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本編
【都市へ】18.これが本当の旅出
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キャラバン隊へラフィが同行する許可を貰い、空が明るくなる頃に出発する。明るい内しか移動が出来ないため、休憩は馬の調子次第。夜以外は、歩きながら携帯食で食事を済ませた。
丁度昼頃だ、後方から犬の鳴き声が聞こえてきたのは。
続いて馬の蹄の音がして、キャラバン隊は緊張を強めたが、次に夏の夕焼け空のようなオレンジ色の派手な外套を着た男が馬に跨がって呼び止める声を聞き、警戒を解いた。あの特徴的な派手な外套は、町の人間が着る独特なものだ。
熊の毛皮を背負ったような立ち耳の大型犬が先行し、後から聞き覚えのある声が近づいてくる。
「やっと追いついた。やっぱ、居るッスねラフィさん」
馬の足を止めたリグが息を弾ませて声を掛けてきた。
「帰らないぞ」
「連れ戻しに来たんじゃないッス。旦那様から伝言。「キャラバン隊の護衛を青い小僧に依頼する。報酬の支払いは町に帰って来てから渡す」」
ラフィがついて行くことを止めないが、商隊と一緒に帰ってこいということか。いたく気に入られている。
小さな町だ、ラフィの剣の腕前があれば、居るだけで自警団の士気が上がり、貴重な防衛力になるからな。ラフィ自身がそのことに気づいていないだろうけど。
「ジジイめ、変に気をつかう。商隊に同行するついでに、護衛くらいはしてやっても構わない。帰って来るかどうかはそのときの気分次第だ」
雇われる側なのに、踏ん反り返って偉そうな受け答えをする。踏ん反り返って見えるのは、ただ単に、身長のせいでリグを見上げているだけかもしれないが。
童顔な小男だけに、威張っている子供に見えて可愛らしくも見えるが、その力量は自警団の師範を頼まれる程で威張れるものであり、完全に上から目線。全く可愛らしくは無い。
「それはそうと、オレ個人から買い物依頼ッス」
「俺の話、聞いてたか?」
帰ってくるかどうかは未定だと言うラフィを無視し、小さな革の袋を何故かこっちに渡してくる。感触からして、コインの入った財布か。
「瑠璃を買ってきて欲しいッス。装飾品にもならないような屑でいいんで」
このまま帰らなかったら、財布の持ち逃げをすることになるのだが。
「ちゃんとした石でなくていいのですか」
「屑がいいッス。昔っから瑠璃が好きで、欠けたり砕けたりして使い物にならないやつとか、朝市で探して小遣いで買ってコツコツコレクションしてるんッス。まあ、何にするって訳じゃなくて、ただ眺めてるだけなんスけど」
「なるほど。わかった」
変わった趣味だと思っていたら、帰ってくるかどうか未定だと言ったラフィが了承した。
帰ってくる意思はあるのか、どうなのか。
「屋敷は大丈夫なのですか」
「冬は仕事の無い農家だとかいるんで、大丈夫っしょ。バセさんが春まで何とかするッス。多分。
突然居なくなるもんだから、こっちは夜勤明けで、日の出前から馬で走って来て寝てねぇんッスからね。明日の昼まで休みにして貰ったから、帰ったらすぐ寝るッス」
ちゃっかり私用の買い物まで俺たちに押し付け、文句を言いたいだけ言って、町へ引き返して行った。あれは存外、将来は大物になるのかもしれない。
さて。
旦那様が気を回して、正式な依頼という大義名分を下さったお陰で、後ろ髪を引かれることなく堂々と旅に出られる。
キャラバン隊にとっても旅慣れた者が入るのは、戦力だ。道中、狼の群れに遭遇し、俺がクロスボウで矢を射かけ、ラフィが軽快に駆けて剣で猟犬の如く追って仕留める。足をとられる雪の上で素早く行動出来るのは、小柄でも力のある彼だから出来る技だ。
三頭の狼を狩り、肉は道中の食料に、毛皮は立ち寄った村で売って路銀に変わり、ラフィの加入で充足した旅路になった。
丁度昼頃だ、後方から犬の鳴き声が聞こえてきたのは。
続いて馬の蹄の音がして、キャラバン隊は緊張を強めたが、次に夏の夕焼け空のようなオレンジ色の派手な外套を着た男が馬に跨がって呼び止める声を聞き、警戒を解いた。あの特徴的な派手な外套は、町の人間が着る独特なものだ。
熊の毛皮を背負ったような立ち耳の大型犬が先行し、後から聞き覚えのある声が近づいてくる。
「やっと追いついた。やっぱ、居るッスねラフィさん」
馬の足を止めたリグが息を弾ませて声を掛けてきた。
「帰らないぞ」
「連れ戻しに来たんじゃないッス。旦那様から伝言。「キャラバン隊の護衛を青い小僧に依頼する。報酬の支払いは町に帰って来てから渡す」」
ラフィがついて行くことを止めないが、商隊と一緒に帰ってこいということか。いたく気に入られている。
小さな町だ、ラフィの剣の腕前があれば、居るだけで自警団の士気が上がり、貴重な防衛力になるからな。ラフィ自身がそのことに気づいていないだろうけど。
「ジジイめ、変に気をつかう。商隊に同行するついでに、護衛くらいはしてやっても構わない。帰って来るかどうかはそのときの気分次第だ」
雇われる側なのに、踏ん反り返って偉そうな受け答えをする。踏ん反り返って見えるのは、ただ単に、身長のせいでリグを見上げているだけかもしれないが。
童顔な小男だけに、威張っている子供に見えて可愛らしくも見えるが、その力量は自警団の師範を頼まれる程で威張れるものであり、完全に上から目線。全く可愛らしくは無い。
「それはそうと、オレ個人から買い物依頼ッス」
「俺の話、聞いてたか?」
帰ってくるかどうかは未定だと言うラフィを無視し、小さな革の袋を何故かこっちに渡してくる。感触からして、コインの入った財布か。
「瑠璃を買ってきて欲しいッス。装飾品にもならないような屑でいいんで」
このまま帰らなかったら、財布の持ち逃げをすることになるのだが。
「ちゃんとした石でなくていいのですか」
「屑がいいッス。昔っから瑠璃が好きで、欠けたり砕けたりして使い物にならないやつとか、朝市で探して小遣いで買ってコツコツコレクションしてるんッス。まあ、何にするって訳じゃなくて、ただ眺めてるだけなんスけど」
「なるほど。わかった」
変わった趣味だと思っていたら、帰ってくるかどうか未定だと言ったラフィが了承した。
帰ってくる意思はあるのか、どうなのか。
「屋敷は大丈夫なのですか」
「冬は仕事の無い農家だとかいるんで、大丈夫っしょ。バセさんが春まで何とかするッス。多分。
突然居なくなるもんだから、こっちは夜勤明けで、日の出前から馬で走って来て寝てねぇんッスからね。明日の昼まで休みにして貰ったから、帰ったらすぐ寝るッス」
ちゃっかり私用の買い物まで俺たちに押し付け、文句を言いたいだけ言って、町へ引き返して行った。あれは存外、将来は大物になるのかもしれない。
さて。
旦那様が気を回して、正式な依頼という大義名分を下さったお陰で、後ろ髪を引かれることなく堂々と旅に出られる。
キャラバン隊にとっても旅慣れた者が入るのは、戦力だ。道中、狼の群れに遭遇し、俺がクロスボウで矢を射かけ、ラフィが軽快に駆けて剣で猟犬の如く追って仕留める。足をとられる雪の上で素早く行動出来るのは、小柄でも力のある彼だから出来る技だ。
三頭の狼を狩り、肉は道中の食料に、毛皮は立ち寄った村で売って路銀に変わり、ラフィの加入で充足した旅路になった。
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