騎士団長!!参る!!

cyaru

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同期はマウントを取りたがる

遂に迎えた王太子殿下主催の夜会の日。

王宮で開催されるため、午前中はフェリックスもご出勤でございます。
主に王宮は近衛騎士団が王族の警備を行っておりますが、不審者、不審物がないか第三騎士団まで駆りだされて探索を行うのですね。

そこに第一騎士団に所属する同期の騎士がやってきます。
フェリックスが第三騎士団に配属された時、第一騎士団になった彼はそれ以降何かにつけてフェリックスにマウントを取ってくるようなヤツです。
残念ですが、天は彼にも二物を与えませんでしたね。
剣の腕は本当にさえわたり、ガチでやってもフェリックス同様にかなりの腕前。
フェリックスも彼も国内で5本の指に入る剣の達人です。
ですが、彼はとにかく性格が悪い。流石に王太子殿下には食って掛かる事はありません。王太子殿下に勝っているのは誕生日が2か月ほど前なので、その分長く生きているって事だけです。

でもフェリックスやピョエ―ルに対してはとにかくマウントを取りたがります。
ちなみに彼の家は来年は伯爵家に落とされるかも?という侯爵家。
奥様はかつてフェリックスにちょっかいをかけてきた伯爵令嬢の妹で御座います。

ピョエ―ルは公爵家の嫡男ですので家柄には敵いません。勿論顔面偏差値もピョエ―ルが上。
ですが、ピョエ―ルの奥さんが子爵家出身ですので夜会でもネチネチと嫌味を垂れてくる嫌な奴です。
彼の名前は、シムゴン・ダゴア・ツケレワ 貧乏侯爵家の嫡男です。逆立ちが出来ない騎士です。
もうお気づきでしょう。そう!彼は逆立ちが出来ない!
彼の妻の名前はマール・ダゴア・ツケレワ ある意味お似合いの夫婦です。

「やぁフェリックス。いや、バルブン団長と呼ぶべきかな?」
「なんだ。シムゴン騎士ではないか」
「チッチッチ。失礼だね。ツケレワ第一騎士団所属騎士と呼んでくれたまえ」
「そうか。今度覚えていたらそうしよう」
「ところで…えーっと君は第三、いや、第四?」
「私か?第二騎士団だが?」
「あぁっと、すまない。近衛と第一以外に騎士団もあったんだね。忘れていたよ」
「そうか。その年で健忘症は辛いな。薬はちゃんと飲めよ」

相変わらずノリの悪いやつだと思いつつ、シムゴン結構しつこいです。
木々の間を探索するフェリックスの後ろを、ただついて1人喋るだけです。

「ところで‥聞いたよ。結婚したんだってねぇ」
「あぁ」
「申し訳ないなぁ…田舎の、それもド田舎のご令嬢だって?」
「そうだな。風光明媚で食い物も美味いそうだ。落ち着いたら新婚旅行に行くがな」
「いやいや、申し訳ない。僕は洗練されてるから田舎の物は口に合わないんだ。土産はいらないよ」
「土産?何故お前に買わねばならんのだ」
「あぁ、これは申し訳ない。第二は第一より給料安いからねぇ。餞別が欲しいって事か」
「いや、必要な人には餞別などもらわなくても買ってくるが、お前には必要ないだろう」

ジャキン!!シュッ!!

突然フェリックスの剣がシムゴンの目の前をかすめていきます。
驚いて尻もちをつくシムゴン。

「なっ。何をするんだッ!こんなところで抜刀するなど!」
「は?ならやめておこう。じゃぁな」
「お、おい!俺を起こしていけ!」
「断る。俺は今日の夜会に出なければならないからな」
「そ、それは俺も同じだ!貴様…抜刀した事を報告するぞ」
「構わないよ。是非そうしてくれ」
「ほ、本当だぞ!謝るなら今のうちだ!」

はぁ…っとため息をついてシムゴンを見下ろすフェリックス。

「今のうちにする事は、シムゴン。そこから離れる事だ」
「は?何を言ってるんだ?」
「上を見ろ」
「うえ?」

シムゴンは言われるがままに上を見ます‥‥

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

腰を抜かしてたのが嘘のように機敏な動きでフェリックスの足元まで這ってきます。

「やめろ。足を掴むな」
「うわわわ・・・・見てくれ!俺を見てくれ!」
「俺にはそんな趣味はないが、はやくどうにかした方がいい」
「えっ?えっ?まさか??」
「まさかもトサカもないが、帽子に…ついてるぞ。こいつは毒蛾の幼虫だから刺されたら腫れあがるぞ」
「ヒャっ…取って!取ってくれ!」
「気にするな。俺は第二騎士団だ。第一騎士団の騎士の頭を空気であってもはたくことは出来ない。じゃぁな」

あ、フェリックス。嫌味の連呼に気が付かなかったんじゃなかったんだねぇ。
結婚は人を変えるねぇ。

ちなみに今回のみの出演のシムゴン。残念な事に顔と背中を刺されて夜会には行けそうにないって事です。
やらかしてくれそうだったのに、残念っ!
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