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第33話 俺の話を聞け?私に2分時間を頂けますか?
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「リサちゃーん。ご新規さんだよ」
「はーい。今行きますね」
受付は玄関ホールの一画。事務室としているのはこの屋敷が現役で使われていた頃に来てほしくない客を通していた応接室。
直ぐにお帰り頂ける場所にあり、屋敷の中をうろうろされる必要もないように外に出ればその時代には珍しい「おトイレ」まで設置されている。
そのまま庭の植物の肥料にしていたようなので、一石二鳥なのかな?と思ってみるが「こちらです」と案内をされた当時の貴族は土に穴を掘っただけで簡素な囲いがあるだけのトイレを見て「早く帰ろう」と思ったかも知れない。
お客さんは平民から貴族まで幅広い。
ここは場所を貸しているだけなので、受付の時に記載されていない品については盗難にあっても責任は負わないとしている。
現金や貴金属、有名画家の絵画などはここではなく金融商会の貸金庫の方が安全だし、温度管理も行き届いていると回してあげているので、金融商会の貸金庫も増設する工事が始まると聞こえてくる。
受付にやってきた客。それは…。
「外に荷馬車を停めてあるんだが、スペースは借りら―――え?お前、リサ?リサか?!」
――げぇぇ。最悪ぅ――
やってきたのはショーの父親。モナ伯爵だった。
何故かリサを見て恐ろしく嫌そう~な顔をしていた。
その理由は直ぐに判明する。
荷馬車の荷台に載せられていたのは3つの木箱だが2つは何の変哲もない木箱。
もう1つは…。
「あのぅ。ここは墓地ではないので場所をお貸し出来ないんですけど」
「ちっ違う!これは柩ではないっ!棺だ!失敬な!」
柩は納棺後、棺は納棺前。
この場合の前と後の違いは大きすぎる。
嫌でも商売だ。かの日レンダールにも言われた。
「嫌な相手ならスルーするのか」と。
――する訳ないし!――
相手がモナ伯爵であろうと客は客。
前金になるが代金を払って貰えれば、違法な品でない限り置き場所は貸す。
「ではお品については中を確認させて頂きますので、先にご説明、そしてご記入をお願いしますわ」
「え?金払ったらなんでも預かってくれるんじゃないのか?」
――いるんだよねぇ。こんな客――
リサはウンザリしながら説明をする事にした。
「こちらはお客様の大事なお品を保管する場所をお貸ししております」
「ぉう!聞いた。だから持ってきたんだよ。で、安くしてくれんだろ?リサ」
「保管場所と申しましても、お貸しできない場合が御座います」
「は?なんでだよ。金は払うってんじゃないか」
リサはもう苛立ってしまった。スゥハァと小さく深呼吸し「3分で良いんです」と説明する時間を頂きたいが、心の中は嵐が吹き荒れる。
――そう言う事じゃないんだってば!話を聞けぇぇぇーっ!――
こめかみがヒクヒクと引き攣りながらリサは努めて笑顔でモナ伯爵に話しかけた。
「違法なもの、例えば薬物であったり届が出ている盗品であったりご遺体の保管のご利用は出来ません」
「だから!棺だけど!中身は…人間じゃない。認めたくないがな」
「は?柩ではなく棺ですよね?中身…」
「いいからっ!次っ!」
「場所を貸す際にはお名前、お住まい、緊急時に連絡が取れる方2名様のお名前、お住まいをご記入頂きます」
「え?2人?なんでだ?」
「ここをゴミ捨て場と間違う方がいらっしゃるからです。場所の利用期限が切れた時に置かれている荷物を目録と共に確認をして頂いてお引き取り頂くのです」
「なっ!勝手に私の荷物を渡すと言うのか!」
――こンの爺!聞いてた?利用期限が切れた時と言ったでしょうが!――
モナ伯爵には言語が通じないようだった。
「はーい。今行きますね」
受付は玄関ホールの一画。事務室としているのはこの屋敷が現役で使われていた頃に来てほしくない客を通していた応接室。
直ぐにお帰り頂ける場所にあり、屋敷の中をうろうろされる必要もないように外に出ればその時代には珍しい「おトイレ」まで設置されている。
そのまま庭の植物の肥料にしていたようなので、一石二鳥なのかな?と思ってみるが「こちらです」と案内をされた当時の貴族は土に穴を掘っただけで簡素な囲いがあるだけのトイレを見て「早く帰ろう」と思ったかも知れない。
お客さんは平民から貴族まで幅広い。
ここは場所を貸しているだけなので、受付の時に記載されていない品については盗難にあっても責任は負わないとしている。
現金や貴金属、有名画家の絵画などはここではなく金融商会の貸金庫の方が安全だし、温度管理も行き届いていると回してあげているので、金融商会の貸金庫も増設する工事が始まると聞こえてくる。
受付にやってきた客。それは…。
「外に荷馬車を停めてあるんだが、スペースは借りら―――え?お前、リサ?リサか?!」
――げぇぇ。最悪ぅ――
やってきたのはショーの父親。モナ伯爵だった。
何故かリサを見て恐ろしく嫌そう~な顔をしていた。
その理由は直ぐに判明する。
荷馬車の荷台に載せられていたのは3つの木箱だが2つは何の変哲もない木箱。
もう1つは…。
「あのぅ。ここは墓地ではないので場所をお貸し出来ないんですけど」
「ちっ違う!これは柩ではないっ!棺だ!失敬な!」
柩は納棺後、棺は納棺前。
この場合の前と後の違いは大きすぎる。
嫌でも商売だ。かの日レンダールにも言われた。
「嫌な相手ならスルーするのか」と。
――する訳ないし!――
相手がモナ伯爵であろうと客は客。
前金になるが代金を払って貰えれば、違法な品でない限り置き場所は貸す。
「ではお品については中を確認させて頂きますので、先にご説明、そしてご記入をお願いしますわ」
「え?金払ったらなんでも預かってくれるんじゃないのか?」
――いるんだよねぇ。こんな客――
リサはウンザリしながら説明をする事にした。
「こちらはお客様の大事なお品を保管する場所をお貸ししております」
「ぉう!聞いた。だから持ってきたんだよ。で、安くしてくれんだろ?リサ」
「保管場所と申しましても、お貸しできない場合が御座います」
「は?なんでだよ。金は払うってんじゃないか」
リサはもう苛立ってしまった。スゥハァと小さく深呼吸し「3分で良いんです」と説明する時間を頂きたいが、心の中は嵐が吹き荒れる。
――そう言う事じゃないんだってば!話を聞けぇぇぇーっ!――
こめかみがヒクヒクと引き攣りながらリサは努めて笑顔でモナ伯爵に話しかけた。
「違法なもの、例えば薬物であったり届が出ている盗品であったりご遺体の保管のご利用は出来ません」
「だから!棺だけど!中身は…人間じゃない。認めたくないがな」
「は?柩ではなく棺ですよね?中身…」
「いいからっ!次っ!」
「場所を貸す際にはお名前、お住まい、緊急時に連絡が取れる方2名様のお名前、お住まいをご記入頂きます」
「え?2人?なんでだ?」
「ここをゴミ捨て場と間違う方がいらっしゃるからです。場所の利用期限が切れた時に置かれている荷物を目録と共に確認をして頂いてお引き取り頂くのです」
「なっ!勝手に私の荷物を渡すと言うのか!」
――こンの爺!聞いてた?利用期限が切れた時と言ったでしょうが!――
モナ伯爵には言語が通じないようだった。
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