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第51話 自爆に自爆を重ねて
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ジンジャーに煽られ、カっと顔を赤くしたアンジーは強気な姿勢を崩さない。
「そうよ!私よ!侯爵だかなんだか知らないけど!アンタがケイトリンを返さないせいで私がこいつン家のジジィの世話をしろって言われてんのよ!返せ!ケイトリンを返しなさいよ!この呪われ侯爵ッ!」
「やめろ!アンジー。申し訳ございません。頭がおかしいんです。喋ってる言葉も本人何言ってるか解ってないんです。このお詫びは致しますので…」
「詫び?貴様はこの女の何なのだ?雇い主か?それとも…くくっ。夫か?」
しまったとコーネリアスは失言だった事を悟った。
アンジーを庇う必要などなく、たまたま通りかかったので喧嘩を仲裁した、今も暴れる女を制止しようとした、それを貫けばアンジーだけが罰を受ければ済んだかも知れないのに、庇ってしまったばかりに墓穴を掘ってしまった。
しかも…。
「頭おかしいのはこの男よ!この男の家よ!この男の爺さんよ!」
「やめろ。アンジー!やめてくれぇ」
「うっさい!私はねこの男の恋人で、妻みたいなものよ!」
「ほぅ。それはおかしな話だな。ラモハラ伯爵家でアンジーと言う名の人間は覚えがないんだが?」
「そりゃそうよ。この男の爺さんが私が平民だからって結婚を認めなかったのよ。だからこの男はケイトリンって女をフェキ伯爵家から引っ張ってきたのよ。反社の人間使って親を嵌めてね!でも本当の妻は私なの。だからちょっと知恵を貸してあげたのよ。正妻以外の女は愛人だ不貞だって世間が五月蝿いし、正妻を黙らせるのに私をパートナーって言えってね。愛人じゃないの。パートナーよ?」
「私の耳には愛人としか聞こえないが?」
「そりゃそうよ、中身は愛人だもの。でもね、愛人じゃないの。だって妻になるのは私だったんだもの。書面上の肩書をケイトリンにあげたの。それだけで他は全部私のものだもの。安いものだわ」
「アンジー…もうやめて…喋らないでくれぇ」
やけくそになったアンジーは全てをペラペラと喋る。
周囲を野次馬が囲っているので女優にでもなった気分なのか、ジンジャーが問うていない事まで喋ってくれる。
語るに落ちるではなく、もうどうにでもなれ、そんな気持ちだった。
「おっかしいの。一家揃ってケイトリンを虐めてさ。私はしなかったわよ?だって人ってちょっとぶつかっただけで打ちどころが悪かったら大変なことになるじゃない?だから私だけは手を出してないの。この男の母親、なんて言ったと思う?扱いてやったって言うのよ?あれは扱きじゃなく虐めっていうのにさ」
「だが、お前も見ていただけなのだろう?」
「そりゃそうよ。だって私正妻じゃないし~。なのにケイトリンが逃げたらこの私に!ジジィの世話やら炊事洗濯、そんなのをやれっていうのよ?そういうのは正妻がすることで私の仕事じゃないわ。今日だって何とかしろっていうからケイトリンの代わりになりそうな頭の悪い女を引っかけようと思ったの!なのに…この女の親父がラモハラ伯爵家の名前出したら気が付きやがって!悪い方で名前売ってんじゃないわよって話ッ!」
アンジーの言葉にチュラブリーがわなわなと震えだした。
「私を騙して世話をさせようとしたって事ッ?!」
「そりゃそうでしょ。貴女だって乗り気だったじゃない」
「話が違うッ!アンタ!41歳の伯爵って言ったじゃない!」
「ごっめぇん。次期伯爵になるかもって付け加えるの忘れてた~」
「忘れてたじゃないわよ!何が伯爵夫人よ!使用人以下の仕事させようとしてたんでしょ!!」
チュラブリーの言葉にジンジャーはニヤリと口角を上げた。
「旦那様。その笑み。奥様に見せちゃだめですからね」とルドルフ。
「当たり前だ。妻を怯えさせて得など1つもない」とジンジャー。
――聞こえてますからね?――とホリー。
「取り込み中すまないが、その話だと令嬢は再婚話を持ち掛けられたという事か?」
ジンジャーはチュラブリーに話しかけた。
「そうよ。この女。ラモハラ伯爵家の当主でコーネリアスってのが嫁に逃げられて再婚相手を探してる、見た目が良くないとだめだと言うから引き受けようとしたのよ。私だって実家は伯爵家だし…ランクは下げたくないし…」
「よく判った。ラモハラ伯爵家のコーネリアス。では再婚するということだな?離縁届を早急に出すように。私が聞いたからにはなかった事にも出来ない。こうやって婚活もしているのなら重婚になる前に手続きを済ませる事だ」
「そんな‥‥違うのでッ‥‥グワッ!!」
ドーンとチュラブリーに突き飛ばされたコーネリアス。
チュラブリーは手を祈りの形に組んでジンジャーを見た。
「呪われ侯爵だっていうから…実は私、侯爵様の婚約相手だったんです。ホリーって女に騙されてその座を奪われちゃったんですけど…バツもついちゃったし…愛人でもいいですよ?なんか…あはっ♡噂ってあてにならないなって。ほら!触れなければ感染る事もないでしょう?」
「不敬だな」とジンジャー。
「えぇ不敬ですね」とルドルフ。
「え?不敬?何が?」解っていないチュラブリー。
やっと騒ぎを収めるために警護隊が駆けつけて来た。
警護隊もジンジャーだと知ると遠巻きになるが、事情を聞かずに済ませることは出来ず日を改めて聴取に行くと約束することになった。
「ちょっと!!なんで拘束されてるのよ!」
アンジーとチュラブリーが声を合わせていた。
コーネリアスも後ろ手に縛られ連行されていく。
「終わった?」
ホリーが尋ねるとジンジャーは「取り敢えずは」と微笑む。
馬車の中でルドルフはホリーに教えてくれた。
「なんか途中からすっごく目が痛くて…」
――でしょうね――
「だけど、哀れですよねぇ。自分で自爆。相手が侯爵家ですから女の方は――」
「ルドルフ。汚い話をホリーの耳に聞かせるな」
「はぁい。でもね、奥様、おまじないの効果抜群でした」
「おまじない?したかしら」
「したじゃないですか。ちゅっちゅって。あれがなかったら旦那様、間違いなく斬りこ――」
「ルドルフ。汚い話をホリーに聞かせるなと言ったはずだ。2度目だぞ」
「はぁい」
ジンジャーが遮ったので最後までは聞けなかったがアンジーはおそらく不敬罪。
平民なので極刑は逃れられないだろうなと思ったのだった。
「そうよ!私よ!侯爵だかなんだか知らないけど!アンタがケイトリンを返さないせいで私がこいつン家のジジィの世話をしろって言われてんのよ!返せ!ケイトリンを返しなさいよ!この呪われ侯爵ッ!」
「やめろ!アンジー。申し訳ございません。頭がおかしいんです。喋ってる言葉も本人何言ってるか解ってないんです。このお詫びは致しますので…」
「詫び?貴様はこの女の何なのだ?雇い主か?それとも…くくっ。夫か?」
しまったとコーネリアスは失言だった事を悟った。
アンジーを庇う必要などなく、たまたま通りかかったので喧嘩を仲裁した、今も暴れる女を制止しようとした、それを貫けばアンジーだけが罰を受ければ済んだかも知れないのに、庇ってしまったばかりに墓穴を掘ってしまった。
しかも…。
「頭おかしいのはこの男よ!この男の家よ!この男の爺さんよ!」
「やめろ。アンジー!やめてくれぇ」
「うっさい!私はねこの男の恋人で、妻みたいなものよ!」
「ほぅ。それはおかしな話だな。ラモハラ伯爵家でアンジーと言う名の人間は覚えがないんだが?」
「そりゃそうよ。この男の爺さんが私が平民だからって結婚を認めなかったのよ。だからこの男はケイトリンって女をフェキ伯爵家から引っ張ってきたのよ。反社の人間使って親を嵌めてね!でも本当の妻は私なの。だからちょっと知恵を貸してあげたのよ。正妻以外の女は愛人だ不貞だって世間が五月蝿いし、正妻を黙らせるのに私をパートナーって言えってね。愛人じゃないの。パートナーよ?」
「私の耳には愛人としか聞こえないが?」
「そりゃそうよ、中身は愛人だもの。でもね、愛人じゃないの。だって妻になるのは私だったんだもの。書面上の肩書をケイトリンにあげたの。それだけで他は全部私のものだもの。安いものだわ」
「アンジー…もうやめて…喋らないでくれぇ」
やけくそになったアンジーは全てをペラペラと喋る。
周囲を野次馬が囲っているので女優にでもなった気分なのか、ジンジャーが問うていない事まで喋ってくれる。
語るに落ちるではなく、もうどうにでもなれ、そんな気持ちだった。
「おっかしいの。一家揃ってケイトリンを虐めてさ。私はしなかったわよ?だって人ってちょっとぶつかっただけで打ちどころが悪かったら大変なことになるじゃない?だから私だけは手を出してないの。この男の母親、なんて言ったと思う?扱いてやったって言うのよ?あれは扱きじゃなく虐めっていうのにさ」
「だが、お前も見ていただけなのだろう?」
「そりゃそうよ。だって私正妻じゃないし~。なのにケイトリンが逃げたらこの私に!ジジィの世話やら炊事洗濯、そんなのをやれっていうのよ?そういうのは正妻がすることで私の仕事じゃないわ。今日だって何とかしろっていうからケイトリンの代わりになりそうな頭の悪い女を引っかけようと思ったの!なのに…この女の親父がラモハラ伯爵家の名前出したら気が付きやがって!悪い方で名前売ってんじゃないわよって話ッ!」
アンジーの言葉にチュラブリーがわなわなと震えだした。
「私を騙して世話をさせようとしたって事ッ?!」
「そりゃそうでしょ。貴女だって乗り気だったじゃない」
「話が違うッ!アンタ!41歳の伯爵って言ったじゃない!」
「ごっめぇん。次期伯爵になるかもって付け加えるの忘れてた~」
「忘れてたじゃないわよ!何が伯爵夫人よ!使用人以下の仕事させようとしてたんでしょ!!」
チュラブリーの言葉にジンジャーはニヤリと口角を上げた。
「旦那様。その笑み。奥様に見せちゃだめですからね」とルドルフ。
「当たり前だ。妻を怯えさせて得など1つもない」とジンジャー。
――聞こえてますからね?――とホリー。
「取り込み中すまないが、その話だと令嬢は再婚話を持ち掛けられたという事か?」
ジンジャーはチュラブリーに話しかけた。
「そうよ。この女。ラモハラ伯爵家の当主でコーネリアスってのが嫁に逃げられて再婚相手を探してる、見た目が良くないとだめだと言うから引き受けようとしたのよ。私だって実家は伯爵家だし…ランクは下げたくないし…」
「よく判った。ラモハラ伯爵家のコーネリアス。では再婚するということだな?離縁届を早急に出すように。私が聞いたからにはなかった事にも出来ない。こうやって婚活もしているのなら重婚になる前に手続きを済ませる事だ」
「そんな‥‥違うのでッ‥‥グワッ!!」
ドーンとチュラブリーに突き飛ばされたコーネリアス。
チュラブリーは手を祈りの形に組んでジンジャーを見た。
「呪われ侯爵だっていうから…実は私、侯爵様の婚約相手だったんです。ホリーって女に騙されてその座を奪われちゃったんですけど…バツもついちゃったし…愛人でもいいですよ?なんか…あはっ♡噂ってあてにならないなって。ほら!触れなければ感染る事もないでしょう?」
「不敬だな」とジンジャー。
「えぇ不敬ですね」とルドルフ。
「え?不敬?何が?」解っていないチュラブリー。
やっと騒ぎを収めるために警護隊が駆けつけて来た。
警護隊もジンジャーだと知ると遠巻きになるが、事情を聞かずに済ませることは出来ず日を改めて聴取に行くと約束することになった。
「ちょっと!!なんで拘束されてるのよ!」
アンジーとチュラブリーが声を合わせていた。
コーネリアスも後ろ手に縛られ連行されていく。
「終わった?」
ホリーが尋ねるとジンジャーは「取り敢えずは」と微笑む。
馬車の中でルドルフはホリーに教えてくれた。
「なんか途中からすっごく目が痛くて…」
――でしょうね――
「だけど、哀れですよねぇ。自分で自爆。相手が侯爵家ですから女の方は――」
「ルドルフ。汚い話をホリーの耳に聞かせるな」
「はぁい。でもね、奥様、おまじないの効果抜群でした」
「おまじない?したかしら」
「したじゃないですか。ちゅっちゅって。あれがなかったら旦那様、間違いなく斬りこ――」
「ルドルフ。汚い話をホリーに聞かせるなと言ったはずだ。2度目だぞ」
「はぁい」
ジンジャーが遮ったので最後までは聞けなかったがアンジーはおそらく不敬罪。
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