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♡つわりでも食べられるもの
『奥様、こちらの香りはスッキリするそうですよ』
侍女さんたちは、妊娠、出産経験者の皆さんから【これで悪阻を乗り切った】という物を聞きだし、探してきてくれるのです。
あんなに好きだったのにパンが焼ける匂いがダメになりました。
凄く大好物だったのにコンソメスープも飲めません。
お肉もお魚もしっかりと焼いたり、煮たりしてくれているんですが匂いがダメ。
匂いを消すというハーブやショウガというものも使ってくださるんですが効果がありません。
水ですら匂うんです。今までお水にこんな匂いがあったなんて知りませんでした。
そして唯一食べる事が出来ると申しますか、食べだしたら止まらないのがキュウリとセロリ。
水洗いしてそのままぼりぼりと食べております。
はしたない行為だとは判っています。本当はサラダボウルに入ったものを取り分けてフォークで頂くのですがそれではダメなのです。
キュウリもセロリも調理人さんが食べやすいようにって切ってくださってスティックになったのはダメなのです。えぇ…元伯爵令嬢、現辺境伯夫人として人に見られるのは非常に不味いのですが、丸かじりです。
これならどんどん食べられるのです。
『ドレッシングは要らないのか?そのままだろう?』
『不要ですわ』
『小さく切って貰った方が齧りやすくないか?』
『この状態がベストなんです』
青虫はキャベツなどを食べますが、本当に虫になった気分です。
キュウリは青臭い、セロリは癖があると申しますがそんな事は全く御座いません。
そして‥‥もう一つ食べられるものが増えたのです。
パセリ
ヴィル様は付け合わせも最後まで食べられますが、わたくしはそのままを花束のようにして齧り付きで御座います。
えぇ。えぇ。判っております。とてもはしたない行為です。
ですが、これが一口サイズにして飾り付けのようになったパセリですと食べられないのです。
『パセリの花束に隠れるようにして食べるんだな』
いいえ、隠れている訳ではありません。手前から齧り付いているだけです。
パセリ、セロリ、キュウリ。三種の神野菜がわたくしの三食いえ、気が向いた時に好きなだけ食べるという生活が始まりました。人には見られない冬で良かったとわたくし、雪に感謝いたしました。
『大分、痩せちゃったな…大丈夫か?』
『大丈夫ですわ。お医者様も悪阻は1、2か月と仰ってましたし』
『その間、アレしか食わないんだろう?心配だ』
『大丈夫ですわ。これが雪の時期でなければ自生しているパセリも食べられたのにと思っておりますもの』
『止めてくれ…せめて千切って洗ってからにしてくれ』
自生しているものは美味しいのですよ?ミツバも味が濃くて栽培したものとは違って茎もしっかりしております。ヨモギは癖が強いのですが、ミントなども自生しているものは思ったより香りも柔らかくて食べやすいのです。
まぁ、悪阻のこの時期に食べられるかと聞かれれば、試してみないと判らないとしか答えられませんが。
『雪が解けたら討伐に出なきゃいけないが…今年は変わってもらおうかな』
『何を言っているのです?ヴィルが先頭で皆さんの士気を上げすにどうするのです』
『だが、心配だ。今だってこんなに痩せて…満足に食ってない』
『食べましたよ。今日、キュウリは1キロ食べました。ヘタも食べましたのよ?ゴリゴリしてあの触感が堪りません。今度は長めに切って貰おうかしら』
『止めてくれ。それでなくてもキュウリにはトゲみたいなのがあるのに』
『ヴィルは心配性ですね』
『自分の事なら何とでもなるがピオニーだと勝手がわからんからな』
とても優しいヴィル様。
皆には内緒ですがもう一つ。止まらなくなるものもあるのですよ?
『ヴィル…キスしてください』
『いいよ。ちゅっ♡』
『もっとです』
『気分悪くならないのか?大丈夫か?』
『ヴィルのキスはお野菜以外で食べられる唯一です』
『うっ‥‥無自覚って怖いな…』
『何か言いましたか?』
『いいや?なにも、妻の願いとあらば…ちゅっ♡ちゅっ♡』
こちらも判っているのです。ヴィルの俺様が元気になってしまうんです。
でも‥‥ヴィル。頑張って♡
『ちょ、ちょっと待ってくれ…』
2人だけの時は沢山キスをしてくれるのです。
もぞもぞとされるヴィル様。
ですが、そこは出してはダメです。
『ヴィル、出すのはダメです』
『ちょっと無理かも…トイレ行ってきていいかな』
ヴィル様の事は大好きなのですがごめんなさい。
その匂いは吐いちゃうんです。
期間限定だと思うので許してくださいね♡
侍女さんたちは、妊娠、出産経験者の皆さんから【これで悪阻を乗り切った】という物を聞きだし、探してきてくれるのです。
あんなに好きだったのにパンが焼ける匂いがダメになりました。
凄く大好物だったのにコンソメスープも飲めません。
お肉もお魚もしっかりと焼いたり、煮たりしてくれているんですが匂いがダメ。
匂いを消すというハーブやショウガというものも使ってくださるんですが効果がありません。
水ですら匂うんです。今までお水にこんな匂いがあったなんて知りませんでした。
そして唯一食べる事が出来ると申しますか、食べだしたら止まらないのがキュウリとセロリ。
水洗いしてそのままぼりぼりと食べております。
はしたない行為だとは判っています。本当はサラダボウルに入ったものを取り分けてフォークで頂くのですがそれではダメなのです。
キュウリもセロリも調理人さんが食べやすいようにって切ってくださってスティックになったのはダメなのです。えぇ…元伯爵令嬢、現辺境伯夫人として人に見られるのは非常に不味いのですが、丸かじりです。
これならどんどん食べられるのです。
『ドレッシングは要らないのか?そのままだろう?』
『不要ですわ』
『小さく切って貰った方が齧りやすくないか?』
『この状態がベストなんです』
青虫はキャベツなどを食べますが、本当に虫になった気分です。
キュウリは青臭い、セロリは癖があると申しますがそんな事は全く御座いません。
そして‥‥もう一つ食べられるものが増えたのです。
パセリ
ヴィル様は付け合わせも最後まで食べられますが、わたくしはそのままを花束のようにして齧り付きで御座います。
えぇ。えぇ。判っております。とてもはしたない行為です。
ですが、これが一口サイズにして飾り付けのようになったパセリですと食べられないのです。
『パセリの花束に隠れるようにして食べるんだな』
いいえ、隠れている訳ではありません。手前から齧り付いているだけです。
パセリ、セロリ、キュウリ。三種の神野菜がわたくしの三食いえ、気が向いた時に好きなだけ食べるという生活が始まりました。人には見られない冬で良かったとわたくし、雪に感謝いたしました。
『大分、痩せちゃったな…大丈夫か?』
『大丈夫ですわ。お医者様も悪阻は1、2か月と仰ってましたし』
『その間、アレしか食わないんだろう?心配だ』
『大丈夫ですわ。これが雪の時期でなければ自生しているパセリも食べられたのにと思っておりますもの』
『止めてくれ…せめて千切って洗ってからにしてくれ』
自生しているものは美味しいのですよ?ミツバも味が濃くて栽培したものとは違って茎もしっかりしております。ヨモギは癖が強いのですが、ミントなども自生しているものは思ったより香りも柔らかくて食べやすいのです。
まぁ、悪阻のこの時期に食べられるかと聞かれれば、試してみないと判らないとしか答えられませんが。
『雪が解けたら討伐に出なきゃいけないが…今年は変わってもらおうかな』
『何を言っているのです?ヴィルが先頭で皆さんの士気を上げすにどうするのです』
『だが、心配だ。今だってこんなに痩せて…満足に食ってない』
『食べましたよ。今日、キュウリは1キロ食べました。ヘタも食べましたのよ?ゴリゴリしてあの触感が堪りません。今度は長めに切って貰おうかしら』
『止めてくれ。それでなくてもキュウリにはトゲみたいなのがあるのに』
『ヴィルは心配性ですね』
『自分の事なら何とでもなるがピオニーだと勝手がわからんからな』
とても優しいヴィル様。
皆には内緒ですがもう一つ。止まらなくなるものもあるのですよ?
『ヴィル…キスしてください』
『いいよ。ちゅっ♡』
『もっとです』
『気分悪くならないのか?大丈夫か?』
『ヴィルのキスはお野菜以外で食べられる唯一です』
『うっ‥‥無自覚って怖いな…』
『何か言いましたか?』
『いいや?なにも、妻の願いとあらば…ちゅっ♡ちゅっ♡』
こちらも判っているのです。ヴィルの俺様が元気になってしまうんです。
でも‥‥ヴィル。頑張って♡
『ちょ、ちょっと待ってくれ…』
2人だけの時は沢山キスをしてくれるのです。
もぞもぞとされるヴィル様。
ですが、そこは出してはダメです。
『ヴィル、出すのはダメです』
『ちょっと無理かも…トイレ行ってきていいかな』
ヴィル様の事は大好きなのですがごめんなさい。
その匂いは吐いちゃうんです。
期間限定だと思うので許してくださいね♡
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