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第03話 同情する事と確認する事は別問題
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同情はするが、自分の置かれる立場をきちんと理解する事は別問題。
ブリュエットは代役の花嫁だが、面倒な事に仕事上のレンタル彼女、レンタル奥様という「疑似」ではなく離縁ありきで実際に籍が入ってしまっている。
「えぇっと…2年で離縁で良いんですよね?」
「はい。左様でございます」
この点においては義両親となる公爵夫妻も納得しているようで、唯一ブリュエットに飲んで欲しい条件としては間違いが起きないように敷地内別居をして欲しいというものだった。
――間違いって…失礼ね!――
ぶっちゃけ男の方が口では「身綺麗です」と言えるではないか。女性は初めてを経験すると失ってしまうものがあるので、二度目の相手に嘘は通じないというのに。
「別居については願ったり叶ったりです。条件を飲みます」
「そうですか。良かったです」
双方の一致を見たのだが、問題は次にあった。
ブリュエットとしては2年間を無駄にするのだ。無事に離縁が成立した暁には慰謝料と言う名のボーナスを支給して欲しいのだが、世の中は甘くなかった。
「それも込みで既にマーシャル殿にはお支払いをしておりますので」
「え?ではここを出る時は身一つ?」
「そうなりますね。但し次期公爵夫人として事業を起こすなどされて得た収益は貴女様に権利が御座います。それから食費など生活に掛かる資金としては1日当たり1万ゴルを見込んでおりますので余った分についてはお渡しする事も考えております」
――1日1万ゴルッ?!――
生きていくうえで身につけた算術。ブリュエットの頭の中で数字がグルグルと回る。
え?ってことは飲まず食わずだったら1万ゴル×365日×2年‥‥ドルルルル…ドラムロールが鳴り響き、ジャジャン!と答えが出る。
――約700万ゴルっ?!遊んで暮らせるわ――
しかし飲まず食わずで2年間は物理的に無理がある。確か公共施設で働く職員は中にある食堂なら1食500ゴルのワンコインランチが食べられたはずだと思い起こす。
という事は3食食べたとしても1500ゴル。公爵家なので食堂と同じとは言えないだろうから3食で倍の3千ゴルだとして、洗濯や掃除など自分ですれば使用人を割り当ててもらう必要もない。
1日最低半分の5千ゴルを使うとしても、お役御免の際には総額で半分にあたる約350万ゴルが手に入る。
ブリュエットは今まで無休の無給で働いてきた。寝る場所だって薪の保管小屋だったのだ。
贅沢をしなければもしかするともう100万ゴルくらいは上乗せになるかも知れない??そう思うともう脳内はゴル!ゴル!ゴル!両目にも通貨単位の「Gr」が表示されている気分。
ブリュエットは執事の手をがっちりと握る。
「やります!2年間やりきってみせます。それでですね?もう一度確認なのですが敷地内別居。コレに間違いは御座いませんよね?」
「はい。本宅から見て東側になりますが離れがございますので、そちら――」
「いいえ!!出来ればですね、冬場の薪、若しくは厩舎の飼い葉や藁、庭仕事をする為の道具を収納する納屋、若しくは小屋が希望です!床は土が剝き出しの土間で結構ですわ!使わない木箱を数個、捨てようとしている布が数枚、あとは使用人さんが着古したお仕着せを格安・・・と言っても1日当たりの金額から差し引きで良いので売って頂ければ!!」
使わない木箱や捨てようとしている布なら処分代を払わなくていいのでタダだろうし、着古したお仕着せなんかそれこそワインコインだろう。
――切り詰められるものは切り詰めなくっちゃ!――
1ゴルでも多く手にする未来!ブリュエットは鼻から息を勢いよく噴き出した。
ブリュエットは代役の花嫁だが、面倒な事に仕事上のレンタル彼女、レンタル奥様という「疑似」ではなく離縁ありきで実際に籍が入ってしまっている。
「えぇっと…2年で離縁で良いんですよね?」
「はい。左様でございます」
この点においては義両親となる公爵夫妻も納得しているようで、唯一ブリュエットに飲んで欲しい条件としては間違いが起きないように敷地内別居をして欲しいというものだった。
――間違いって…失礼ね!――
ぶっちゃけ男の方が口では「身綺麗です」と言えるではないか。女性は初めてを経験すると失ってしまうものがあるので、二度目の相手に嘘は通じないというのに。
「別居については願ったり叶ったりです。条件を飲みます」
「そうですか。良かったです」
双方の一致を見たのだが、問題は次にあった。
ブリュエットとしては2年間を無駄にするのだ。無事に離縁が成立した暁には慰謝料と言う名のボーナスを支給して欲しいのだが、世の中は甘くなかった。
「それも込みで既にマーシャル殿にはお支払いをしておりますので」
「え?ではここを出る時は身一つ?」
「そうなりますね。但し次期公爵夫人として事業を起こすなどされて得た収益は貴女様に権利が御座います。それから食費など生活に掛かる資金としては1日当たり1万ゴルを見込んでおりますので余った分についてはお渡しする事も考えております」
――1日1万ゴルッ?!――
生きていくうえで身につけた算術。ブリュエットの頭の中で数字がグルグルと回る。
え?ってことは飲まず食わずだったら1万ゴル×365日×2年‥‥ドルルルル…ドラムロールが鳴り響き、ジャジャン!と答えが出る。
――約700万ゴルっ?!遊んで暮らせるわ――
しかし飲まず食わずで2年間は物理的に無理がある。確か公共施設で働く職員は中にある食堂なら1食500ゴルのワンコインランチが食べられたはずだと思い起こす。
という事は3食食べたとしても1500ゴル。公爵家なので食堂と同じとは言えないだろうから3食で倍の3千ゴルだとして、洗濯や掃除など自分ですれば使用人を割り当ててもらう必要もない。
1日最低半分の5千ゴルを使うとしても、お役御免の際には総額で半分にあたる約350万ゴルが手に入る。
ブリュエットは今まで無休の無給で働いてきた。寝る場所だって薪の保管小屋だったのだ。
贅沢をしなければもしかするともう100万ゴルくらいは上乗せになるかも知れない??そう思うともう脳内はゴル!ゴル!ゴル!両目にも通貨単位の「Gr」が表示されている気分。
ブリュエットは執事の手をがっちりと握る。
「やります!2年間やりきってみせます。それでですね?もう一度確認なのですが敷地内別居。コレに間違いは御座いませんよね?」
「はい。本宅から見て東側になりますが離れがございますので、そちら――」
「いいえ!!出来ればですね、冬場の薪、若しくは厩舎の飼い葉や藁、庭仕事をする為の道具を収納する納屋、若しくは小屋が希望です!床は土が剝き出しの土間で結構ですわ!使わない木箱を数個、捨てようとしている布が数枚、あとは使用人さんが着古したお仕着せを格安・・・と言っても1日当たりの金額から差し引きで良いので売って頂ければ!!」
使わない木箱や捨てようとしている布なら処分代を払わなくていいのでタダだろうし、着古したお仕着せなんかそれこそワインコインだろう。
――切り詰められるものは切り詰めなくっちゃ!――
1ゴルでも多く手にする未来!ブリュエットは鼻から息を勢いよく噴き出した。
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