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記憶が消えた日③ー②
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ランプも無い部屋に灯りがともった。
「誰だ?」
「久しぶりだな。クロヴィス」
壊れかけたバラックに寝転がっていたクロヴィスはランプの主を見上げた。
「殿下‥」
「瘦せたなぁ。ちゃんと飯は食っているのか」
「放っておいてください。私はもうこのまま野垂れ死んでも構わないのです」
「そうか…それは残念だ。お前ならシルヴェーヌを守れると思ったんだが」
「・・・・」
何も言わずにクロヴィスはセレスタンを見上げた。
手にしていたランプを食卓代りにしていた木箱の上に置いた。
灯りが届く範囲を見渡すと、置いたばかりのランプをもう一度手に取り、クロヴィスの上着を木箱に被せるように拾い上げて投げた。
その上にドカリと腰を下ろし、靴で地を撫でるように左右に数回。
平らになった床にランプを置いた。
「実はね…困った事になっているんだ」
「いつも困っていますね。ご愁傷さまです」
「つれないな。だが、今度ばかりは本当だ。知っての通り私は廃嫡をされてクディエ公爵家に出された。何故だか解るか?」
「さぁ。私は剣ばかりで脳筋と言われ久しいですから解りませんね」
フッと笑うとセレスタンは上着の内ポケットから封筒に入った手紙を抜き取った。封筒の中から取り出した便箋は文字を覚えたての者が書いたような拙い文字。
書かれた文面ランプの灯りに透かすように見たクロヴィスは凍り付いた。
「何故、これを私に見せるのですか」
セレスタンの手に手紙を押し付けるとクロヴィスは顔を逸らした。
逸らしたままで言葉を吐き出した。
「私に何が出来るというのです!」
「お前にしか出来ないと思ったからここに来た…んだがな」
クロヴィスは頭を掻きむしった。ランプの淡い光の中を細かい埃が舞う。
溜息と一緒に手を落とし、少し俯いたまま何も喋らなくなった。
セレスタンに望んで側近となったわけではなく、クロヴィスは全てを見知ってはいなくてもセレスタンのシルヴェーヌに対しての言動は知られていた。
多少の警戒心があるのかも知れないとセレスタンは感じた。
「私は今、シルヴェーヌの実家であるクディエ公爵家にいるんだ」
「知ってます」
「父上はね、私を潜り込ませたんだよ。家の中に入るには大義名分が必要だからね」
「潜りっ‥‥それだけのために廃嫡になったと言うのですか?!」
「敵を欺くには味方からと言うだろう。王家とはそういうものだ。証拠が欲しいなら暇なんだろう?明後日、6日後に王都公園のツツジの植え込みに隠れていろ。私が第二王子ディオンの従者を経由して父上と連絡を取り合っているのが見えるはずだ」
「プハっ」
クロヴィスは思わず失笑してしまった。
セレスタンのこめかみが苛ついた動きをした。
「で?それを見て信じろと?馬鹿馬鹿しい」
「何故そう思う」
「その従者がディオン殿下の従者だとどうして私が解るのです?明後日、6日後、今からならどうとでもなるでしょう。はぁ~もう帰ってください。それから…上着。それね側近だった頃の支給品です。あなたにとっては取るに足らないものだったでしょうから座るのに敷いたんですよね」
「す、すまない。悪気はなかったんだ」
「みんなそう言いますよ。良いんです。吹っ切れました」
「待ってくれ。クロヴィス。この誘拐計画は本物なんだ。お前の力が必要なんだ」
「はいはい。頑張ってください。お帰りはそちらです」
クロヴィスにバラックから追い出されてしまったセレスタンはその後数回そのバラックを訪れた。だが、クロヴィスはそこにいなかった。
物の位置が少し動いている事から夜半には帰っているのかも知れないが、決して治安のよい場所ではなくセレスタンは結局その後クロヴィスに会えないまま運命の日を迎えた。
〇●〇●〇
クロヴィスはその日、朝から王宮前の公園にいた。
セレスタンの言葉や手紙の内容を信用したわけではない。
手紙には今日の日付で、シルヴェーヌが誘拐されると書かれていた。
あの愚行があった夜会ですら側近だったクロヴィスは入り口待機を命じられてシルヴェーヌとは会えていない。どんな思いで非道な振舞を耐えたのか。側にいられなかった事をずっと悔いてきた。
数年の間、側近をしていたクロヴィスにはセレスタンが言った誘拐計画は無理だと思った。
シルヴェーヌがいるのは王妃の宮。王妃の宮に内部から行くには王宮の正門から入ってかなりの距離を移動しなければならない上に王妃の宮の警備は別格だったからだ。
堀側からも、堀を渡り高い城壁をよじ登っても王妃の宮は王宮の敷地内の中にある池の中心にあってもう一度水の中を渡らねばならない。
堀の外から見えている塔はダミーで石造り。火矢を放っても突き刺さる事も無ければ下にある池に落ちて火は消えてしまう。
もし、本当に誘拐があるのだとすれば2、3か月に1度王妃が教会に礼拝に訪れる時に馬車を狙う事だ。だがそれも移動は日のある内に行われるし、そもそも襲撃をされないために王妃が教会に礼拝に行くのは護衛でさえも当日に伝えられる。シルヴェーヌが王妃と共に礼拝に行くかどうかも怪しい。
――どうせガセネタだろう――
そう思いつつも胸の中に芽生えた小さな不安が消えなかった。
クロヴィスの中ではセレスタンの言った【廃嫡は目を欺くため】と言うのは嘘だと確信している。嘘なのであれば王太子宮に仕えていた使用人の割り振りにマクスウェル殿下の侍女やメイドは入らない。異母兄弟間で寝返る事があるからだ。側近だったクロヴィスはそのまま解雇された。セレスタンの言葉が本当なら敵を欺いた後はまた側近に戻るのだから近衛隊に籍を置くだけだ。
――脳筋でも多少は知恵がつくんですよ。殿下――
そう思いながらもセレスタンが動いたという事は何かがあるような気がしてならなかった。
セレスタンは基本的に人を信用していない。こいつなら動くという人間に直接会いに来て話をつけるのだ。腹の中まで割って話せる友もいないのは寂しいだろうなと、クロヴィスは薄く笑った。
昼過ぎになると、騎士の姿が目に付くようになった。
その中に近衛隊で同期だったマイクの顔を見つけた。
「クロヴィス!クロヴィスじゃないか!どうしたんだその恰好は!」
「マイク、久しぶりだな。ところで今日は騎士の数が多いような気がするが何かあるのか?」
「あぁ、夜会があるんだよ。マクスウェル殿下の母上になられる側妃様の誕生日だってさ。まぁ王太子になるんだ。王妃様もマクスウェル殿下を可愛がってるしな」
ハッとした。そうだった。クロヴィスがいた頃はマクスウェル殿下はまだ2歳でただの王子。その母親の側妃となれば盲点だった。よく考えればディオンの母である側妃も誕生日には昼間だったが茶会を催していた。マクスウェル殿下の母はただの王子だからと固辞していたのだ。
「マイク、すまないが兵に空きはないか?何でもする。馬車係でも開催中の庭の警備でも!何でもいい。頼む」
「そうは言ってもなぁ…王宮だし、お前を信用していない訳じゃないが、何かあった時に面倒事は俺も妻も子もいるからちょっとなぁ」
胸の中の不安が一気に拡大した。
――どうすればいい‥‥どうすれば――
マイクの隊服から手を離したクロヴィスは走り出した。
時間はもう夕方の16時を過ぎている。夜会の開始はたいていが19時だった。
――何でもないかも知れない。だけど…――
破れた靴を脱ぎ捨て、素足になったクロヴィスは石畳の上を駆け抜けた。
「誰だ?」
「久しぶりだな。クロヴィス」
壊れかけたバラックに寝転がっていたクロヴィスはランプの主を見上げた。
「殿下‥」
「瘦せたなぁ。ちゃんと飯は食っているのか」
「放っておいてください。私はもうこのまま野垂れ死んでも構わないのです」
「そうか…それは残念だ。お前ならシルヴェーヌを守れると思ったんだが」
「・・・・」
何も言わずにクロヴィスはセレスタンを見上げた。
手にしていたランプを食卓代りにしていた木箱の上に置いた。
灯りが届く範囲を見渡すと、置いたばかりのランプをもう一度手に取り、クロヴィスの上着を木箱に被せるように拾い上げて投げた。
その上にドカリと腰を下ろし、靴で地を撫でるように左右に数回。
平らになった床にランプを置いた。
「実はね…困った事になっているんだ」
「いつも困っていますね。ご愁傷さまです」
「つれないな。だが、今度ばかりは本当だ。知っての通り私は廃嫡をされてクディエ公爵家に出された。何故だか解るか?」
「さぁ。私は剣ばかりで脳筋と言われ久しいですから解りませんね」
フッと笑うとセレスタンは上着の内ポケットから封筒に入った手紙を抜き取った。封筒の中から取り出した便箋は文字を覚えたての者が書いたような拙い文字。
書かれた文面ランプの灯りに透かすように見たクロヴィスは凍り付いた。
「何故、これを私に見せるのですか」
セレスタンの手に手紙を押し付けるとクロヴィスは顔を逸らした。
逸らしたままで言葉を吐き出した。
「私に何が出来るというのです!」
「お前にしか出来ないと思ったからここに来た…んだがな」
クロヴィスは頭を掻きむしった。ランプの淡い光の中を細かい埃が舞う。
溜息と一緒に手を落とし、少し俯いたまま何も喋らなくなった。
セレスタンに望んで側近となったわけではなく、クロヴィスは全てを見知ってはいなくてもセレスタンのシルヴェーヌに対しての言動は知られていた。
多少の警戒心があるのかも知れないとセレスタンは感じた。
「私は今、シルヴェーヌの実家であるクディエ公爵家にいるんだ」
「知ってます」
「父上はね、私を潜り込ませたんだよ。家の中に入るには大義名分が必要だからね」
「潜りっ‥‥それだけのために廃嫡になったと言うのですか?!」
「敵を欺くには味方からと言うだろう。王家とはそういうものだ。証拠が欲しいなら暇なんだろう?明後日、6日後に王都公園のツツジの植え込みに隠れていろ。私が第二王子ディオンの従者を経由して父上と連絡を取り合っているのが見えるはずだ」
「プハっ」
クロヴィスは思わず失笑してしまった。
セレスタンのこめかみが苛ついた動きをした。
「で?それを見て信じろと?馬鹿馬鹿しい」
「何故そう思う」
「その従者がディオン殿下の従者だとどうして私が解るのです?明後日、6日後、今からならどうとでもなるでしょう。はぁ~もう帰ってください。それから…上着。それね側近だった頃の支給品です。あなたにとっては取るに足らないものだったでしょうから座るのに敷いたんですよね」
「す、すまない。悪気はなかったんだ」
「みんなそう言いますよ。良いんです。吹っ切れました」
「待ってくれ。クロヴィス。この誘拐計画は本物なんだ。お前の力が必要なんだ」
「はいはい。頑張ってください。お帰りはそちらです」
クロヴィスにバラックから追い出されてしまったセレスタンはその後数回そのバラックを訪れた。だが、クロヴィスはそこにいなかった。
物の位置が少し動いている事から夜半には帰っているのかも知れないが、決して治安のよい場所ではなくセレスタンは結局その後クロヴィスに会えないまま運命の日を迎えた。
〇●〇●〇
クロヴィスはその日、朝から王宮前の公園にいた。
セレスタンの言葉や手紙の内容を信用したわけではない。
手紙には今日の日付で、シルヴェーヌが誘拐されると書かれていた。
あの愚行があった夜会ですら側近だったクロヴィスは入り口待機を命じられてシルヴェーヌとは会えていない。どんな思いで非道な振舞を耐えたのか。側にいられなかった事をずっと悔いてきた。
数年の間、側近をしていたクロヴィスにはセレスタンが言った誘拐計画は無理だと思った。
シルヴェーヌがいるのは王妃の宮。王妃の宮に内部から行くには王宮の正門から入ってかなりの距離を移動しなければならない上に王妃の宮の警備は別格だったからだ。
堀側からも、堀を渡り高い城壁をよじ登っても王妃の宮は王宮の敷地内の中にある池の中心にあってもう一度水の中を渡らねばならない。
堀の外から見えている塔はダミーで石造り。火矢を放っても突き刺さる事も無ければ下にある池に落ちて火は消えてしまう。
もし、本当に誘拐があるのだとすれば2、3か月に1度王妃が教会に礼拝に訪れる時に馬車を狙う事だ。だがそれも移動は日のある内に行われるし、そもそも襲撃をされないために王妃が教会に礼拝に行くのは護衛でさえも当日に伝えられる。シルヴェーヌが王妃と共に礼拝に行くかどうかも怪しい。
――どうせガセネタだろう――
そう思いつつも胸の中に芽生えた小さな不安が消えなかった。
クロヴィスの中ではセレスタンの言った【廃嫡は目を欺くため】と言うのは嘘だと確信している。嘘なのであれば王太子宮に仕えていた使用人の割り振りにマクスウェル殿下の侍女やメイドは入らない。異母兄弟間で寝返る事があるからだ。側近だったクロヴィスはそのまま解雇された。セレスタンの言葉が本当なら敵を欺いた後はまた側近に戻るのだから近衛隊に籍を置くだけだ。
――脳筋でも多少は知恵がつくんですよ。殿下――
そう思いながらもセレスタンが動いたという事は何かがあるような気がしてならなかった。
セレスタンは基本的に人を信用していない。こいつなら動くという人間に直接会いに来て話をつけるのだ。腹の中まで割って話せる友もいないのは寂しいだろうなと、クロヴィスは薄く笑った。
昼過ぎになると、騎士の姿が目に付くようになった。
その中に近衛隊で同期だったマイクの顔を見つけた。
「クロヴィス!クロヴィスじゃないか!どうしたんだその恰好は!」
「マイク、久しぶりだな。ところで今日は騎士の数が多いような気がするが何かあるのか?」
「あぁ、夜会があるんだよ。マクスウェル殿下の母上になられる側妃様の誕生日だってさ。まぁ王太子になるんだ。王妃様もマクスウェル殿下を可愛がってるしな」
ハッとした。そうだった。クロヴィスがいた頃はマクスウェル殿下はまだ2歳でただの王子。その母親の側妃となれば盲点だった。よく考えればディオンの母である側妃も誕生日には昼間だったが茶会を催していた。マクスウェル殿下の母はただの王子だからと固辞していたのだ。
「マイク、すまないが兵に空きはないか?何でもする。馬車係でも開催中の庭の警備でも!何でもいい。頼む」
「そうは言ってもなぁ…王宮だし、お前を信用していない訳じゃないが、何かあった時に面倒事は俺も妻も子もいるからちょっとなぁ」
胸の中の不安が一気に拡大した。
――どうすればいい‥‥どうすれば――
マイクの隊服から手を離したクロヴィスは走り出した。
時間はもう夕方の16時を過ぎている。夜会の開始はたいていが19時だった。
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