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第49話 礼拝堂の人気者
外に出たくなくても出掛けねばならない用件が出来てしまう。
その1つが礼拝である。
使用人に頼んで教会に寄付をするだけではダメ。直接教会に行き、神父のありがたい話を右から左に聞き流して、張り付いた笑顔を浮かべて寄付の目録を直接手渡す。
それは多くの貴族に課せられている義務でもあった。
シリカ伯爵だけが行けばいい訳でもない。15歳のデビュタント前ならまだ子供だと許容されてもデビュタントを迎えたら貴族である以上行かねばならなかった。
「こんな事なら先月済ませておくんだったわ」
「全く。未だにこんな慣習があるのはこの国だけだよ」
学院にいる間は全寮制で外出も厳しく制限をされるため、免除をされてきたマクロンも聊かご機嫌斜めだ。
教会に到着をすると待ち構えていたかのように礼拝堂に入った先にはデリックがいた。
「はぁ…最悪」
「姉さん。僕が相手をしようか?」
「良いわよ。ただでさえ面倒くさい姉がいるんだから問題ないってところを他の女の子に見て貰わなきゃ、でしょ?」
「あ~。それなんだけど姉さん、僕さ学院で――」
「サリー!待っていたよ」
手を広げてサリアを抱きしめようとしたデリックだったが、サリアはデリックに向かいまっすぐ歩いてデリックが広げた手をサッと交差させると、サリアはしゃがんで10ケル硬貨を拾った。
「マーク。見て。10ケル拾っちゃった」
「姉さん。拾得物はちゃんと届けないと」
「解ってるわよ」
サリアにはまるでデリックが見えていないようにマクロンを振り返り拾った硬貨を修道士に渡そうとチャーチチェアーが広めに設置されて通路に見える方に向きを変えた。
修道士に硬貨を渡すと敢えて込み合っている場所を指さし「あそこが空いてる」と長椅子の端に先に座った人に「ごめんなさいね」と声をかけながら2人分空いた席に着席した。
「帰りはどうするんだ?絶対待ち伏せしてるぞ?」
「取り合ってる時間はないわ。裏口から出て旅行代理店に行きたいの」
「姉さん、旅行すんの?」
「そうよ。目指せ新天地!なんだけど本当は隣国に売り込みに行きたいの」
「そういうこと。なら販促だから就労ビザになるかな。観光じゃないからね。帝国は手配しとくよ」
「ありがとう。助かるわ。ルダの分もお願いね」
「ハサウェイ君が狂っちゃうよ」
「狂わせておけばいいわ。その方がまともになるかも」
しかし、デリックは放っておいてはくれなかった。サリアとマクロンが腰かける椅子に座ってる者に金を握らせると場所をあけさせて隣に座ってきたのだ。
金を手にした人が立ちあがり、騒ぎ始めたので神父も神の言葉を説く途中で声を途切れさせてしまった。
「席に!席に座って下さい!騒がないで!」
修道士たちが声を張り上げて騒ぎを収めようとするも金を貰い損ねた人たちが「俺にもくれよ!」さらに騒ぎ出してしまい収拾がつかなくなった。
「サリー。話をしよう。ここは五月蝿いから静かな場所に行こう」
「結構よ。マーク行きましょう。神父様のお話も終わったみたいだしもういいでしょ」
「そうだね。行こうか。ごめんね。姉さんと場所を代わってたら良かったよ」
「可愛いマークが汚物で汚れるよりマシよ」
立ち上がったサリアの手をデリックは握ったが、直ぐにサリアは手を振ってデリックの手を払った。
「サリー。私たちは話し合えばお互いを解りあえるよ」
「人外と話をしても意味がないわ」
「人外っ?どうしてそんな酷い事を言うんだ!」
「間違った事なんか言ってないわ。ね?私たちは話し合いなんか出来ないの。お判り?」
「サリー。そんな事を言わないでくれ。解った。人外でいいよ」
「そう?認めて頂いたなら何より。人外とは話も出来ないわ」
去ろうとするサリアをデリックは抱きしめようと後ろから手を伸ばしたが、同時にデリックの体が後ろに思い切り引っ張られた。
「うわっ!」
「兄ちゃん。俺にも金をくれよ。さっきまで座ってたのは俺なんだ!」
「アタシもよ!貰い損ねたの。貰う権利はあるわよね」
「俺もだ!」
明らかに着席できる人数を超えてその場にいた200人以上がデリックに「金を貰ってない」と詰め寄った。サリアはデリックからどんどん遠くなっていく。デリックは群がった人を掻き分けるが掻き分けた先からまた別の人間が金をくれと手を伸ばしてくる。
「あら?礼拝堂の人気者ね♡」
「こんなところで金なんか渡せばどうなるか想像も出来ないのかね?」
「マーク。彼は後先の事なんか考えたことがないんだから無理言っちゃダメよ?」
クスっと笑ったサリアはどんどん先に進んでいく。
「退いてくれ!サリー!!サリー!!待ってくれよ!話をしよう!」
デリックから僅かに見えるサリアは修道士に寄付の目録を手渡している場。
揉みくちゃにされている間にサリアは立ち去ってしまった。
その1つが礼拝である。
使用人に頼んで教会に寄付をするだけではダメ。直接教会に行き、神父のありがたい話を右から左に聞き流して、張り付いた笑顔を浮かべて寄付の目録を直接手渡す。
それは多くの貴族に課せられている義務でもあった。
シリカ伯爵だけが行けばいい訳でもない。15歳のデビュタント前ならまだ子供だと許容されてもデビュタントを迎えたら貴族である以上行かねばならなかった。
「こんな事なら先月済ませておくんだったわ」
「全く。未だにこんな慣習があるのはこの国だけだよ」
学院にいる間は全寮制で外出も厳しく制限をされるため、免除をされてきたマクロンも聊かご機嫌斜めだ。
教会に到着をすると待ち構えていたかのように礼拝堂に入った先にはデリックがいた。
「はぁ…最悪」
「姉さん。僕が相手をしようか?」
「良いわよ。ただでさえ面倒くさい姉がいるんだから問題ないってところを他の女の子に見て貰わなきゃ、でしょ?」
「あ~。それなんだけど姉さん、僕さ学院で――」
「サリー!待っていたよ」
手を広げてサリアを抱きしめようとしたデリックだったが、サリアはデリックに向かいまっすぐ歩いてデリックが広げた手をサッと交差させると、サリアはしゃがんで10ケル硬貨を拾った。
「マーク。見て。10ケル拾っちゃった」
「姉さん。拾得物はちゃんと届けないと」
「解ってるわよ」
サリアにはまるでデリックが見えていないようにマクロンを振り返り拾った硬貨を修道士に渡そうとチャーチチェアーが広めに設置されて通路に見える方に向きを変えた。
修道士に硬貨を渡すと敢えて込み合っている場所を指さし「あそこが空いてる」と長椅子の端に先に座った人に「ごめんなさいね」と声をかけながら2人分空いた席に着席した。
「帰りはどうするんだ?絶対待ち伏せしてるぞ?」
「取り合ってる時間はないわ。裏口から出て旅行代理店に行きたいの」
「姉さん、旅行すんの?」
「そうよ。目指せ新天地!なんだけど本当は隣国に売り込みに行きたいの」
「そういうこと。なら販促だから就労ビザになるかな。観光じゃないからね。帝国は手配しとくよ」
「ありがとう。助かるわ。ルダの分もお願いね」
「ハサウェイ君が狂っちゃうよ」
「狂わせておけばいいわ。その方がまともになるかも」
しかし、デリックは放っておいてはくれなかった。サリアとマクロンが腰かける椅子に座ってる者に金を握らせると場所をあけさせて隣に座ってきたのだ。
金を手にした人が立ちあがり、騒ぎ始めたので神父も神の言葉を説く途中で声を途切れさせてしまった。
「席に!席に座って下さい!騒がないで!」
修道士たちが声を張り上げて騒ぎを収めようとするも金を貰い損ねた人たちが「俺にもくれよ!」さらに騒ぎ出してしまい収拾がつかなくなった。
「サリー。話をしよう。ここは五月蝿いから静かな場所に行こう」
「結構よ。マーク行きましょう。神父様のお話も終わったみたいだしもういいでしょ」
「そうだね。行こうか。ごめんね。姉さんと場所を代わってたら良かったよ」
「可愛いマークが汚物で汚れるよりマシよ」
立ち上がったサリアの手をデリックは握ったが、直ぐにサリアは手を振ってデリックの手を払った。
「サリー。私たちは話し合えばお互いを解りあえるよ」
「人外と話をしても意味がないわ」
「人外っ?どうしてそんな酷い事を言うんだ!」
「間違った事なんか言ってないわ。ね?私たちは話し合いなんか出来ないの。お判り?」
「サリー。そんな事を言わないでくれ。解った。人外でいいよ」
「そう?認めて頂いたなら何より。人外とは話も出来ないわ」
去ろうとするサリアをデリックは抱きしめようと後ろから手を伸ばしたが、同時にデリックの体が後ろに思い切り引っ張られた。
「うわっ!」
「兄ちゃん。俺にも金をくれよ。さっきまで座ってたのは俺なんだ!」
「アタシもよ!貰い損ねたの。貰う権利はあるわよね」
「俺もだ!」
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「あら?礼拝堂の人気者ね♡」
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「退いてくれ!サリー!!サリー!!待ってくれよ!話をしよう!」
デリックから僅かに見えるサリアは修道士に寄付の目録を手渡している場。
揉みくちゃにされている間にサリアは立ち去ってしまった。
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