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第34話 コノヤロオメェ!バゥンバゥン
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いけない。いけない。お客様よ。リサは自分に言い聞かせ引き攣った笑顔を向けた。
「利用期限がぁ!利用期限がぁ~切れた時ぃ!切れた時ぃ!です」
「な、なんだぁ?」
「いつもここからです」
「は?」
「ですから、記入事項についての再読は、いつもここから!説明させて頂いているんですッ!(バンッ!)」
リサは説明のパンフレットを音立てて叩き、「説明はしっかりお聞きくださいね?」モナ伯爵にニヤッと笑った。
★~★
「では、木箱の中身ですが全て目録に記させて頂きますね。先ずは開封前の重量から」
「ま、待ってくれ。本当に中身を全部?」
「はい。余すところなく。ですがご安心ください。守秘義務が御座いますので私どもが誰かに目録を明かすとすれば裁判院より開示命令があった時と、利用期限が切れたのに延長料金、再契約を成されなかった場合に限られますので」
「本当に誰にも言わないんだな?」
「勿論です。先ほども言ったように裁判院の開示命令と、利用料の未払いが起こらなければ、ですが」
モナ伯爵は「考えさせてくれ」と言い出したが一緒について来た従者から金を手渡されると「契約書!」怒鳴って金を差し出した。
金を数えると5万ルカ。
リサは契約書を差し出した。
「では5万ルカですので半年のご利用ですね」
「半年っ?!いやいや10年だろう!」
「5万ルカで10年は縦3cm、横幅25cm、奥行き30cmの引き出しの中に入る荷物です。どう考えても木箱の1つも入りません。お持ち込み頂いた荷物が入るスペースは縦横、奥行き2mのスペースになりますので半年で5万ルカです」
「そんな…じゃぁ半年後にも5万ルカ…」
「いいえ。半年後でしたら10万ルカです。現在新店オープン半額キャンペーン中なので」
モナ伯爵に差し出したチラシ。
食い入るように見なくても大きな文字で3カ月はキャンペーン中と書いている。
「じゃ、じゃぁ3か月。3か月にしてくれ。ギリギリで5万持ってくるから」
「いいえ。それでも更新されるなら10万ルカです。ここをご覧ください」
リサの心の中ではモナ伯爵の頭をガッ!と押さえつけてチラシの文字をバシバシ!
「目ん玉見開いてよぉっく見やがれ!」と注意書きを読ませるが、実際は笑顔で注意書きを指で示した。
「初回のご利用に限る。としております」
「こんなん詐欺だろ!訴えられたくなかったら安くしろ!いや、タダで預かれ!」
――もう、キレていいよね?――
応戦ジャー!皆のもの出合え!出合え!と言いたいが奥に使用人は2人しかいない。
リサはいきり立って立ち上がったモナ伯爵と同様立ち上がろうとしたのだが…。
「お客さん。困るんですよ」
モナ伯爵の肩をグイっと掴み、体を反転させたのはレンダールだった。
「お引き取り頂きましょうか。言語が通じるのと話が通じるのは意味が違いますのでね」
「チッ!何でも預かるなんて嘘じゃねぇか!訴えてやるからな!」
「お客さん、うちはね、預かるんじゃなくて荷物を置く場所を貸すんですよ」
レンダールの手を振り払ったモナ伯爵は「覚えてろ」と叫んだが、リサは「忘却の彼方」小さく呟いた。客でもないのに覚えておかねばならない謂れはない。
モナ伯爵は憤って従者に一旦下ろした荷物をもう一度荷馬車に載せろと命じたが、棺に躓き、棺の蓋の留め具が外れてパカっと開き、中身が見えた。
リサの目に見知った顔が映った。
「ラ、ラブちゃん!?」
棺の中には一糸纏わぬ、ラブちゃんの姉妹がいた。
ついでに躓いてモナ伯爵がよろけた先に従者が木箱を持っていたが、そこにモナ伯爵が突っ込んだ。木箱は落ちて中身がその辺に散乱してしまった。
「え…哺乳瓶…大人用おむつ?何、この量?!」
物言わぬラブちゃん@姉妹に何を求めていたのか。
それはモナ伯爵だけが知る秘密である。
「利用期限がぁ!利用期限がぁ~切れた時ぃ!切れた時ぃ!です」
「な、なんだぁ?」
「いつもここからです」
「は?」
「ですから、記入事項についての再読は、いつもここから!説明させて頂いているんですッ!(バンッ!)」
リサは説明のパンフレットを音立てて叩き、「説明はしっかりお聞きくださいね?」モナ伯爵にニヤッと笑った。
★~★
「では、木箱の中身ですが全て目録に記させて頂きますね。先ずは開封前の重量から」
「ま、待ってくれ。本当に中身を全部?」
「はい。余すところなく。ですがご安心ください。守秘義務が御座いますので私どもが誰かに目録を明かすとすれば裁判院より開示命令があった時と、利用期限が切れたのに延長料金、再契約を成されなかった場合に限られますので」
「本当に誰にも言わないんだな?」
「勿論です。先ほども言ったように裁判院の開示命令と、利用料の未払いが起こらなければ、ですが」
モナ伯爵は「考えさせてくれ」と言い出したが一緒について来た従者から金を手渡されると「契約書!」怒鳴って金を差し出した。
金を数えると5万ルカ。
リサは契約書を差し出した。
「では5万ルカですので半年のご利用ですね」
「半年っ?!いやいや10年だろう!」
「5万ルカで10年は縦3cm、横幅25cm、奥行き30cmの引き出しの中に入る荷物です。どう考えても木箱の1つも入りません。お持ち込み頂いた荷物が入るスペースは縦横、奥行き2mのスペースになりますので半年で5万ルカです」
「そんな…じゃぁ半年後にも5万ルカ…」
「いいえ。半年後でしたら10万ルカです。現在新店オープン半額キャンペーン中なので」
モナ伯爵に差し出したチラシ。
食い入るように見なくても大きな文字で3カ月はキャンペーン中と書いている。
「じゃ、じゃぁ3か月。3か月にしてくれ。ギリギリで5万持ってくるから」
「いいえ。それでも更新されるなら10万ルカです。ここをご覧ください」
リサの心の中ではモナ伯爵の頭をガッ!と押さえつけてチラシの文字をバシバシ!
「目ん玉見開いてよぉっく見やがれ!」と注意書きを読ませるが、実際は笑顔で注意書きを指で示した。
「初回のご利用に限る。としております」
「こんなん詐欺だろ!訴えられたくなかったら安くしろ!いや、タダで預かれ!」
――もう、キレていいよね?――
応戦ジャー!皆のもの出合え!出合え!と言いたいが奥に使用人は2人しかいない。
リサはいきり立って立ち上がったモナ伯爵と同様立ち上がろうとしたのだが…。
「お客さん。困るんですよ」
モナ伯爵の肩をグイっと掴み、体を反転させたのはレンダールだった。
「お引き取り頂きましょうか。言語が通じるのと話が通じるのは意味が違いますのでね」
「チッ!何でも預かるなんて嘘じゃねぇか!訴えてやるからな!」
「お客さん、うちはね、預かるんじゃなくて荷物を置く場所を貸すんですよ」
レンダールの手を振り払ったモナ伯爵は「覚えてろ」と叫んだが、リサは「忘却の彼方」小さく呟いた。客でもないのに覚えておかねばならない謂れはない。
モナ伯爵は憤って従者に一旦下ろした荷物をもう一度荷馬車に載せろと命じたが、棺に躓き、棺の蓋の留め具が外れてパカっと開き、中身が見えた。
リサの目に見知った顔が映った。
「ラ、ラブちゃん!?」
棺の中には一糸纏わぬ、ラブちゃんの姉妹がいた。
ついでに躓いてモナ伯爵がよろけた先に従者が木箱を持っていたが、そこにモナ伯爵が突っ込んだ。木箱は落ちて中身がその辺に散乱してしまった。
「え…哺乳瓶…大人用おむつ?何、この量?!」
物言わぬラブちゃん@姉妹に何を求めていたのか。
それはモナ伯爵だけが知る秘密である。
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