呪われ侯爵のお嫁様★嫁いだら溺愛が始まるなんて聞いてない★

cyaru

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第42話  使用人お針子隊

ホリーのリメイク事業は従業員やお針子を募集するものの全く応募者がいない。

それだけ呪われ侯爵のジンジャーの影響が強いのだが、ホリーは開き直った。

「まだ失敗じゃないわ。始まってないもの」

「でも~奥様~。私達縫物は好きですしお給金の足しにはなりますからありがたいですけど、売れなきゃ話にならないですよ~」

イルミの愚痴は御尤も。
先代侯爵夫人の残したドレスは大量にあり、実は屋敷の中のクローゼットだけではなく倉庫や納屋にある長持ながもちと呼ばれる衣装ケースの中にはまだ大量に眠っている。

そんな中、唯一新しく雇い入れられたケイトリンはイルミたちの縫うドレスで更に余った布をチクチクと縫い合わせていた。

「ケイトリンさん、何を作ってるの?」

「これは余った布が勿体ないと思いまして、模様を揃えてトドラー2~5歳用の服に出来ないかなと」

「へぇ…でも袋になってない?」

「実は…両面なんです。子供って直ぐに転んだりして服が破れたりするんです。お出かけの時に引っかけてしまったりすると冬とか寒いままになってしまうので裏返せば別の模様になって着て帰れるかな?と。袖とか取れちゃうくらいだと無理ですけ‥‥ど‥‥どうされました?」


全員が食い入るようにケイトリンにぐいぐいと前のめり。
ケイトリンは驚いているが、イルミたちもその発想に驚いている。

「これよ!!ケイトリンさん!奥様呼んでくる!さっきの説明お願いできます?」

「え、えぇ。構いませんが…」


イルミは「奥様~!!お~く~さ~まぁぁ!」大きな声をあげながら部屋を飛び出していった。

残った使用人たちはケイトリンがまだ途中ですというトドラー2~5歳用のブルゾンを「見せて?」と手に取って裏と表を交互に見た。

「中綿を入れると良いかなと。ただ子供は動きもあるし洗濯でも中綿が寄ってしまったりするので布を継ぐ部分で綿も区切るんです。そうすれば全体的にごっそり寄る事もない…かと…えぇーっと‥」

「すごい!!ケイトリンさん!すっごぉい!!」

「そんなこと…ありません」

使用人たちはケイトリンを尊敬の眼差しで見つめる。
ケイトリンは気恥ずかしそうに照れて俯いた。

バタバタとイルミがホリーを連れて戻ってくる。

「奥様!見てください!大人用じゃなくて子供用!しかも!しかもですよ!!」

イルミは裏と表、両方が表であり裏でもありと得意げ。

「ここから先は、はいっ!ケイトリンさん。説明をお願いしますっ!」

「は、はい…大きさはこの場合は3、4歳児を想定しているんですけども、お子様の成長によって2~5歳まで。それで…その年齢の子供は外遊びも好きですし、よく転んだりもするので…あの…汚れても…裏返して…」

「ケイトリンさんっ!!」

段々と言葉が先細りになっていくケイトリンだったが、ホリーは感動してケイトリンを抱きしめた。

「素敵!素敵よ!よく考えられているわ。そうね…ターゲットを大人から子供にしましょう。で…作戦会議、行ける?」

ホリーは全員に問いかけた。
ケイトリンだけはビックリしているものの、他は「うん」と大きく頷く。

「じゃぁ講師はケイトリンさん」

「私…ですか?」

「だってこんな案、誰も思いつかなかったの。恥ずかしい話‥ドレスだからドレスと思っちゃって。固定概念にとらわれてたわ。だけど、生地の合わせ方でオリジナルになるでしょう?すっごく素敵だと思うの。ほら、子供って自分の物じゃないけど間違っちゃう時もあるけど、1点ものなんだからそれも解消できると思うの」

「そ、そしたら…何ですけど…」

「何?何でも言って」

「あの…さらに小さな端切れも出るんです。流石にこのサイズになると使えなくて…」

ケイトリンは長さはあるけれど幅が1cmもない端切れを手に取った。

「さらに細かくして…繊維状にしたものを集めて水で濡らし、乾かしてあて布の代わりにしたら…あのブルゾンではなくてシャツの袖口とか折り返す部分だったり…」

<< わぁぁ♡ >>

「いっぱいあるんですよ!裁断した時に大量に!捨てなくて良かったぁ!」


自身の案が褒められ、早速試作品の製作を始めたケイトリンは1か月もすると「使用人お針子隊」の者だけだが、笑顔で話す事が出来るまでになった。
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