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今日も一日、ご安全に!
翌日の朝、伯爵様の家の前にはガテンな男たちが集結しています。
そこに朝帰りをするヴィヴィアンが馬車で帰ってきました。
「なっ!なんだ!お前たちは!ここを何処だと思っているんだ!」
「はぁ・・ポロネーゼ伯爵様のお屋敷だと思ってますが?」
「えぇ、地図でも間違いなくココですよ?」
「お宅はどちらさんで?」
ヴィヴィアンが馬車の窓から馬乗りになって男たちを言い争いをしてます。
そこに、門番と家令のスチュワートが走ってきました。
「はぁ、はぁ・・旦那様、お帰りなさいませ」
「ス、スチュワート!こいつらは何だ?!」
顔を真っ赤にして怒るヴィヴィアンにスチュワートは涼しい顔で言います。
「何だも何も・・別邸の工事をしてくれる方々ですよ。
さぁ、あなた方!門を入って左手に曲がって門道にそっていくと
別邸がありますので、そのままお入りください。
昼時になれば通行許可証を持っていきますので
一度集まってくださいねー!」
「おーい。ここで正解だとよー!」
「なんだなんだ?そいつの勘違いか」
「全く、これじゃ朝の朝礼が出来ねぇじゃねえかよ!
兄さん!これは遅刻じゃねぇからなっ!」
「わかっていますよー!さぁ!順番にお入りくださーい」
男たちは荷馬車の荷台に乗り込むと、5台の馬車列が入ってきます。
「な、なんなんだ?工事?聞いてないぞ!」
「言ったはずですよ?聞いてないとか後で言わないでくださいねと」
「はぁ?そんな事も聞いてはおらんぞ」
「全く・・昨日書類の決裁をする際に言ったじゃないですか」
「決済?あぁそういえばそんな事もしたな。だがな!」
「なんです?」
「工事なんかやるとか、先に言うべきだろう!」
盛大なため息をつくスチュワート。心の中で叫んでます。
(貴様が!ガバガバ令嬢の事で頭がいっぱいだったんだろうが!)
しかし、我慢も家令の仕事とスチュワート。
「ですから、至急の案件もあると言いましたよ?
案件ごとに説明をしようとしましたが、次!次!っとサインだけして
さっさと出かけたのは旦那様でございましょう?」
「仕方ないだろう?リンダが会いたいって連絡があれば走るだろうが!」
「知りませんしわたくしなら放っておきます。
だいたい突然の連絡で振り回されるってどうなんですかね?
行ってる間に帝都からの来客などあったらどうするんです?」
「待たせておけばいいだろう?」
「あのですね?世の中には順序や順位というものがあるんです。
例えば、リンダ嬢と皇帝陛下、どちらを優先させるかわかりますか?」
「そんなもの決まっているだろう。陛下だ」
「そうですよ?ですから!その順序で行けばですね!
たかが子爵令嬢しかもですよ?我が領への貢献度があると言うだけで
5年前に旦那様が1代限りの男爵から子爵に上げただけの家なんです。
それをですね!呼ばれたから行く?逆ですよ。
会いたければ来い!そして先に予約を取り付けろ!これが正解なんです」
「そんな事をしてる間に、リンダが癇癪を起こしたらどうするんだ」
「放っておけばよろしいのです」
「なっ!そんな事をしたら大変な事になるぞ」
「わたくしとしては、皇帝陛下の命で嫁がれた奥様を4か月も
放置している方が、余程大変な事になると思いますがね」
門の前で大声で話をすれば当然人だかりができてしまいますね。
周りの野次馬に気が付いたヴィヴィアンは窓から引っ込み
屋敷の中に馬車を走らせます。
「くそっ!言いたい放題言いやがって!
リンダの可愛さがわからないヤツはコレだからダメなんだ」
ヴィヴィアンの乗った馬車が屋敷に動き出すと、スチュワートは
周りの野次馬にパンパンと手を2回叩き、言います。
「どうも、お騒がせを致しました。
皆様、今日も一日ご安全に♪」
そういうと、別邸の方に歩き始めます。
(もう少しの辛抱だ。耐えろ!俺!10年以上耐えたんだ。耐えるんだ!俺!)
*************************************************
別邸では、到着した男たちが作業道具を持ち、整列をしていますね。
男たちの前にはキャンティ。
「皆様、本日よりどうぞよろしくお願いいたしますわ」
「へぇ?こんなお姉ちゃんが1人で住んで大丈夫か?」
「えぇ、悠々自適にやっておりますわ。さぁ点呼、号令を致しましょう」
そういうと、職人さんの中から一人前に出てきます。
「まずは5班!馬車から材料を降ろせる場所を均すんだ。
そして3班はその間に西面、南北面の外壁を水洗いするんだ!
1班、2班は東面から足場を組むんだ。壁つなぎのクランプの位置や
足場のジャッキベースはしっかり確認をしろ!
3班は奥様の指示に従って土工事を始めてくれ。
では点呼を取るぞ!」
職人さんたちが、両足を少し広げて姿勢を正しましたね。
「頭上よしっ!」【頭上よしっ!】
「足元よしっ!」【足元よしっ!】
「安全帯よしっ!」【安全帯よしっ!】
「玉掛けよしっ!」【玉掛けよしっ!】
「今日も一日、安全作業で頑張ろう!」【ご安全に!!】
おぉぉ~声もそろって気持ちいですねぇ。
職人さんたちがバラバラになり、持ち場に急ぎます。
号令をかけていた男性がキャンティに話しかけていますね。
「今日からよろしくお願いいたします。私は現場監督のモートンです」
「よろしくお願いしますわ。わたくしの事はキャンティと」
「では、本日は初日ですので先にこちらをお渡ししておきますね」
書類の束を差し出すモートン。
何の書類だろう?と受け取るキャンティ。
「そちらは本日こちらに作業に来ている職人の名簿です。
一人一枚ありまして、担当業務、今日の作業予定、注意する事などの他に
あってはいけないのですが、ケガなどをした際の注意事項ですね
ピリン系の薬がダメだとか、血液型は何だとか、そういうのを書いてます。
ヘルメットの側面にも名前と血液型は書いてるんですけどね」
「では、お昼にこの方たちが新規入場者教育をされるのですね?」
「おっ!奥様、よくご存じですね」
「いえいえ。知っているというほどではないですわ」
話をしていると、職人さんに呼ばれたモートンは軽く礼をして
走っていきます。
キャンティは3班が行うという土工事の場所に歩いて行きましたよ。
外壁の改修と屋根の葺き替えなのに土工事とは?何をするんでしょうか。
そこに朝帰りをするヴィヴィアンが馬車で帰ってきました。
「なっ!なんだ!お前たちは!ここを何処だと思っているんだ!」
「はぁ・・ポロネーゼ伯爵様のお屋敷だと思ってますが?」
「えぇ、地図でも間違いなくココですよ?」
「お宅はどちらさんで?」
ヴィヴィアンが馬車の窓から馬乗りになって男たちを言い争いをしてます。
そこに、門番と家令のスチュワートが走ってきました。
「はぁ、はぁ・・旦那様、お帰りなさいませ」
「ス、スチュワート!こいつらは何だ?!」
顔を真っ赤にして怒るヴィヴィアンにスチュワートは涼しい顔で言います。
「何だも何も・・別邸の工事をしてくれる方々ですよ。
さぁ、あなた方!門を入って左手に曲がって門道にそっていくと
別邸がありますので、そのままお入りください。
昼時になれば通行許可証を持っていきますので
一度集まってくださいねー!」
「おーい。ここで正解だとよー!」
「なんだなんだ?そいつの勘違いか」
「全く、これじゃ朝の朝礼が出来ねぇじゃねえかよ!
兄さん!これは遅刻じゃねぇからなっ!」
「わかっていますよー!さぁ!順番にお入りくださーい」
男たちは荷馬車の荷台に乗り込むと、5台の馬車列が入ってきます。
「な、なんなんだ?工事?聞いてないぞ!」
「言ったはずですよ?聞いてないとか後で言わないでくださいねと」
「はぁ?そんな事も聞いてはおらんぞ」
「全く・・昨日書類の決裁をする際に言ったじゃないですか」
「決済?あぁそういえばそんな事もしたな。だがな!」
「なんです?」
「工事なんかやるとか、先に言うべきだろう!」
盛大なため息をつくスチュワート。心の中で叫んでます。
(貴様が!ガバガバ令嬢の事で頭がいっぱいだったんだろうが!)
しかし、我慢も家令の仕事とスチュワート。
「ですから、至急の案件もあると言いましたよ?
案件ごとに説明をしようとしましたが、次!次!っとサインだけして
さっさと出かけたのは旦那様でございましょう?」
「仕方ないだろう?リンダが会いたいって連絡があれば走るだろうが!」
「知りませんしわたくしなら放っておきます。
だいたい突然の連絡で振り回されるってどうなんですかね?
行ってる間に帝都からの来客などあったらどうするんです?」
「待たせておけばいいだろう?」
「あのですね?世の中には順序や順位というものがあるんです。
例えば、リンダ嬢と皇帝陛下、どちらを優先させるかわかりますか?」
「そんなもの決まっているだろう。陛下だ」
「そうですよ?ですから!その順序で行けばですね!
たかが子爵令嬢しかもですよ?我が領への貢献度があると言うだけで
5年前に旦那様が1代限りの男爵から子爵に上げただけの家なんです。
それをですね!呼ばれたから行く?逆ですよ。
会いたければ来い!そして先に予約を取り付けろ!これが正解なんです」
「そんな事をしてる間に、リンダが癇癪を起こしたらどうするんだ」
「放っておけばよろしいのです」
「なっ!そんな事をしたら大変な事になるぞ」
「わたくしとしては、皇帝陛下の命で嫁がれた奥様を4か月も
放置している方が、余程大変な事になると思いますがね」
門の前で大声で話をすれば当然人だかりができてしまいますね。
周りの野次馬に気が付いたヴィヴィアンは窓から引っ込み
屋敷の中に馬車を走らせます。
「くそっ!言いたい放題言いやがって!
リンダの可愛さがわからないヤツはコレだからダメなんだ」
ヴィヴィアンの乗った馬車が屋敷に動き出すと、スチュワートは
周りの野次馬にパンパンと手を2回叩き、言います。
「どうも、お騒がせを致しました。
皆様、今日も一日ご安全に♪」
そういうと、別邸の方に歩き始めます。
(もう少しの辛抱だ。耐えろ!俺!10年以上耐えたんだ。耐えるんだ!俺!)
*************************************************
別邸では、到着した男たちが作業道具を持ち、整列をしていますね。
男たちの前にはキャンティ。
「皆様、本日よりどうぞよろしくお願いいたしますわ」
「へぇ?こんなお姉ちゃんが1人で住んで大丈夫か?」
「えぇ、悠々自適にやっておりますわ。さぁ点呼、号令を致しましょう」
そういうと、職人さんの中から一人前に出てきます。
「まずは5班!馬車から材料を降ろせる場所を均すんだ。
そして3班はその間に西面、南北面の外壁を水洗いするんだ!
1班、2班は東面から足場を組むんだ。壁つなぎのクランプの位置や
足場のジャッキベースはしっかり確認をしろ!
3班は奥様の指示に従って土工事を始めてくれ。
では点呼を取るぞ!」
職人さんたちが、両足を少し広げて姿勢を正しましたね。
「頭上よしっ!」【頭上よしっ!】
「足元よしっ!」【足元よしっ!】
「安全帯よしっ!」【安全帯よしっ!】
「玉掛けよしっ!」【玉掛けよしっ!】
「今日も一日、安全作業で頑張ろう!」【ご安全に!!】
おぉぉ~声もそろって気持ちいですねぇ。
職人さんたちがバラバラになり、持ち場に急ぎます。
号令をかけていた男性がキャンティに話しかけていますね。
「今日からよろしくお願いいたします。私は現場監督のモートンです」
「よろしくお願いしますわ。わたくしの事はキャンティと」
「では、本日は初日ですので先にこちらをお渡ししておきますね」
書類の束を差し出すモートン。
何の書類だろう?と受け取るキャンティ。
「そちらは本日こちらに作業に来ている職人の名簿です。
一人一枚ありまして、担当業務、今日の作業予定、注意する事などの他に
あってはいけないのですが、ケガなどをした際の注意事項ですね
ピリン系の薬がダメだとか、血液型は何だとか、そういうのを書いてます。
ヘルメットの側面にも名前と血液型は書いてるんですけどね」
「では、お昼にこの方たちが新規入場者教育をされるのですね?」
「おっ!奥様、よくご存じですね」
「いえいえ。知っているというほどではないですわ」
話をしていると、職人さんに呼ばれたモートンは軽く礼をして
走っていきます。
キャンティは3班が行うという土工事の場所に歩いて行きましたよ。
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