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第01話 不満しかない
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「私の妻の座に収まったんだ、満足かっ!」
「ん?不満しかありませんけど?」
「やはりな…えっ?!不満??何故だ?」
呆ける夫、ロイス・ラーリ。
不満爆発寸前の妻、シルフィ。
旧姓はシルフィ―・アシェル。アシェル男爵家の出身である。
今日の結婚の日を以てロイスは結婚と同時に父親からラーリ伯爵家を継承し、夫と当主という役目が同時に加わった男でもある。
今日からラーリ姓を名乗る妻のシルフィは盛大に溜息を吐いた。
散々待たされた。
盛大には出来ないと言いながらも「これからは伯爵家と懇意にさせて頂く」息巻く父親がお披露目会をラーリ家のサロンで開いたが、宴も酣とお開きになる前に「準備が御座います」と連れ出され、この日のために雇われた使用人に洗われ、揉まれて初夜の準備。
「ロイス様をお待ちください」と捨て置かれて3時間だ。
ハッキリ言って、腹が立っている。
ついでにお腹も空いているので空腹が苛立ちを増幅させている。
部屋に来るなり「遅くなって申し訳ない」と一言あればまだ許せたが、開口一番に「妻の座」「満足」そんなわけがなかろう!!
――貴方の今の態度に大いに不満よ!――
勝手に結婚を決められてシルフィだって大迷惑。
結婚が決まったと聞かされた時、シルフィは芋の皮むきをしていたのだが驚きすぎて指をナイフで切ってしまうところだった。
『10日後に結婚式だから荷物を纏めておけ』
『え?は?結婚?誰の?』
『お前以外に誰がいるんだ』
『婚約ではなく?』
『なんで婚約なんて面倒なことをする必要があるんだ』
――必要があるから婚約期間があるんじゃないの?――
そんなシルフィの思いなど、私欲にまみれた父親に通じるはずがない。
婚約も何もすっ飛ばして「10日後に結婚式だから」とだけ言われ、聞き間違いかと思った答えがアレ。
その後、その日の売り上げを持って賭博場に行ってしまい、詳しい事は聞けず終い。
相手の名前すら聞けず、どんな人となりかを調べる時間もない。
口約束なのか探しても書面は何処にもないし、釣書もないので絵姿もない。
迎えた当日。
何かの間違いじゃないかと思ったのは花嫁衣裳なんてなかったのだ。
確かに平民ならちょっと良い余所行きの服を着る事もあるだろうが、シルフィもその程度。
ついでに言うならロイスも全くの普段着だった。
初めて顔を見たのは本日、教会での結婚式。
ついでにご本人様の声を聴いたのも本日の教会だ。
私的な会話の第一声がこれとは。
「言いたいことはそれだけ?お互い不満がある結婚なのだし寝室も別でいいわよね。ついでに生計も別にさせて頂くわ。ではゆっくりとお休みくださいませ」
それだけ言うとシルフィは夫人用の部屋に通じる扉を開けて夫婦の寝室から出て行った。
「ん?不満しかありませんけど?」
「やはりな…えっ?!不満??何故だ?」
呆ける夫、ロイス・ラーリ。
不満爆発寸前の妻、シルフィ。
旧姓はシルフィ―・アシェル。アシェル男爵家の出身である。
今日の結婚の日を以てロイスは結婚と同時に父親からラーリ伯爵家を継承し、夫と当主という役目が同時に加わった男でもある。
今日からラーリ姓を名乗る妻のシルフィは盛大に溜息を吐いた。
散々待たされた。
盛大には出来ないと言いながらも「これからは伯爵家と懇意にさせて頂く」息巻く父親がお披露目会をラーリ家のサロンで開いたが、宴も酣とお開きになる前に「準備が御座います」と連れ出され、この日のために雇われた使用人に洗われ、揉まれて初夜の準備。
「ロイス様をお待ちください」と捨て置かれて3時間だ。
ハッキリ言って、腹が立っている。
ついでにお腹も空いているので空腹が苛立ちを増幅させている。
部屋に来るなり「遅くなって申し訳ない」と一言あればまだ許せたが、開口一番に「妻の座」「満足」そんなわけがなかろう!!
――貴方の今の態度に大いに不満よ!――
勝手に結婚を決められてシルフィだって大迷惑。
結婚が決まったと聞かされた時、シルフィは芋の皮むきをしていたのだが驚きすぎて指をナイフで切ってしまうところだった。
『10日後に結婚式だから荷物を纏めておけ』
『え?は?結婚?誰の?』
『お前以外に誰がいるんだ』
『婚約ではなく?』
『なんで婚約なんて面倒なことをする必要があるんだ』
――必要があるから婚約期間があるんじゃないの?――
そんなシルフィの思いなど、私欲にまみれた父親に通じるはずがない。
婚約も何もすっ飛ばして「10日後に結婚式だから」とだけ言われ、聞き間違いかと思った答えがアレ。
その後、その日の売り上げを持って賭博場に行ってしまい、詳しい事は聞けず終い。
相手の名前すら聞けず、どんな人となりかを調べる時間もない。
口約束なのか探しても書面は何処にもないし、釣書もないので絵姿もない。
迎えた当日。
何かの間違いじゃないかと思ったのは花嫁衣裳なんてなかったのだ。
確かに平民ならちょっと良い余所行きの服を着る事もあるだろうが、シルフィもその程度。
ついでに言うならロイスも全くの普段着だった。
初めて顔を見たのは本日、教会での結婚式。
ついでにご本人様の声を聴いたのも本日の教会だ。
私的な会話の第一声がこれとは。
「言いたいことはそれだけ?お互い不満がある結婚なのだし寝室も別でいいわよね。ついでに生計も別にさせて頂くわ。ではゆっくりとお休みくださいませ」
それだけ言うとシルフィは夫人用の部屋に通じる扉を開けて夫婦の寝室から出て行った。
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