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第02話 父たちの思惑
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世の中の夫婦が全て愛し合った末に結婚するとは限らない。
ラーリ家はほんの20年前はスベノール王国にラーリ家ありと言われた裕福な家で、広い領地から供給される羊毛はハネと呼ばれる捨てる羊毛だけで国民全員に防寒着が行き渡ると言われるくらいに売り上げもかなりのものだった。
それが一転したのが15年前に起こった天変地異。
大地が大きく揺れ、ラーリ領にある山が三体崩壊を起こし、平野部を埋めた。
広大な牧草地はでこぼこ。今までの羊の頭数は飼育することが出来ず、牧場は壊滅で廃業が一気に秒読み。状況を目の当たりにした祖父は体調を崩しあっという間に帰らぬ人になった。
加えて先代のノラリック・ラーリの代では道楽者のお手本と名高いノラリックが贅沢三昧。
領地に手を入れる事もないので収入は激減。保護をしなかったため領民は8割が逃げ出し領地は荒れ放題。
使っても使っても減らないと言われた資産も収入がないのに遊んでいれば言わずもがな。
3年前には「借り入れの多い家」のランキングに圏外から一気に第3位まで躍り出た。
翌年は2位、そして今年は堂々の1位。
ワーストトップの座に躍り出たところでめぼしい資産を持って「後よろしく」と息子のロイスに丸投げをした。
最後っ屁の如くノラリックが金を借りたのがシルフィの家。
アシェル男爵家だった。
男爵家とは言え錬金術に長けた一家で、携帯できる防寒具「アッタケーナ」を開発し、これが大当たり。
ついでに「スズメール」という冷房具も売り出し猛暑も追い風になってバカ売れ。
さぞかしシルフィには財産があるのだろうと思われがちだが、売り上げが右肩上がりならぬ垂直上がりに浮かれたアシェル男爵は遊びまわって外に世帯まで持ってしまった。つまりは入れば入る分、使いまくったので家族は貧乏生活を余儀なくされたし、製品を作る工房ですら材料の仕入れに頭を抱える始末。
シルフィは病に倒れた母のために売り上げの一部で薬を買ってくれと頼んだが父が聞き入れる事はなく、母は天に召された。
錬金術には微力でも魔法が使える事が大前提。父親は長く錬金術を扱うアシェル男爵家で「稀に生まれる」と言われる魔法を使えない普通の人間だった。
何ら恥じる事はないのに卑屈になりかけた息子を憂いた先代は僅かながらに魔法が使える工房長の娘を息子の妻に迎えたのだが…。
見た目も好みではない妻を蔑み、冷遇した。
才能のある妻を疎み、自身と同じく魔法を持たない娘のシルフィはまるで自分を見ているよう。
遊びに呆けたのも家族と向き合いたくなかった、自身の望む家族が欲しかった、そんな気持ちもあったのかも知れないが許される行いではない。
開発について発言権の強かった妻が天に召されると売り上げは更に落ち込んでアシェル男爵はシルフィに更にきつく当たるようになった。
「お前なんか、とんだお荷物だ!この穀潰しッ!」
毎日シルフィは父親の罵声を浴びた。
そんなアシェル男爵の前にぶら下がった話がノラリックからの借金申し入れ。
「これはウマい話が舞い込んできたぞ」
ほくそ笑んで目論んだのが「爵位」
子爵家までは功績があれば陞爵があるが、伯爵家以上になる事はない。
伯爵家以上の爵位があればさらに商売の手が広げられ、売り上げ倍増。伯爵家の旨味を存分に吸い出すためノラリックが金を借りに来た時に「シルフィを妻に迎えること」を条件として金を貸した。
ノラリクは金さえ手に入るのなら負債ばかりとなったラーリ家など不要。
アシェル男爵はお荷物だった娘に使い道が出来るのだからと喜んだ。
シルフィとロイスの婚約を結び、さっさと結婚させてしまおうと結婚式の日取りも決めてしまったのだ。
ラーリ家はほんの20年前はスベノール王国にラーリ家ありと言われた裕福な家で、広い領地から供給される羊毛はハネと呼ばれる捨てる羊毛だけで国民全員に防寒着が行き渡ると言われるくらいに売り上げもかなりのものだった。
それが一転したのが15年前に起こった天変地異。
大地が大きく揺れ、ラーリ領にある山が三体崩壊を起こし、平野部を埋めた。
広大な牧草地はでこぼこ。今までの羊の頭数は飼育することが出来ず、牧場は壊滅で廃業が一気に秒読み。状況を目の当たりにした祖父は体調を崩しあっという間に帰らぬ人になった。
加えて先代のノラリック・ラーリの代では道楽者のお手本と名高いノラリックが贅沢三昧。
領地に手を入れる事もないので収入は激減。保護をしなかったため領民は8割が逃げ出し領地は荒れ放題。
使っても使っても減らないと言われた資産も収入がないのに遊んでいれば言わずもがな。
3年前には「借り入れの多い家」のランキングに圏外から一気に第3位まで躍り出た。
翌年は2位、そして今年は堂々の1位。
ワーストトップの座に躍り出たところでめぼしい資産を持って「後よろしく」と息子のロイスに丸投げをした。
最後っ屁の如くノラリックが金を借りたのがシルフィの家。
アシェル男爵家だった。
男爵家とは言え錬金術に長けた一家で、携帯できる防寒具「アッタケーナ」を開発し、これが大当たり。
ついでに「スズメール」という冷房具も売り出し猛暑も追い風になってバカ売れ。
さぞかしシルフィには財産があるのだろうと思われがちだが、売り上げが右肩上がりならぬ垂直上がりに浮かれたアシェル男爵は遊びまわって外に世帯まで持ってしまった。つまりは入れば入る分、使いまくったので家族は貧乏生活を余儀なくされたし、製品を作る工房ですら材料の仕入れに頭を抱える始末。
シルフィは病に倒れた母のために売り上げの一部で薬を買ってくれと頼んだが父が聞き入れる事はなく、母は天に召された。
錬金術には微力でも魔法が使える事が大前提。父親は長く錬金術を扱うアシェル男爵家で「稀に生まれる」と言われる魔法を使えない普通の人間だった。
何ら恥じる事はないのに卑屈になりかけた息子を憂いた先代は僅かながらに魔法が使える工房長の娘を息子の妻に迎えたのだが…。
見た目も好みではない妻を蔑み、冷遇した。
才能のある妻を疎み、自身と同じく魔法を持たない娘のシルフィはまるで自分を見ているよう。
遊びに呆けたのも家族と向き合いたくなかった、自身の望む家族が欲しかった、そんな気持ちもあったのかも知れないが許される行いではない。
開発について発言権の強かった妻が天に召されると売り上げは更に落ち込んでアシェル男爵はシルフィに更にきつく当たるようになった。
「お前なんか、とんだお荷物だ!この穀潰しッ!」
毎日シルフィは父親の罵声を浴びた。
そんなアシェル男爵の前にぶら下がった話がノラリックからの借金申し入れ。
「これはウマい話が舞い込んできたぞ」
ほくそ笑んで目論んだのが「爵位」
子爵家までは功績があれば陞爵があるが、伯爵家以上になる事はない。
伯爵家以上の爵位があればさらに商売の手が広げられ、売り上げ倍増。伯爵家の旨味を存分に吸い出すためノラリックが金を借りに来た時に「シルフィを妻に迎えること」を条件として金を貸した。
ノラリクは金さえ手に入るのなら負債ばかりとなったラーリ家など不要。
アシェル男爵はお荷物だった娘に使い道が出来るのだからと喜んだ。
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