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第00話 プロローグ
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「痛ったぁぁい!!」
「お嬢様!大丈夫で御座いますか?!」
帰宅したばかりのへリンの叫びと侍女の声が部屋に響き渡る。
へリンは目から火花が飛び散り、その場に蹲った。
帝国王女殿下と色違い、お値段そのままのテーブルの脚に自分の足の小指を思い切りぶつけてしまった。
一昨日届いたばかりのテーブルは特殊な脚の形をしていて、それまで使用し慣れ親しんだテーブルの足よりほんの僅か。距離にして2センチほど幅を取っていた。
いつも通り歩いただけなのに足の小指をぶつけた。
――クゥッ!歩くのにこんな力を使っていたの?――
もう1段あると思った階段。
段がないのに踏み込んでしまった時の衝撃以上。
――この衝撃はプライスレスっ!お値段以上だわ――
ジンジンする足の小指。
見た目は変わらないがへリンの感覚ではボワンボワンと親指以上に小指が膨らんで縮んでを繰り返しているかのよう。
痛いのは足の小指だけではない。
へリンはそっと頬を包むように手のひらを頬に添えた。
すると。痛いからなのか、悲しいからなのか、いや悔しさを痛みとして感じているのか。
ポロポロと涙が溢れて止まらなくなった。
「お嬢様、そんなに痛いのですか?!直ぐにお医者様を!」
廊下に飛び出した侍女の声が遠くなる。
部屋で1人、へリンは数時間前を思い出し、ギュッと目を閉じて涙を溢した。
へリンには8歳になったばかりの頃に婚約者が出来た。
ゼスト公爵家のスカッドがお相手。
公爵家と子爵家。かなりの身分差のある婚約だが、当然理由がある。
資金難に陥ったゼスト公爵家に融資をする際に色々な制約をつけて有期限の婚約が結ばれた。
へリン8歳、スカッド10歳。
有期限の婚約というのは婚約をして10年目でこの婚約は白紙とすると決め事の1つに盛り込んでいた婚約だから。大人の事情での婚約は基本白紙に戻すとあるが、一番にヘリンの、次にスカッドの気持ちも考慮するとある。
政略で出会った2人だったが、お互いを思い合い、未来も共にと思いを1つにしていたのだが、へリンのデビュタントが終わった翌月、運命を変える出来事が起こった。
『リン。この人は母上の姉、つまり僕の伯母に当たる方の娘でスナーチェと言うんだ。年は僕と同じだから姉だと思って気軽にしてくれていいよ』
『スナーチェよ。カディの話の通り可愛い子だわ。よろしくね』
『へリンと申します。よろしくお願い致します』
其々両親も揃った場。ゼスト公爵家で開催される茶会で紹介をされ、気安く握手も交わしたスナーチェ。
スナーチェは暫く領地で暮らしていたのだが、ムウトン伯爵家の子息との婚約話が持ち上がり王都に戻ってきた。その婚約はつつがなく結ばれ、順調に結婚に向けて交際を続けており、スカッドとへリンもスナーチェに婚約者は紹介された。
2組で茶の席も設けて何度も交流をした事もある。
ただ、それはスカッドとスナーチェ以外には異様な光景に見えていた。
異常と言っても過言ではない。
浮気、不貞では無いと言い張るスカッドだが周囲はそう見ていなかった。
ゼスト公爵家でも問題だと考え、スカッドとスナーチェに厳しく諭した事が堪えたのか、ひとまずは改善の兆しを見せていた。
今日は「公爵夫妻も同席」だと聞いてへリンは侍女の付き添いを断って出掛けた。
頬の痛みは外傷の痛みとしては時間も経っており足の小指よりは感じない。
へリンはスカッドによって張られた頬に足の小指以上の痛みを心に感じた。
従者に医者を呼ぶように伝えた侍女は部屋に戻るとへリンの目の前にしゃがみ込んだ。
「お嬢様、そのお顔はどうされたのです?!」
「・・・」
「まさか…ゼスト公爵子息様に?・・・なんですか?」
「悪気はなかったと思うの・・・当たってしまっただけよ」
「そんな!悪気があるとかないとか!そんな問題ではありません。女性に手を挙げるなんて…しかもお嬢様はお一人でご帰宅でしたよねっ?!こんな事になるのならご一緒すべきでした!」
期限まであと1年となった婚約に侍女はギリリと奥歯を噛み締めた。
「旦那様にお話してこの婚約はもう白紙としては如何ですか?あまりにも誠意がなさ過ぎです」
自分の事のように涙ぐむ侍女と同じでへリンももう「限界」だと感じていた。
違和感を感じつつも婚約の白紙を父に言い出せなかったのは、8歳で出会う事になったスカッドに最初は兄を感じ、恋をしてしまったからだ。
へリンが15歳のデヴュタントをした時、父の後に踊ったのは婚約者のスカッド。デヴュタントの会場は王宮にある大ホールで、大きな窓からは手入れをされた庭が見える。
その庭には「ここでキスをすれば2人の愛は永遠」と噂されている噴水があり、へリンはスカッドに「婚約をしていても伝えておきたい」と噴水の前で求婚をされ、キスを交わした。
それももう遠い昔、いや、夢を見たのだと思ってしまう。
「そうね。お父様が戻られたらそうする。もう…いいかなぁって思うの」
「お嬢様っ!!」
力なく笑うヘリンを侍女がギュッと抱きしめる。
その夜、へリンは父親に静かに告げた。
「お父様、ゼスト公爵子息様との婚約。無かった事にしてください」
ヘリンの父、ボーン子爵は静かに頷き、婚約の白紙ではなく、婚約破棄とするとゼスト公爵家に使者を送った。
★~★
実はこのプロローグが内容紹介のようなものです。
前半のダイジェスト版?のようなものだとお考え下さい。
え?イリュージョンコーナーがない??
(ΦωΦ)フフフ…プロローグなので・・・明日へのお愉しみって事で♡
「お嬢様!大丈夫で御座いますか?!」
帰宅したばかりのへリンの叫びと侍女の声が部屋に響き渡る。
へリンは目から火花が飛び散り、その場に蹲った。
帝国王女殿下と色違い、お値段そのままのテーブルの脚に自分の足の小指を思い切りぶつけてしまった。
一昨日届いたばかりのテーブルは特殊な脚の形をしていて、それまで使用し慣れ親しんだテーブルの足よりほんの僅か。距離にして2センチほど幅を取っていた。
いつも通り歩いただけなのに足の小指をぶつけた。
――クゥッ!歩くのにこんな力を使っていたの?――
もう1段あると思った階段。
段がないのに踏み込んでしまった時の衝撃以上。
――この衝撃はプライスレスっ!お値段以上だわ――
ジンジンする足の小指。
見た目は変わらないがへリンの感覚ではボワンボワンと親指以上に小指が膨らんで縮んでを繰り返しているかのよう。
痛いのは足の小指だけではない。
へリンはそっと頬を包むように手のひらを頬に添えた。
すると。痛いからなのか、悲しいからなのか、いや悔しさを痛みとして感じているのか。
ポロポロと涙が溢れて止まらなくなった。
「お嬢様、そんなに痛いのですか?!直ぐにお医者様を!」
廊下に飛び出した侍女の声が遠くなる。
部屋で1人、へリンは数時間前を思い出し、ギュッと目を閉じて涙を溢した。
へリンには8歳になったばかりの頃に婚約者が出来た。
ゼスト公爵家のスカッドがお相手。
公爵家と子爵家。かなりの身分差のある婚約だが、当然理由がある。
資金難に陥ったゼスト公爵家に融資をする際に色々な制約をつけて有期限の婚約が結ばれた。
へリン8歳、スカッド10歳。
有期限の婚約というのは婚約をして10年目でこの婚約は白紙とすると決め事の1つに盛り込んでいた婚約だから。大人の事情での婚約は基本白紙に戻すとあるが、一番にヘリンの、次にスカッドの気持ちも考慮するとある。
政略で出会った2人だったが、お互いを思い合い、未来も共にと思いを1つにしていたのだが、へリンのデビュタントが終わった翌月、運命を変える出来事が起こった。
『リン。この人は母上の姉、つまり僕の伯母に当たる方の娘でスナーチェと言うんだ。年は僕と同じだから姉だと思って気軽にしてくれていいよ』
『スナーチェよ。カディの話の通り可愛い子だわ。よろしくね』
『へリンと申します。よろしくお願い致します』
其々両親も揃った場。ゼスト公爵家で開催される茶会で紹介をされ、気安く握手も交わしたスナーチェ。
スナーチェは暫く領地で暮らしていたのだが、ムウトン伯爵家の子息との婚約話が持ち上がり王都に戻ってきた。その婚約はつつがなく結ばれ、順調に結婚に向けて交際を続けており、スカッドとへリンもスナーチェに婚約者は紹介された。
2組で茶の席も設けて何度も交流をした事もある。
ただ、それはスカッドとスナーチェ以外には異様な光景に見えていた。
異常と言っても過言ではない。
浮気、不貞では無いと言い張るスカッドだが周囲はそう見ていなかった。
ゼスト公爵家でも問題だと考え、スカッドとスナーチェに厳しく諭した事が堪えたのか、ひとまずは改善の兆しを見せていた。
今日は「公爵夫妻も同席」だと聞いてへリンは侍女の付き添いを断って出掛けた。
頬の痛みは外傷の痛みとしては時間も経っており足の小指よりは感じない。
へリンはスカッドによって張られた頬に足の小指以上の痛みを心に感じた。
従者に医者を呼ぶように伝えた侍女は部屋に戻るとへリンの目の前にしゃがみ込んだ。
「お嬢様、そのお顔はどうされたのです?!」
「・・・」
「まさか…ゼスト公爵子息様に?・・・なんですか?」
「悪気はなかったと思うの・・・当たってしまっただけよ」
「そんな!悪気があるとかないとか!そんな問題ではありません。女性に手を挙げるなんて…しかもお嬢様はお一人でご帰宅でしたよねっ?!こんな事になるのならご一緒すべきでした!」
期限まであと1年となった婚約に侍女はギリリと奥歯を噛み締めた。
「旦那様にお話してこの婚約はもう白紙としては如何ですか?あまりにも誠意がなさ過ぎです」
自分の事のように涙ぐむ侍女と同じでへリンももう「限界」だと感じていた。
違和感を感じつつも婚約の白紙を父に言い出せなかったのは、8歳で出会う事になったスカッドに最初は兄を感じ、恋をしてしまったからだ。
へリンが15歳のデヴュタントをした時、父の後に踊ったのは婚約者のスカッド。デヴュタントの会場は王宮にある大ホールで、大きな窓からは手入れをされた庭が見える。
その庭には「ここでキスをすれば2人の愛は永遠」と噂されている噴水があり、へリンはスカッドに「婚約をしていても伝えておきたい」と噴水の前で求婚をされ、キスを交わした。
それももう遠い昔、いや、夢を見たのだと思ってしまう。
「そうね。お父様が戻られたらそうする。もう…いいかなぁって思うの」
「お嬢様っ!!」
力なく笑うヘリンを侍女がギュッと抱きしめる。
その夜、へリンは父親に静かに告げた。
「お父様、ゼスト公爵子息様との婚約。無かった事にしてください」
ヘリンの父、ボーン子爵は静かに頷き、婚約の白紙ではなく、婚約破棄とするとゼスト公爵家に使者を送った。
★~★
実はこのプロローグが内容紹介のようなものです。
前半のダイジェスト版?のようなものだとお考え下さい。
え?イリュージョンコーナーがない??
(ΦωΦ)フフフ…プロローグなので・・・明日へのお愉しみって事で♡
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