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第13話 微妙に違う
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折角のデートだったがサリアに会えたのは現地解散をする5分ほど。
項垂れてアルサール公爵家に戻ってきたデリックだったが、部屋で帰りを待ってくれている人がいた。
「フンフンフーン♪やっぱり公爵家の焼き菓子は美味しいわよね。細くて短いから1口サイズってのもイケるわぁ♡」
デリックはあまり甘いものは好きではないのでシナモンを利かせた焼き菓子が小腹が空いた時のためにテーブルの菓子籠に満載。レーナは「家でも食べよう」とカバンの中に幾つか放り込み、ついでだからとぼりぼり菓子を貪っていた。
「なんでレーナがこの部屋に?」
「いつもの事じゃなぁい。ま、2人きりってのは…久しぶりかもねぇ?でもどうしたの?元気ないわよぉ?」
「失敗だった…。っていうかさ!服を貸してくれたのはありがたいがトンデモナイ量産品は止めてくれよ!相当に人気のあった服なんだろ?」
「え?…量産品?何それ」
「何それじゃねぇよ!50人も60人も同じ服着てるからさ。探してる時にズラだったり痴漢やらでさぁ。知らないから何回も同じ奴に声かけるとか、挙句にリンボー落としちまって綱渡りが出来なくなったじゃねぇかよ」
「は?」レーナにはデリックが何を言いたいのかさっぱり解らない。
貸してやった5着の服は全て1点物で祖父母から贈られた品。同じ服が2着あるとは思えないし、痴漢に間違われたのが本当だとすればレーナの責任ではない。
その上、きちんと留めていないズラを被ってリンボーダンスすれば落ちるのは棒より先にズラだが、綱渡りをしながらリンボーダンスなんてそんな高難度を誰得で求めているのか。
――きっとリンボーの途中でズラが落ちて痴漢と間違われたんだわ――
思い込みと言うのは恐ろしいものだ。
ハゲ・デブ・ズラの3拍子が揃うと変態と認定してしまう人が多い。比率としてはイケメン・細マッチョ・フサフサと大して代わりはないのに。これが俗にいう偏見だ。
「リック。なんでも決めつけるのは良くないわ。気分が悪いからと言ってオートクチュールを量産品だなんて。私だからいいけど他の人が聞いたら笑われちゃうわよ」
レーナは「ホント、失礼ね」と気を取り直して焼き菓子をまた頬張った。
「量産品だよ。あれだけ着てたんだぜ?痴漢で憲兵の所に行ったから良かったものの、そうじゃなかったら大変だよ」
――痴漢で憲兵に?!十分に大変だわよ!――
「ちょ、ちょ、ちょっと待って。大丈夫なの?保釈金積んだってこと?」
「何言ってるんだ。摘んだのは花だ」
――え?リックってば留置所で粗相を?――
レーナはその先を聞くのが怖くてついついシミがあるのでは?とデリックの社会の窓周辺に目が行ってしまう。
シミはなかったけれど指で抓んだ細くて短い焼き菓子が位置的にリンクしてしまい、すこぶる不味そうに見えて菓子籠にそっと戻していると「食いかけを戻すな!」とデリックに怒鳴られてしまった。
「あ~もうどうしたらいいんだ。絶対サリーを怒らせちゃったよ」
――そりゃそれだけ罪状を重ねたら…ねぇ?――
レーナには婚約者はいないけれど、婚約者から「痴漢で憲兵に掴まって留置所で漏らした」と言われたら100年の恋もあっという間に冷めてしまうだろうと感じた。
お気の毒にと思いつつも自業自得よねと呆れてしまう。
が!!
レーナにはここでデリックに挫けられると困る事情があった。
デリックがサリアと婚約をしているので、相談係として婚約者の茶会に同席したりとしているが、無料奉仕をする気はない。
レーナの狙っているのはサリアの弟である。
もうすぐ学院を卒業し帰って来るのだが、レーナとしてはドストライクなのだ。
デリックに恩を売り、サリアと親密な付き合いをする友人になればサリアの弟が卒業した後にシリカ家に遊びに行っても不自然さがない。
20歳にあと数年となる子息で婚約者がいない優良株はレーナ的にサリアの弟くらい。
――絶対に逃がさないわよ――
「元気出して。次の対策を考えましょう!」
「頼りになるなぁレーナ!」
「ドーンと任せなさいってぇ!」
レーナとデリックは次の手を打つための作戦を練った。
項垂れてアルサール公爵家に戻ってきたデリックだったが、部屋で帰りを待ってくれている人がいた。
「フンフンフーン♪やっぱり公爵家の焼き菓子は美味しいわよね。細くて短いから1口サイズってのもイケるわぁ♡」
デリックはあまり甘いものは好きではないのでシナモンを利かせた焼き菓子が小腹が空いた時のためにテーブルの菓子籠に満載。レーナは「家でも食べよう」とカバンの中に幾つか放り込み、ついでだからとぼりぼり菓子を貪っていた。
「なんでレーナがこの部屋に?」
「いつもの事じゃなぁい。ま、2人きりってのは…久しぶりかもねぇ?でもどうしたの?元気ないわよぉ?」
「失敗だった…。っていうかさ!服を貸してくれたのはありがたいがトンデモナイ量産品は止めてくれよ!相当に人気のあった服なんだろ?」
「え?…量産品?何それ」
「何それじゃねぇよ!50人も60人も同じ服着てるからさ。探してる時にズラだったり痴漢やらでさぁ。知らないから何回も同じ奴に声かけるとか、挙句にリンボー落としちまって綱渡りが出来なくなったじゃねぇかよ」
「は?」レーナにはデリックが何を言いたいのかさっぱり解らない。
貸してやった5着の服は全て1点物で祖父母から贈られた品。同じ服が2着あるとは思えないし、痴漢に間違われたのが本当だとすればレーナの責任ではない。
その上、きちんと留めていないズラを被ってリンボーダンスすれば落ちるのは棒より先にズラだが、綱渡りをしながらリンボーダンスなんてそんな高難度を誰得で求めているのか。
――きっとリンボーの途中でズラが落ちて痴漢と間違われたんだわ――
思い込みと言うのは恐ろしいものだ。
ハゲ・デブ・ズラの3拍子が揃うと変態と認定してしまう人が多い。比率としてはイケメン・細マッチョ・フサフサと大して代わりはないのに。これが俗にいう偏見だ。
「リック。なんでも決めつけるのは良くないわ。気分が悪いからと言ってオートクチュールを量産品だなんて。私だからいいけど他の人が聞いたら笑われちゃうわよ」
レーナは「ホント、失礼ね」と気を取り直して焼き菓子をまた頬張った。
「量産品だよ。あれだけ着てたんだぜ?痴漢で憲兵の所に行ったから良かったものの、そうじゃなかったら大変だよ」
――痴漢で憲兵に?!十分に大変だわよ!――
「ちょ、ちょ、ちょっと待って。大丈夫なの?保釈金積んだってこと?」
「何言ってるんだ。摘んだのは花だ」
――え?リックってば留置所で粗相を?――
レーナはその先を聞くのが怖くてついついシミがあるのでは?とデリックの社会の窓周辺に目が行ってしまう。
シミはなかったけれど指で抓んだ細くて短い焼き菓子が位置的にリンクしてしまい、すこぶる不味そうに見えて菓子籠にそっと戻していると「食いかけを戻すな!」とデリックに怒鳴られてしまった。
「あ~もうどうしたらいいんだ。絶対サリーを怒らせちゃったよ」
――そりゃそれだけ罪状を重ねたら…ねぇ?――
レーナには婚約者はいないけれど、婚約者から「痴漢で憲兵に掴まって留置所で漏らした」と言われたら100年の恋もあっという間に冷めてしまうだろうと感じた。
お気の毒にと思いつつも自業自得よねと呆れてしまう。
が!!
レーナにはここでデリックに挫けられると困る事情があった。
デリックがサリアと婚約をしているので、相談係として婚約者の茶会に同席したりとしているが、無料奉仕をする気はない。
レーナの狙っているのはサリアの弟である。
もうすぐ学院を卒業し帰って来るのだが、レーナとしてはドストライクなのだ。
デリックに恩を売り、サリアと親密な付き合いをする友人になればサリアの弟が卒業した後にシリカ家に遊びに行っても不自然さがない。
20歳にあと数年となる子息で婚約者がいない優良株はレーナ的にサリアの弟くらい。
――絶対に逃がさないわよ――
「元気出して。次の対策を考えましょう!」
「頼りになるなぁレーナ!」
「ドーンと任せなさいってぇ!」
レーナとデリックは次の手を打つための作戦を練った。
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