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第08話 返事は一択
「あのぅ…何か不手際が御座いました?」
「何でもない。すまない。こちらの事情だ」
――どんな事情なの?――
人と話をする時は目を見ましょうと教会の神父も説法で言っていたのにエストス侯爵はもしかして異教徒なんだろうか?そんな事まで考えてしまう。
「で?諸々の条件を飲んで引き受けてくれる。そう解釈していいんだな?」
「はい。しかし今、引き受けている修復の品が家にあるんです。引っ越すにしてもそれらを持ち込まねばなりませんが宜しいでしょうか」
「問題ない」
「では…私は離れに?」
「離れ?まさか!エストス侯爵家の宝刀を修復してくれる恩人を手狭な離れに押し込むはずがない!」
「手狭…と申されますと?」
「本宅よりも狭い場所に押し込む気はないという事だ」
――ここの土地に本宅以上に広い建物があるの?!――
聞くのが怖いが聞いてみた。
アリアの心の中では「きっと手狭の概念そのものが違うんだろうな」と思ったが…。
「確かに離れは5棟あるが、どれも3階建てな上に各階8部屋しかない」
――あ、聞くんじゃなかった――
アリア、率直な感想である。
今住んでいる家がアリアの私室の他に父が使っていたが今は遠方から依頼人が来た時に数泊してもらう部屋が1つ。その他はキッチンと小さな湯殿、外に出れば不浄が1つだ。
その他には工房として使っているかつての薪保管小屋だけ。
3階建ての1フロアでも今住んでいる家よりも立派なのに…。
「一番広い部屋でもこの部屋の3倍の広さしかない」
――いえいえ、ここ、貴方の部屋なので平民の買う豪華な一軒家よりもこの部屋の方が広いんですけど?――
「厨房も1つしかないし不浄も湯殿も3つしかない」
――住む人間、1人ですけどね――
「だから…本宅の1階の玄関から東側は君の好きに使うと良い」
「好きに使う?!玄関から東側って…」
「7代前の当主が改装して鍵を作っていた工房もある。そこを修復用工房に使えばいいし客間は15あるが全て他国の王族を迎え入れる仕様だから不自由はないと思う。使用人も30人は付けるし食事は食事室で食べ放題だ」
――それ、自由しかありませんね――
その上で修復中は他の仕事をしていても常駐であることを考慮し家賃を差し引いて公爵家の家令が貰える給料の倍額が記載された契約書を提示されてしまったアリアはバッキバキの腹筋を見た時以上に目が輝いた。
――待って?この金額が貰えるの?他の修復をしてても?冗談よね?――
契約書とエストス侯爵を交互に見るがエストス侯爵の表情は変わらない。
衣食住の食住が完備されている上に、修復をしてでも手元に置きたいと思われる品はそのものの価値も高いので防犯にも気を使っていたがエストス侯爵家の中なので泥棒に気を揉む必要もない。
土地代も含んだ家賃の支払いも無くなるし、丁度来月は更新月だ。
更新料は月の家賃3か月分。それが浮くとなればずっと欲しいなと思っていた工具も買える。
これから先、女1人で済むのなら出費を抑えられる時に押さえて金を貯めて行かねばならない。
手に職があるので生涯現役だとしても年を取った時の事を考えれば貯えは多ければ多いほど安心度が増す。
頭の中で算盤を弾いていたが「やめた」っとアリアは算段する事を止めた。
返事は勿論。
「是非。お願いします」
一択しかなかった。
「何でもない。すまない。こちらの事情だ」
――どんな事情なの?――
人と話をする時は目を見ましょうと教会の神父も説法で言っていたのにエストス侯爵はもしかして異教徒なんだろうか?そんな事まで考えてしまう。
「で?諸々の条件を飲んで引き受けてくれる。そう解釈していいんだな?」
「はい。しかし今、引き受けている修復の品が家にあるんです。引っ越すにしてもそれらを持ち込まねばなりませんが宜しいでしょうか」
「問題ない」
「では…私は離れに?」
「離れ?まさか!エストス侯爵家の宝刀を修復してくれる恩人を手狭な離れに押し込むはずがない!」
「手狭…と申されますと?」
「本宅よりも狭い場所に押し込む気はないという事だ」
――ここの土地に本宅以上に広い建物があるの?!――
聞くのが怖いが聞いてみた。
アリアの心の中では「きっと手狭の概念そのものが違うんだろうな」と思ったが…。
「確かに離れは5棟あるが、どれも3階建てな上に各階8部屋しかない」
――あ、聞くんじゃなかった――
アリア、率直な感想である。
今住んでいる家がアリアの私室の他に父が使っていたが今は遠方から依頼人が来た時に数泊してもらう部屋が1つ。その他はキッチンと小さな湯殿、外に出れば不浄が1つだ。
その他には工房として使っているかつての薪保管小屋だけ。
3階建ての1フロアでも今住んでいる家よりも立派なのに…。
「一番広い部屋でもこの部屋の3倍の広さしかない」
――いえいえ、ここ、貴方の部屋なので平民の買う豪華な一軒家よりもこの部屋の方が広いんですけど?――
「厨房も1つしかないし不浄も湯殿も3つしかない」
――住む人間、1人ですけどね――
「だから…本宅の1階の玄関から東側は君の好きに使うと良い」
「好きに使う?!玄関から東側って…」
「7代前の当主が改装して鍵を作っていた工房もある。そこを修復用工房に使えばいいし客間は15あるが全て他国の王族を迎え入れる仕様だから不自由はないと思う。使用人も30人は付けるし食事は食事室で食べ放題だ」
――それ、自由しかありませんね――
その上で修復中は他の仕事をしていても常駐であることを考慮し家賃を差し引いて公爵家の家令が貰える給料の倍額が記載された契約書を提示されてしまったアリアはバッキバキの腹筋を見た時以上に目が輝いた。
――待って?この金額が貰えるの?他の修復をしてても?冗談よね?――
契約書とエストス侯爵を交互に見るがエストス侯爵の表情は変わらない。
衣食住の食住が完備されている上に、修復をしてでも手元に置きたいと思われる品はそのものの価値も高いので防犯にも気を使っていたがエストス侯爵家の中なので泥棒に気を揉む必要もない。
土地代も含んだ家賃の支払いも無くなるし、丁度来月は更新月だ。
更新料は月の家賃3か月分。それが浮くとなればずっと欲しいなと思っていた工具も買える。
これから先、女1人で済むのなら出費を抑えられる時に押さえて金を貯めて行かねばならない。
手に職があるので生涯現役だとしても年を取った時の事を考えれば貯えは多ければ多いほど安心度が増す。
頭の中で算盤を弾いていたが「やめた」っとアリアは算段する事を止めた。
返事は勿論。
「是非。お願いします」
一択しかなかった。
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