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本編
第25話 はっ!話せは解るッ!
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「もぉ~つまんない。お出掛けし~たぁ~いぃぃ~」
頬を膨らませ、寝台の上で枕をバンバン打ち付けるエリカをカサエルはもう一度体の下に組み敷いた。
「またぁ?もう何度目ぇ?痛くなっちゃうよ」
「いいじゃないか。子供相手だと出来ない楽しみだろう?」
「それもそうね!」
既に公爵家を継いでいるカサエルは財を多く持つ未婚男性として令嬢からターゲットにされている。
エリカに欲を吐き出すために突き上げる。
その度にエリカの口からは大げさな嬌声が漏れる。
カサエルとしては萎えてしまいそうな嬌声だが、その辺の令嬢に手を出してしまって婚約しろだの結婚しろと迫られても面倒だし娼婦は関係の後腐れはないが病気の心配がある。
令嬢を相手にしても娼婦を相手にしても何より金がかかる。
女に金を掛ける事ほど馬鹿らしいことはないと考えるカサエルにとってエリカは都合が良いのだ。
エドゥアールは知らないが、1度目の人生でもエリカを抱いていたのはエドゥアールだけではない。「単調だしぃ。早いんだもん」とエリカはカサエルにも抱かれていた。
何も知らず自分だけだと愛に溺れるエドゥアールを見るのは滑稽で、執務に追われて苛つく気持ちもそんなエドゥアールを見ることで鎮める事も出来た。
だから気が付かなかった。
エリカの嬌声と腰を打ち付けることに集中してしまい、やってきたエドゥアールによって扉が開きその様子を見られてしまった事に。
短い吃音と共にエリカのナカに欲望を吐き出し、同時に息も吐いた所に花瓶が飛んで来た。
ゴツッ!! 「ウアッ!」
背中に当たった花瓶と寝台に散らばる水と花。
ハッと振り返ればそこにエドゥアールがいた。
「何をしてるんだ!!」
激昂するエドゥアールだったが、その場で堂々としていたのはエリカだった。
女性は開き直ると強いとも言うが、エリカの感じからすれば場慣れしているとも感じられた。
「何って。見てわかんない?いいよ?ヤる?」
「何を言ってるんだ!どうして僕がッ!カサエルの次なんだ!」
「あ~そこ。気にする人なんだ~。じゃ、明日にする?」
――そう言う問題か?――
聊かカサエルもエリカの発言には面食らった。
「金も払わないのに気にするトコがそこってウケるんだけど?ショートの時とか3番目?4番目?とかでも喜ぶオヤジいたしさ。あ~でも今日はF?って拘るのもいたな~」
カサエルは途端に全身が痒くなった。あっという間に蕁麻疹が噴き出る。
エリカの相手は前回はエドゥアールと自分だけ、今回は自分だけと思い込み「パパ活」という意味を年配の男性と食事をしたりデートをするだけで関係は持たないものだと考えていたのだ。
エリカ自身に「買い物したいのに?ないない。そんな時間ないし~」と残り少なくなった化粧品をチューブから絞り出す時に聞いて安心していたのに!
エリカも嘘はついていない。化粧品や服、遊びに行く時などホテルに行っていたら時間が無い。殆どは「コミ」というセットだったが中には病気や周囲にそういう場から出てくるところを見られたらと警戒し「清い」時間だけを望む客もいた。化粧品を買いに行く時のことを聞かれてその日はシテないのだから嘘ではない。
「どうでもいい…離れろ!」
「もぉ~そんなに怒んないのぉ。とっくに離れてるし。ねっ?」
――同意を求めるな!同意をッ!そういう意味じゃない!――
剣を向けるエドゥアールに体だけでなく心まで縮こまるカサエルだったが、エリカは堂々としたもので生まれたままの姿で「洗ってきまーす」と湯殿に向かった。
「どう言う事なんだ。随分と慣れているんだな」
「殿下、話せば解ります。剣を仕舞ってください」
見た目は12歳でも中身はもう20歳の男性。2人が何をしていたかも判るし、体躯は細身だと言っても王子。剣の腕前はカサエル以上で、素っ裸のカサエルに向けられるのは本物の剣。
カッとなれば見境が無いのは1度目と同じ。その1度目でティナベルは人生を絶たれた。
剣を振り下ろせば味方がいなくなるなど頭に血が上ったエドゥアールが考えるはずもない。
裸のままで床に座らされたカサエルの肌に剣先を走らせるとツツーっと赤い糸が肌を伝っていく。
「初めてではないな。カサエル」
今回の人生ではまだ口付けしか交わしていないエリカを汚された怒りもあるが、エドゥアールの怒りの矛先が向くのエリカを汚したカサエルだけでなく、エリカにも向いていた。
絶対ではないが王妃となれば貞操観念は求められる。
前回は既に関係を持ってしまったが、今回は破瓜の証も扉の前に掲げることができる。
そうなれば出来が悪く、力が時戻りしかなくとも誰もが認めざるを得ない存在になれると言うのにあっさりと手放してしまったエリカにも怒りが向いてしまう。
「えへっ。プレゼントっ♡」
「ばっ!やめろ!」
カサエルの言葉と同時にエリカは体を洗う時に体内から出て来た白い塊を指先に乗せて、ひょっこりとエドゥアールの顔を覗き込むように体を傾けたかと思うとその指先をエドゥアールの口の中に入れた。
「ギャァァっ!!」
叫び声と共にエリカの体が横向きに倒れた。振り払うような動きのままにエドゥアールはポンメルをエリカの顔に叩きこんだのだ。
――ダメだ!終わった!――
エリカに手を挙げるとなればもうカサエルにエドゥアールを止める手段はない。
ギュッと目を閉じたのだがその後の衝撃はカサエルを襲ってこなかった。
恐る恐る目を開けるとゆったりと椅子に腰を下ろし足を組んだエドゥアールが見下ろしていた。
★~★
次回、変態が出ます。
え?もう出てる??うーん…でも、出ます。多分。(;^_^A
頬を膨らませ、寝台の上で枕をバンバン打ち付けるエリカをカサエルはもう一度体の下に組み敷いた。
「またぁ?もう何度目ぇ?痛くなっちゃうよ」
「いいじゃないか。子供相手だと出来ない楽しみだろう?」
「それもそうね!」
既に公爵家を継いでいるカサエルは財を多く持つ未婚男性として令嬢からターゲットにされている。
エリカに欲を吐き出すために突き上げる。
その度にエリカの口からは大げさな嬌声が漏れる。
カサエルとしては萎えてしまいそうな嬌声だが、その辺の令嬢に手を出してしまって婚約しろだの結婚しろと迫られても面倒だし娼婦は関係の後腐れはないが病気の心配がある。
令嬢を相手にしても娼婦を相手にしても何より金がかかる。
女に金を掛ける事ほど馬鹿らしいことはないと考えるカサエルにとってエリカは都合が良いのだ。
エドゥアールは知らないが、1度目の人生でもエリカを抱いていたのはエドゥアールだけではない。「単調だしぃ。早いんだもん」とエリカはカサエルにも抱かれていた。
何も知らず自分だけだと愛に溺れるエドゥアールを見るのは滑稽で、執務に追われて苛つく気持ちもそんなエドゥアールを見ることで鎮める事も出来た。
だから気が付かなかった。
エリカの嬌声と腰を打ち付けることに集中してしまい、やってきたエドゥアールによって扉が開きその様子を見られてしまった事に。
短い吃音と共にエリカのナカに欲望を吐き出し、同時に息も吐いた所に花瓶が飛んで来た。
ゴツッ!! 「ウアッ!」
背中に当たった花瓶と寝台に散らばる水と花。
ハッと振り返ればそこにエドゥアールがいた。
「何をしてるんだ!!」
激昂するエドゥアールだったが、その場で堂々としていたのはエリカだった。
女性は開き直ると強いとも言うが、エリカの感じからすれば場慣れしているとも感じられた。
「何って。見てわかんない?いいよ?ヤる?」
「何を言ってるんだ!どうして僕がッ!カサエルの次なんだ!」
「あ~そこ。気にする人なんだ~。じゃ、明日にする?」
――そう言う問題か?――
聊かカサエルもエリカの発言には面食らった。
「金も払わないのに気にするトコがそこってウケるんだけど?ショートの時とか3番目?4番目?とかでも喜ぶオヤジいたしさ。あ~でも今日はF?って拘るのもいたな~」
カサエルは途端に全身が痒くなった。あっという間に蕁麻疹が噴き出る。
エリカの相手は前回はエドゥアールと自分だけ、今回は自分だけと思い込み「パパ活」という意味を年配の男性と食事をしたりデートをするだけで関係は持たないものだと考えていたのだ。
エリカ自身に「買い物したいのに?ないない。そんな時間ないし~」と残り少なくなった化粧品をチューブから絞り出す時に聞いて安心していたのに!
エリカも嘘はついていない。化粧品や服、遊びに行く時などホテルに行っていたら時間が無い。殆どは「コミ」というセットだったが中には病気や周囲にそういう場から出てくるところを見られたらと警戒し「清い」時間だけを望む客もいた。化粧品を買いに行く時のことを聞かれてその日はシテないのだから嘘ではない。
「どうでもいい…離れろ!」
「もぉ~そんなに怒んないのぉ。とっくに離れてるし。ねっ?」
――同意を求めるな!同意をッ!そういう意味じゃない!――
剣を向けるエドゥアールに体だけでなく心まで縮こまるカサエルだったが、エリカは堂々としたもので生まれたままの姿で「洗ってきまーす」と湯殿に向かった。
「どう言う事なんだ。随分と慣れているんだな」
「殿下、話せば解ります。剣を仕舞ってください」
見た目は12歳でも中身はもう20歳の男性。2人が何をしていたかも判るし、体躯は細身だと言っても王子。剣の腕前はカサエル以上で、素っ裸のカサエルに向けられるのは本物の剣。
カッとなれば見境が無いのは1度目と同じ。その1度目でティナベルは人生を絶たれた。
剣を振り下ろせば味方がいなくなるなど頭に血が上ったエドゥアールが考えるはずもない。
裸のままで床に座らされたカサエルの肌に剣先を走らせるとツツーっと赤い糸が肌を伝っていく。
「初めてではないな。カサエル」
今回の人生ではまだ口付けしか交わしていないエリカを汚された怒りもあるが、エドゥアールの怒りの矛先が向くのエリカを汚したカサエルだけでなく、エリカにも向いていた。
絶対ではないが王妃となれば貞操観念は求められる。
前回は既に関係を持ってしまったが、今回は破瓜の証も扉の前に掲げることができる。
そうなれば出来が悪く、力が時戻りしかなくとも誰もが認めざるを得ない存在になれると言うのにあっさりと手放してしまったエリカにも怒りが向いてしまう。
「えへっ。プレゼントっ♡」
「ばっ!やめろ!」
カサエルの言葉と同時にエリカは体を洗う時に体内から出て来た白い塊を指先に乗せて、ひょっこりとエドゥアールの顔を覗き込むように体を傾けたかと思うとその指先をエドゥアールの口の中に入れた。
「ギャァァっ!!」
叫び声と共にエリカの体が横向きに倒れた。振り払うような動きのままにエドゥアールはポンメルをエリカの顔に叩きこんだのだ。
――ダメだ!終わった!――
エリカに手を挙げるとなればもうカサエルにエドゥアールを止める手段はない。
ギュッと目を閉じたのだがその後の衝撃はカサエルを襲ってこなかった。
恐る恐る目を開けるとゆったりと椅子に腰を下ろし足を組んだエドゥアールが見下ろしていた。
★~★
次回、変態が出ます。
え?もう出てる??うーん…でも、出ます。多分。(;^_^A
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