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最終話 愛用の剣を修復したら氷点下の溺愛が始まった
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カリカリカリ…トントントン。
工房ではアリアが修復作業をしていた。
公爵夫人から頼まれた絵姿の修復も終わり、届けたら「壺を綺麗にして欲しい」と頼まれ修復を請け負った。
エストス侯爵家に一緒に持ってきた修復の品も持ち主の元に修復をして戻されている。
今は公爵家の壺と、エストス家の宝刀だけ。
営業をしてしまうと宝刀まで手が回らない。
今日は宝刀の鞘の錆を全て落とす作業をしていた。
「アリー。休憩をしないか」
「ダリウス。そっちは一区切りついたの?」
「付いた。殿下に届ける書類も纏め終わったよ」
「そう。じゃぁちょっと休憩しようかな」
茶器を乗せたトレーをテーブルに置くと、ダリウスはアリアの額にキスを落とし、その流れで耳をぱくり。
無表情で女性に対して氷点下以下の扱いなんて言われたのが嘘のようだ。
「くすぐったいわ」
「今日もアリーは甘いな」
「お菓子食べる前なのに甘くありません。糖分取ってないもの」
「じゃぁ早速糖分を取ろう。それと…近いうちに領地に行くんだが大丈夫か?」
「大丈夫だってば!お婆様もいるし。むしろ~ダリウスがいない方が順調かも?」
「直ぐに帰って来る。日帰りは無理だが急いで帰るからな」
「急がなくていいの。まだ5カ月よ?生まれるのはまだ先~」
そうは言っても身重のアリアが心配でダリウスは出来れば視察を見送りたいと考えていた。
ダリウスの考えなどアリアにはお見通し。
「ねぇ、ダリウス」
「なんだ?」
「子供が生まれたら視察に行く領地に避暑に行きたいの。子供を連れて遊べそうな場所。しっかり見て来てね」
「解った。そうだなぁ子供が出来たら騒がしい王都より静かな領地の方が過ごしやすいかもなぁ」
――うん。亭主元気で留守がいい。私は領地、貴方は王都。ガンバッテ――
お腹が出てきた時の為のマタニティドレスも日替わり。2度目に袖を通す前に妊婦でなくなりそうな枚数がある。
アリアは第二子の時のために数着は取っておくが寄付する先を探すのも大変だ。
「そう言えば、絵姿を修復した公爵家の当主夫妻。共同で女性のために就職支援をする機構を立ち上げたそうだ」
「まぁ。そうなの?」
「平民だったり、低位貴族、伯爵家でも一部の女性は働いているけれど扱いが酷かったりもするからな。賃金も男性と同等。より専門的な職種に就けるようにするそうだ。アリーのおかげだな」
「私の?私は何もしてないけど」
修復の仕事をしているアリア。ダリウスは王族や高位貴族の前でアリアは職業婦人だと明言した。
侯爵家の夫人となるのに恥ずかしいとされたのはもう昔の事だとダリウスは宣言したに等しい。
アリアが修復の仕事をしても表立って蔑む発言をする者はいない。
今後は公爵家が機構を立ち上げた事で働く女性の立場も更に改善され、待遇は見直されるだろう。
「さてと。今日の菓子は何だと思う?」
「シュークリームね!」
「流石だ、と言いたいが…ちょっと違うぞ?」
布を掛けた籠から現れたのは1口サイズのシュークリームだった。
大きなシュークリームは口の周りにカスタードがついてしまう。
この大きさなら作業をしながらでもぱくりと口の中に収まるとダリウスが料理長と試行錯誤を繰り返した逸品である。
ぱくりと口の中に放り込むと甘くておいしい。そしてほのかにバニラも香る。
「うーん。美味しい」
「そうか。良かった。あぁ~。あの時剣を落として本当に良かったよ」
「もう落としちゃダメだからね?屋根の上で、なんてやめてね」
「あぁ。しないよ。だってアリーは腕の中にいるからね」
「もぅ!シュークリームより甘い事を言わないでったら。今度は何年物の古書を読んだの?」
「80年前だったか…昔の人は良い事を言う」
「それは良いけど、ダリウスは私を甘やかしすぎだわ。お菓子でも太っちゃうけど…溺愛が過ぎるから」
「良いんだ。私の愛でどんどんアリーの愛も太ってくれるとありがたい」
「太ってるかは解らないけど、成長はしてるわね」
アリアはお腹を指さすとダリウスはそっと大きな手で撫でる。
家族が増えるのももうすぐだ。
FIN
★~★
読んで頂きありがとうございました<(_ _)>
はい、ニャンの日からの開始なので、アレ…ご用意しております(*^_^*)
気が付いたら飛び出しているアレ。
そちらも「おぉ?こんなところに!」と徳●埋蔵金のように探して見つけて頂けると嬉しいです(=^・^=)
工房ではアリアが修復作業をしていた。
公爵夫人から頼まれた絵姿の修復も終わり、届けたら「壺を綺麗にして欲しい」と頼まれ修復を請け負った。
エストス侯爵家に一緒に持ってきた修復の品も持ち主の元に修復をして戻されている。
今は公爵家の壺と、エストス家の宝刀だけ。
営業をしてしまうと宝刀まで手が回らない。
今日は宝刀の鞘の錆を全て落とす作業をしていた。
「アリー。休憩をしないか」
「ダリウス。そっちは一区切りついたの?」
「付いた。殿下に届ける書類も纏め終わったよ」
「そう。じゃぁちょっと休憩しようかな」
茶器を乗せたトレーをテーブルに置くと、ダリウスはアリアの額にキスを落とし、その流れで耳をぱくり。
無表情で女性に対して氷点下以下の扱いなんて言われたのが嘘のようだ。
「くすぐったいわ」
「今日もアリーは甘いな」
「お菓子食べる前なのに甘くありません。糖分取ってないもの」
「じゃぁ早速糖分を取ろう。それと…近いうちに領地に行くんだが大丈夫か?」
「大丈夫だってば!お婆様もいるし。むしろ~ダリウスがいない方が順調かも?」
「直ぐに帰って来る。日帰りは無理だが急いで帰るからな」
「急がなくていいの。まだ5カ月よ?生まれるのはまだ先~」
そうは言っても身重のアリアが心配でダリウスは出来れば視察を見送りたいと考えていた。
ダリウスの考えなどアリアにはお見通し。
「ねぇ、ダリウス」
「なんだ?」
「子供が生まれたら視察に行く領地に避暑に行きたいの。子供を連れて遊べそうな場所。しっかり見て来てね」
「解った。そうだなぁ子供が出来たら騒がしい王都より静かな領地の方が過ごしやすいかもなぁ」
――うん。亭主元気で留守がいい。私は領地、貴方は王都。ガンバッテ――
お腹が出てきた時の為のマタニティドレスも日替わり。2度目に袖を通す前に妊婦でなくなりそうな枚数がある。
アリアは第二子の時のために数着は取っておくが寄付する先を探すのも大変だ。
「そう言えば、絵姿を修復した公爵家の当主夫妻。共同で女性のために就職支援をする機構を立ち上げたそうだ」
「まぁ。そうなの?」
「平民だったり、低位貴族、伯爵家でも一部の女性は働いているけれど扱いが酷かったりもするからな。賃金も男性と同等。より専門的な職種に就けるようにするそうだ。アリーのおかげだな」
「私の?私は何もしてないけど」
修復の仕事をしているアリア。ダリウスは王族や高位貴族の前でアリアは職業婦人だと明言した。
侯爵家の夫人となるのに恥ずかしいとされたのはもう昔の事だとダリウスは宣言したに等しい。
アリアが修復の仕事をしても表立って蔑む発言をする者はいない。
今後は公爵家が機構を立ち上げた事で働く女性の立場も更に改善され、待遇は見直されるだろう。
「さてと。今日の菓子は何だと思う?」
「シュークリームね!」
「流石だ、と言いたいが…ちょっと違うぞ?」
布を掛けた籠から現れたのは1口サイズのシュークリームだった。
大きなシュークリームは口の周りにカスタードがついてしまう。
この大きさなら作業をしながらでもぱくりと口の中に収まるとダリウスが料理長と試行錯誤を繰り返した逸品である。
ぱくりと口の中に放り込むと甘くておいしい。そしてほのかにバニラも香る。
「うーん。美味しい」
「そうか。良かった。あぁ~。あの時剣を落として本当に良かったよ」
「もう落としちゃダメだからね?屋根の上で、なんてやめてね」
「あぁ。しないよ。だってアリーは腕の中にいるからね」
「もぅ!シュークリームより甘い事を言わないでったら。今度は何年物の古書を読んだの?」
「80年前だったか…昔の人は良い事を言う」
「それは良いけど、ダリウスは私を甘やかしすぎだわ。お菓子でも太っちゃうけど…溺愛が過ぎるから」
「良いんだ。私の愛でどんどんアリーの愛も太ってくれるとありがたい」
「太ってるかは解らないけど、成長はしてるわね」
アリアはお腹を指さすとダリウスはそっと大きな手で撫でる。
家族が増えるのももうすぐだ。
FIN
★~★
読んで頂きありがとうございました<(_ _)>
はい、ニャンの日からの開始なので、アレ…ご用意しております(*^_^*)
気が付いたら飛び出しているアレ。
そちらも「おぉ?こんなところに!」と徳●埋蔵金のように探して見つけて頂けると嬉しいです(=^・^=)
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