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VOL:8 グラップラーなミケネ侯爵夫人
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「どうするかなぁ」
「お兄様に相談しましょうか?」
「ん?って事は…キジネ公爵に?」
ミケネ侯爵夫人の実家はキジネ公爵家。夫人は公爵家の3女。
今は長兄が公爵となっているが、実はミケネ侯爵とはちょっとだけ仲が悪い。
何故かと言えばキジネ公爵はシスコンでミケネ侯爵夫人の事を嫁いだ後も気にかけている。ミケネ侯爵はそれが気にくわない。それだけである。
「でもキジネ公爵家には今、カスタード王国の王子殿下が来られているんじゃなかったか?」
「そうねぇ。でも少しなら時間を取ってくれるかも知れないわ」
ミケネ侯爵夫人が危惧しているのは、リシェルが侯爵家の侍女を辞してどうするかと考えた時に、実家には頼れない、いや頼らないであろう事は察しが付く。
ヨハネスがミケネ侯爵家と何らかの事業をしている事はリシェルも知っているため、侯爵家にその事で瑕疵がないようにと出ていくつもりなのだと言うことも判る。
と、なれば女一人での行き先となれば修道院しかない。
世話焼きのマーガレットが慌てたのもそのせいだろう。
何はともあれ、長くて半年。リシェルが懐妊していない事を証明する時間を確保せねばならない。子供が出来ていればどうしても届け出は必要になり、リシェルは逃げる事も出来なくなってしまう。
――もし妊娠をしていたら――
リシェルには可哀想だと思うし、神の教えに反するが堕胎も考えねばならない。夫婦関係についてはリシェルに問わねばならないが、侯爵家として使用人を守るのも当然のこと。
単に子供が生まれるだけならいいが、それでリシェルがセルジオから逃げられなくなるのは余りにも憐れだ。それがリシェルの選んだ道だったとしても回避できる策があるなら取ってやりたいとミケネ侯爵夫人は考えた。
幸いに兄のキジネ公爵なら使用人を数人勉強として預かってくれることもあり、公爵家であればリシェルの安全も保たれるし、ミケネ侯爵家から勉強のために派遣となればリシェルも暫くの間は修道院行きを見送る。
勤める場所も変われば学ぶ事も多くなり、リシェルも嫌な事を考える時間も減るかも知れない。
ミケネ侯爵夫人は「リシェルを呼んで頂戴」と一旦下がらせたリシェルを再度呼んだ。
デリケートな話だからと夫のミケネ侯爵をシッシと追い払う。
入れ違いにリシェルがやってきた。
こっちにキャモォン♡とネコナデ声でリシェルを呼ぶミケネ侯爵夫人。
「奥様、リシェル参りました。何か御座いましたか?」
「大したことじゃないの。ん?大したことかしら?」
「はぁ…どのような?」
「あのね、大事な事なの。リシェル、貴女、妊娠している可能性はあるの?」
ミケネ侯爵夫人は「お願い、無いと言って!」心で盛大に叫ぶ。
期待に応えるわけではないが、リシェルは即答した。
「ありません。妊娠していたら奇跡です」
「へっ?!」
期待をしていた答えなのにミケネ侯爵夫人は素っ頓狂な声を出してしまった。
「あ、あの…今が月のものの最中だとか…なの?」
「いいえ。夫とは義両親が同居となって以来関係がありませんでしたから」
「フェェェェーッ?!」
――聖人君子かよ!――
らしくない言葉使いでミケネ侯爵夫人は叫びそうになった。
――50代の夫でも月に2、3回は元気なのに!?――
あぁ、面倒臭い。
そう思いながらもミケネ侯爵のゴロニャン対応をしていたミケネ侯爵夫人。
――今時の20代は草食系と言うけど本当に淡白なの?――
が、ミケネ侯爵夫人の「淡白宣言」な考えはリシェルの言葉で消し飛んだ。
「外に女性がいたんだと思います。ほぼ毎日深夜に帰宅で…食事も湯も済ませて帰ってましたから」
バギッ!!
ミケネ侯爵夫人の鉄扇がグラップラー化した手によって2つに折れた。
扉の向こうで鉄扇の折れる音を聞いた夫人付きの執事スコッチ。
執事補佐のジプシーに新しい鉄扇を発注するように頼んだ。
「え?かんざしじゃなくて?」
「そんなもの!旦那様のうなじに突き立てたら大変だろう!」
仕事は出来る仕事人なジプシー。
心配ない。ミケネ侯爵夫人の握力なら仕置き人になれるのだから。
☆~☆
ラストの繋がりが閃いたアナタ♡素敵です。
「お兄様に相談しましょうか?」
「ん?って事は…キジネ公爵に?」
ミケネ侯爵夫人の実家はキジネ公爵家。夫人は公爵家の3女。
今は長兄が公爵となっているが、実はミケネ侯爵とはちょっとだけ仲が悪い。
何故かと言えばキジネ公爵はシスコンでミケネ侯爵夫人の事を嫁いだ後も気にかけている。ミケネ侯爵はそれが気にくわない。それだけである。
「でもキジネ公爵家には今、カスタード王国の王子殿下が来られているんじゃなかったか?」
「そうねぇ。でも少しなら時間を取ってくれるかも知れないわ」
ミケネ侯爵夫人が危惧しているのは、リシェルが侯爵家の侍女を辞してどうするかと考えた時に、実家には頼れない、いや頼らないであろう事は察しが付く。
ヨハネスがミケネ侯爵家と何らかの事業をしている事はリシェルも知っているため、侯爵家にその事で瑕疵がないようにと出ていくつもりなのだと言うことも判る。
と、なれば女一人での行き先となれば修道院しかない。
世話焼きのマーガレットが慌てたのもそのせいだろう。
何はともあれ、長くて半年。リシェルが懐妊していない事を証明する時間を確保せねばならない。子供が出来ていればどうしても届け出は必要になり、リシェルは逃げる事も出来なくなってしまう。
――もし妊娠をしていたら――
リシェルには可哀想だと思うし、神の教えに反するが堕胎も考えねばならない。夫婦関係についてはリシェルに問わねばならないが、侯爵家として使用人を守るのも当然のこと。
単に子供が生まれるだけならいいが、それでリシェルがセルジオから逃げられなくなるのは余りにも憐れだ。それがリシェルの選んだ道だったとしても回避できる策があるなら取ってやりたいとミケネ侯爵夫人は考えた。
幸いに兄のキジネ公爵なら使用人を数人勉強として預かってくれることもあり、公爵家であればリシェルの安全も保たれるし、ミケネ侯爵家から勉強のために派遣となればリシェルも暫くの間は修道院行きを見送る。
勤める場所も変われば学ぶ事も多くなり、リシェルも嫌な事を考える時間も減るかも知れない。
ミケネ侯爵夫人は「リシェルを呼んで頂戴」と一旦下がらせたリシェルを再度呼んだ。
デリケートな話だからと夫のミケネ侯爵をシッシと追い払う。
入れ違いにリシェルがやってきた。
こっちにキャモォン♡とネコナデ声でリシェルを呼ぶミケネ侯爵夫人。
「奥様、リシェル参りました。何か御座いましたか?」
「大したことじゃないの。ん?大したことかしら?」
「はぁ…どのような?」
「あのね、大事な事なの。リシェル、貴女、妊娠している可能性はあるの?」
ミケネ侯爵夫人は「お願い、無いと言って!」心で盛大に叫ぶ。
期待に応えるわけではないが、リシェルは即答した。
「ありません。妊娠していたら奇跡です」
「へっ?!」
期待をしていた答えなのにミケネ侯爵夫人は素っ頓狂な声を出してしまった。
「あ、あの…今が月のものの最中だとか…なの?」
「いいえ。夫とは義両親が同居となって以来関係がありませんでしたから」
「フェェェェーッ?!」
――聖人君子かよ!――
らしくない言葉使いでミケネ侯爵夫人は叫びそうになった。
――50代の夫でも月に2、3回は元気なのに!?――
あぁ、面倒臭い。
そう思いながらもミケネ侯爵のゴロニャン対応をしていたミケネ侯爵夫人。
――今時の20代は草食系と言うけど本当に淡白なの?――
が、ミケネ侯爵夫人の「淡白宣言」な考えはリシェルの言葉で消し飛んだ。
「外に女性がいたんだと思います。ほぼ毎日深夜に帰宅で…食事も湯も済ませて帰ってましたから」
バギッ!!
ミケネ侯爵夫人の鉄扇がグラップラー化した手によって2つに折れた。
扉の向こうで鉄扇の折れる音を聞いた夫人付きの執事スコッチ。
執事補佐のジプシーに新しい鉄扇を発注するように頼んだ。
「え?かんざしじゃなくて?」
「そんなもの!旦那様のうなじに突き立てたら大変だろう!」
仕事は出来る仕事人なジプシー。
心配ない。ミケネ侯爵夫人の握力なら仕置き人になれるのだから。
☆~☆
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