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本編
第19話 エリカとの愛
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「お待ちしておりましたよ。殿下は必ず来られると思いました」
既にカサエルは公爵となっており、人払いをしたのか屋敷には使用人の気配も感じられなかった。
「どうぞ、こちらに」
カサエルに先導されて連れて行かれたのは公爵家の者しか訪れない筈の区画にある部屋だったが、エドゥアールは歩みを進める度に手の平に汗がじっとりと纏わりつくのを感じた。
訪れたはずがないのに知っているのだ。
施錠が数字を合わせる扉の鍵。頭の中にその数字が浮かぶ。
「右に2回転で4、左に3回転させて12、そしてまた右に・・・7」
「覚えておられましたか」
「違う!さっき‥‥頭に浮かんだんだ・・・」
「でしょうね。この部屋は殿下とエリカが何度も愛を交わした部屋ですから」
「そんな事はしていない!」
「今回はね。さぁ、どうぞ。愛しいエリカもご用意致しました」
カサエルが扉を開けるとほぼ裸と言ってよいエリカが両手を広げてエドゥアールに抱き着いて来た。12歳とは言え間もなく13歳になるエドゥアールは同年代の子息からすれば上背はあるが肉はそれほどついておらず、飛びついて来たエリカに足を踏ん張らねば転んでしまっただろう。
同時に思い出したくもないのに、エリカへの気持ちが胸の奥に溢れて来た。ずっと忘れていた、いや知っていたのに知らない振りをしてきた感情が口を突いて出た。
「エリー!会いたかった!愛しているッ」
「判ってるってぇ。でも・・・今回は小さなリックね」
口付けなど交わした事も無かったのに体が覚えているとはこの事だろうか。
「もう離さない。ずっと一緒だ。エリー!」
「えへへ。リックはまだお子ちゃまだから今度は長くいられるね。見て?エリたんも15歳なんだよ?信じられる?前は23歳だったのに15歳だよ!」
エドゥアールはエリカを見て全てを思い出した。
守るべきは、愛するべきはティナベルではなくエリカ。
エリカの頬に指が触れればビリビリと全身を血が波打つように駆け抜けていく。
エリカの息も全て吸い付くす熱い愛を交わした後、呆れるカサエルに目を向けた。
「だが…どうして・・・」
「言ったでしょう?時が戻ったのですよ」
エリカがティナベルとして表舞台に立つ。
裏方に徹する筈だったティナベルはカサエルが囲う予定だった。ティナベルの執務に常時ついていたカサエルは度の過ぎた加虐趣味があり、矜持の強い女性を従わせ、屈服させる事に快感を覚える変態だった。
お互いの利害が一致したカサエルとエドゥアールだったが、エリカとの生活を1日でも早く始めたかったエドゥアールの完全な独断専行。
カサエルが駆け付けた時はもうティナベルが儚くなった後だった。
『どうして殿下を止めなかった!』
カサエルはリシャールに詰め寄ったが、リシャールは何も答えなかった。
その後、カサエルとエドゥアール、エリカは逃亡を図ったが王弟に密告し寝返ったリシャールにより3人は逃げ場を失った。
追い詰められた3人が行きついたのは先王が粗相をし民衆が大迷惑を被る羽目になったあの湖だった。
『あぁーっ!ここっ!ここよ!』
『どうしたんだ?エリー』
『気がついたらここに居たんだってば。スマホは水没してるしさぁホンット最悪~』
『と、言う事はこの湖と・・・エリカのいた世界が繋がっているのか?』
『そんなの知らないし。制服もビッショビショでぇ。乾いても臭かったんだからぁ』
不貞腐れるエリカだったが、カサエルは見逃さなかった。
湖の水にエリカが触れるとその部分だけが淡く光る。
『フハハハっこんなところに出口いや…入り口があったとは!』
『カサエル、何を言ってるんだ』
『殿下、神は我々に味方をしてくれたのです。エリカのいた世界に行きましょう』
『バカな!溺死してしまうぞ!』
『そうよ!エリたん泳げないし!』
『大丈夫ですよ。だってほら、エリカの触れた水が光っているでしょう』
『わっ!ホントだ・・・見て?エリたんの触ったところ・・・光ってる』
『行きますよ』
『やだやだ!行きたくない!光るのはいいけど泳げないんだってば!』
抵抗するエリカの手を引き、カサエルは湖の中に入っていく。
『やだぁ!!戻るぅ!戻るのぉぉ!!戻ってよぉ!!』
エリカの叫びに辺りがブワっと光に包まれ、3人が気が付いたのはティナベルの時が戻るさらに2年前だった。
年齢で言えば現在より7年前となる。
カサエルは15歳、エドゥアールは5歳、エリカは8歳まで戻った。
エリカはだぼだぼの制服姿で農夫に発見をされ、3年を農夫の娘として過ごしたが行商で王都に来た時にアーグセット公爵家を訪れカサエルを訪ねた。
カサエルは目覚めた時からティナベルと同じく全てを覚えており、直ぐにエリカを保護した。と、言っても15歳。金を用立て市井で目立たないように暮らせとエリカに命じていた。
まだ親の保護下にあり、自由には動けなかったからである。
カサエルは自身とエリカ、そしてエドゥアールとリシャール、ティナベルを比較した。
もしやという仮説に自信を持ったのはティナベルの行動を知ってからだった。
既にカサエルは公爵となっており、人払いをしたのか屋敷には使用人の気配も感じられなかった。
「どうぞ、こちらに」
カサエルに先導されて連れて行かれたのは公爵家の者しか訪れない筈の区画にある部屋だったが、エドゥアールは歩みを進める度に手の平に汗がじっとりと纏わりつくのを感じた。
訪れたはずがないのに知っているのだ。
施錠が数字を合わせる扉の鍵。頭の中にその数字が浮かぶ。
「右に2回転で4、左に3回転させて12、そしてまた右に・・・7」
「覚えておられましたか」
「違う!さっき‥‥頭に浮かんだんだ・・・」
「でしょうね。この部屋は殿下とエリカが何度も愛を交わした部屋ですから」
「そんな事はしていない!」
「今回はね。さぁ、どうぞ。愛しいエリカもご用意致しました」
カサエルが扉を開けるとほぼ裸と言ってよいエリカが両手を広げてエドゥアールに抱き着いて来た。12歳とは言え間もなく13歳になるエドゥアールは同年代の子息からすれば上背はあるが肉はそれほどついておらず、飛びついて来たエリカに足を踏ん張らねば転んでしまっただろう。
同時に思い出したくもないのに、エリカへの気持ちが胸の奥に溢れて来た。ずっと忘れていた、いや知っていたのに知らない振りをしてきた感情が口を突いて出た。
「エリー!会いたかった!愛しているッ」
「判ってるってぇ。でも・・・今回は小さなリックね」
口付けなど交わした事も無かったのに体が覚えているとはこの事だろうか。
「もう離さない。ずっと一緒だ。エリー!」
「えへへ。リックはまだお子ちゃまだから今度は長くいられるね。見て?エリたんも15歳なんだよ?信じられる?前は23歳だったのに15歳だよ!」
エドゥアールはエリカを見て全てを思い出した。
守るべきは、愛するべきはティナベルではなくエリカ。
エリカの頬に指が触れればビリビリと全身を血が波打つように駆け抜けていく。
エリカの息も全て吸い付くす熱い愛を交わした後、呆れるカサエルに目を向けた。
「だが…どうして・・・」
「言ったでしょう?時が戻ったのですよ」
エリカがティナベルとして表舞台に立つ。
裏方に徹する筈だったティナベルはカサエルが囲う予定だった。ティナベルの執務に常時ついていたカサエルは度の過ぎた加虐趣味があり、矜持の強い女性を従わせ、屈服させる事に快感を覚える変態だった。
お互いの利害が一致したカサエルとエドゥアールだったが、エリカとの生活を1日でも早く始めたかったエドゥアールの完全な独断専行。
カサエルが駆け付けた時はもうティナベルが儚くなった後だった。
『どうして殿下を止めなかった!』
カサエルはリシャールに詰め寄ったが、リシャールは何も答えなかった。
その後、カサエルとエドゥアール、エリカは逃亡を図ったが王弟に密告し寝返ったリシャールにより3人は逃げ場を失った。
追い詰められた3人が行きついたのは先王が粗相をし民衆が大迷惑を被る羽目になったあの湖だった。
『あぁーっ!ここっ!ここよ!』
『どうしたんだ?エリー』
『気がついたらここに居たんだってば。スマホは水没してるしさぁホンット最悪~』
『と、言う事はこの湖と・・・エリカのいた世界が繋がっているのか?』
『そんなの知らないし。制服もビッショビショでぇ。乾いても臭かったんだからぁ』
不貞腐れるエリカだったが、カサエルは見逃さなかった。
湖の水にエリカが触れるとその部分だけが淡く光る。
『フハハハっこんなところに出口いや…入り口があったとは!』
『カサエル、何を言ってるんだ』
『殿下、神は我々に味方をしてくれたのです。エリカのいた世界に行きましょう』
『バカな!溺死してしまうぞ!』
『そうよ!エリたん泳げないし!』
『大丈夫ですよ。だってほら、エリカの触れた水が光っているでしょう』
『わっ!ホントだ・・・見て?エリたんの触ったところ・・・光ってる』
『行きますよ』
『やだやだ!行きたくない!光るのはいいけど泳げないんだってば!』
抵抗するエリカの手を引き、カサエルは湖の中に入っていく。
『やだぁ!!戻るぅ!戻るのぉぉ!!戻ってよぉ!!』
エリカの叫びに辺りがブワっと光に包まれ、3人が気が付いたのはティナベルの時が戻るさらに2年前だった。
年齢で言えば現在より7年前となる。
カサエルは15歳、エドゥアールは5歳、エリカは8歳まで戻った。
エリカはだぼだぼの制服姿で農夫に発見をされ、3年を農夫の娘として過ごしたが行商で王都に来た時にアーグセット公爵家を訪れカサエルを訪ねた。
カサエルは目覚めた時からティナベルと同じく全てを覚えており、直ぐにエリカを保護した。と、言っても15歳。金を用立て市井で目立たないように暮らせとエリカに命じていた。
まだ親の保護下にあり、自由には動けなかったからである。
カサエルは自身とエリカ、そしてエドゥアールとリシャール、ティナベルを比較した。
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