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ガセット侯爵への謝罪
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ややこしいのですが、時が遡ります。ジーコジーコ。クルクル。
ガセット侯爵にスパルタの粘り勝ちで謝罪のチャンスを与えられたエリック殿下。
まだ男爵令嬢は出産しておらず、東の塔にいる頃ですね。
ガチャン
侯爵家の門が開き、王族専用馬車が入っていきます。
玄関先には侯爵夫妻と使用人が並んで待っております。
ドアが開き、ゆっくりと降りてくるのはエリック第三王子。
心なしか、侯爵夫妻の視線は刺さると痛い気がします。
侯爵夫妻の前に立ち、深々と頭を下げます。
「この度は私の我儘を聞き入れて頂きありがとうございます」
「殿下、ここでは人の目もあるでしょう。中へどうぞ」
「お心遣い感謝いたします。その前に‥‥侯爵家の使用人の皆さんにも謝罪をさせてください」
「使用人に?」
「はい、順序としては侯爵、侯爵夫人、そしてオーロラ嬢に謝罪をするのが先かと思います。しかしこうやって皆さんが集まってくださっております。また集まって頂くのは仕事の手を止めてしまう事にもなりますので」
「よろしいのですか?使用人の中には貧民街出身の者もいるのですよ?」
「謝罪をするのに身分や生まれは関係ないと考えています」
侯爵夫妻は顔を見合わせますよ。まぁ…残念なのは一部なんでね。
しかし、驚いたのは使用人たち。
遠目で見る事はあっても、声をかけてもらうなど残念王子であっても夢のまた夢。
その王子が頭を下げるといういわば前代未聞な事態。
「侯爵家で務められている皆様、今まで大変ご迷惑をおかけいたしました」
深々と頭を下げるエリック殿下に使用人たちの頭はパニックになります。
「殿下、その辺で…使用人たちが卒倒してしまいます」
「はい」
エリックはもう一度使用人たちに礼として頭を下げます。
「あれは本当に残念な王子様なのかしら…」
「わからないわよ。表と裏があってもおかしくないんだし」
「でも、平民の俺たちにも頭を下げたんだぜ?俺らが誰かに言うなんて事も当然あるのに」
色々な意見があって当然ですね。
侯爵の後についてサロンに招かれるエリック殿下。
勧められてソファに座ります。
オーロラは屋敷にどころか、レイエノート国には今はいない事は知らされていますが壁にある絵を見て目を細めます。
「殿下、ご存じと思いますがオーロラはこの国にはいないのです」
「知っています。オーロラ嬢に謝罪をするのは勿論ですが、先ずは侯爵夫妻に」
ソファから立ち上がり、王族としてはあり得ない角度での謝罪をします。
「殿下、頭をあげてください」
「はい。侯爵、侯爵夫人、許して欲しいなどとは思っていません。ただ謝罪をさせてくれたことに心からの感謝を」
「殿下、どうしてあのような事を?」
「男爵令嬢ですか‥‥」
「それもありますが‥‥お茶会でもあまりオーロラとは会話をされなかったと」
ダメっこエリック。ちゃんと言えるかな・・。
「あれは…信じてもらえないかも知れませんが、オーロラ嬢に…男として見てもらいたかったのと嫉妬して欲しかったんです。茶会のたびに大人になっていくオーロラに置いて行かれる気がしました。そんな時…お恥ずかしいですが騎士たちの話を耳にしまして…。男を立てるのが女として当然というのを信じてしまいオーロラ嬢に嫌な思いをさせてしまいました。男爵令嬢の事は‥‥嫉妬をしてほしかったのです。何もかも間違っていました。ただ‥‥男爵令嬢が申し出ている腹の中の子については自分ではないと断言できます。
私は…王族です。婿養子に出るとは言え相手の女性は純潔である事が条件となる。それをオーロラ嬢だけに押し付ける気はなかった事と‥‥私自身がオーロラ嬢だけしか望んでいませんでしたので」
「だから婚約解消については反対をされたんですか」
「すみません。私は‥‥オーロラ嬢の事が本当に好きで…多分ずっと変わらないです。ですが…婚約の解消には同意をします」
「よろしいのですか?と、なるとどこかのご令嬢と?」
「いえいえ。いわばまだ問題も片付いていない問題王子の上に、残念王子ですから。アハハ。一人くらい独身の王子がいてもいいかなと思ってます」
「そうですか‥‥判りました。謝罪についてはお聞きしました。許すかどうかは当人同士の問題。いずれオーロラとも場をもうけましょう」
「ありがとうございます。ですがそれはオーロラ嬢が望んだらとしてください。私はいつまでも待ちますので」
最期まで丁寧なエリック殿下を見送った侯爵夫妻。
馬車に乗る直前の殿下にそっと手渡します。
「これは‥‥」
「オーロラは今、経済学を学ぶ傍ら羊毛製品についての研究をしています。これは殿下の分です」
「刺繍や裁縫の腕は本当にダメな娘なので出来は‥‥許してやってくださいませ」
ちょこんと手のひらの上に乗った羊毛フェルトで作った多分ネコ、いやトラ?チーター?
それが馬である事を知るのは先の話。
ガセット侯爵にスパルタの粘り勝ちで謝罪のチャンスを与えられたエリック殿下。
まだ男爵令嬢は出産しておらず、東の塔にいる頃ですね。
ガチャン
侯爵家の門が開き、王族専用馬車が入っていきます。
玄関先には侯爵夫妻と使用人が並んで待っております。
ドアが開き、ゆっくりと降りてくるのはエリック第三王子。
心なしか、侯爵夫妻の視線は刺さると痛い気がします。
侯爵夫妻の前に立ち、深々と頭を下げます。
「この度は私の我儘を聞き入れて頂きありがとうございます」
「殿下、ここでは人の目もあるでしょう。中へどうぞ」
「お心遣い感謝いたします。その前に‥‥侯爵家の使用人の皆さんにも謝罪をさせてください」
「使用人に?」
「はい、順序としては侯爵、侯爵夫人、そしてオーロラ嬢に謝罪をするのが先かと思います。しかしこうやって皆さんが集まってくださっております。また集まって頂くのは仕事の手を止めてしまう事にもなりますので」
「よろしいのですか?使用人の中には貧民街出身の者もいるのですよ?」
「謝罪をするのに身分や生まれは関係ないと考えています」
侯爵夫妻は顔を見合わせますよ。まぁ…残念なのは一部なんでね。
しかし、驚いたのは使用人たち。
遠目で見る事はあっても、声をかけてもらうなど残念王子であっても夢のまた夢。
その王子が頭を下げるといういわば前代未聞な事態。
「侯爵家で務められている皆様、今まで大変ご迷惑をおかけいたしました」
深々と頭を下げるエリック殿下に使用人たちの頭はパニックになります。
「殿下、その辺で…使用人たちが卒倒してしまいます」
「はい」
エリックはもう一度使用人たちに礼として頭を下げます。
「あれは本当に残念な王子様なのかしら…」
「わからないわよ。表と裏があってもおかしくないんだし」
「でも、平民の俺たちにも頭を下げたんだぜ?俺らが誰かに言うなんて事も当然あるのに」
色々な意見があって当然ですね。
侯爵の後についてサロンに招かれるエリック殿下。
勧められてソファに座ります。
オーロラは屋敷にどころか、レイエノート国には今はいない事は知らされていますが壁にある絵を見て目を細めます。
「殿下、ご存じと思いますがオーロラはこの国にはいないのです」
「知っています。オーロラ嬢に謝罪をするのは勿論ですが、先ずは侯爵夫妻に」
ソファから立ち上がり、王族としてはあり得ない角度での謝罪をします。
「殿下、頭をあげてください」
「はい。侯爵、侯爵夫人、許して欲しいなどとは思っていません。ただ謝罪をさせてくれたことに心からの感謝を」
「殿下、どうしてあのような事を?」
「男爵令嬢ですか‥‥」
「それもありますが‥‥お茶会でもあまりオーロラとは会話をされなかったと」
ダメっこエリック。ちゃんと言えるかな・・。
「あれは…信じてもらえないかも知れませんが、オーロラ嬢に…男として見てもらいたかったのと嫉妬して欲しかったんです。茶会のたびに大人になっていくオーロラに置いて行かれる気がしました。そんな時…お恥ずかしいですが騎士たちの話を耳にしまして…。男を立てるのが女として当然というのを信じてしまいオーロラ嬢に嫌な思いをさせてしまいました。男爵令嬢の事は‥‥嫉妬をしてほしかったのです。何もかも間違っていました。ただ‥‥男爵令嬢が申し出ている腹の中の子については自分ではないと断言できます。
私は…王族です。婿養子に出るとは言え相手の女性は純潔である事が条件となる。それをオーロラ嬢だけに押し付ける気はなかった事と‥‥私自身がオーロラ嬢だけしか望んでいませんでしたので」
「だから婚約解消については反対をされたんですか」
「すみません。私は‥‥オーロラ嬢の事が本当に好きで…多分ずっと変わらないです。ですが…婚約の解消には同意をします」
「よろしいのですか?と、なるとどこかのご令嬢と?」
「いえいえ。いわばまだ問題も片付いていない問題王子の上に、残念王子ですから。アハハ。一人くらい独身の王子がいてもいいかなと思ってます」
「そうですか‥‥判りました。謝罪についてはお聞きしました。許すかどうかは当人同士の問題。いずれオーロラとも場をもうけましょう」
「ありがとうございます。ですがそれはオーロラ嬢が望んだらとしてください。私はいつまでも待ちますので」
最期まで丁寧なエリック殿下を見送った侯爵夫妻。
馬車に乗る直前の殿下にそっと手渡します。
「これは‥‥」
「オーロラは今、経済学を学ぶ傍ら羊毛製品についての研究をしています。これは殿下の分です」
「刺繍や裁縫の腕は本当にダメな娘なので出来は‥‥許してやってくださいませ」
ちょこんと手のひらの上に乗った羊毛フェルトで作った多分ネコ、いやトラ?チーター?
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