エンディングノート

環流 虹向

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TICKTACK

おはつな初飯

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成くんが友達から借りた大きい車でMGRのみんなと私で近くの大きな公園に行き、日当たりがいい場所を見つけて大きなレジャーシートを敷いた。

成「雲が晴れてよかったですね。」

綺咲「そうですねー。あとでボール遊びしたいなぁ。」

成「持ってきましたよ。前に遊んだことあったんで。」

綺咲「成紀さんって4次元ポケット持ってるんですか!」

綺咲さんが成くんの用意周到さに驚き、目を輝かせてる中、私とごはんを中心に広げていた彼氏の雨瑞くんはむすっとしていた。

明人「綺咲さんと用意してきてもいいよ?」

雨瑞「いいの。このあといっぱいデートするから。」

そっか。

雨瑞くんが綺咲さんの秋休みを作るためにいつもの週間売り上げを倍稼いだから明日もMGRは休みだった。

明人「色々と楽しんでね。」

雨瑞「せくはらぁ…。」

明人「私はそんな意味で言ってませーん。雨瑞くんが勝手に誤解したんじゃん。」

私と雨瑞くんががセクハラ論争をしていると、信之と浦田さんが遅れて飲み物を担いでやってくるのが見えた。

綺咲「めいちゃん連絡取れない。」

と、綺咲さんは通信高校に通っているバイトちゃんが来ないことを残念そうにしながら成くんの手伝い終えてこちらにやってきた。

雨瑞「また寝てるのかも。」

綺咲「そうかも…。とりあえず、住所だけ送っておこう。」

めいちゃんは規則的な睡眠が取れないらしく、いつも寝不足そうな顔をしていて高校もその理由で通信にしたそう。

私もちょっと似たとこあるからたくさん寝て、元気な顔を見せてほしいなと思っていると信之が私の隣に座り、クーラーバッグを背後に置いて一息ついた。

明人「肩揉みする?」

信之「それより明人が欲しい。」

私はため息のように吐かれたビックリ発言に体が熱くなり、暑くもないのに首に汗をかいていると信之の耳横から浦田さんの渋い顔が飛び出てきた。

明人「い、いえに帰ったら…、ね?」

私は信之の唐突な積極性がまた好きになったけど、今は恥ずかしいから出してほしくなかった。

成「はーいっ。とりあえず揃ったみんなでかんぱーい。」

私の向かい側に座った成くんはみんなに飲み物が行き渡ったことを確認するとすぐに乾杯の音頭を取り、綺咲さんの特別ランチを食べ始めた。

成「んー♡綺咲さんの海老フライ美味しい♡」

浦田「五穀米、初めて食べる。」

成「え…?毎日食べるお家柄だと思ってたよ。」

浦田「俺の家、主食じゃがいもなんで。」

成「そんな家、日本にあるんだ…。」

私は信之と明日のデートの話をしている中、浦田さんの新情報をたまたま耳に入れて言葉を失っていると信之が首を傾げた。

信之「ん?御朱印参り嫌だった?」

明人「…ううん。ちょっと、浦田さんの食生活に驚いちゃって。」

信之「ああ。拓治のご両親が海外生活長かったからそれの影響だって。」

明人「知ってたんだ?」

信之「うん。サンドイッチじゃなくて蒸しじゃがいもを社食に入れろって言ってたから。」

だいぶ横暴なリクエストを浦田さんがしてたことにさらに驚くと、信之はミニトマトを私の口の中に入れ込んだ。

信之「よく見て聞いてるね。」

と、信之はちょっと嫌そうな顔をしてカキフライに乗ってた薄皮のレモンを自分の口に入れた。

明人「たまたまだよ。信之の後ろによくいるんだもん。見たくなくても見えちゃう。」

私が正直にそう話すと成くんに初体験を共有していた浦田さんが眉を寄せて私のことを睨んできたので、すかさず顔を動かし信之の顔で隠す。

明人「信之を見てるのに背景が勝手に喋るから聞こえるだけ。」

私は信之だけに聞こえるように小さく話すと、信之の肩横から浦田さんの鬼の形相が出てきて息を飲む。

浦田「人の悪口言っちゃう女のどこがいいんですか。」

と、浦田さんは信之の肩に自分の顎を置くと、満天の星空の真横でひっそりと浮かぶ月を見るようなしっとりした目つきで信之を見上げた。

信之「拓治の知らない明人が好き。そういうこと。」

浦田「どういうことですか…。」

浦田さんはふてくされた顔をして信之の肩を離れると、天を仰ぎながらその事について考え始めた。

信之「分からなくていいよ。ずっと。」

そう言って信之は何もなかったようにごはんを食べ始めた。

私は信之と浦田さんの意外な距離感に困惑しながらも、綺咲さんのごはんをしっかり食べて夕方になる頃に来てくれためいちゃんとも一緒に遊び、楽しい紅葉狩りを過ごした。


…………
昼・綺咲さんスペシャルお弁当

浦田さん、全く掴めないけど
信之に懐いてることだけは分かった(´・ω・`)
…………


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