42 / 97
ANNIVERSARY
かしきり温泉
しおりを挟む
うーん、やっぱりピル飲もうかな。
私は昨日分のピルを1粒飲み、水分を摂る。
すると、私の後ろで寝ていたはずの信之がいつの間にか起きていて私の腰を撫でながら嬉しそうに笑っていた。
信之「おはよ。ピル飲んだんだ。」
明人「うん…。元々、生理重くて飲んでたから前みたいに有給取って休みたくないなって。」
信之「…そんなに重かったの?」
と、信之は私の体のことに驚き、自分の体を起こした。
明人「本当に1日中ベッドにいるって感じで、眠気も酷かったの。始めて1回辞めてみたけどダメだったからまた飲んでる。」
信之「そうなんだね。だったら明人の体のために飲んでほしい。子どものことは…、もう少し後に考えよっか。」
後ってどのくらいかな…。
けど、信之から時間を先延ばししてくれたのは初めてだから頷いておこう。
明人「分かった。でも、ゴムなしにしよ。それで妊娠したら産もう?」
信之「…明人は俺の子欲しい?」
明人「もちろん。でも1番は信之と一緒にいられる時間がたくさん欲しい。」
私は悲しげな顔させてしまったお詫びに信之に抱きつく。
信之「…そっか。ありがとう。」
私は今、信之の『ありがとう。』じゃなくて、『俺も。』が欲しかったな。
明人「うんっ。そうだ、お風呂一緒に入っちゃう?」
私は早起きした者同士で同じ温泉に入るのを提案してみる。
信之「でも、ここに混浴なんてないよ?」
明人「私が男湯行くから一緒に入ろうよ。」
信之「え!?ダメだよ…。犯罪臭する。」
明人「今5:30だから誰もいないよ。私、温泉浸かる時以外はタオル巻いとくから。お願い!」
私は広いお風呂で1度だけでいいから信之とのんびりしたくて、わがままを言ってみた。
信之「俺、長湯出来ないよ?」
明人「いいよ。軽く温まったり背中流したりしたい。」
信之「…人いたら女湯入ってよ?」
明人「うん!」
私たちはみんなが起きないうちに温泉に入る準備をして、信之に男湯に誰もいないか確認してもらう。
信之「大丈夫。この札、掃除中にしとこっか。」
明人「そうだね。そうしたら誰も入ってこないし。」
私たちは念には念を入れ、札を反転させて一緒に体の汗を流す。
明人「昨日はこっちのお風呂に入ったから、後で綺咲さんと向こうのお風呂入ってこようかな。」
信之「そっか。反対になってるのか。」
明人「うん。あっちのお風呂どうだった?」
信之「向こうはもうちょっと開けてて、柵の向こうに川見えたりしたよ。」
明人「私にも見えそう?」
信之「俺が普通に立って見えたから少し背を伸ばせば見えると思う。」
明人「おー!じゃあ後で見に行こっと。」
私と信之はのんびりと会話しながら体を洗い流し合い、出入口についていた時計を見てあと5分で湯船から上がることにした。
信之「髪の毛洗い合うのいいね。」
明人「そうだね。今度家でもしよ。」
信之「うん。湯船は狭いけど洗い合うくらいだったら出来るね。」
そう言って信之は私を自分の腕の中に引き寄せて、私の体温を感じ始めた。
信之「…明人は温泉好き?」
明「好きだよ。学生の頃、バイト代貯まったら1人で行ってたくらい好き。」
信之「そっか。じゃあ、2人で貯金して温泉行こっか。」
明人「え…?いいの?」
私は信之が初めて自分から遠出の案を出してくれたことに泣きそうになる。
信之「うん。今回みたいなご馳走は難しいけど。」
明人「ご馳走なくても、信之と行けるだけで嬉しいよ。」
私は後ろを振り返り、信之にキスをして信之の額に浮かぶ汗を旅館オリジナルの手ぬぐいで拭いていると、出入口の扉がカラカラと開く音が聞こえて心臓が止まりそうになる。
信之「…成紀さん。おはようございます。」
成「おは…、え!?なんで明人がいるの!?」
と、信之の中で隠れている私を見つけた成くんは裸ん坊で手ぬぐいを持たないまま来たらしく、慌てて自分の手で上下を隠した。
明人「貸切だから…、いけるかなと。」
私は信之の中で縮こまり、最小限に肌の露出を控える。
成「な、え?…ん?ここ男湯?女湯?」
明人「男湯…。」
成「…じゃあ、俺いていいね。」
そう言うと成くんはお尻を隠さず背後にあったシャワーで体を洗い始めた。
信之「出よっか。」
明人「うん…。」
私たちは成くんが後ろを向いてくれている間にお風呂から出て、また浴衣に着替えていると雨瑞くんがやって来た。
雨瑞「ま、間違えた!」
と、雨瑞くんは脱衣所から飛び出しどこかへ走っていってしまった。
明人「…やっぱりダメだったね。」
信之「だね。行くなら貸切の温泉あるとこがいいね。」
明人「…うん!ちょっと高いけど頑張ろ!」
信之「うん。お互い仕事頑張ろうね。」
信之は私が嬉しさのあまり着替えを忘れていたのをフォローするかのように浴衣の帯を締めてくれた。
信之「俺、2人に謝ってから部屋に行くね。」
明人「…私も謝りたい。」
信之「ここはちょっとあれだから朝ごはん前にしたら?」
明人「そ、そうだね。そうする。」
私は信之に促され、自分の部屋に行き朝ごはん前に会った2人にしっかり謝り、貸切の乱用はしないことを心に誓った。
…………
信之と2人で温泉…♡
これで仕事しばらく頑張れるっ。
…………
環流 虹向/エンディングノート
私は昨日分のピルを1粒飲み、水分を摂る。
すると、私の後ろで寝ていたはずの信之がいつの間にか起きていて私の腰を撫でながら嬉しそうに笑っていた。
信之「おはよ。ピル飲んだんだ。」
明人「うん…。元々、生理重くて飲んでたから前みたいに有給取って休みたくないなって。」
信之「…そんなに重かったの?」
と、信之は私の体のことに驚き、自分の体を起こした。
明人「本当に1日中ベッドにいるって感じで、眠気も酷かったの。始めて1回辞めてみたけどダメだったからまた飲んでる。」
信之「そうなんだね。だったら明人の体のために飲んでほしい。子どものことは…、もう少し後に考えよっか。」
後ってどのくらいかな…。
けど、信之から時間を先延ばししてくれたのは初めてだから頷いておこう。
明人「分かった。でも、ゴムなしにしよ。それで妊娠したら産もう?」
信之「…明人は俺の子欲しい?」
明人「もちろん。でも1番は信之と一緒にいられる時間がたくさん欲しい。」
私は悲しげな顔させてしまったお詫びに信之に抱きつく。
信之「…そっか。ありがとう。」
私は今、信之の『ありがとう。』じゃなくて、『俺も。』が欲しかったな。
明人「うんっ。そうだ、お風呂一緒に入っちゃう?」
私は早起きした者同士で同じ温泉に入るのを提案してみる。
信之「でも、ここに混浴なんてないよ?」
明人「私が男湯行くから一緒に入ろうよ。」
信之「え!?ダメだよ…。犯罪臭する。」
明人「今5:30だから誰もいないよ。私、温泉浸かる時以外はタオル巻いとくから。お願い!」
私は広いお風呂で1度だけでいいから信之とのんびりしたくて、わがままを言ってみた。
信之「俺、長湯出来ないよ?」
明人「いいよ。軽く温まったり背中流したりしたい。」
信之「…人いたら女湯入ってよ?」
明人「うん!」
私たちはみんなが起きないうちに温泉に入る準備をして、信之に男湯に誰もいないか確認してもらう。
信之「大丈夫。この札、掃除中にしとこっか。」
明人「そうだね。そうしたら誰も入ってこないし。」
私たちは念には念を入れ、札を反転させて一緒に体の汗を流す。
明人「昨日はこっちのお風呂に入ったから、後で綺咲さんと向こうのお風呂入ってこようかな。」
信之「そっか。反対になってるのか。」
明人「うん。あっちのお風呂どうだった?」
信之「向こうはもうちょっと開けてて、柵の向こうに川見えたりしたよ。」
明人「私にも見えそう?」
信之「俺が普通に立って見えたから少し背を伸ばせば見えると思う。」
明人「おー!じゃあ後で見に行こっと。」
私と信之はのんびりと会話しながら体を洗い流し合い、出入口についていた時計を見てあと5分で湯船から上がることにした。
信之「髪の毛洗い合うのいいね。」
明人「そうだね。今度家でもしよ。」
信之「うん。湯船は狭いけど洗い合うくらいだったら出来るね。」
そう言って信之は私を自分の腕の中に引き寄せて、私の体温を感じ始めた。
信之「…明人は温泉好き?」
明「好きだよ。学生の頃、バイト代貯まったら1人で行ってたくらい好き。」
信之「そっか。じゃあ、2人で貯金して温泉行こっか。」
明人「え…?いいの?」
私は信之が初めて自分から遠出の案を出してくれたことに泣きそうになる。
信之「うん。今回みたいなご馳走は難しいけど。」
明人「ご馳走なくても、信之と行けるだけで嬉しいよ。」
私は後ろを振り返り、信之にキスをして信之の額に浮かぶ汗を旅館オリジナルの手ぬぐいで拭いていると、出入口の扉がカラカラと開く音が聞こえて心臓が止まりそうになる。
信之「…成紀さん。おはようございます。」
成「おは…、え!?なんで明人がいるの!?」
と、信之の中で隠れている私を見つけた成くんは裸ん坊で手ぬぐいを持たないまま来たらしく、慌てて自分の手で上下を隠した。
明人「貸切だから…、いけるかなと。」
私は信之の中で縮こまり、最小限に肌の露出を控える。
成「な、え?…ん?ここ男湯?女湯?」
明人「男湯…。」
成「…じゃあ、俺いていいね。」
そう言うと成くんはお尻を隠さず背後にあったシャワーで体を洗い始めた。
信之「出よっか。」
明人「うん…。」
私たちは成くんが後ろを向いてくれている間にお風呂から出て、また浴衣に着替えていると雨瑞くんがやって来た。
雨瑞「ま、間違えた!」
と、雨瑞くんは脱衣所から飛び出しどこかへ走っていってしまった。
明人「…やっぱりダメだったね。」
信之「だね。行くなら貸切の温泉あるとこがいいね。」
明人「…うん!ちょっと高いけど頑張ろ!」
信之「うん。お互い仕事頑張ろうね。」
信之は私が嬉しさのあまり着替えを忘れていたのをフォローするかのように浴衣の帯を締めてくれた。
信之「俺、2人に謝ってから部屋に行くね。」
明人「…私も謝りたい。」
信之「ここはちょっとあれだから朝ごはん前にしたら?」
明人「そ、そうだね。そうする。」
私は信之に促され、自分の部屋に行き朝ごはん前に会った2人にしっかり謝り、貸切の乱用はしないことを心に誓った。
…………
信之と2人で温泉…♡
これで仕事しばらく頑張れるっ。
…………
環流 虹向/エンディングノート
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる