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不甲斐ない王子に侍女は手を差し伸べる
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「まだ返事は?」
フルフルと首を横に振るお付きの執事。
盛大なヤラカシをしてしまって、卒業式の時も、翌日のパーティーも完全に無視をされてしまうエリック殿下。
卒業式の後、急いでオーロラの教室に行くも既にその姿はなく、ふと外を見れば沢山の女子生徒と手を取って校門付近で笑いあっていますね。
翌日の卒業パーティー用にと仕立てたドレスは侯爵家に配達をしてもらいましたが、受け取り拒否となってしまい、エスコートもオーロラの従兄弟が務める商会に出入りしている業者の娘の同級生の知り合いという男がやってしまい出番がないエリック殿下。
自分のした事とは言え‥‥残念ここに極まれり。
精いっぱいの謝罪を書き連ねた手紙を送りますが今日で5日目。返事すらありません。
東の塔から聞こえる恐竜の歌声に似た声ももう慣れました。
手にした絵姿に語りかけるエリック。
「僕はどうしたらいいんだろう」
食事も喉を通らず、目は落ちくぼんで見た目も残念になってしまいました。
その様子にイライラしてしまったのは王子付きの侍女。
いつもは壁と天井の境目を見つめ、不動だにしない侍女の中の侍女。
彼女の名はスパルタ。イライラが頂点に達したスパルタ。
「殿下!いい加減になさいませ!!」
虚ろな目でしっかりと絵姿を抱きしめるエリック殿下の胸ぐらを掴むとメトロノームも驚きの振れ具合でブンブンと揺すります。
「あ、あの‥‥ウェッ…気分悪っ…」
「これしきで弱音を吐くとは!気持ちがユルユル!!根性がフニフニ!役立たずの証ですっ!」
「あ…君は確か‥‥」
「殿下の担当となり苦節6年!!雨の日は傘を差し!雪の日はカイロに頼り!暑い夏の日は出来るだけ風通しの良い場所で壁と天井の境目を見続け、よく判らない儀式の言葉を毎日右から左に聞き流し、有給は買取で消化をしている侍女のスパルタでございます!!」
「えっと‥‥そのスパルタさん?がいったい…」
「殿下!スパルタ!スパルタです!使用人に敬称は不要!」
「は、はい‥‥スパルタ??」
「殿下!スパルタ!スパルタです!使用人に疑問符は不要!」
侍女スパルタ。殿下をポイっと放すとビシっと机の方向を指さします。
何事だ?とエリック殿下を含め机とスパルタを交互に見ております。
「殿下!机の引き出し、サイドの方です!上から3番目!お開けなさい!」
「えっ?いや、そこは‥‥」
「開けなさい!侍女の言う事が聞けませんかっ!」
「き、聞けます!聞きます!聞かせて頂きます!!」
這うようにして机に向かい、ゆっくりと引き出しを開けるエリック殿下。
「殿下!男は潔さ!なぁにをチマチマ、ノロノロ!引き出しなど開けるのに必要な時間は経ったの1秒!なんならコンマ何秒を競う世界選手権で今ならライバルはいない!競技人口おひとり様!金メダルですっ!引き出しを開けるのです!開ければ何かが見えるかも知れません!!」
えーっと多分見えるのは、超勘違いな【漢の心得】っていうノートですよ。
中身見たら憤慨しますよ?
引き出しの中には、やはり‥‥例のノートが見えますね。
チラリとスパルタを横目で見るエリック殿下。
「殿下、そのノートは何です?タイトルを読みあげてくださいませ」
「え?あ、あの‥‥漢の心得‥‥です」
「声が小さい!!」
「えっと‥‥漢の心得…」
「腹から声を出すのです!腰を据えて!息を吸って!はいっ!!」
【漢の心得!!!】
おもむろにノートを手にするスパルタ。冷や汗が出るのと上手く息が吸えないエリック殿下。
固唾を飲んで見守る他の使用人たち。
「殿下?かなり使い込まれているノートですけれど!」
「(ビクッ)は、はい‥」
「任意で開きます。ハッキリと読みあげるように!!よろしいですね?」
「う、うん」
「返事はハイ!!」
「はいっ!」
指でページをパラパラ。最後まで行きつくとまた最初からパラパラ。
そして任意の位置で止まる指。
ゆっくりと開かれるページはエリックの目の前にガっと開かれます。
「殿下、みんなに聞こえるよう‥‥読みあげてくださいませ」
ゴクリ‥‥殿下とスパルタ以外の喉から音がしましたね。
フルフルと首を横に振るお付きの執事。
盛大なヤラカシをしてしまって、卒業式の時も、翌日のパーティーも完全に無視をされてしまうエリック殿下。
卒業式の後、急いでオーロラの教室に行くも既にその姿はなく、ふと外を見れば沢山の女子生徒と手を取って校門付近で笑いあっていますね。
翌日の卒業パーティー用にと仕立てたドレスは侯爵家に配達をしてもらいましたが、受け取り拒否となってしまい、エスコートもオーロラの従兄弟が務める商会に出入りしている業者の娘の同級生の知り合いという男がやってしまい出番がないエリック殿下。
自分のした事とは言え‥‥残念ここに極まれり。
精いっぱいの謝罪を書き連ねた手紙を送りますが今日で5日目。返事すらありません。
東の塔から聞こえる恐竜の歌声に似た声ももう慣れました。
手にした絵姿に語りかけるエリック。
「僕はどうしたらいいんだろう」
食事も喉を通らず、目は落ちくぼんで見た目も残念になってしまいました。
その様子にイライラしてしまったのは王子付きの侍女。
いつもは壁と天井の境目を見つめ、不動だにしない侍女の中の侍女。
彼女の名はスパルタ。イライラが頂点に達したスパルタ。
「殿下!いい加減になさいませ!!」
虚ろな目でしっかりと絵姿を抱きしめるエリック殿下の胸ぐらを掴むとメトロノームも驚きの振れ具合でブンブンと揺すります。
「あ、あの‥‥ウェッ…気分悪っ…」
「これしきで弱音を吐くとは!気持ちがユルユル!!根性がフニフニ!役立たずの証ですっ!」
「あ…君は確か‥‥」
「殿下の担当となり苦節6年!!雨の日は傘を差し!雪の日はカイロに頼り!暑い夏の日は出来るだけ風通しの良い場所で壁と天井の境目を見続け、よく判らない儀式の言葉を毎日右から左に聞き流し、有給は買取で消化をしている侍女のスパルタでございます!!」
「えっと‥‥そのスパルタさん?がいったい…」
「殿下!スパルタ!スパルタです!使用人に敬称は不要!」
「は、はい‥‥スパルタ??」
「殿下!スパルタ!スパルタです!使用人に疑問符は不要!」
侍女スパルタ。殿下をポイっと放すとビシっと机の方向を指さします。
何事だ?とエリック殿下を含め机とスパルタを交互に見ております。
「殿下!机の引き出し、サイドの方です!上から3番目!お開けなさい!」
「えっ?いや、そこは‥‥」
「開けなさい!侍女の言う事が聞けませんかっ!」
「き、聞けます!聞きます!聞かせて頂きます!!」
這うようにして机に向かい、ゆっくりと引き出しを開けるエリック殿下。
「殿下!男は潔さ!なぁにをチマチマ、ノロノロ!引き出しなど開けるのに必要な時間は経ったの1秒!なんならコンマ何秒を競う世界選手権で今ならライバルはいない!競技人口おひとり様!金メダルですっ!引き出しを開けるのです!開ければ何かが見えるかも知れません!!」
えーっと多分見えるのは、超勘違いな【漢の心得】っていうノートですよ。
中身見たら憤慨しますよ?
引き出しの中には、やはり‥‥例のノートが見えますね。
チラリとスパルタを横目で見るエリック殿下。
「殿下、そのノートは何です?タイトルを読みあげてくださいませ」
「え?あ、あの‥‥漢の心得‥‥です」
「声が小さい!!」
「えっと‥‥漢の心得…」
「腹から声を出すのです!腰を据えて!息を吸って!はいっ!!」
【漢の心得!!!】
おもむろにノートを手にするスパルタ。冷や汗が出るのと上手く息が吸えないエリック殿下。
固唾を飲んで見守る他の使用人たち。
「殿下?かなり使い込まれているノートですけれど!」
「(ビクッ)は、はい‥」
「任意で開きます。ハッキリと読みあげるように!!よろしいですね?」
「う、うん」
「返事はハイ!!」
「はいっ!」
指でページをパラパラ。最後まで行きつくとまた最初からパラパラ。
そして任意の位置で止まる指。
ゆっくりと開かれるページはエリックの目の前にガっと開かれます。
「殿下、みんなに聞こえるよう‥‥読みあげてくださいませ」
ゴクリ‥‥殿下とスパルタ以外の喉から音がしましたね。
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