エンディングノート

環流 虹向

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うぐぐぐ腹痛

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春終わりから始まった体のだるさは改善されることなく、だんだんと悪化してきてお腹の痛さと気持ち悪さは常日頃にあって最悪な時は吐き気さえ催す。

これがつわりだったらいいのにと何度思っても、妊娠検査薬には1本の線が滲み出てくなくて私の目が涙で滲む。

けど、今日は信之と初めて夏祭りに行くからちゃんとしなきゃ。

私は早番の信之が帰ってくるのを待ちながら夏祭りに行った後、ゆっくり出来るように簡単なおつまみとワインを冷蔵庫で冷やし、お昼ごはん代わりに氷を口に入れて胃の気持ち悪さをどうにかごまかしながらメイクを済ませて病院で貰った胃薬を飲み、ゆったり過ごす。

薬をもらった病院ではなにかしらの病気ではないって胃カメラでしっかり見てもらったからホッとしたけれど、じゃあこの気持ち悪さはどこから来るんだろうとその悩みさえお腹を痛くしてくる。

だから、私はその感覚をなくすために信之がいない休みの日はずっと寝て過ごすようになった。

妊娠中で体が辛い織華にこのことは相談するのも悪いし、遊ぶこともちょっと難しそうだからここのとこ1人のことが多いなとふと思うと急に涙腺が緩くなる。

けど、目を瞑って少し眠ったらちょっとは良くなるから今日も支度がある程度終わったのでベッドに入り、眠りにつく。

そうすれば、会いたい人がすぐ来てくれるからちょっことだけ意識を落としていると肩が揺すられた。

信之「…調子悪い?」

と、信之がただいまも言わずに寝ていた私を見て心配そうな顔をしながら起こしてくれた。

明人「ううん。ちょっと眠かったから寝てただけだよ。」

信之「お昼は何食べた?」

明人「余り物だよ。」

信之「今日の朝、冷蔵庫確認したけど余り物なんかなかったよ?何食べたの?」

嘘をついた私に信之はいつになく真剣に聞いてきた。
多分、私が前よりも痩せちゃったからだろう。

明人「…氷。お腹減ってなかったから。」

そう言うと信之は泣きそうな顔をして私を抱き寄せてくれた。

信之「ちゃんと3食ごはん食べて。俺からのお願い。 」

明人「分かった…。お祭りの屋台でいっぱい食べる。」

信之「うん。今日は俺と同じ分食べて。」

明人「胃、はち切れそう。」

信之「そのくらいが丁度いい。準備して行こう。」

明人「うん。」

私は信之に体を起こしてもらい、一緒に浴衣を来て前に行けなかった夏祭りに一緒に行った。

やっぱり来たい人と来れた夏祭りはとても楽しくて、いつもの胃の痛みや気持ち悪さを忘れるほど私は信之とのお祭りを楽しんで過ごした。


…………
やっぱり行きたい人と行きたい場所へ行くのが1番楽しいし、来れたことだけで嬉しい。
また来年も信之とお祭り行って、屋台飯ほおばろう。
…………


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