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レオポルドの闇
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「父上の具合はどうだ」
ファミル王国では国王の容体は一進一退を繰り返し体力を奪っていた。
第一王子レオポルドは貴族院の主だったものを集め、立太子をしていてはもう間に合わない事を告げた。他の王子と横並びの王子から頭一つ抜きんでる王太子と言う立場は国王に最も近い位置となる。
だがその選定には時間がかかる。時間をかけずに行うには国王自ら次に王冠を手渡す者を名指ししてもらわねばならないが、国王はもう言葉を口に出来ないほどに衰弱しており心の内を推し量ることは出来ない。
ファミル王国の王子は6人いたのだが、公妃との子である第一王子レオポルド、そして正妃との子であるアベラルド、共に24歳、22歳で年齢的には申し分ない。
どちらも国を統べるには「個人」としても問題ないとされていた。
その下になる弟王子も全て公妃の子でまだ年齢は10歳にも満たない。国王の状況を鑑みても6人目の王子が成人するまで待っていては混乱の元になる。
どちらを選ぶかとなれば、第二王子アベラルドのほうが正妃との子と言う点でわずかながらリードしていた。
しかしこの2年で第二王子アベラルドを押す声は急激に小さくなった。
理由は言わずもがな。妃となったカリメルラと似ても似つかない子の存在である。
ステファニアを失い、腑抜けとなったアベラルドは以前のような覇気は失われ、黙々と執務処理を機械的にこなしている毎日。
第一子が生まれてからもカリメルラを遠ざけるアベラルドには公妃として子を産むためだけの女性を用立てると言い出す貴族も現れた。アベラルドにその気がないのが救いだが立場が定まらない状態で継承権を持つ者を増やされても困る。生まれるまで性別が解らない以上やきもきするのはごめんである。
訝しむ者が多いにも関わらず、カリメルラとの間に生まれた子はこの先いずれかの高位貴族に嫁がされる。資金のある高位貴族との間に婚約を結ばれてしまえばアベラルドを押す声もまた大きくなる。
――女児であったのが救いだが、残された時間は少ない――
第一王子レオポルドは静観をしていたが、ついに玉座に手を伸ばした。
アベラルドを押す声が小さくなった今が好機とレオポルドは前代未聞の「立太子なしの即位」を目論んだ。
実のところ、当初は立太子をするつもりだった。そのために父である国王に少しづつ鉛を摂取させたのだ。アベラルドを失脚させるためにアベラルドの持つ領地から産出される鉛を使って。
口からの経口摂取では毒味役に知られてしまう。そこでレオポルドは経口摂取ではなく吸入させる事を考えたのだ。国王ともなれば夜遅くまで執務をする事もある上に、万が一に備えて国王の寝所はランプに灯りを灯すのだ。
そのランプ台に鉛を仕込んだ。毎夜火が灯されるランプは手元の書類を見るために体の近くに置かれる。気化した鉛を毎日吸い込み続けた国王は体調を崩した。
急激に容体が悪化したのも、夜中、容態に変化があった時にランプを点けていては間に合わないため日が落ちれば常時点けられているからである。
体が自由に動けば、背を伸ばしたり窓を開けて外の空気を吸ったりとするが、強い脱力感に歩行障害、酷い頭痛と認知障害を起こし寝たきりとなった今は空気の入れ替えをするにも急激に部屋の温度が変わってはならないと数日に1度メイドが短時間窓を開放する程度。
口の中の粘膜に貼りついたほんのわずかな気化した鉛はクスリと共に胃の中に流し込まれる。
レオポルドの計画通りに国王は弱っていった。
体力に限界を感じた国王は、引退を考える筈。その時に一歩抜きんでていれば。
そう考えたのだが、予定外とは言えレオポルドにとってカリメルラの行動は僥倖だった。
「アベラルド殿下はどうお考えですか?」
議会の議長に問われたアベラルドは力なく答えた。
「良いのではありませんか?兄上なら民も納得するでしょう」
静かに言い放つアベラルドにレオポルドは苛立った。
――何故抗わない!?何故すんなりと認めるのだ?!――
年齢も1歳しか変わらないとは言え、月数にすれは半年。
世話のかかる乳飲み子時代には差は歴然としていたが、歩きはじめ、言葉を離す月齢となれば横並び。レオポルドは母親が公妃ではあったが、正妃との子であるアベラルドに負けじと気を張ってきた。
しかし、アベラルドに剣技で勝てば「あのアベラルド様に?」と驚かれ、学問で褒められれば「相当に努力されたのですね」とまるでアベラルドが軸になった比較をされてしまう事に次第に心は病んでいった。
レオポルドにも公爵家の令嬢である婚約者がいた。
ステファニアがアベラルドの為にあると誰もが口にするが、レオポルドの婚約者は「王妃になるためにある」とこちらもレオポルドひとりでは任せられないと言われているようだった。
――いつかアベラルドを蹴落としてやる――
そう思って生きてきたし、人には言えない秘密も抱えたというのに未だステファニアを思慕し、虚ろな目をしたアベラルドにレオポルドは静かな怒りを覚えた。
反対意見はなく、国王の容態も芳しくない事からレオポルドは国王に即位した。
即位する前からハルメル王国には間者を忍ばせており、ステファニアの置かれた状況は把握していた。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとばかりに、アベラルドを苦しめるためならば遠く離れた地にいるステファニアにも役に立ってもらう。物理的な距離がある以上アベラルドが行動に移そうとしても間に合うはずがない。
「ステファニア嬢が嫁いで2年。懐妊の兆しがないとは誠か?」
レオポルドは答えの分かっている質問を従者に投げかけた。
「レアンドロは傀儡にもならぬ木偶。もう用済みだろう」
「ですが、和平条約を覆すには聊か理由に乏しいかと」
かつてゲール公爵が監視役にも成り得るから王太子に令嬢をあてがおうと案を出した時、カリメルラでは力不足だとレオポルドは感じていた。体で王太子レアンドロを落とすことは出来たかも知れないがカリメルラには夜会などで存在感を示す事も他国の貴族をも従わせるような話術もない。
その点ステファニアなら上手く渡り歩くだろうと何とかステファニアを送り出せないか画策もした。
年齢的に見合うものがステファニアしかいなかった事もあった。
諦めかけた時、アベラルドとカリメルラがやらかしたのだ。
飛び上がりたいほど歓喜したが、誤算が生じた。ステファニアの声が出なくなったのだ。
声の出ない女など転がっている石よりも無能ではないか。
レオポルドは憤慨した。
ハルメル王国を内部で分裂させて戦勝国と言う立場を利用し吸収する。そのための布石となる「王太子妃」が役に立たないのであれば意味がない。
うっかり子供でも出来ればファミル王国の穏健派がまた動き出し「次期国王にこちらの血は入っているのだからハルメル王国の属国案は撤回しろ」と言い出しかねない。
レオポルドはどうしたモノかと頭を抱えたが、ステファニアが捨て置かれた状況に、これで足がかりが出来るとほくそ笑んだ。
レオポルド婚約者の公爵令嬢は「19年間もそれで生きてきたのだから自死を選んでもおかしくない」と言った。レオポルドはその言葉を鼻で笑った。たかが男を寝取られたくらいで自死するなどあり得ないと思ったのだ。
「わたくしも18年と言う期間、レオポルド様の妃となるために全てを捧げてきたのです。同じような事が起こればわたくしも‥‥彼女と同じようになるやも知れません」
「お前は王妃になりたいだけだろう。悪い方に転がっても王子妃。将来は安泰だからな。そう考えるのも無理はない」
「何を仰いますの?わたくしは万が一レオポルド様が廃嫡となり平民となってもついて行く心づもりはしておりますのよ」
その時、レオポルドは公爵令嬢は頭がおかしくなったのかと首を傾げた。
身分のない生活など、それまで傅かれて生きてきたものが出来るはずも無い。
覚悟だなんだと大層な事を言っても、所詮その程度の覚悟なのだと公爵令嬢の考えを一笑に付した。
「あの冷遇の後に、家臣に下賜され落ちていった女をやつは指を咥えて悔しがるだろうか」
初夜も捨て置かれ、2年の間ただ生かされてきた人形ステファニアを思い浮かべ執務室でレオポルドは高笑いをした。そして、書面にペンを走らせた。
「体裁を保つには石女として下賜するしかなかろう?レアンドロ殿。クックック…」
ハルメル王国の男性は総じて好色であるという噂もあった事から、どんな狒々爺に下賜されるのか。レオポルドは堪えきれない笑いを部屋の外にまでもらした。
ファミル王国では国王の容体は一進一退を繰り返し体力を奪っていた。
第一王子レオポルドは貴族院の主だったものを集め、立太子をしていてはもう間に合わない事を告げた。他の王子と横並びの王子から頭一つ抜きんでる王太子と言う立場は国王に最も近い位置となる。
だがその選定には時間がかかる。時間をかけずに行うには国王自ら次に王冠を手渡す者を名指ししてもらわねばならないが、国王はもう言葉を口に出来ないほどに衰弱しており心の内を推し量ることは出来ない。
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その下になる弟王子も全て公妃の子でまだ年齢は10歳にも満たない。国王の状況を鑑みても6人目の王子が成人するまで待っていては混乱の元になる。
どちらを選ぶかとなれば、第二王子アベラルドのほうが正妃との子と言う点でわずかながらリードしていた。
しかしこの2年で第二王子アベラルドを押す声は急激に小さくなった。
理由は言わずもがな。妃となったカリメルラと似ても似つかない子の存在である。
ステファニアを失い、腑抜けとなったアベラルドは以前のような覇気は失われ、黙々と執務処理を機械的にこなしている毎日。
第一子が生まれてからもカリメルラを遠ざけるアベラルドには公妃として子を産むためだけの女性を用立てると言い出す貴族も現れた。アベラルドにその気がないのが救いだが立場が定まらない状態で継承権を持つ者を増やされても困る。生まれるまで性別が解らない以上やきもきするのはごめんである。
訝しむ者が多いにも関わらず、カリメルラとの間に生まれた子はこの先いずれかの高位貴族に嫁がされる。資金のある高位貴族との間に婚約を結ばれてしまえばアベラルドを押す声もまた大きくなる。
――女児であったのが救いだが、残された時間は少ない――
第一王子レオポルドは静観をしていたが、ついに玉座に手を伸ばした。
アベラルドを押す声が小さくなった今が好機とレオポルドは前代未聞の「立太子なしの即位」を目論んだ。
実のところ、当初は立太子をするつもりだった。そのために父である国王に少しづつ鉛を摂取させたのだ。アベラルドを失脚させるためにアベラルドの持つ領地から産出される鉛を使って。
口からの経口摂取では毒味役に知られてしまう。そこでレオポルドは経口摂取ではなく吸入させる事を考えたのだ。国王ともなれば夜遅くまで執務をする事もある上に、万が一に備えて国王の寝所はランプに灯りを灯すのだ。
そのランプ台に鉛を仕込んだ。毎夜火が灯されるランプは手元の書類を見るために体の近くに置かれる。気化した鉛を毎日吸い込み続けた国王は体調を崩した。
急激に容体が悪化したのも、夜中、容態に変化があった時にランプを点けていては間に合わないため日が落ちれば常時点けられているからである。
体が自由に動けば、背を伸ばしたり窓を開けて外の空気を吸ったりとするが、強い脱力感に歩行障害、酷い頭痛と認知障害を起こし寝たきりとなった今は空気の入れ替えをするにも急激に部屋の温度が変わってはならないと数日に1度メイドが短時間窓を開放する程度。
口の中の粘膜に貼りついたほんのわずかな気化した鉛はクスリと共に胃の中に流し込まれる。
レオポルドの計画通りに国王は弱っていった。
体力に限界を感じた国王は、引退を考える筈。その時に一歩抜きんでていれば。
そう考えたのだが、予定外とは言えレオポルドにとってカリメルラの行動は僥倖だった。
「アベラルド殿下はどうお考えですか?」
議会の議長に問われたアベラルドは力なく答えた。
「良いのではありませんか?兄上なら民も納得するでしょう」
静かに言い放つアベラルドにレオポルドは苛立った。
――何故抗わない!?何故すんなりと認めるのだ?!――
年齢も1歳しか変わらないとは言え、月数にすれは半年。
世話のかかる乳飲み子時代には差は歴然としていたが、歩きはじめ、言葉を離す月齢となれば横並び。レオポルドは母親が公妃ではあったが、正妃との子であるアベラルドに負けじと気を張ってきた。
しかし、アベラルドに剣技で勝てば「あのアベラルド様に?」と驚かれ、学問で褒められれば「相当に努力されたのですね」とまるでアベラルドが軸になった比較をされてしまう事に次第に心は病んでいった。
レオポルドにも公爵家の令嬢である婚約者がいた。
ステファニアがアベラルドの為にあると誰もが口にするが、レオポルドの婚約者は「王妃になるためにある」とこちらもレオポルドひとりでは任せられないと言われているようだった。
――いつかアベラルドを蹴落としてやる――
そう思って生きてきたし、人には言えない秘密も抱えたというのに未だステファニアを思慕し、虚ろな目をしたアベラルドにレオポルドは静かな怒りを覚えた。
反対意見はなく、国王の容態も芳しくない事からレオポルドは国王に即位した。
即位する前からハルメル王国には間者を忍ばせており、ステファニアの置かれた状況は把握していた。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとばかりに、アベラルドを苦しめるためならば遠く離れた地にいるステファニアにも役に立ってもらう。物理的な距離がある以上アベラルドが行動に移そうとしても間に合うはずがない。
「ステファニア嬢が嫁いで2年。懐妊の兆しがないとは誠か?」
レオポルドは答えの分かっている質問を従者に投げかけた。
「レアンドロは傀儡にもならぬ木偶。もう用済みだろう」
「ですが、和平条約を覆すには聊か理由に乏しいかと」
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その点ステファニアなら上手く渡り歩くだろうと何とかステファニアを送り出せないか画策もした。
年齢的に見合うものがステファニアしかいなかった事もあった。
諦めかけた時、アベラルドとカリメルラがやらかしたのだ。
飛び上がりたいほど歓喜したが、誤算が生じた。ステファニアの声が出なくなったのだ。
声の出ない女など転がっている石よりも無能ではないか。
レオポルドは憤慨した。
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うっかり子供でも出来ればファミル王国の穏健派がまた動き出し「次期国王にこちらの血は入っているのだからハルメル王国の属国案は撤回しろ」と言い出しかねない。
レオポルドはどうしたモノかと頭を抱えたが、ステファニアが捨て置かれた状況に、これで足がかりが出来るとほくそ笑んだ。
レオポルド婚約者の公爵令嬢は「19年間もそれで生きてきたのだから自死を選んでもおかしくない」と言った。レオポルドはその言葉を鼻で笑った。たかが男を寝取られたくらいで自死するなどあり得ないと思ったのだ。
「わたくしも18年と言う期間、レオポルド様の妃となるために全てを捧げてきたのです。同じような事が起こればわたくしも‥‥彼女と同じようになるやも知れません」
「お前は王妃になりたいだけだろう。悪い方に転がっても王子妃。将来は安泰だからな。そう考えるのも無理はない」
「何を仰いますの?わたくしは万が一レオポルド様が廃嫡となり平民となってもついて行く心づもりはしておりますのよ」
その時、レオポルドは公爵令嬢は頭がおかしくなったのかと首を傾げた。
身分のない生活など、それまで傅かれて生きてきたものが出来るはずも無い。
覚悟だなんだと大層な事を言っても、所詮その程度の覚悟なのだと公爵令嬢の考えを一笑に付した。
「あの冷遇の後に、家臣に下賜され落ちていった女をやつは指を咥えて悔しがるだろうか」
初夜も捨て置かれ、2年の間ただ生かされてきた人形ステファニアを思い浮かべ執務室でレオポルドは高笑いをした。そして、書面にペンを走らせた。
「体裁を保つには石女として下賜するしかなかろう?レアンドロ殿。クックック…」
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