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初めて音己ねぇが行きたいと行ってくれた場所はデート場所候補からなくなり、音己ねぇが次に行きたいと言ってくれた路面電車の終点にある、駅のすぐ横にあるビルを登り夜景を見ることにした。
音己「夜景見るだけで他は金取るのにここは無料って驚きだな。」
一「土地代と設備費用だよな。けど、このくらい街が近い方が俺は好きだな。」
音己「私も。人が見えるのが加点ポイント。」
そう言って体を乗り出して窓の下を覗こうとする危なっかしい音己ねぇの腹に俺は抱きつく。
音己「もっと見たい。」
一「王子と白馬と厩番。どれがいい?」
俺がそう口に出すと夜景に釘付けだった音己ねぇはこっちを振り向き、眉を寄せる。
一「王道王子様、どこでも白馬、無償の厩番。どれがいい?」
音己「意味分からない。」
一「音己ねぇが好きなの選んで。俺、それになるから。」
そう言うともっと理解できなくなったのか、ちゃんと姿勢を整えた音己ねぇは俺のおでこで熱を測り始めた。
一「頭イカれた訳じゃない。デートプランの話。」
俺はおでこにある手を取り、手の平から肘にかけて優しくキスしていくと音己ねぇの顔が真っ赤になる。
一「王子様、白馬、厩番。どれがいい?」
音己「…内容は秘密?」
一「うん。サプライズデートだよ。」
そう言うと音己ねぇは顔を赤らめたまま近くにあった腰掛けできる椅子に座り、考え始めた。
一「どれも音己ねぇが喜んでくれそうとこに行くけど、俺は王子様がオススメ。」
音己「…なんで?」
一「音己ねぇのこと、“音己”って呼べるから。」
音己「それ…、いつでも言えるよ…。」
一「俺の中では特別なことだから王子様だけのデートプランに組み込んだ。」
音己「…一は王子様になりたいの?」
と、潤目の音己ねぇは少し上目遣いでその場で立ったままの俺に聞いてきた。
一「なりたいよ。好きな人の王子様になりたいって思うよ。」
俺は音己ねぇの両手を取り、同じ目線にしゃがんで音己ねぇしか味わえない花の蜜の味がする唇にキスをする。
一「けど、音己ねぇが好きなのでいいよ。音己ねぇが選んでくれたものに俺はなる。」
音己「そのままの一がいいよ。」
そう言ってくれるのが嬉しいけど…、今じゃない。
一「それだとデートプランなくなる…。」
俺は自分の中にある3つのデートプランがその一言で意図も簡単に崩れてしまうことに、焦り俯いていると俺が握っていた音己ねぇの手が握り返された。
音己「王子だとお金使う?」
一「…まあ、ある程度は。」
音己「お金使わない王子様がいい。」
と、音己ねぇは優しく笑顔溢れる声で言ってくれて、俺が顔を上げるとさっきよりも近くに音己ねぇの顔があって目だけで驚く。
音己「お金を使わなくても一と一緒にいられるだけで私は嬉しい。」
一「大人っぽいデートしたいかなって思ったんだけど…。」
音己「大人っぽいより、一っぽいがいい。」
俺っぽい…。
それだといつもリードしてくれてる音己ねぇに喜んでもらえるとは思えない。
音己「私、貢ぐのも貢がれるのもやだ。だから高級レストランとかあんまり好きじゃないよ。まあ、そんなとこ行く身なりじゃないけど。」
と、音己ねぇは夢衣と出かけた時に買ったポロシャツのミニワンピースを指先で掴む。
けど、俺は瑠愛くんが教えてくれた眺めのいい高級感あるラウンジバーに行こうとしたので冷や汗をかく。
音己「美味しいご飯も、美味しいお酒も好きだけどそれはただの調味料みたいなもん。メインは一と私だから2人が楽しめる場であれば、毎回同じ場所でもいいって思う。」
一「…俺、音己ねぇ楽しませようって思ったけど。」
音己「お金で楽しめる場所は腐るほどあるけど、なくても楽しめる気持ちがあるなら私はない方を選ぶよ。」
一「それは俺が金ないから?」
音己「ううん。支払額で一喜一憂したくないから。」
一「するのは俺だけだよ?」
音己「それが嫌なの。だったら2人でずっと楽しいのがいいじゃん。」
…はあ、だめだ。
こんないい女が俺の彼女なのが不思議だ。
しかも、ちゃっかり王子様を選んじゃうの可愛すぎるだろ。
一「音己。」
俺は初めて音己ねぇを呼び捨てした。
すると、さっきまで俺が嬉しいと思うことをたくさん言ってくれた音己ねぇが少し間を置いて首を傾げたので、俺はキスして意識してもらう。
一「音己、俺の無課金無計画デートプランでいいの?」
そうやって言葉を続けると音己ねぇは再び全部を真っ赤にして恥ずかしがる。
音己「…う、うん。飯代くらいは課金していいけど。」
一「分かった。ちょっといいハンバーガーセット買って月見しよ。」
音己「いいね。じゃあ…」
一「一応ここら辺のマップは頭に入ってるから分かるよ。音己は俺に着いてくるだけでいいよ。」
音己「わ、分かった。」
音己ねぇがそう言ってくれたので俺は立ち上がり、音己ねぇの手を引いて立ちあがせた後、すぐに手を音己ねぇの腰に持っていき自分に引き寄せる。
音己「…え?なんでここ?」
一「夜の街はどこもダンスホールって言ってたから。ダンスの時、男は腰に手を置くらしいよ。」
音己「誰が言ったの…。恥ずかしいよ…。」
一「わたがし王子。俺がリードするから音己は足合わせるだけで大丈夫。」
俺はずっと恥ずかしそうにする音己の腰を持って歩き、音己ねぇが望んでくれた俺とのノープランデートを始めることにした。
→ いつか忘れてしまっても
音己「夜景見るだけで他は金取るのにここは無料って驚きだな。」
一「土地代と設備費用だよな。けど、このくらい街が近い方が俺は好きだな。」
音己「私も。人が見えるのが加点ポイント。」
そう言って体を乗り出して窓の下を覗こうとする危なっかしい音己ねぇの腹に俺は抱きつく。
音己「もっと見たい。」
一「王子と白馬と厩番。どれがいい?」
俺がそう口に出すと夜景に釘付けだった音己ねぇはこっちを振り向き、眉を寄せる。
一「王道王子様、どこでも白馬、無償の厩番。どれがいい?」
音己「意味分からない。」
一「音己ねぇが好きなの選んで。俺、それになるから。」
そう言うともっと理解できなくなったのか、ちゃんと姿勢を整えた音己ねぇは俺のおでこで熱を測り始めた。
一「頭イカれた訳じゃない。デートプランの話。」
俺はおでこにある手を取り、手の平から肘にかけて優しくキスしていくと音己ねぇの顔が真っ赤になる。
一「王子様、白馬、厩番。どれがいい?」
音己「…内容は秘密?」
一「うん。サプライズデートだよ。」
そう言うと音己ねぇは顔を赤らめたまま近くにあった腰掛けできる椅子に座り、考え始めた。
一「どれも音己ねぇが喜んでくれそうとこに行くけど、俺は王子様がオススメ。」
音己「…なんで?」
一「音己ねぇのこと、“音己”って呼べるから。」
音己「それ…、いつでも言えるよ…。」
一「俺の中では特別なことだから王子様だけのデートプランに組み込んだ。」
音己「…一は王子様になりたいの?」
と、潤目の音己ねぇは少し上目遣いでその場で立ったままの俺に聞いてきた。
一「なりたいよ。好きな人の王子様になりたいって思うよ。」
俺は音己ねぇの両手を取り、同じ目線にしゃがんで音己ねぇしか味わえない花の蜜の味がする唇にキスをする。
一「けど、音己ねぇが好きなのでいいよ。音己ねぇが選んでくれたものに俺はなる。」
音己「そのままの一がいいよ。」
そう言ってくれるのが嬉しいけど…、今じゃない。
一「それだとデートプランなくなる…。」
俺は自分の中にある3つのデートプランがその一言で意図も簡単に崩れてしまうことに、焦り俯いていると俺が握っていた音己ねぇの手が握り返された。
音己「王子だとお金使う?」
一「…まあ、ある程度は。」
音己「お金使わない王子様がいい。」
と、音己ねぇは優しく笑顔溢れる声で言ってくれて、俺が顔を上げるとさっきよりも近くに音己ねぇの顔があって目だけで驚く。
音己「お金を使わなくても一と一緒にいられるだけで私は嬉しい。」
一「大人っぽいデートしたいかなって思ったんだけど…。」
音己「大人っぽいより、一っぽいがいい。」
俺っぽい…。
それだといつもリードしてくれてる音己ねぇに喜んでもらえるとは思えない。
音己「私、貢ぐのも貢がれるのもやだ。だから高級レストランとかあんまり好きじゃないよ。まあ、そんなとこ行く身なりじゃないけど。」
と、音己ねぇは夢衣と出かけた時に買ったポロシャツのミニワンピースを指先で掴む。
けど、俺は瑠愛くんが教えてくれた眺めのいい高級感あるラウンジバーに行こうとしたので冷や汗をかく。
音己「美味しいご飯も、美味しいお酒も好きだけどそれはただの調味料みたいなもん。メインは一と私だから2人が楽しめる場であれば、毎回同じ場所でもいいって思う。」
一「…俺、音己ねぇ楽しませようって思ったけど。」
音己「お金で楽しめる場所は腐るほどあるけど、なくても楽しめる気持ちがあるなら私はない方を選ぶよ。」
一「それは俺が金ないから?」
音己「ううん。支払額で一喜一憂したくないから。」
一「するのは俺だけだよ?」
音己「それが嫌なの。だったら2人でずっと楽しいのがいいじゃん。」
…はあ、だめだ。
こんないい女が俺の彼女なのが不思議だ。
しかも、ちゃっかり王子様を選んじゃうの可愛すぎるだろ。
一「音己。」
俺は初めて音己ねぇを呼び捨てした。
すると、さっきまで俺が嬉しいと思うことをたくさん言ってくれた音己ねぇが少し間を置いて首を傾げたので、俺はキスして意識してもらう。
一「音己、俺の無課金無計画デートプランでいいの?」
そうやって言葉を続けると音己ねぇは再び全部を真っ赤にして恥ずかしがる。
音己「…う、うん。飯代くらいは課金していいけど。」
一「分かった。ちょっといいハンバーガーセット買って月見しよ。」
音己「いいね。じゃあ…」
一「一応ここら辺のマップは頭に入ってるから分かるよ。音己は俺に着いてくるだけでいいよ。」
音己「わ、分かった。」
音己ねぇがそう言ってくれたので俺は立ち上がり、音己ねぇの手を引いて立ちあがせた後、すぐに手を音己ねぇの腰に持っていき自分に引き寄せる。
音己「…え?なんでここ?」
一「夜の街はどこもダンスホールって言ってたから。ダンスの時、男は腰に手を置くらしいよ。」
音己「誰が言ったの…。恥ずかしいよ…。」
一「わたがし王子。俺がリードするから音己は足合わせるだけで大丈夫。」
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