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第27話 今更比べないで
考えていた生活とは全く違う生活。
昨夜もデリスが寝台に潜り込んだ時、ダリオンは帰宅をしていなかった。
連日「友達と約束をしている」と言って夕方前になるとダリオンは出かけていく。
仕事を探す素振りは全くなくて、本来なら新生活をスタートさせるはずだったアパートメントも荷物を運びこんだだけで済むことも無く解約せねばならなくなり、デリスの部屋として使っていた庭の離れでの生活。
デリスの両親も「これからは自分たちで何とかしろ、生活も借金もだ!」と言ったけれどデリスはチマチマと貯めこんだ貯金をダリオンの借金に一時払いしてしまったのでスッカラカン。
当面は家賃なしで離れに住まう事と、食事も親に頼るしかない生活。
贅沢とは真逆であることになんだかんだでダリオンも2、3日で気が付くだろうと思いきや全く変わらない。
「絶対に離縁してやる!」
そう思うものの明け方に帰ってくるダリオンの気配に目が覚め離縁を言い渡してもダリオンはニヤッと笑って「はいはい」返事をすると同時に服を脱ぎ始め無理やりデリスの体内に押し入ってきて啼かされる。
行為を終えたダリオンが寝落ちをすると「もしかしたらバーテンとかの仕事を探してるのかも?」とわずかな期待をしてしまう。
父の準男爵の名の下で楽に稼げる仕事に就くことが出来ないのはデリスも理解をしていた。
それほどに略奪婚と呼ばれる結婚スタイルや、不貞、不倫、浮気は庶民からも嫌悪されていることも判っていた。
想定外だったのはこんなに早くバレるとは思っていなかったのと、結婚式の2日前にもアリアの名を使ってダリオンが金を借りていたこと。そのせいで騎士団もクビになってしまったこと。
商会は特に不貞行為を嫌う。
商会も裏ではいろいろと有償取引などをするけれど徹底しているのは隠し通すこと。
それが出来ないのなら手を出してはいけない。
表沙汰になると「何でもあり」で法を順守せず平気で契約も反故にする者と見なされる。
不貞行為はそれの個人版だ。
朝食を取るには遅く、昼食には早い時間。
デリスは「今日こそは」とダリオンを起こした。
デリスにもアリア以外に友人はいる。その中には平民でも小さな商会を経営している家の娘もいて日頃から「荷を運ぶ時の護衛ってなかなかいないのよね」と愚痴をこぼしていたのを思い出したから。
頭を下げるのは癪に障るけれどダリオンが考えている仕事があったとて、雇ってもらえるまでの繋ぎとして働いてもらわないとダリオンの借金の返済が3か月後から始まる。
今はデリスが一時金としてある程度まとまった金を払ったので猶予をしてもらっているだけ。
デリスもこの猶予期間で生活の基盤を固めないと本当に首が回らなくなると考えていた。
「ねぇ。起きて。起きてってば」
「うるせぇ!!眠いんだ。寝かせろ!」
「寝てる場合じゃないのよ。起きてってば!」
「あーッ!マジでダッル。なんだよ」
頭をぼりぼり掻きながらダリオンがやっと上半身を起こすとデリスは手持ちの服で一番まともな服を寝台にポンポンと投げた。
「着替えて。ダリオンなら雇いたいってところがあるのよ」
嘘である。以前に友人の言っていた言葉に縋ろうと友人の商会に行くだけで「ダリオンなら」なんて誰も言っていないけれど、なんとかダリオンを連れていくことをしないと始まらないとデリスはダリオンを言葉で持ち上げた。
「いいよ。まだ結婚休暇。あと3、4か月はこのままでいいって」
「ダメだってば!」
返済は3か月目から始まるのだ。その頃まで今と同じように夜遊びの朝帰りなんかされていたらとんでもないことになる。
デリスは面倒そうにまた横になるダリオンに服を着せ、さぁさぁと急きたてて寝台から引っ張り出した。
「だっる。あ~あ。お前なんかと結婚するんじゃなかった。アリーだったら1年は遊ばせてくれただろうにな」
(そんなわけないでしょうがっ!)
デリスもアリアとダリオンだけで交わした会話やその時間を知っている訳ではないがアリアは「働いてナンボ」な人間で1、2か月なら何とか遊ばせてくれても1年なんてあり得ない。
(それにダリオン、貴方は私を選んだのよ!アリアと今更比べないで)
離縁をしようと思いつつも抱かれれば決意も揺らぐ。
体内に残るダリオンの温りと感触がアリアと比べられることを全力で拒否する。
何より、アリアに従順だった面があるのならアリアよりも優遇され、アリアにしなかったこともしてもらった自分ならダリオンはもっと従順になると信じて疑わない。
「クッソ。マジで萎えるわ。お前、最低だな」
「何とでも言いなさい。とにかく!今から商会に行くわよ」
デリスはダリオンの手を引いて屋敷を出て商会に向かった。
そこでまさか全てを奪い、全てにおいて優位に立ったと思っていたのに幸せそうに、しかも目が覚めるような美丈夫を従えているアリアに出会うことになるとは夢にも思わなかった。
☆~☆
あれ?申し訳ない<(_ _)>
お休みタイムが1時間分多かった(;^_^A
このあと21時40分に次話
本日のラストは22時10分です<(_ _)>
昨夜もデリスが寝台に潜り込んだ時、ダリオンは帰宅をしていなかった。
連日「友達と約束をしている」と言って夕方前になるとダリオンは出かけていく。
仕事を探す素振りは全くなくて、本来なら新生活をスタートさせるはずだったアパートメントも荷物を運びこんだだけで済むことも無く解約せねばならなくなり、デリスの部屋として使っていた庭の離れでの生活。
デリスの両親も「これからは自分たちで何とかしろ、生活も借金もだ!」と言ったけれどデリスはチマチマと貯めこんだ貯金をダリオンの借金に一時払いしてしまったのでスッカラカン。
当面は家賃なしで離れに住まう事と、食事も親に頼るしかない生活。
贅沢とは真逆であることになんだかんだでダリオンも2、3日で気が付くだろうと思いきや全く変わらない。
「絶対に離縁してやる!」
そう思うものの明け方に帰ってくるダリオンの気配に目が覚め離縁を言い渡してもダリオンはニヤッと笑って「はいはい」返事をすると同時に服を脱ぎ始め無理やりデリスの体内に押し入ってきて啼かされる。
行為を終えたダリオンが寝落ちをすると「もしかしたらバーテンとかの仕事を探してるのかも?」とわずかな期待をしてしまう。
父の準男爵の名の下で楽に稼げる仕事に就くことが出来ないのはデリスも理解をしていた。
それほどに略奪婚と呼ばれる結婚スタイルや、不貞、不倫、浮気は庶民からも嫌悪されていることも判っていた。
想定外だったのはこんなに早くバレるとは思っていなかったのと、結婚式の2日前にもアリアの名を使ってダリオンが金を借りていたこと。そのせいで騎士団もクビになってしまったこと。
商会は特に不貞行為を嫌う。
商会も裏ではいろいろと有償取引などをするけれど徹底しているのは隠し通すこと。
それが出来ないのなら手を出してはいけない。
表沙汰になると「何でもあり」で法を順守せず平気で契約も反故にする者と見なされる。
不貞行為はそれの個人版だ。
朝食を取るには遅く、昼食には早い時間。
デリスは「今日こそは」とダリオンを起こした。
デリスにもアリア以外に友人はいる。その中には平民でも小さな商会を経営している家の娘もいて日頃から「荷を運ぶ時の護衛ってなかなかいないのよね」と愚痴をこぼしていたのを思い出したから。
頭を下げるのは癪に障るけれどダリオンが考えている仕事があったとて、雇ってもらえるまでの繋ぎとして働いてもらわないとダリオンの借金の返済が3か月後から始まる。
今はデリスが一時金としてある程度まとまった金を払ったので猶予をしてもらっているだけ。
デリスもこの猶予期間で生活の基盤を固めないと本当に首が回らなくなると考えていた。
「ねぇ。起きて。起きてってば」
「うるせぇ!!眠いんだ。寝かせろ!」
「寝てる場合じゃないのよ。起きてってば!」
「あーッ!マジでダッル。なんだよ」
頭をぼりぼり掻きながらダリオンがやっと上半身を起こすとデリスは手持ちの服で一番まともな服を寝台にポンポンと投げた。
「着替えて。ダリオンなら雇いたいってところがあるのよ」
嘘である。以前に友人の言っていた言葉に縋ろうと友人の商会に行くだけで「ダリオンなら」なんて誰も言っていないけれど、なんとかダリオンを連れていくことをしないと始まらないとデリスはダリオンを言葉で持ち上げた。
「いいよ。まだ結婚休暇。あと3、4か月はこのままでいいって」
「ダメだってば!」
返済は3か月目から始まるのだ。その頃まで今と同じように夜遊びの朝帰りなんかされていたらとんでもないことになる。
デリスは面倒そうにまた横になるダリオンに服を着せ、さぁさぁと急きたてて寝台から引っ張り出した。
「だっる。あ~あ。お前なんかと結婚するんじゃなかった。アリーだったら1年は遊ばせてくれただろうにな」
(そんなわけないでしょうがっ!)
デリスもアリアとダリオンだけで交わした会話やその時間を知っている訳ではないがアリアは「働いてナンボ」な人間で1、2か月なら何とか遊ばせてくれても1年なんてあり得ない。
(それにダリオン、貴方は私を選んだのよ!アリアと今更比べないで)
離縁をしようと思いつつも抱かれれば決意も揺らぐ。
体内に残るダリオンの温りと感触がアリアと比べられることを全力で拒否する。
何より、アリアに従順だった面があるのならアリアよりも優遇され、アリアにしなかったこともしてもらった自分ならダリオンはもっと従順になると信じて疑わない。
「クッソ。マジで萎えるわ。お前、最低だな」
「何とでも言いなさい。とにかく!今から商会に行くわよ」
デリスはダリオンの手を引いて屋敷を出て商会に向かった。
そこでまさか全てを奪い、全てにおいて優位に立ったと思っていたのに幸せそうに、しかも目が覚めるような美丈夫を従えているアリアに出会うことになるとは夢にも思わなかった。
☆~☆
あれ?申し訳ない<(_ _)>
お休みタイムが1時間分多かった(;^_^A
このあと21時40分に次話
本日のラストは22時10分です<(_ _)>
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