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第05話 アタオカは遠慮したい
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両親と思わしき男女と医者は「一時的な記憶喪失」というがそうではないのだ。
記憶喪失だと思ってしまう事に理解はできる。
「実は転生で、本来は存在したかもねーってキャラだったんです」と本当の事を言えば間違いなく空想癖、しかも非日常的な妄想癖があると思われるだろう。
シャルロットの年齢は22歳だが、終了した方の年齢は26歳。どっちにしてもアタオカと認定されるのは遠慮したい年齢。
一般的な公爵令嬢と言うのはお淑やかで、オホホって感じ。きっと神様もそういう令嬢を思い浮かべたのだろう。思うにこの両親と思わしき男女にもありきたりで一般的な高位貴族の家族の在り方をインプットしたのだと思うが残念。中身は生粋の一般人なんだから仕方がない。
それでも「娘じゃないな!出て行け!」と言われずにいるのは補正が掛かっている。つまりは・・・神様の言った臨機応変が補正によって都合よく相手にも作用しているのだろう。
あとは襲撃と言う命を落としていてもおかしくない出来事に遭遇したのが娘なので、一時的な混乱のようなものもあると思ってくれているかも知れない。
なので、優しいのだ。
私に対しては、腫れ物に触るというよりも本当に親と娘、しかも女の子は私一人なのだから兎に角可愛いんだろうなとよく判る。
あの詐欺師との結婚も親の初見での感想は「良い人過ぎる」だった。
破落戸やギャンブル好き、女遊びが派手な男からすれば十分に合格点でも、良い人過ぎると違和感を覚えるのかも知れない。
銀行のパスワードを教えたのか!と向こうの世界の父は怒ったけれど、それだけだった。恥ずかしい話、両親の財産は兄や弟にも分けねばならず両親が2人に「取り分を少しだけ貸してやって欲しい」と頭を下げてくれたのだ。
今思えばどうしてあんなに豪華に結婚式をしようと思ったのか判らない。
結婚式そのものは50万程だったが、披露宴の値段が・・・相手に合わせて人数も調整せねばならず400人規模だったのだ。700万近いお金を一晩で使う・・・なんて馬鹿らしい事を決めちゃったんだろう。
お色直しなんか5回!2時間半の披露宴で5回!!
半分の時間を衣装替えに費やすために会場にいる時間よりも不在時間が長いってどうよ!
選んだドレスもあの詐欺男が「似合うよ。僕の方が迷っちゃう」「衣装代も半分持つし」なんて言うから!
半分どころか着てもいないのに全部払ったのこっちだからね!!
あぁ…取り返しのつかない本物の黒歴史。
今はレンタルで人間も借りられる。
詐欺師に両親だと紹介された人も、レンタル両親だった事を知った時はもう怒る気力もなかった。
こちらの両親を見ていると、もう会えないであろう元の世界にいた両親と同じ。
ただ、子供の事を心配しているだけなのだ。
そう思うと、私が転生しなければこの両親も「いるはずなのに出場しないキャラ」なので台詞どころか感情も持つ事はなかったかと思うと、転生して良かったのかもと思えるから不思議だ。
今日も気分転換になるかも?と絵師の描いた絵を持って来てくれた。
「これ。判る?」
何枚か見せられた絵の中に見知っている物があった。
スマホのフォトや動画じゃないのは仕方がない。
描かれていたのは「城」だった。
全員が「知っていて当たり前」の王城。
知っているのだ。
知っているが同時に「何処かで見たことがある」と少し違った解釈も心の中にあった。
そんな時だった。
花瓶の花の水を替え、持ってきたメイドの言葉に違和感の決着をつけるキーワードを見出した。
「サンドリヨンがどうやら探し人だったようですよ」
――サンドリヨン・・・どこかで聞いた気がする――
うーん。どこで聞いた名前だったか?考え込んでいるとハッと閃いた。
――サンドリヨンってシンデレラの事だわ!!――
ならば合点がいく。城の絵を「どこかで見たことがある」と感じたのは城を挿絵や表紙で見た!とハッキリ思い出せた。
――神様って本当にいるんだわ。本当に転生したんだ――
あれは夢ではなく本当だったのかも知れないと思いつつも、そんな事はないと考えを打ち消してきたけれど、やっと現状を受け入れることが出来たのだった。
記憶喪失だと思ってしまう事に理解はできる。
「実は転生で、本来は存在したかもねーってキャラだったんです」と本当の事を言えば間違いなく空想癖、しかも非日常的な妄想癖があると思われるだろう。
シャルロットの年齢は22歳だが、終了した方の年齢は26歳。どっちにしてもアタオカと認定されるのは遠慮したい年齢。
一般的な公爵令嬢と言うのはお淑やかで、オホホって感じ。きっと神様もそういう令嬢を思い浮かべたのだろう。思うにこの両親と思わしき男女にもありきたりで一般的な高位貴族の家族の在り方をインプットしたのだと思うが残念。中身は生粋の一般人なんだから仕方がない。
それでも「娘じゃないな!出て行け!」と言われずにいるのは補正が掛かっている。つまりは・・・神様の言った臨機応変が補正によって都合よく相手にも作用しているのだろう。
あとは襲撃と言う命を落としていてもおかしくない出来事に遭遇したのが娘なので、一時的な混乱のようなものもあると思ってくれているかも知れない。
なので、優しいのだ。
私に対しては、腫れ物に触るというよりも本当に親と娘、しかも女の子は私一人なのだから兎に角可愛いんだろうなとよく判る。
あの詐欺師との結婚も親の初見での感想は「良い人過ぎる」だった。
破落戸やギャンブル好き、女遊びが派手な男からすれば十分に合格点でも、良い人過ぎると違和感を覚えるのかも知れない。
銀行のパスワードを教えたのか!と向こうの世界の父は怒ったけれど、それだけだった。恥ずかしい話、両親の財産は兄や弟にも分けねばならず両親が2人に「取り分を少しだけ貸してやって欲しい」と頭を下げてくれたのだ。
今思えばどうしてあんなに豪華に結婚式をしようと思ったのか判らない。
結婚式そのものは50万程だったが、披露宴の値段が・・・相手に合わせて人数も調整せねばならず400人規模だったのだ。700万近いお金を一晩で使う・・・なんて馬鹿らしい事を決めちゃったんだろう。
お色直しなんか5回!2時間半の披露宴で5回!!
半分の時間を衣装替えに費やすために会場にいる時間よりも不在時間が長いってどうよ!
選んだドレスもあの詐欺男が「似合うよ。僕の方が迷っちゃう」「衣装代も半分持つし」なんて言うから!
半分どころか着てもいないのに全部払ったのこっちだからね!!
あぁ…取り返しのつかない本物の黒歴史。
今はレンタルで人間も借りられる。
詐欺師に両親だと紹介された人も、レンタル両親だった事を知った時はもう怒る気力もなかった。
こちらの両親を見ていると、もう会えないであろう元の世界にいた両親と同じ。
ただ、子供の事を心配しているだけなのだ。
そう思うと、私が転生しなければこの両親も「いるはずなのに出場しないキャラ」なので台詞どころか感情も持つ事はなかったかと思うと、転生して良かったのかもと思えるから不思議だ。
今日も気分転換になるかも?と絵師の描いた絵を持って来てくれた。
「これ。判る?」
何枚か見せられた絵の中に見知っている物があった。
スマホのフォトや動画じゃないのは仕方がない。
描かれていたのは「城」だった。
全員が「知っていて当たり前」の王城。
知っているのだ。
知っているが同時に「何処かで見たことがある」と少し違った解釈も心の中にあった。
そんな時だった。
花瓶の花の水を替え、持ってきたメイドの言葉に違和感の決着をつけるキーワードを見出した。
「サンドリヨンがどうやら探し人だったようですよ」
――サンドリヨン・・・どこかで聞いた気がする――
うーん。どこで聞いた名前だったか?考え込んでいるとハッと閃いた。
――サンドリヨンってシンデレラの事だわ!!――
ならば合点がいく。城の絵を「どこかで見たことがある」と感じたのは城を挿絵や表紙で見た!とハッキリ思い出せた。
――神様って本当にいるんだわ。本当に転生したんだ――
あれは夢ではなく本当だったのかも知れないと思いつつも、そんな事はないと考えを打ち消してきたけれど、やっと現状を受け入れることが出来たのだった。
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