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第07話 まるで異世界
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「なんだと?またか?」
「はい」
正門が開くと門番からは門番の詰め所から庭の木々を橋渡しにしたロープが引かれ、屋敷には「来客アリ」の呼び鈴が鳴らされる。
その音が鳴るたびにロバートはアリッサとイチャコラするのを止めて、身だしなみをチェックし誰が来たのかを伝える従者を待つ。
しかし、ここ2週間。
実際にロバートに会うためにやって来た客は2人。
呼び鈴は午前10時頃から多い時で1時間に2回、少ない時でも1時間に1回はリンリンリリンと鳴るのだが、その度にロバートはアリッサとイイトコロまででお預けを食らってしまっていた。
今回も待てど暮らせどやってこない来客を従者も玄関とロバートの部屋を行ったり来たり。
「あの。旦那様」
「なんだ」
「多分…客はナンチャッテ奥様を訪ねているのではないかと」
「当たり前だ!屋敷に来て私以外に誰に会うというのだ」
「そうなんですけど…こうも頻繁になると旦那様も大変ですし」
従者はさりげなく「こっちの身にもなれよ!」そんな意味合いを多分に含んでいるのにロバート様も困りますよね?とロバートが大変な事にして、どうにかしてくれないかと申し出た。
ロバートも解っている。
最初の3日は完全な空振り。それはそうだろう。大体的に挙式はしていなくてもロバートが爵位を継いだという事は結婚をしたという事なので、新婚さんのお宅にお邪魔するのはどうかなーっと見合わせるもの。
貴族を真似て平民の家の玄関にはドアベルを設置する者もいるが、チリンチリンダッシュというドアベルを鳴らしてダッシュで逃げる子供がいて取り外す家も多い。
ロバートも門番の詰所から引っ張っているロープを切ってやろうか!何度思った事か。
しかし、これがないとなるとこれまた困る。
本当に来客があったりした時に客が門道を通っている間に迎える準備をするので、来客が来たか判らないと客を応接室にも通さずに立ったまま待たせてしまう事になる。
ロバートもティニャと話し合おうと思ったのだ。
しかし術がない。
婚姻中にお互いのする事には口出しをしない、そんな項目があるのと物理的にティニャの住まう区画には庭を通ってでしか行く手段がない。
庭を通って近くまで行ってみたけれど、窓は全て閉じられていて中に人はいるようないないような。
あまり近づくことも出来なくて退散をして来たこともあった。
「すまないが先触れを出してくれないか」
「先触れですか?奥様なのに?」
従者はまるで昔見習い時代に読んだ異国の為政者が妻に会うのに「今日行きます」と事前連絡が必要だった記述のようだなと冷めた目でロバートを見た。
「仕方ないだろう!そういう約束なんだ」
「解りました。で?先触れの内容はどうされます?」
「婚姻中の契約を見直ししたい、その件だと伝えろ。必ず会う日時を聞いて来るんだ」
「承知いたしました」
従者は早速先触れを届けに向かった。
いそいそと庭の小道を逸れて植え込みの間を縫うように歩くとテラスでメイドたちとキャッキャ楽しく茶を嗜む一団が見えた。
(いいなぁ。就業時間中なのに茶菓子付きでお茶タイムかぁ)
同じ敷地の中なのにまるで異世界。
従者は溜息を吐いた。
「はい」
正門が開くと門番からは門番の詰め所から庭の木々を橋渡しにしたロープが引かれ、屋敷には「来客アリ」の呼び鈴が鳴らされる。
その音が鳴るたびにロバートはアリッサとイチャコラするのを止めて、身だしなみをチェックし誰が来たのかを伝える従者を待つ。
しかし、ここ2週間。
実際にロバートに会うためにやって来た客は2人。
呼び鈴は午前10時頃から多い時で1時間に2回、少ない時でも1時間に1回はリンリンリリンと鳴るのだが、その度にロバートはアリッサとイイトコロまででお預けを食らってしまっていた。
今回も待てど暮らせどやってこない来客を従者も玄関とロバートの部屋を行ったり来たり。
「あの。旦那様」
「なんだ」
「多分…客はナンチャッテ奥様を訪ねているのではないかと」
「当たり前だ!屋敷に来て私以外に誰に会うというのだ」
「そうなんですけど…こうも頻繁になると旦那様も大変ですし」
従者はさりげなく「こっちの身にもなれよ!」そんな意味合いを多分に含んでいるのにロバート様も困りますよね?とロバートが大変な事にして、どうにかしてくれないかと申し出た。
ロバートも解っている。
最初の3日は完全な空振り。それはそうだろう。大体的に挙式はしていなくてもロバートが爵位を継いだという事は結婚をしたという事なので、新婚さんのお宅にお邪魔するのはどうかなーっと見合わせるもの。
貴族を真似て平民の家の玄関にはドアベルを設置する者もいるが、チリンチリンダッシュというドアベルを鳴らしてダッシュで逃げる子供がいて取り外す家も多い。
ロバートも門番の詰所から引っ張っているロープを切ってやろうか!何度思った事か。
しかし、これがないとなるとこれまた困る。
本当に来客があったりした時に客が門道を通っている間に迎える準備をするので、来客が来たか判らないと客を応接室にも通さずに立ったまま待たせてしまう事になる。
ロバートもティニャと話し合おうと思ったのだ。
しかし術がない。
婚姻中にお互いのする事には口出しをしない、そんな項目があるのと物理的にティニャの住まう区画には庭を通ってでしか行く手段がない。
庭を通って近くまで行ってみたけれど、窓は全て閉じられていて中に人はいるようないないような。
あまり近づくことも出来なくて退散をして来たこともあった。
「すまないが先触れを出してくれないか」
「先触れですか?奥様なのに?」
従者はまるで昔見習い時代に読んだ異国の為政者が妻に会うのに「今日行きます」と事前連絡が必要だった記述のようだなと冷めた目でロバートを見た。
「仕方ないだろう!そういう約束なんだ」
「解りました。で?先触れの内容はどうされます?」
「婚姻中の契約を見直ししたい、その件だと伝えろ。必ず会う日時を聞いて来るんだ」
「承知いたしました」
従者は早速先触れを届けに向かった。
いそいそと庭の小道を逸れて植え込みの間を縫うように歩くとテラスでメイドたちとキャッキャ楽しく茶を嗜む一団が見えた。
(いいなぁ。就業時間中なのに茶菓子付きでお茶タイムかぁ)
同じ敷地の中なのにまるで異世界。
従者は溜息を吐いた。
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