王子殿下はブリュレが好きらしい

cyaru

文字の大きさ
8 / 27

VOL:8 グラップラーなミケネ侯爵夫人

しおりを挟む
「どうするかなぁ」
「お兄様に相談しましょうか?」
「ん?って事は…キジネ公爵に?」


ミケネ侯爵夫人の実家はキジネ公爵家。夫人は公爵家の3女。
今は長兄が公爵となっているが、実はミケネ侯爵とはちょっとだけ仲が悪い。
何故かと言えばキジネ公爵はシスコンでミケネ侯爵夫人の事を嫁いだ後も気にかけている。ミケネ侯爵はそれが気にくわない。それだけである。


「でもキジネ公爵家には今、カスタード王国の王子殿下が来られているんじゃなかったか?」
「そうねぇ。でも少しなら時間を取ってくれるかも知れないわ」


ミケネ侯爵夫人が危惧しているのは、リシェルが侯爵家の侍女を辞してどうするかと考えた時に、実家には頼れない、いや頼らないであろう事は察しが付く。
ヨハネスがミケネ侯爵家と何らかの事業をしている事はリシェルも知っているため、侯爵家にその事で瑕疵がないようにと出ていくつもりなのだと言うことも判る。

と、なれば女一人での行き先となれば修道院しかない。
世話焼きのマーガレットが慌てたのもそのせいだろう。

何はともあれ、長くて半年。リシェルが懐妊していない事を証明する時間を確保せねばならない。子供が出来ていればどうしても届け出は必要になり、リシェルは逃げる事も出来なくなってしまう。

――もし妊娠をしていたら――

リシェルには可哀想だと思うし、神の教えに反するが堕胎も考えねばならない。夫婦関係についてはリシェルに問わねばならないが、侯爵家として使用人を守るのも当然のこと。

単に子供が生まれるだけならいいが、それでリシェルがセルジオから逃げられなくなるのは余りにも憐れだ。それがリシェルの選んだ道だったとしても回避できる策があるなら取ってやりたいとミケネ侯爵夫人は考えた。


幸いに兄のキジネ公爵なら使用人を数人勉強として預かってくれることもあり、公爵家であればリシェルの安全も保たれるし、ミケネ侯爵家から勉強のために派遣となればリシェルも暫くの間は修道院行きを見送る。

勤める場所も変われば学ぶ事も多くなり、リシェルも嫌な事を考える時間も減るかも知れない。
ミケネ侯爵夫人は「リシェルを呼んで頂戴」と一旦下がらせたリシェルを再度呼んだ。

デリケートな話だからと夫のミケネ侯爵をシッシと追い払う。
入れ違いにリシェルがやってきた。

こっちにキャモォン♡とネコナデ声でリシェルを呼ぶミケネ侯爵夫人。



「奥様、リシェル参りました。何か御座いましたか?」
「大したことじゃないの。ん?大したことかしら?」
「はぁ…どのような?」
「あのね、大事な事なの。リシェル、貴女、妊娠している可能性はあるの?」


ミケネ侯爵夫人は「お願い、無いと言って!」心で盛大に叫ぶ。
期待に応えるわけではないが、リシェルは即答した。

「ありません。妊娠していたら奇跡です」
「へっ?!」

期待をしていた答えなのにミケネ侯爵夫人は素っ頓狂な声を出してしまった。

「あ、あの…今が月のものの最中だとか…なの?」
「いいえ。夫とは義両親が同居となって以来関係がありませんでしたから」
「フェェェェーッ?!」

――聖人君子かよ!――

らしくない言葉使いでミケネ侯爵夫人は叫びそうになった。

――50代の夫でも月に2、3回は元気なのに!?――

あぁ、面倒臭い。
そう思いながらもミケネ侯爵のゴロニャン対応をしていたミケネ侯爵夫人。

――今時の20代は草食系と言うけど本当に淡白なの?――

が、ミケネ侯爵夫人の「」な考えはリシェルの言葉で消し飛んだ。

「外に女性がいたんだと思います。ほぼ毎日深夜に帰宅で…食事も湯も済ませて帰ってましたから」

バギッ!!

ミケネ侯爵夫人の鉄扇がグラップラー化した手によって2つに折れた。


扉の向こうで鉄扇の折れる音を聞いた夫人付きの執事スコッチ。
執事補佐のジプシーに新しい鉄扇を発注するように頼んだ。

「え?かんざしじゃなくて?」
「そんなもの!旦那様のうなじに突き立てたら大変だろう!」

仕事は出来る仕事人なジプシー。
心配ない。ミケネ侯爵夫人の握力なら仕置き人になれるのだから。







☆~☆

ラストの繋がりが閃いたアナタ♡素敵です。
しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。 だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!  愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理! 姉の結婚までにこの家から逃げたい! 相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした

今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。 二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。 しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。 元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。 そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。 が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。 このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。 ※ざまぁというよりは改心系です。 ※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

勘違いって恐ろしい

りりん
恋愛
都合のいい勘違いって怖いですねー

処理中です...