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ANNIVERSARY
ひらまい訪春
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だんだんといつも着ていたアウターの出番が少なくなり、最近は少し湿った春の匂いがだんだんと香るようになってきた。
明人「春だね。」
成「だねー。桜も咲いてきた。」
今日は休みが合わなかった信之と行きたいと思っているお花見の下見に成くんと一緒に来た。
明人「来週くらいまでには満開になってほしいな。」
成「信之さんとデート?」
明人「うん。初めて遠出する。」
成「え?遠出って言っても今住んでる所からバス1本じゃん。」
明人「いつも歩ける距離でデートしてるから。」
私が信之とのデートを初めて話すと成くんは驚いた顔をした。
成「旅行とか行かないの?」
明人「休み合う方が珍しいし。」
成「レストランで食事は?」
明人「信之のごはんが美味しいからたまにでいいかなって。」
成「映画とか、動物園とか諸々は?」
明人「映画はDVD借りればいいし、動物見るより信之を見てたい。」
私がそう惚気けると成くんはため息をついた。
成「ちょっとお金かけたデートもたまにはしたくならない?」
明人「んー…、どうだろう。」
私は信之とのデートと成くんがしてくれたデートを思い返し、やっぱり信之がいいと思ってしまう。
明人「…美味しいごはんは食べたりしたいなって思うけど、お金かけなくても信之と楽しめるならいいと思う。」
成「美味しいごはん食べれてる?」
明人「うん。お互い生活費半分にしてるから前よりも余裕出来た。」
成「…そっか。」
と、成くんはしょぼくれた顔をして、予約したというランチ時のレストラン入った。
私もその後に続いて入り、薄手のジャケットを渡して案内されたテーブル席に座る。
成「魚と肉、どっちがいい?」
と、成くんはメインになるものを私に聞いてきた。
明人「魚。」
成「肉じゃないの?」
明人「今はそんな気分。」
成「そっか。じゃあ注文するね。」
そう言って成くんはスムーズに注文して、食前酒のシャンパンを私に頼んでくれた。
明人「成くん呑まないのにいいのかな。」
成「俺は明人に変なことしないようにわざと車で来てるんだ。明人がごはんを美味しそうに食べてるところを見れればそれでいいの。」
…なんで私なんだろ?
他にも美味しそうに食べる人いるのに。
明人「…いただきます。」
成「俺も、いただきまーす。」
私は成くんに軽くグラスを合わせて、シャンパンとジンジャーエールでお互い喉を潤す。
成「今度、みんなで休み合わせて旅行いこ?」
と、成くんはグラスから口を離すとすぐそう言った。
明人「みんなって?」
成「明人、信之さん、MGRのみんな、他にも誘いたい人いたら誘っていいよ。」
明人「いや…、みんな忙しいよ?」
成「それでも2、3ヶ月置いたら2日くらい同じ日に休み取れるでしょ?」
…はぁ、だるい。
久しぶりに成くんのわがまま始まったよ。
この間は莉音から助けてくれて綺咲さんと私からの株が上がったのに、もう大暴落。
明人「MGRのみんなまでなら話合わせやすいけど、いいって言ってくれるか分からないよ?」
成「この間、みんなでパーティーしたからいけるって!俺の営業能力見たでしょ?」
と、1月末にゲームの賞品で貰った商品券を使い、成くんと私とMGRのみんなでパーティーをして自分なりに溶け込んだことを自慢げに話す成くん。
明人「じゃあ、成くんからみんなに聞いてみて。それでみんなOK出してくれたら行こ。」
成「やったー!みんなで温泉旅行♡」
そう言って成くんはすぐに携帯を取り出し、みんなにメッセージを送っていると前菜のサラダが届いた。
成「…これで、みんな送ったかな。」
明人「マナー悪いよー。」
成「ごめんごめん。早く決めて早く行きたいから。」
成くんは焦りながら携帯をしまい、手にフォークを持って食べ始めた。
これが信之だったらもっと楽しいし、このよく分からないサラダの味も美味しいって思えたのかな。
けど、信之だったらここの店に入らないで向かい側に見える干物が美味しそうな定食屋さんに入るんだろうな。
…今度来た時はあっちの店行こっと。
私はひっそり信之とのデートプランを考えながら、成くんとの月に数回の食事に付き合った。
…………
朝・ピカイチサンドセット
昼・成くんとランチセット
成くんが紹介してくれるごはん屋さんは美味しい時と不思議な時があるから私の舌がおかしいのかなとふと思っちゃう。
けど、信之といる時は絶対美味しいって分かってるものだから信之のにっこりスパイスと合わさってもっと美味しく感じるんだ。
…………
環流 虹向/エンディングノート
明人「春だね。」
成「だねー。桜も咲いてきた。」
今日は休みが合わなかった信之と行きたいと思っているお花見の下見に成くんと一緒に来た。
明人「来週くらいまでには満開になってほしいな。」
成「信之さんとデート?」
明人「うん。初めて遠出する。」
成「え?遠出って言っても今住んでる所からバス1本じゃん。」
明人「いつも歩ける距離でデートしてるから。」
私が信之とのデートを初めて話すと成くんは驚いた顔をした。
成「旅行とか行かないの?」
明人「休み合う方が珍しいし。」
成「レストランで食事は?」
明人「信之のごはんが美味しいからたまにでいいかなって。」
成「映画とか、動物園とか諸々は?」
明人「映画はDVD借りればいいし、動物見るより信之を見てたい。」
私がそう惚気けると成くんはため息をついた。
成「ちょっとお金かけたデートもたまにはしたくならない?」
明人「んー…、どうだろう。」
私は信之とのデートと成くんがしてくれたデートを思い返し、やっぱり信之がいいと思ってしまう。
明人「…美味しいごはんは食べたりしたいなって思うけど、お金かけなくても信之と楽しめるならいいと思う。」
成「美味しいごはん食べれてる?」
明人「うん。お互い生活費半分にしてるから前よりも余裕出来た。」
成「…そっか。」
と、成くんはしょぼくれた顔をして、予約したというランチ時のレストラン入った。
私もその後に続いて入り、薄手のジャケットを渡して案内されたテーブル席に座る。
成「魚と肉、どっちがいい?」
と、成くんはメインになるものを私に聞いてきた。
明人「魚。」
成「肉じゃないの?」
明人「今はそんな気分。」
成「そっか。じゃあ注文するね。」
そう言って成くんはスムーズに注文して、食前酒のシャンパンを私に頼んでくれた。
明人「成くん呑まないのにいいのかな。」
成「俺は明人に変なことしないようにわざと車で来てるんだ。明人がごはんを美味しそうに食べてるところを見れればそれでいいの。」
…なんで私なんだろ?
他にも美味しそうに食べる人いるのに。
明人「…いただきます。」
成「俺も、いただきまーす。」
私は成くんに軽くグラスを合わせて、シャンパンとジンジャーエールでお互い喉を潤す。
成「今度、みんなで休み合わせて旅行いこ?」
と、成くんはグラスから口を離すとすぐそう言った。
明人「みんなって?」
成「明人、信之さん、MGRのみんな、他にも誘いたい人いたら誘っていいよ。」
明人「いや…、みんな忙しいよ?」
成「それでも2、3ヶ月置いたら2日くらい同じ日に休み取れるでしょ?」
…はぁ、だるい。
久しぶりに成くんのわがまま始まったよ。
この間は莉音から助けてくれて綺咲さんと私からの株が上がったのに、もう大暴落。
明人「MGRのみんなまでなら話合わせやすいけど、いいって言ってくれるか分からないよ?」
成「この間、みんなでパーティーしたからいけるって!俺の営業能力見たでしょ?」
と、1月末にゲームの賞品で貰った商品券を使い、成くんと私とMGRのみんなでパーティーをして自分なりに溶け込んだことを自慢げに話す成くん。
明人「じゃあ、成くんからみんなに聞いてみて。それでみんなOK出してくれたら行こ。」
成「やったー!みんなで温泉旅行♡」
そう言って成くんはすぐに携帯を取り出し、みんなにメッセージを送っていると前菜のサラダが届いた。
成「…これで、みんな送ったかな。」
明人「マナー悪いよー。」
成「ごめんごめん。早く決めて早く行きたいから。」
成くんは焦りながら携帯をしまい、手にフォークを持って食べ始めた。
これが信之だったらもっと楽しいし、このよく分からないサラダの味も美味しいって思えたのかな。
けど、信之だったらここの店に入らないで向かい側に見える干物が美味しそうな定食屋さんに入るんだろうな。
…今度来た時はあっちの店行こっと。
私はひっそり信之とのデートプランを考えながら、成くんとの月に数回の食事に付き合った。
…………
朝・ピカイチサンドセット
昼・成くんとランチセット
成くんが紹介してくれるごはん屋さんは美味しい時と不思議な時があるから私の舌がおかしいのかなとふと思っちゃう。
けど、信之といる時は絶対美味しいって分かってるものだから信之のにっこりスパイスと合わさってもっと美味しく感じるんだ。
…………
環流 虹向/エンディングノート
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