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A.D.
聖廟
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「まだ?」
世月くんはたらふく屋台飯を食べてご満悦だったけれど、風が強くて開始時間が遅くなる運営に少し苛立ってきた。
奏乃「風が弱まったら上がるはずだから気長に待とう?」
私がそう言うと同時にアナウンスが流れた。
『第66回るりまつり花火大会は天候悪化が予測されるため中止致します。』
と、アナウンスの人が台風並の突風とこれから降るかもしれない雨で花火があげられなくなったと観客全員に伝える。
世月「は?意味分かんない。」
奏乃「風が強すぎると花火が上手くうち上がらなくて危ないんだよ。」
私は一気に顔が変わった世月くんを立たせて、レジャーシートを畳む。
世月「待てば風が止むかもしれないじゃん。」
奏乃「そうだけど時間が遅すぎると周辺に住んでる人がうるさいって思うんだよ。」
世月「やだ。花火見たい。」
奏乃「私も見たかったけど、天候はしょうがないよ。」
ずっと唸る世月くんと畳んだレジャーシートを手にとって少し体が浮いてしまうほどの強い風が吹き始めた河川敷を早足で歩いていると、その周りに何故か人が囲うようについてくる。
私はその人たちの服やアクセサリーをよく見て見ると、みんなどこかしらに双葉グループの紋章が描かれているものを身につけていた。
奏乃「この人たちっていつもいたの?」
私はさっき家族を連れ去った人たちこともふと気になり、聞いてみると世月くんは軽く頷いた。
世月「俺はまだ体が小さいからこんだけいるけど、兄ちゃんの周りは2人かな。」
それぞれ秘書と親友みたいな人が1人ずついるということを世月くんは私に説明してくれ、いつも耶月さんと睦さんが一緒にいる理由が解けた。
私と世月くんはその人たちに守られながら車に乗り込み、本当にだんだんと雲行きが怪しくなってきた空の下で家に急ぐ。
世月「本当に花火無理なの?」
と、ずっと納得がいってない世月くんが小粒の雨が流れていく窓を見ながら聞いてきた。
奏乃「…雨も降ってきちゃったし、無理っぽいね。」
私はもしかしたらお祭りに行くこと自体が初めてだったかもしれない世月くんの後ろ髪を見て、強風で弾け飛んでる髪の毛を撫でて直す。
奏乃「大きいのは無理だけど、小さいのはやれるよ。」
世月「本当?」
世月くんはずっと外を眺めていた目をこちらに向けて輝く瞳を私に見せてくる。
奏乃「うん。帰る前にスーパー行こっか。」
私は運転手さんにお願いして帰り道で見つけたスーパーに寄ってもらい、手持ち花火を1パック買って家に戻った。
すると、家でずっとお留守番をしていた桜さんが玄関を開けた瞬間私に飛びかかり、貪るようにキスをしてきた。
私は突然キスをされて正しい呼吸が出来ないでいると、桜さんの顔が不自然に離れて舌を出したままとても不機嫌そうな顔をした。
世月「今から花火するから奏乃のこと離して。」
と、世月くんは桜さんの襟を乱暴に引っ張り、私に絡みついている腕も離そうとする。
桜「俺も奏乃とデートする。」
世月「ダメ。」
奏乃「デートじゃなくてただのお出かけだよ。」
私はリードが切れてからお互いの我慢がぶち切れてしまった2人をなだめるけれど、お互い自分優先の提案しか言葉に出さず花火もデートも一向に出来ない。
世月「花火見れなかったから今からすんの。桜は家に帰れよ。」
桜「今日は奏乃と家に帰る予定にしたから無理。」
お互い様な意見を言い合う2人に私はなんて言えばいいのか考えていると、桜さんの体重を支えるように寄りかかっていた玄関の扉が開き重心が崩れる。
私は一瞬宙に浮くような感覚で体に抱きついてる桜さんもずっと手を繋いでいる世月くんも道連れにしてしまうと、少し熱くて柔らかいものの上に体が落ちた。
「邪魔。」
と、私の後ろでまた2択の声が心を怯えさせる。
桜「耶月、お前の弟邪魔。」
世月「兄ちゃん、桜のこと解雇して。」
見分けがつく2人は私の後ろでふつふつとお腹の体温をあげる耶月さんにわがままを言うと、耶月さんは私の首根っこを掴み締め上げてきた。
耶月「こいつがいなくなればお互いそう思うことがないだろ。」
耶月さんの暴論に私は空いていた手を使って抵抗するけれど、全く敵わない。
耶月「女1人で喚き散らすなら母親も彼女も作るな。」
そう言い捨てた耶月さんは本当に私に殺意を持っているようで首を折ってしまいそうなほどの力で私から酸素を奪う。
今、まだギリギリ意識が保てているのは世月くんがくれた首輪のおかげだけど、目の前にいる世月くんは顔が青ざめて私よりも息苦しそうな顔をしている。
私はそんな世月くんの手を力強く握り、酸素を取り入れてもらおうとすると私の首にあった手の力が緩み私の体は桜さんの胸に渡された。
耶月「もう一度繰り返したら俺のビスコーニュだから。それが嫌ならガキの喧嘩はやめろ。」
そう言って耶月さんは羨ましげに見ていた睦さんと一緒にいつも通り2階へ上がっていった。
桜「…それは嫌だから今日だけ許す。」
と、桜さんは私を抱きしめながら少し嫌そうに呟く。
世月「俺も嫌だから3人で花火しよ。」
息を整え終わった私は少しだけ仲が戻った2人と一緒に初めて使い道を知った小さな庭園で無言の花火大会をして、今日も無事に生き残った。
環流 虹向/UNDEAD・L・L・IVE
世月くんはたらふく屋台飯を食べてご満悦だったけれど、風が強くて開始時間が遅くなる運営に少し苛立ってきた。
奏乃「風が弱まったら上がるはずだから気長に待とう?」
私がそう言うと同時にアナウンスが流れた。
『第66回るりまつり花火大会は天候悪化が予測されるため中止致します。』
と、アナウンスの人が台風並の突風とこれから降るかもしれない雨で花火があげられなくなったと観客全員に伝える。
世月「は?意味分かんない。」
奏乃「風が強すぎると花火が上手くうち上がらなくて危ないんだよ。」
私は一気に顔が変わった世月くんを立たせて、レジャーシートを畳む。
世月「待てば風が止むかもしれないじゃん。」
奏乃「そうだけど時間が遅すぎると周辺に住んでる人がうるさいって思うんだよ。」
世月「やだ。花火見たい。」
奏乃「私も見たかったけど、天候はしょうがないよ。」
ずっと唸る世月くんと畳んだレジャーシートを手にとって少し体が浮いてしまうほどの強い風が吹き始めた河川敷を早足で歩いていると、その周りに何故か人が囲うようについてくる。
私はその人たちの服やアクセサリーをよく見て見ると、みんなどこかしらに双葉グループの紋章が描かれているものを身につけていた。
奏乃「この人たちっていつもいたの?」
私はさっき家族を連れ去った人たちこともふと気になり、聞いてみると世月くんは軽く頷いた。
世月「俺はまだ体が小さいからこんだけいるけど、兄ちゃんの周りは2人かな。」
それぞれ秘書と親友みたいな人が1人ずついるということを世月くんは私に説明してくれ、いつも耶月さんと睦さんが一緒にいる理由が解けた。
私と世月くんはその人たちに守られながら車に乗り込み、本当にだんだんと雲行きが怪しくなってきた空の下で家に急ぐ。
世月「本当に花火無理なの?」
と、ずっと納得がいってない世月くんが小粒の雨が流れていく窓を見ながら聞いてきた。
奏乃「…雨も降ってきちゃったし、無理っぽいね。」
私はもしかしたらお祭りに行くこと自体が初めてだったかもしれない世月くんの後ろ髪を見て、強風で弾け飛んでる髪の毛を撫でて直す。
奏乃「大きいのは無理だけど、小さいのはやれるよ。」
世月「本当?」
世月くんはずっと外を眺めていた目をこちらに向けて輝く瞳を私に見せてくる。
奏乃「うん。帰る前にスーパー行こっか。」
私は運転手さんにお願いして帰り道で見つけたスーパーに寄ってもらい、手持ち花火を1パック買って家に戻った。
すると、家でずっとお留守番をしていた桜さんが玄関を開けた瞬間私に飛びかかり、貪るようにキスをしてきた。
私は突然キスをされて正しい呼吸が出来ないでいると、桜さんの顔が不自然に離れて舌を出したままとても不機嫌そうな顔をした。
世月「今から花火するから奏乃のこと離して。」
と、世月くんは桜さんの襟を乱暴に引っ張り、私に絡みついている腕も離そうとする。
桜「俺も奏乃とデートする。」
世月「ダメ。」
奏乃「デートじゃなくてただのお出かけだよ。」
私はリードが切れてからお互いの我慢がぶち切れてしまった2人をなだめるけれど、お互い自分優先の提案しか言葉に出さず花火もデートも一向に出来ない。
世月「花火見れなかったから今からすんの。桜は家に帰れよ。」
桜「今日は奏乃と家に帰る予定にしたから無理。」
お互い様な意見を言い合う2人に私はなんて言えばいいのか考えていると、桜さんの体重を支えるように寄りかかっていた玄関の扉が開き重心が崩れる。
私は一瞬宙に浮くような感覚で体に抱きついてる桜さんもずっと手を繋いでいる世月くんも道連れにしてしまうと、少し熱くて柔らかいものの上に体が落ちた。
「邪魔。」
と、私の後ろでまた2択の声が心を怯えさせる。
桜「耶月、お前の弟邪魔。」
世月「兄ちゃん、桜のこと解雇して。」
見分けがつく2人は私の後ろでふつふつとお腹の体温をあげる耶月さんにわがままを言うと、耶月さんは私の首根っこを掴み締め上げてきた。
耶月「こいつがいなくなればお互いそう思うことがないだろ。」
耶月さんの暴論に私は空いていた手を使って抵抗するけれど、全く敵わない。
耶月「女1人で喚き散らすなら母親も彼女も作るな。」
そう言い捨てた耶月さんは本当に私に殺意を持っているようで首を折ってしまいそうなほどの力で私から酸素を奪う。
今、まだギリギリ意識が保てているのは世月くんがくれた首輪のおかげだけど、目の前にいる世月くんは顔が青ざめて私よりも息苦しそうな顔をしている。
私はそんな世月くんの手を力強く握り、酸素を取り入れてもらおうとすると私の首にあった手の力が緩み私の体は桜さんの胸に渡された。
耶月「もう一度繰り返したら俺のビスコーニュだから。それが嫌ならガキの喧嘩はやめろ。」
そう言って耶月さんは羨ましげに見ていた睦さんと一緒にいつも通り2階へ上がっていった。
桜「…それは嫌だから今日だけ許す。」
と、桜さんは私を抱きしめながら少し嫌そうに呟く。
世月「俺も嫌だから3人で花火しよ。」
息を整え終わった私は少しだけ仲が戻った2人と一緒に初めて使い道を知った小さな庭園で無言の花火大会をして、今日も無事に生き残った。
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