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♡ヴィル様はスイカが大好き
おやつの時間になり、わたくしはヴィル様と並んでスイカを食べます。
そう、ヴィル様はすごくスイカが好きなのです。
放っておけばあるだけ食べてしまいます。
しかし、それ以上に好きなのはタケノコです。病的と言ってよいでしょう。
朝も昼も夜も、おやつも夜食もタケノコです。秋になるとドングリでもあるシイの実や毬栗などがタケノコの代わりになるそうです。ですが夏はスイカ。
『どうして好きなのですか?』
と聞いたら【種が連射出来る】と子供のような答えが返ってきました。お庭でよくスイカの芽が出ていると思いました。ツルが伸びるのでお世話が大変なのですよ?
意外ではございました。てっきりウリボウと同じくスイカにも縞があるので縞繋がりで好きなのかと思っていましたもの。
シャリシャリと一口大にして頂いたスイカをピックで刺して食べている隣でヴィル様は豪快に手刀で2つに割ってオタマですくって食べておられます。
理由があるのです。皮も漬物だと言って食べるのです。本当に無駄がありません。
あまり多く食べると晩御飯が食べられなくなりますのに…。
石灰が王妃殿下の御実家が所有する山にある。
わたくしは頭を抱えてしまいます。あの王妃殿下には出来ればもう近寄りたくありません。
なんかこう…じっとり、ネットリ、ベッタリと機械グリスに触れてうっかりそのまま水で手を洗ったけれど、全然油が落ちてなくて余計に汚れたようになってしまった感じを受けるのです。
えぇ、不敬だと思います。相手はこの国の頂点に立つ国王陛下のお妃様で王妃殿下。
嫌いなので会いたくありませんとか言えるような人ではありません。
ですが‥‥ヴィル様は良い人ですがこのご縁にはなにか王妃殿下の意図を感じる事もあります。
『ヴィル様、この辺境の山で構成が花崗岩や砂岩である山はありませんか』
『花崗岩?すまない。岩や土についてはあまり詳しくないんだ。何かあるのか』
『花崗岩などの場合、長い年月で風化して崩れそれが粘土の代わりになるのです。水で捏ねて石灰の代わりにすればよいのですが‥‥。わたくしは火系統の魔法はさっぱりですので、どなたか火系統の魔法が使える方をご紹介頂ければと思いまして』
『粘土とかってのは判らないが…硬い泥なら‥‥北の方にあったはずだ。火系統の魔法なら俺が使えるからそこは考えなくていい』
『硬い泥?!硬い泥とはどのような?!』
『何というか…硬いと言っても岩のような硬さではなくてブニュっとなるんだが、水はけが悪過ぎて小麦などは全然だめだ。北でも山肌にあるのは茶色で、沼のようになった部分にあるのは濃い灰色だがな』
『それですわ!!』
『えっと‥‥それって言うのは…』
『素晴らしいわ!これぞまさに地産地消!何もかもが自分の所で用立てる事が出来るなんて!さぁ!参りましょう。ヴィル様その場所にわたくしを連れて行ってくださいまし』
『い、今はダメだ。スノーウルフが繁殖期を迎えている時期であの日のワイバーン以上に攻撃的になっている。こっちがそれを意図していなくても、偶然、偶々、ばったりとスノーウルフの母子に出会ってみろ。あっという間に蜂の巣にされてしまう』
ヴィル様は、プイっと横を向かれてしまいました。ウルウルとわたくしがヴィル様を見上げると大抵許してくださるのですけど、その手が使えないようです。
ですが、粘土質と思われる土は山肌から雨や風で蓄積されて、雨が降り【たんぼ】となったものでしょう。山肌にあるものは陶器などを作る際に使う土に適しているのです。
両方をいい感じに混ぜ合わせて、側溝の壁面、浄化装置を置く土に塗りこんで一気に焼く!
これでかなり水を通し難くなるはずです。
『おい、黙るな。どうした?』
――(頭で構想中)単に石積みにすると機能性がないと言うか――
火で焼く前に側溝などは壁面に石を突き刺すようにしておけば風情も出ると言うものですわね。夏季の間は蓋を外せば涼めるでしょう。あぁ、その時は貯水池の水門を幾分開放して常時水を流すと言うのもいいわね。
だけど常時、十分な水量を確保するとなれば貯水池の水だけでは足らないから川に流して、また川から汲み上げて‥‥そうなると動力となる水車が必要になるわね。
『おいっ!ツリピー??おーい?聞こえてるか?』
――(頭で構想中)そうなると冬は仕方ないけど夏は何かイベントがあると良いわ――
早生な作物も多いようですし、夏に収穫祭があるなんてなれば催し次第で各地から人が呼べるかも知れないわね。そうなれば街道の整備もしなければいけないし宿屋も必要だわね。
でも閑散期となった時に宿屋を領民の皆さんに任せるのは得策じゃないわね。閑散期は魔獣ツアーなんかが組めばどうかしら。触れても危険性のないワタボウシラビットと触れあい広場とか…あぁ辺境の魔獣や植物なんかもみんなに知って欲しいわ。魔獣園と植物園を造ったらどうかしら?
『あぁ、もう!判った。俺が連れて行ってやるから!』
――(頭で構想中)閉ざされる冬が問題なのよね。冬にどうやって稼ぐか――
そうだわ!隣国ではスキーやスノボーという雪を楽しむスポーツがあると聞いた事がありますわ。ですが馬では山は越えられない。かといって2、3か月を過ごせるとなれば広く需要が見込める平民ではなく貴族だけ。貴族がそれだけでここにきて長期間過ごしてくれるかしら。
経済効果が見込めるほどとなれば環境にも相当に気を配らないと環境破壊を起こしてしまうわね。人が増えればゴミも増えるし…。
『ツリピー??え?嘘だろ?聞こえてるだろ??』
『あ、は、はい。どうしたんです?ヴィル』
ん?物凄く至近距離にヴィル様のお顔があるのですが、どうなさったんでしょう。
ごめんなさい。全く聞こえておりませんでしたわ。
大きく溜息を吐かれて、わたくしの肩をつかんで項垂れてしまいました。
『連れてく。連れてくから‥‥』
『連れて行くって何処に‥‥あ!硬い泥の場所ですね。良かった。諦めてましたわ』
『エ‥‥』
どうしたんでしょう。茫然となっておられますわ。
理由がわかりました。今夜のメニューは川ウナギを使った料理。
スイカとウナギは食べ合わせが宜しくないですものね。
だからおやつに3玉もスイカは多いと申し上げたんですよ?
そう、ヴィル様はすごくスイカが好きなのです。
放っておけばあるだけ食べてしまいます。
しかし、それ以上に好きなのはタケノコです。病的と言ってよいでしょう。
朝も昼も夜も、おやつも夜食もタケノコです。秋になるとドングリでもあるシイの実や毬栗などがタケノコの代わりになるそうです。ですが夏はスイカ。
『どうして好きなのですか?』
と聞いたら【種が連射出来る】と子供のような答えが返ってきました。お庭でよくスイカの芽が出ていると思いました。ツルが伸びるのでお世話が大変なのですよ?
意外ではございました。てっきりウリボウと同じくスイカにも縞があるので縞繋がりで好きなのかと思っていましたもの。
シャリシャリと一口大にして頂いたスイカをピックで刺して食べている隣でヴィル様は豪快に手刀で2つに割ってオタマですくって食べておられます。
理由があるのです。皮も漬物だと言って食べるのです。本当に無駄がありません。
あまり多く食べると晩御飯が食べられなくなりますのに…。
石灰が王妃殿下の御実家が所有する山にある。
わたくしは頭を抱えてしまいます。あの王妃殿下には出来ればもう近寄りたくありません。
なんかこう…じっとり、ネットリ、ベッタリと機械グリスに触れてうっかりそのまま水で手を洗ったけれど、全然油が落ちてなくて余計に汚れたようになってしまった感じを受けるのです。
えぇ、不敬だと思います。相手はこの国の頂点に立つ国王陛下のお妃様で王妃殿下。
嫌いなので会いたくありませんとか言えるような人ではありません。
ですが‥‥ヴィル様は良い人ですがこのご縁にはなにか王妃殿下の意図を感じる事もあります。
『ヴィル様、この辺境の山で構成が花崗岩や砂岩である山はありませんか』
『花崗岩?すまない。岩や土についてはあまり詳しくないんだ。何かあるのか』
『花崗岩などの場合、長い年月で風化して崩れそれが粘土の代わりになるのです。水で捏ねて石灰の代わりにすればよいのですが‥‥。わたくしは火系統の魔法はさっぱりですので、どなたか火系統の魔法が使える方をご紹介頂ければと思いまして』
『粘土とかってのは判らないが…硬い泥なら‥‥北の方にあったはずだ。火系統の魔法なら俺が使えるからそこは考えなくていい』
『硬い泥?!硬い泥とはどのような?!』
『何というか…硬いと言っても岩のような硬さではなくてブニュっとなるんだが、水はけが悪過ぎて小麦などは全然だめだ。北でも山肌にあるのは茶色で、沼のようになった部分にあるのは濃い灰色だがな』
『それですわ!!』
『えっと‥‥それって言うのは…』
『素晴らしいわ!これぞまさに地産地消!何もかもが自分の所で用立てる事が出来るなんて!さぁ!参りましょう。ヴィル様その場所にわたくしを連れて行ってくださいまし』
『い、今はダメだ。スノーウルフが繁殖期を迎えている時期であの日のワイバーン以上に攻撃的になっている。こっちがそれを意図していなくても、偶然、偶々、ばったりとスノーウルフの母子に出会ってみろ。あっという間に蜂の巣にされてしまう』
ヴィル様は、プイっと横を向かれてしまいました。ウルウルとわたくしがヴィル様を見上げると大抵許してくださるのですけど、その手が使えないようです。
ですが、粘土質と思われる土は山肌から雨や風で蓄積されて、雨が降り【たんぼ】となったものでしょう。山肌にあるものは陶器などを作る際に使う土に適しているのです。
両方をいい感じに混ぜ合わせて、側溝の壁面、浄化装置を置く土に塗りこんで一気に焼く!
これでかなり水を通し難くなるはずです。
『おい、黙るな。どうした?』
――(頭で構想中)単に石積みにすると機能性がないと言うか――
火で焼く前に側溝などは壁面に石を突き刺すようにしておけば風情も出ると言うものですわね。夏季の間は蓋を外せば涼めるでしょう。あぁ、その時は貯水池の水門を幾分開放して常時水を流すと言うのもいいわね。
だけど常時、十分な水量を確保するとなれば貯水池の水だけでは足らないから川に流して、また川から汲み上げて‥‥そうなると動力となる水車が必要になるわね。
『おいっ!ツリピー??おーい?聞こえてるか?』
――(頭で構想中)そうなると冬は仕方ないけど夏は何かイベントがあると良いわ――
早生な作物も多いようですし、夏に収穫祭があるなんてなれば催し次第で各地から人が呼べるかも知れないわね。そうなれば街道の整備もしなければいけないし宿屋も必要だわね。
でも閑散期となった時に宿屋を領民の皆さんに任せるのは得策じゃないわね。閑散期は魔獣ツアーなんかが組めばどうかしら。触れても危険性のないワタボウシラビットと触れあい広場とか…あぁ辺境の魔獣や植物なんかもみんなに知って欲しいわ。魔獣園と植物園を造ったらどうかしら?
『あぁ、もう!判った。俺が連れて行ってやるから!』
――(頭で構想中)閉ざされる冬が問題なのよね。冬にどうやって稼ぐか――
そうだわ!隣国ではスキーやスノボーという雪を楽しむスポーツがあると聞いた事がありますわ。ですが馬では山は越えられない。かといって2、3か月を過ごせるとなれば広く需要が見込める平民ではなく貴族だけ。貴族がそれだけでここにきて長期間過ごしてくれるかしら。
経済効果が見込めるほどとなれば環境にも相当に気を配らないと環境破壊を起こしてしまうわね。人が増えればゴミも増えるし…。
『ツリピー??え?嘘だろ?聞こえてるだろ??』
『あ、は、はい。どうしたんです?ヴィル』
ん?物凄く至近距離にヴィル様のお顔があるのですが、どうなさったんでしょう。
ごめんなさい。全く聞こえておりませんでしたわ。
大きく溜息を吐かれて、わたくしの肩をつかんで項垂れてしまいました。
『連れてく。連れてくから‥‥』
『連れて行くって何処に‥‥あ!硬い泥の場所ですね。良かった。諦めてましたわ』
『エ‥‥』
どうしたんでしょう。茫然となっておられますわ。
理由がわかりました。今夜のメニューは川ウナギを使った料理。
スイカとウナギは食べ合わせが宜しくないですものね。
だからおやつに3玉もスイカは多いと申し上げたんですよ?
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