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最終話 侯爵様、契約妻ではなくレンタル奥様です
モナ伯爵家に嫁ぐ事になったシシリー王女の臣籍降嫁は半日も経たずに議会でも満場一致で可決され、即日で結婚となったシシリー王女だったが、全ての取引が停止されて食料の調達すら出来なくなった。
「こんなの聞いてないわよ!どうして王女の私が?城に帰るわ!馬車を用意して!」
「用意しろって…馬車なんかある訳ないだろう?」
「どうしてないのよ。おかしいでしょう」
おかしくはなかった。
貴族は後払いで支払いを行う。取引停止にあたりそれまでの分を清算しなくてはならなくなったモナ伯爵は手持ちは全て吐き出して支払いを何とか済ませた。
しかし、翌日には貴族院の監査が入り先代夫妻の介護状況を見て虐待と判断としたため先代夫妻は医療院に保護されることになり、医療院の利用代に年金が充てられるためモナ伯爵家には収入が全くなくなった。
先代の財産使い込みも疑われて先代の資産は凍結されてしまった。
よくよく考えるべきだったのだ。
年金生活になった時に、通常では足らないと判断をしたから積み立てを多く払っていた先代。息子夫婦がきちんと面倒を見てくれるかどうかも様子見のまま家族の顔も忘れるほど病気が進行してしまった。
モナ伯爵家の土地も家屋も全て先代の名義になっていてモナ伯爵の名義は領地だけ。
その領地では取引停止になって農作物を作ろうが糸を撚ろうが誰も買ってはくれないし運んでもくれない。
今後は先代が亡くなった時に、今までモナ伯爵が爵位を継いだことで何もかも丸投げをしていた弟妹が相続を申し立てて来る。現金で相続分が払えなければ屋敷を売るしかない。
胡坐をかいていた分、ツケは大きくなりそうなのにシシリー王女まで抱えてしまった。
シシリー王女は貸し馬車を呼び、城に向かったが国王となった兄に面会どころか城にも入れて貰えず引き返すしかなかった。
触らぬ神に祟りなし。
モナ伯爵家を相手にする者はいなくなってしまったのだった。
あんな減らず口を叩いておいて、レンダールに謝罪をしたいと先触れを出してきたのはたった1週間後の事だった。レンダールは先触れをぐしゃっと握りつぶし、ゴミ箱に捨てた。
「何をしたの?」
「特には何もしてないな。関係各所にモナ家との取引は控えるようにと通達をしただけだ」
「だけって…それ、取引してくれるところはないじゃない」
「そうかな?探せばあると思うんだが」
――ないと思います――
シレっと返すレンダールを見てリサは「結構、腹黒いのよね」と偉い人の考える事はやっぱり判らないけれど、レンダールも同じだったなと細い目になった。
そんなリサは行くところがある。
昨夜作ったリストをカバンに入れているとレンダールが話しかけてきた。
「何処に行くんだ?」
「イリーナのところよ。困ってると思うから」
「放っておけ。リサを騙したような奴なんだぞ」
「そうだけど幼馴染だし、結果的に私は以前より格段に良い暮らしをする事になったけどイリーナは両親も仕事を探しているし、モナ家から追い出されて困っていると思うのね。何より…レンタルで新しい部門を作ろうと思っているから」
「まさか引き入れると言うのか?あの女を?」
「本人が嫌だと言うなら無理強いはしないけど、私もイリーナも‥‥(えへっ)介護ってね、大変なの。した事がないと判らない事も沢山あるのよ。それにね、介護の仕事って何故か蔑まれているところがあるんだけど違うのよ。本当に大変だし、頭も体力も経験も全て揃ってのエキスパートなのよ。負担を減らすには作業を1つでも減らせればいいでしょう?だからレンタルに先ずはシーツとか洗わなくてもいいよ、交換できるよ?ってそんな部署も作りたいのよ」
「リサはお人よしだな。国王の前で怒鳴ったのも従業員の為だったし」
「当たり前でしょ?侯爵様も言ったじゃない。トップは責任を取る者だって。これでも雇い主だから」
「じゃぁその前に」
レンダールは引き出しから書類を取るとリサの元に歩いてきて「座って、座って」とソファに腰を下ろさせた。
「これって…」
「このままレンタル期間が終わって、リサが他の男にレンタル奥様でもされたら敵わないからな。レンタル期間は私が申し出ない限り自動更新。いいだろ?」
「くっ!!これだったら契約妻にしとけばよかった!!」
「そうだな。契約妻なら更新なんてないからな。期限が来たら終わりだ。レンタルで良かったが…契約にしてもいいぞ?契約妻の仕事はレンタル奥様にない仕事もあるし」
キスをしそうな距離まで顔を近づけてきたレンダールの顔をリサはグッと押し退けた。
「キスはオプションです!侯爵様!契約妻ではなくレンタル奥様ですからキスはだめっ!」
「じゃぁ、次の更新で特典に盛り込んでくれるかな?」
甘い笑顔で迫って来るレンダールにリサは「考えておきます」と言い残し、イリーナの元に向かった。
★~★
モナ家で散々にこき使われていたイリーナはリサが会いに来たと聞くと当初は会ってくれなかった。
自分のしてしまった事で、因果応報を身をもって体験したことでリサに合わせる顔がない。そう言って会ってはくれなかったが、根気強くリサが通い続けやっと会えたのは2か月後だった。
後にイリーナはリサのレンタル業で介護部門の部長にまで昇進をする事になるのだった。
Fin
長い話にお付き合い頂きありがとうございました<(_ _)>
この後はS…あるかも知れません(;^_^A
「こんなの聞いてないわよ!どうして王女の私が?城に帰るわ!馬車を用意して!」
「用意しろって…馬車なんかある訳ないだろう?」
「どうしてないのよ。おかしいでしょう」
おかしくはなかった。
貴族は後払いで支払いを行う。取引停止にあたりそれまでの分を清算しなくてはならなくなったモナ伯爵は手持ちは全て吐き出して支払いを何とか済ませた。
しかし、翌日には貴族院の監査が入り先代夫妻の介護状況を見て虐待と判断としたため先代夫妻は医療院に保護されることになり、医療院の利用代に年金が充てられるためモナ伯爵家には収入が全くなくなった。
先代の財産使い込みも疑われて先代の資産は凍結されてしまった。
よくよく考えるべきだったのだ。
年金生活になった時に、通常では足らないと判断をしたから積み立てを多く払っていた先代。息子夫婦がきちんと面倒を見てくれるかどうかも様子見のまま家族の顔も忘れるほど病気が進行してしまった。
モナ伯爵家の土地も家屋も全て先代の名義になっていてモナ伯爵の名義は領地だけ。
その領地では取引停止になって農作物を作ろうが糸を撚ろうが誰も買ってはくれないし運んでもくれない。
今後は先代が亡くなった時に、今までモナ伯爵が爵位を継いだことで何もかも丸投げをしていた弟妹が相続を申し立てて来る。現金で相続分が払えなければ屋敷を売るしかない。
胡坐をかいていた分、ツケは大きくなりそうなのにシシリー王女まで抱えてしまった。
シシリー王女は貸し馬車を呼び、城に向かったが国王となった兄に面会どころか城にも入れて貰えず引き返すしかなかった。
触らぬ神に祟りなし。
モナ伯爵家を相手にする者はいなくなってしまったのだった。
あんな減らず口を叩いておいて、レンダールに謝罪をしたいと先触れを出してきたのはたった1週間後の事だった。レンダールは先触れをぐしゃっと握りつぶし、ゴミ箱に捨てた。
「何をしたの?」
「特には何もしてないな。関係各所にモナ家との取引は控えるようにと通達をしただけだ」
「だけって…それ、取引してくれるところはないじゃない」
「そうかな?探せばあると思うんだが」
――ないと思います――
シレっと返すレンダールを見てリサは「結構、腹黒いのよね」と偉い人の考える事はやっぱり判らないけれど、レンダールも同じだったなと細い目になった。
そんなリサは行くところがある。
昨夜作ったリストをカバンに入れているとレンダールが話しかけてきた。
「何処に行くんだ?」
「イリーナのところよ。困ってると思うから」
「放っておけ。リサを騙したような奴なんだぞ」
「そうだけど幼馴染だし、結果的に私は以前より格段に良い暮らしをする事になったけどイリーナは両親も仕事を探しているし、モナ家から追い出されて困っていると思うのね。何より…レンタルで新しい部門を作ろうと思っているから」
「まさか引き入れると言うのか?あの女を?」
「本人が嫌だと言うなら無理強いはしないけど、私もイリーナも‥‥(えへっ)介護ってね、大変なの。した事がないと判らない事も沢山あるのよ。それにね、介護の仕事って何故か蔑まれているところがあるんだけど違うのよ。本当に大変だし、頭も体力も経験も全て揃ってのエキスパートなのよ。負担を減らすには作業を1つでも減らせればいいでしょう?だからレンタルに先ずはシーツとか洗わなくてもいいよ、交換できるよ?ってそんな部署も作りたいのよ」
「リサはお人よしだな。国王の前で怒鳴ったのも従業員の為だったし」
「当たり前でしょ?侯爵様も言ったじゃない。トップは責任を取る者だって。これでも雇い主だから」
「じゃぁその前に」
レンダールは引き出しから書類を取るとリサの元に歩いてきて「座って、座って」とソファに腰を下ろさせた。
「これって…」
「このままレンタル期間が終わって、リサが他の男にレンタル奥様でもされたら敵わないからな。レンタル期間は私が申し出ない限り自動更新。いいだろ?」
「くっ!!これだったら契約妻にしとけばよかった!!」
「そうだな。契約妻なら更新なんてないからな。期限が来たら終わりだ。レンタルで良かったが…契約にしてもいいぞ?契約妻の仕事はレンタル奥様にない仕事もあるし」
キスをしそうな距離まで顔を近づけてきたレンダールの顔をリサはグッと押し退けた。
「キスはオプションです!侯爵様!契約妻ではなくレンタル奥様ですからキスはだめっ!」
「じゃぁ、次の更新で特典に盛り込んでくれるかな?」
甘い笑顔で迫って来るレンダールにリサは「考えておきます」と言い残し、イリーナの元に向かった。
★~★
モナ家で散々にこき使われていたイリーナはリサが会いに来たと聞くと当初は会ってくれなかった。
自分のしてしまった事で、因果応報を身をもって体験したことでリサに合わせる顔がない。そう言って会ってはくれなかったが、根気強くリサが通い続けやっと会えたのは2か月後だった。
後にイリーナはリサのレンタル業で介護部門の部長にまで昇進をする事になるのだった。
Fin
長い話にお付き合い頂きありがとうございました<(_ _)>
この後はS…あるかも知れません(;^_^A
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