そうね…ターゲットを大人から子供にしましょう。で…作戦会議、行ける?」
ホリーは全員に問いかけた。
ケイトリンだけはビックリしているものの、他は「うん」と大きく頷く。
「じゃぁ講師はケイトリンさん」
「私…ですか?」
「だってこんな案、誰も思いつかなかったの。恥ずかしい話‥ドレスだからドレスと思っちゃって。固定概念にとらわれてたわ。だけど、生地の合わせ方でオリジナルになるでしょう?すっごく素敵だと思うの。ほら、子供って自分の物じゃないけど間違っちゃう時もあるけど、1点ものなんだからそれも解消できると思うの」
「そ、そしたら…何ですけど…」
「何?何でも言って」
「あの…さらに小さな端切れも出るんです。流石にこのサイズになると使えなくて…」
ケイトリンは長さはあるけれど幅が1cmもない端切れを手に取った。
「さらに細かくして…繊維状にしたものを集めて水で濡らし、乾かしてあて布の代わりにしたら…あのブルゾンではなくてシャツの袖口とか折り返す部分だったり…」
<< わぁぁ♡ >>
「いっぱいあるんですよ!裁断した時に大量に!捨てなくて良かったぁ!」
自身の案が褒められ、早速試作品の製作を始めたケイトリンは1か月もすると「使用人お針子隊」の者だけだが、笑顔で話す事が出来るまでになった。
それだけ呪われ侯爵のジンジャーの影響が強いのだが、ホリーは開き直った。
「まだ失敗じゃないわ。始まってないもの」
「でも~奥様~。私達縫物は好きですしお給金の足しにはなりますからありがたいですけど、売れなきゃ話にならないですよ~」
イルミの愚痴は御尤も。
先代侯爵夫人の残したドレスは大量にあり、実は屋敷の中のクローゼットだけではなく倉庫や納屋にある長持と呼ばれる衣装ケースの中にはまだ大量に眠っている。
そんな中、唯一新しく雇い入れられたケイトリンはイルミたちの縫うドレスで更に余った布をチクチクと縫い合わせていた。
「ケイトリンさん、何を作ってるの?」
「これは余った布が勿体ないと思いまして、模様を揃えてトドラー用の服に出来ないかなと」
「へぇ…でも袋になってない?」
「実は…両面なんです。子供って直ぐに転んだりして服が破れたりするんです。お出かけの時に引っかけてしまったりすると冬とか寒いままになってしまうので裏返せば別の模様になって着て帰れるかな?と。袖とか取れちゃうくらいだと無理ですけ‥‥ど‥‥どうされました?」
全員が食い入るようにケイトリンにぐいぐいと前のめり。
ケイトリンは驚いているが、イルミたちもその発想に驚いている。
「これよ!!ケイトリンさん!奥様呼んでくる!さっきの説明お願いできます?」
「え、えぇ。構いませんが…」
イルミは「奥様~!!お~く~さ~まぁぁ!」大きな声をあげながら部屋を飛び出していった。
残った使用人たちはケイトリンがまだ途中ですというトドラー用のブルゾンを「見せて?」と手に取って裏と表を交互に見た。
「中綿を入れると良いかなと。ただ子供は動きもあるし洗濯でも中綿が寄ってしまったりするので布を継ぐ部分で綿も区切るんです。そうすれば全体的にごっそり寄る事もない…かと…えぇーっと‥」
「すごい!!ケイトリンさん!すっごぉい!!」
「そんなこと…ありません」
使用人たちはケイトリンを尊敬の眼差しで見つめる。
ケイトリンは気恥ずかしそうに照れて俯いた。
バタバタとイルミがホリーを連れて戻ってくる。
「奥様!見てください!大人用じゃなくて子供用!しかも!しかもですよ!!」
イルミは裏と表、両方が表であり裏でもありと得意げ。
「ここから先は、はいっ!ケイトリンさん。説明をお願いしますっ!」
「は、はい…大きさはこの場合は3、4歳児を想定しているんですけども、お子様の成長によって2~5歳まで。それで…その年齢の子供は外遊びも好きですし、よく転んだりもするので…あの…汚れても…裏返して…」
「ケイトリンさんっ!!」
段々と言葉が先細りになっていくケイトリンだったが、ホリーは感動してケイトリンを抱きしめた。
「素敵!素敵よ!よく考えられているわ。そうね…ターゲットを大人から子供にしましょう。で…作戦会議、行ける?」
ホリーは全員に問いかけた。
ケイトリンだけはビックリしているものの、他は「うん」と大きく頷く。
「じゃぁ講師はケイトリンさん」
「私…ですか?」
「だってこんな案、誰も思いつかなかったの。恥ずかしい話‥ドレスだからドレスと思っちゃって。固定概念にとらわれてたわ。だけど、生地の合わせ方でオリジナルになるでしょう?すっごく素敵だと思うの。ほら、子供って自分の物じゃないけど間違っちゃう時もあるけど、1点ものなんだからそれも解消できると思うの」
「そ、そしたら…何ですけど…」
「何?何でも言って」
「あの…さらに小さな端切れも出るんです。流石にこのサイズになると使えなくて…」
ケイトリンは長さはあるけれど幅が1cmもない端切れを手に取った。
「さらに細かくして…繊維状にしたものを集めて水で濡らし、乾かしてあて布の代わりにしたら…あのブルゾンではなくてシャツの袖口とか折り返す部分だったり…」
<< わぁぁ♡ >>
「いっぱいあるんですよ!裁断した時に大量に!捨てなくて良かったぁ!」
自身の案が褒められ、早速試作品の製作を始めたケイトリンは1か月もすると「使用人お針子隊」の者だけだが、笑顔で話す事が出来るまでになった。
あなたにおすすめの小説
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
想定外の異世界トリップ。希望先とは違いますが…
宵森みなと
恋愛
異世界へと導かれた美咲は、運命に翻弄されながらも、力強く自分の道を歩き始める。
いつか、異世界にと想像していた世界とはジャンル違いで、美咲にとっては苦手なファンタジー系。
しかも、女性が少なく、結婚相手は5人以上と恋愛初心者にはハードな世界。
だが、偶然のようでいて、どこか必然のような出会いから、ともに過ごす日々のなかで芽生える絆と、ゆっくりと積み重ねられていく感情。
不器用に愛し、愛する人に理解されず、傷ついた時、女神の神殿で見つけた、もう一つの居場所。
差し出された優しさと、新たな想いに触れながら、
彼女は“自分のための人生”を選び初める。
これは、一人の女性が異世界で出逢い、傷つき、そして強くなって“本当の愛”を重ねていく物語です。
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
小さくなった夫が可愛すぎて困ります
piyo
恋愛
夫が、ある日突然、幼児の姿になってしまった。
部下の開発中の魔法薬を浴びてしまい、そのとばっちりで若返ってしまったらしい。
いつも仏頂面な夫が、なんだかとっても可愛い――。
契約結婚で、一生愛とは無縁の生活を送ると思っていたノエルだったが、姿が変わってしまった夫を、つい猫可愛がりしてしまう。
「おい、撫でまわすな!」
「良いじゃありませんか。減るもんじゃないし」
これまで放置されていた妻と、不器用に愛を示す夫。
そんな二人が、じれじれ、じわじわとお互いの距離を詰めていく、甘くて切ない夫婦再生の物語
※本編完結済(全26話+後日談1話)、小話追加中
※一章ほのぼの、二章シリアスの二部構成です。
※他サイトにも投稿
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。