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第11話 言葉を飲み込んで
アリアはグッと拳を握った。ツカツカと歩み寄ってショーンの頬に一発お見舞いしてやりたい気持ちでいっぱいだったが、面倒でもやり過ごそう。そう思い返事を返した。
「何って。ここを引き払うのよ」
「引き払う?なんで?どうしてだよ」
ショーンは泣きそうな顔をしてアリアの前に歩み寄り、アリアの肩を掴んだ。
アリアはその手をそのままに答えた。
「私の勝手でしょう?」
「アリア。どうしたんだ?なんで僕に相談も無しにここを引き払うなんて決めたんだ?」
アリアは「どの口が言う?」そう言ってやりたいが言葉を飲み込んだ。
「借主は私だもの。どうして貴方に相談をしなきゃいけないの?」
「その言い方はないだろう?僕たちは結婚するんだぞ?」
「結婚?‥‥それはいつ?2か月後くらい?」
「え…」
「言えないわよね。まぁいいわ。ショーン。私達、別れましょう」
「何でそんな事を言うんだよ!!」
肩を掴んだショーンの手の力が緩んだ。
2か月後は商会で頼んでいたエレーナがショーンとの結婚式で着るドレスが出来上がるかどうかの日数になる。ショーンの目を見ればアリアが何処まで知っているんだろうか?探るような目つきに見える。
「お金がないの。もう賃料を払う事も出来ないのよ」
「馬鹿な!金ならあっただろう?報奨金を全部使ってしまったって言うのか?あり得ない。あんな金額を?」
金の事になるとショーンは途端に声が荒くなった。
――そりゃそうよね。私のお金をアテにしていたんだもの――
「お金がないの」その言葉にはエレーナも反応してアリアに近寄ってきた。
「どういう事なの?いったい何に使ったのよ」
アリアはエレーナ、そしてショーンの順に顔を見てショーンがまだ手を置いている肩からショーンの手を振り払った。
「投資したの。そしたら見事にパー!全部溶けちゃった」
<< 嘘ッ!! >>
――声を合わせちゃって。ホント。仲良しさんね――
大げさに肘を折り、手を軽く挙げて「ぜーんぶパー」ともう一度仕草も加えて告げればショーンはよろめいた。
「だから賃料も払えないの。来月は更新月だから更新料3か月分に月の賃料を加えて4か月分。100万を超えるけど貴方達が払ってくれる?それに…暫く修復作業の代金も集金がないから半年くらいは肩代わりしてくれても返せないの。その間にも家賃は払わないといけないけど…立て替えてくれる?」
コテンと首を傾げて見せればエレーナは「無理」と小さく呟いた。
ショーンは「嘘だ、嘘だ」とブツブツ呟き始めた。
そしてガッとまたアリアの肩を掴みショーンは詰め寄ってきた。
「アリア、嘘だよな?僕は何かしてしまったのか?だから拗ねて驚かそうってしてるんだろ?」
「してないわ」
「いいや、絶対に嘘だ。あんな大金をこんな短期間で無くすなんてあり得ないよ」
「投資だもの。なんならショーンもやってみれば?数分で億万長者にもなれるけど、逆張りしたら同じく数分で借金塗れにもなるわ。貴方との今後を考えて増やそうと思って失敗しちゃった。5億の負債が残っちゃったの」
残念。最後に付け加えてやりたかったがグッと我慢。
王家から毎年支払われる金もあるとショーンが言うのを見越して先手を打った。
「王家から毎年支払われるお金は年に1回。でも利息は毎月。金融商会に事情を話してそのお金を返済に回す事で話がついたんだけど、なんせ元本が5億でしょう?利息もそれなりな額になるのね。元本を減らそうと思ったら10年は寝る間もなく高額の修復が出来るような営業を掛けつつ働かないとパンを買うお金もないの」
ダメ押しになったのか今度こそショーンの手はアリアは振り払わなくても離れた。
「ショーン。まだ私と結婚をしてくれる?迷惑になるから別れた方が良いかなって思ったんだけど」
これまた首をコテンと傾けてショーンを媚びるような目で見れば頷きながらショーンは顔を逸らせた。
「何って。ここを引き払うのよ」
「引き払う?なんで?どうしてだよ」
ショーンは泣きそうな顔をしてアリアの前に歩み寄り、アリアの肩を掴んだ。
アリアはその手をそのままに答えた。
「私の勝手でしょう?」
「アリア。どうしたんだ?なんで僕に相談も無しにここを引き払うなんて決めたんだ?」
アリアは「どの口が言う?」そう言ってやりたいが言葉を飲み込んだ。
「借主は私だもの。どうして貴方に相談をしなきゃいけないの?」
「その言い方はないだろう?僕たちは結婚するんだぞ?」
「結婚?‥‥それはいつ?2か月後くらい?」
「え…」
「言えないわよね。まぁいいわ。ショーン。私達、別れましょう」
「何でそんな事を言うんだよ!!」
肩を掴んだショーンの手の力が緩んだ。
2か月後は商会で頼んでいたエレーナがショーンとの結婚式で着るドレスが出来上がるかどうかの日数になる。ショーンの目を見ればアリアが何処まで知っているんだろうか?探るような目つきに見える。
「お金がないの。もう賃料を払う事も出来ないのよ」
「馬鹿な!金ならあっただろう?報奨金を全部使ってしまったって言うのか?あり得ない。あんな金額を?」
金の事になるとショーンは途端に声が荒くなった。
――そりゃそうよね。私のお金をアテにしていたんだもの――
「お金がないの」その言葉にはエレーナも反応してアリアに近寄ってきた。
「どういう事なの?いったい何に使ったのよ」
アリアはエレーナ、そしてショーンの順に顔を見てショーンがまだ手を置いている肩からショーンの手を振り払った。
「投資したの。そしたら見事にパー!全部溶けちゃった」
<< 嘘ッ!! >>
――声を合わせちゃって。ホント。仲良しさんね――
大げさに肘を折り、手を軽く挙げて「ぜーんぶパー」ともう一度仕草も加えて告げればショーンはよろめいた。
「だから賃料も払えないの。来月は更新月だから更新料3か月分に月の賃料を加えて4か月分。100万を超えるけど貴方達が払ってくれる?それに…暫く修復作業の代金も集金がないから半年くらいは肩代わりしてくれても返せないの。その間にも家賃は払わないといけないけど…立て替えてくれる?」
コテンと首を傾げて見せればエレーナは「無理」と小さく呟いた。
ショーンは「嘘だ、嘘だ」とブツブツ呟き始めた。
そしてガッとまたアリアの肩を掴みショーンは詰め寄ってきた。
「アリア、嘘だよな?僕は何かしてしまったのか?だから拗ねて驚かそうってしてるんだろ?」
「してないわ」
「いいや、絶対に嘘だ。あんな大金をこんな短期間で無くすなんてあり得ないよ」
「投資だもの。なんならショーンもやってみれば?数分で億万長者にもなれるけど、逆張りしたら同じく数分で借金塗れにもなるわ。貴方との今後を考えて増やそうと思って失敗しちゃった。5億の負債が残っちゃったの」
残念。最後に付け加えてやりたかったがグッと我慢。
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