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VOL:19 とりあえず Will you marry me?
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へたり込んでしまった魔導士の目の前で繰り広げられる奇妙な餌付け。
スープの次は竈にペタっとくっつけて焼いたパンをローレンスは千切ってシンシアの口元に持って行く。どうやらローレンスにはシンシアの微細な動きは見えていないらしい。
小さくフルフルと首を横に振り、腕をあげようとしているのだろうか。右手が僅かに浮くがパタっと力なく落ちる。
――ここは私がボートを出して助けねば!――
魔導士はコホンと咳ばらいを一つすると、ローレンスの隣に向かった。
「やっぱ目を覚ましてた。見てくれよ。スープも美味いってよ」
「ローレンスさん、女性に対して失礼でしょうに!」
「え?だって美味そうに飲んでるけど?」
「判ります。いい香りがしてますからね。でも矢継ぎ早に口元に運んだら何も言えないでしょう?」
「そんなにペースが速かったかな?」
汁だけが器に半分ほどになり、具がゴロゴロと姿を現している。
ローレンスに悪気はないのだ。嬉しさが勝ってしまっただけ。
「シンシア様、ご気分はどうですか?」
「特に変わりありません」
魔導士の問いかけにシンシアが言葉を発した。
片手に器、片手にスプーンを持っていなかったらローレンスは両手で口元を覆っただろう。
「喋った…喋ったぞ…俺にも判る言葉で…」
「当たり前でしょう?私と彼女は共通の言語です。勿論ローレンスさんもね!」
「それがさ!この国に来た時の先生がさ、訛りって言うか古い話し方の先生だったんだよ。でな?その先生が「です」って言葉の後ろにつけるだろ?それをさ「でっしゅ」って何をどぉぉぉやっても聞こえるわけ。だからさぁ、てっき――」
「ローレンスさん、黙ってください」
「え?俺、そんなに声がデカかった?そんなにデカい声を出してたつも――」
「音量もなんですが、取り敢えず長さです」
「長さ?!長さと言ったか?そこもなのか?!」
何かを言うたびに言葉が多いローレンス。魔導士に「声もデカけりゃ話が長いんだよ!」と諭されてしまった。
「ですが、楽しいお話ばかりでしたのよ?」
<< フェッ?! >>
ローレンスと魔導士は同時にシンシアの方を向いた。
クワっと見開いた目の2人の行動が同じ。シンシアはくすくすと笑ったのだが通常は口元を隠して行う笑い。
――あ、隠されてた口元ってこうなってたんだ――
手品のネタを知った時のような、素直な感嘆「へぇ~」と男性としての「可愛いじゃん」が一緒になった魔導士。ローレンスはムッとして尻でボン!魔導士を突いた。
「うわっ!危ないじゃないですか!」
「鼻の下を伸ばしてる暇があるなら殿下に報告しろや。いや、直接伝えに走った方が良いんじゃねぇかぁ?お前の足ならリクガメの方が早いかもだけどなぁ?」
「へー。鼻の下伸ばしてるのどっちですかね。30を超えた寡男の嫉妬。あ~ヤダヤダ。気持ち悪ぅぅい」
「嫉妬?バカ言うな。これは俺が任された任務なんだよ。判る?に・ん・むッ!!だから俺に独占欲がある」
「それを言うなら権利っ!独占欲なんてまさに今!丸出しじゃないですか。あれ?もしかして願望?違いますよねー。欲望が出ちゃっただけですよねー??」
「キィィー!!言い間違っただけだ!ホント、予備軍は小せぇな!!俺の重箱を持ち上げてどうすんだよ!」
「重箱の隅はつつくんですよ!ツンツーン!ってね!持ち上げるのは「ヨイショ」、取るのが揚げ足ですよぅ??あれぇ?おやおやぁ?将校なのに知らなかった?まさか?!知らなかったとかぁ??」
ローレンスと魔導士は気が付かない。子供のように言い合いを始めた2人を「くすくす」と可愛く笑っていたシンシアの肩は大きく上下に動いて「くっくっく」「くくっ!」時に「グフっ!」っとお淑やかなど何処へやら。本気で笑っている事に。
だが、如何せん。体力不足。日頃から貴族令嬢はそんなに鍛えているわけではないが、かつてのウィンストンもそうだったように、寝たきり期間の筋力の衰えは当然ある。
笑うのも結構体力を使うので、笑い過ぎてそのまま横にコテンと倒れてしまった。
<< わぁぁ!!(驚) >>
「大丈夫…ゼェゼェ…少し体力がないので…起こして頂けますか」
「もちろ――」
「お前は殿下に報告だろ!世話は俺なの!お~れっ!オゥレッ!!」
ローレンスは魔導士の首根っこを抓んで追いやるとシンシアをグッと抱き起した。
「勝った」と言わんばかりにニヤっと魔導士に向けてWINNERスマイル。「くっ!」魔導士は負けを認め悔し気に顔を背けた。
「面倒だよな。もう結婚でもしとくか?」
「結婚?」
――結婚って面倒だからって言う選択肢もあったんだ――
ローレンスの腕の中。シンシアには新しい発見。
「そ、結婚。今なら先着1名様が俺枠で空いてるんだ。特典はだな、先ず嫌な事はしなくていいだろ。そんで飯は俺が作るしさ、あ、俺、結構料理とか掃除って好きなんだよ。間違うなよ?得意じゃなくて好きって事だからな?完璧を求めちゃいけないんだぜ??で、後は…まぁ射撃は得意だけど、残念っ!これは本当に残念なんだけどさ、銃剣がないんだよな~。見せられなくて残念過ぎるなぁ~アハハ」
自己アピールを始めるローレンス。やっぱり話が長い。
今回に限り話が長いのは「どうでもいい」
それよりも問題がある。
王都を発ってまだ8日目。急いで帰ってもたった2週間。フェリペ王太子に「目が覚めた」と報告するのは良いが、一足飛びの結婚報告はフェリペが何と言い出すか判らない。
「ダメですよ!そう言うのはちゃんと殿下に!」
「なんでアイツにいちいち俺の家族計画を承認してもらわなきゃなんねぇんだよ」
「ローレンスさんじゃなくてですね!シンシア様ですよ!!」
「結婚します」
<< へっ?! >>
やはり同じ動作になるローレンスと魔導士。
そんな2人にシンシアは「ローレンスと結婚する」とハッキリ口にした。
魔導士は慌てた。こんなオッサンの何処が良い?!という私情はさておいても、唐突過ぎる。何よりデレデレしながら「結婚しとく?」とアピールをしていたローレンスが驚き過ぎて硬直しているではないか。
「あのぅ…気の迷いとか錯乱状態とか、誰かに魂を乗っ取られてるとか?」
「いいえ。わたくし、シンシア・エバブとしての気持ちです」
「待ってください?(声が上ずる)」
「何か?」
「えぇっと彼を以前から知っていたとか、何かお付き合いがあったとか?」
「王都からここまで楽しいお話は沢山して頂きましたが、初見です」
魔導士はチラリとローレンスに視線を移す。「硬直したまま」だった。
さて、とシンシアに向き直る。
「良くお考え下さいね?10歳以上年が離れた36歳の男なんて面倒なだけですよ?」
「その面倒さを知らないので」
「男って30、いや35とか、特に40代になると独特の臭いがするんですよ?」
「加齢臭ですよね。父がそうでした」
「そんな軽い…でもですね?ここは王都から離れ――」
「いいんです。王都には何の思い入れもありませんし…何より…」
「何より?」
魔導士はシンシアの微笑にゾクッと背中に冷たく凍った鉄の棒を押し当てられたような衝撃を受けた。
「わたくしにとって前の家族も知り合いも・・・用はないんです(にこり)」
「用はないって…でも殿下は――」
「その王太子殿下もわたくしには不要です。目が覚めるまでの過去はもう要らないんです」
「だからと言って、ローレンスさんは初見なんでしょう?危険とか思わないんですか?」
「思いますよ?でも、彼は一貫してる。少なくとも誰かを利用とする下心はないと思えるんです」
違う意味の下心ならあるかも?と、この魔導士もいつぞやのフェリペ&従者と同じくローレンスの一点に視線を移した。
覚醒したローレンス。魔導士に一言告げた。
「ノーマル状態だ。寝た子の爆睡がコレッ!!」
――それで?!エェェッ?!――
魔導士は世の中には「規格外」があるのだと悟った。
スープの次は竈にペタっとくっつけて焼いたパンをローレンスは千切ってシンシアの口元に持って行く。どうやらローレンスにはシンシアの微細な動きは見えていないらしい。
小さくフルフルと首を横に振り、腕をあげようとしているのだろうか。右手が僅かに浮くがパタっと力なく落ちる。
――ここは私がボートを出して助けねば!――
魔導士はコホンと咳ばらいを一つすると、ローレンスの隣に向かった。
「やっぱ目を覚ましてた。見てくれよ。スープも美味いってよ」
「ローレンスさん、女性に対して失礼でしょうに!」
「え?だって美味そうに飲んでるけど?」
「判ります。いい香りがしてますからね。でも矢継ぎ早に口元に運んだら何も言えないでしょう?」
「そんなにペースが速かったかな?」
汁だけが器に半分ほどになり、具がゴロゴロと姿を現している。
ローレンスに悪気はないのだ。嬉しさが勝ってしまっただけ。
「シンシア様、ご気分はどうですか?」
「特に変わりありません」
魔導士の問いかけにシンシアが言葉を発した。
片手に器、片手にスプーンを持っていなかったらローレンスは両手で口元を覆っただろう。
「喋った…喋ったぞ…俺にも判る言葉で…」
「当たり前でしょう?私と彼女は共通の言語です。勿論ローレンスさんもね!」
「それがさ!この国に来た時の先生がさ、訛りって言うか古い話し方の先生だったんだよ。でな?その先生が「です」って言葉の後ろにつけるだろ?それをさ「でっしゅ」って何をどぉぉぉやっても聞こえるわけ。だからさぁ、てっき――」
「ローレンスさん、黙ってください」
「え?俺、そんなに声がデカかった?そんなにデカい声を出してたつも――」
「音量もなんですが、取り敢えず長さです」
「長さ?!長さと言ったか?そこもなのか?!」
何かを言うたびに言葉が多いローレンス。魔導士に「声もデカけりゃ話が長いんだよ!」と諭されてしまった。
「ですが、楽しいお話ばかりでしたのよ?」
<< フェッ?! >>
ローレンスと魔導士は同時にシンシアの方を向いた。
クワっと見開いた目の2人の行動が同じ。シンシアはくすくすと笑ったのだが通常は口元を隠して行う笑い。
――あ、隠されてた口元ってこうなってたんだ――
手品のネタを知った時のような、素直な感嘆「へぇ~」と男性としての「可愛いじゃん」が一緒になった魔導士。ローレンスはムッとして尻でボン!魔導士を突いた。
「うわっ!危ないじゃないですか!」
「鼻の下を伸ばしてる暇があるなら殿下に報告しろや。いや、直接伝えに走った方が良いんじゃねぇかぁ?お前の足ならリクガメの方が早いかもだけどなぁ?」
「へー。鼻の下伸ばしてるのどっちですかね。30を超えた寡男の嫉妬。あ~ヤダヤダ。気持ち悪ぅぅい」
「嫉妬?バカ言うな。これは俺が任された任務なんだよ。判る?に・ん・むッ!!だから俺に独占欲がある」
「それを言うなら権利っ!独占欲なんてまさに今!丸出しじゃないですか。あれ?もしかして願望?違いますよねー。欲望が出ちゃっただけですよねー??」
「キィィー!!言い間違っただけだ!ホント、予備軍は小せぇな!!俺の重箱を持ち上げてどうすんだよ!」
「重箱の隅はつつくんですよ!ツンツーン!ってね!持ち上げるのは「ヨイショ」、取るのが揚げ足ですよぅ??あれぇ?おやおやぁ?将校なのに知らなかった?まさか?!知らなかったとかぁ??」
ローレンスと魔導士は気が付かない。子供のように言い合いを始めた2人を「くすくす」と可愛く笑っていたシンシアの肩は大きく上下に動いて「くっくっく」「くくっ!」時に「グフっ!」っとお淑やかなど何処へやら。本気で笑っている事に。
だが、如何せん。体力不足。日頃から貴族令嬢はそんなに鍛えているわけではないが、かつてのウィンストンもそうだったように、寝たきり期間の筋力の衰えは当然ある。
笑うのも結構体力を使うので、笑い過ぎてそのまま横にコテンと倒れてしまった。
<< わぁぁ!!(驚) >>
「大丈夫…ゼェゼェ…少し体力がないので…起こして頂けますか」
「もちろ――」
「お前は殿下に報告だろ!世話は俺なの!お~れっ!オゥレッ!!」
ローレンスは魔導士の首根っこを抓んで追いやるとシンシアをグッと抱き起した。
「勝った」と言わんばかりにニヤっと魔導士に向けてWINNERスマイル。「くっ!」魔導士は負けを認め悔し気に顔を背けた。
「面倒だよな。もう結婚でもしとくか?」
「結婚?」
――結婚って面倒だからって言う選択肢もあったんだ――
ローレンスの腕の中。シンシアには新しい発見。
「そ、結婚。今なら先着1名様が俺枠で空いてるんだ。特典はだな、先ず嫌な事はしなくていいだろ。そんで飯は俺が作るしさ、あ、俺、結構料理とか掃除って好きなんだよ。間違うなよ?得意じゃなくて好きって事だからな?完璧を求めちゃいけないんだぜ??で、後は…まぁ射撃は得意だけど、残念っ!これは本当に残念なんだけどさ、銃剣がないんだよな~。見せられなくて残念過ぎるなぁ~アハハ」
自己アピールを始めるローレンス。やっぱり話が長い。
今回に限り話が長いのは「どうでもいい」
それよりも問題がある。
王都を発ってまだ8日目。急いで帰ってもたった2週間。フェリペ王太子に「目が覚めた」と報告するのは良いが、一足飛びの結婚報告はフェリペが何と言い出すか判らない。
「ダメですよ!そう言うのはちゃんと殿下に!」
「なんでアイツにいちいち俺の家族計画を承認してもらわなきゃなんねぇんだよ」
「ローレンスさんじゃなくてですね!シンシア様ですよ!!」
「結婚します」
<< へっ?! >>
やはり同じ動作になるローレンスと魔導士。
そんな2人にシンシアは「ローレンスと結婚する」とハッキリ口にした。
魔導士は慌てた。こんなオッサンの何処が良い?!という私情はさておいても、唐突過ぎる。何よりデレデレしながら「結婚しとく?」とアピールをしていたローレンスが驚き過ぎて硬直しているではないか。
「あのぅ…気の迷いとか錯乱状態とか、誰かに魂を乗っ取られてるとか?」
「いいえ。わたくし、シンシア・エバブとしての気持ちです」
「待ってください?(声が上ずる)」
「何か?」
「えぇっと彼を以前から知っていたとか、何かお付き合いがあったとか?」
「王都からここまで楽しいお話は沢山して頂きましたが、初見です」
魔導士はチラリとローレンスに視線を移す。「硬直したまま」だった。
さて、とシンシアに向き直る。
「良くお考え下さいね?10歳以上年が離れた36歳の男なんて面倒なだけですよ?」
「その面倒さを知らないので」
「男って30、いや35とか、特に40代になると独特の臭いがするんですよ?」
「加齢臭ですよね。父がそうでした」
「そんな軽い…でもですね?ここは王都から離れ――」
「いいんです。王都には何の思い入れもありませんし…何より…」
「何より?」
魔導士はシンシアの微笑にゾクッと背中に冷たく凍った鉄の棒を押し当てられたような衝撃を受けた。
「わたくしにとって前の家族も知り合いも・・・用はないんです(にこり)」
「用はないって…でも殿下は――」
「その王太子殿下もわたくしには不要です。目が覚めるまでの過去はもう要らないんです」
「だからと言って、ローレンスさんは初見なんでしょう?危険とか思わないんですか?」
「思いますよ?でも、彼は一貫してる。少なくとも誰かを利用とする下心はないと思えるんです」
違う意味の下心ならあるかも?と、この魔導士もいつぞやのフェリペ&従者と同じくローレンスの一点に視線を移した。
覚醒したローレンス。魔導士に一言告げた。
「ノーマル状態だ。寝た子の爆睡がコレッ!!」
――それで?!エェェッ?!――
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