9 / 37
3.悪魔の企み (2)
しおりを挟む
「ロズス家は長女と長男は優秀なのに、それ以外が駄目だ」
「申し訳ありません、教育不足でした」
「薬を飲ませていない妹か娘がまだあるのだろう?」
側近パンギス、侍女ダージのあるロズス家は、薬物の元となる植物の生産から、薬への製造を行っていた。
それだけではなく、娼館も運営していて、貴族を相手にする高級な娼館から、スラム街にある場末の娼館まで手広くやっている。
娼館に属する者ならば姦通罪は適応されないため、情慾を持て余した者たちが足繁く通う。ロズス家は裕福だった。
薬は酒に混ぜて飲むもので、効果があるうちは気分を高揚させ、切れれば悪夢を見せる。一度使えば、薬を使わなければ気が狂うほどの依存性があり、使う度に精神がすり減り廃人と化す。
ヴァルグードの祖父の代は、酒欲しさに隷属するよう薬入りの酒を奴隷に飲ませていたが、効果の切れた奴隷が幻覚を見て主人を手に掛けたり、廃人となれば労働力として使い物にならなくなる。奴隷の貴族殺しが問題となり、法律で禁止された薬物だ。
ロズス家は密かに、薬の効果が切れなければいいと、娼館に売られた娼婦や男娼に飲ませ、逃げだせないように薬で縛り付けていた。娼館なら、動かなくなった廃人でも需要がある。
娼館には、平民や孤児だけではなく、貴族から堕ちた者も売られてくる。
没落貴族が堕ちたり、子沢山だったり、貧乏な貴族が子供を持て余して売って金に変えたり、正妻以外との間に出来た子供を密かに売ったり。
貴族の血を引く娼婦や男娼は、現役貴族に人気だ。夫婦のどちらかが原因で子供が出来づらかったり、セックスを厭うが子供は作らなければならないとなった事情で奴隷に堕ちた高貴な血を買い、子供を産ませるのだ。
平民を管理する貴族が少なくなれば、国は成り立たない。
家を継がせる子供を作るためとはいえ、パートナー以外とのセックスをよく思わない者のために、シリンジを使ったセックスをしない妊娠方法を生み出したりと、貴族社会に貢献していた。
ヴァルグードがロズス家に目を付ける前は隠して薬入りの酒を使っていたが、ヴァルグードがパンギスを側近に取り立て、ロズス家の国への貢献が王族に認められた。
現在、違法薬物の使用は娼館で管理するならと、黙認されている状態だった。公ではないが、この国の貴族なら皆が知っている。
子供を産ませるために買われる娼婦、男娼は、生まれる子供に悪影響だと薬入りの酒を飲まされている者は厭われ、貴族の血を引く者は子供を産ませる商品となるよう薬を使われていない。
ロズス家の家長と長男は見目麗しい娼婦を、商品を躾けると称してつまみ食いし、何人も孕ませていた。
生まれた子供は当然、ロズス家――貴族の血を引いていて、貴族の子供を産む商品として薬を使われていない。
「十五になった私の娘が五人あります」
「ダージの補佐に一人付けてやれ。ダージだけで監視も世話もとなると大変だろう。不意に抵抗されれば、いくら食事を抜き体力をつけさせていないとしても、相手は男だ、隙を見せれば逃げ出すかもしれない。用心に越したことはない」
それに毎日の風呂の用意は手間が掛かる。湯を運ぶ作業は女一人の力では難しい。
「承知しました」
「それより、今日出たベーコンを作っている精肉屋と牧場の買い付けも任せる。俺のフェレルが好きだと言ったのだ、メイドなんかあとでいい、抵抗するなら親族を攫って娼館に落として人質にすればいい、昼にでも持って来れるようにしろ」
「すぐに買い付けてまいりす」
側近パンギスは一礼をする。妹の死体など存在しないとでもいうように一瞥もくれず、足早に出ていった。
貴族にとって、嫡子以外は家のための道具でしかない。役に立たない道具は捨てられ、役に立つ道具は重用される。
「ベラド、ゴミを片付けろ」
「かしこまりました」
従者はメイドの首と死体を抱え、外へと運び出す。
「エレジア、賢いお前ならわかっているだろうと思うが、お前とフェレルの婚約は仮初めのものだ。フェレルがよりこの王宮から逃げだせなくするためのものでしかない。
お前と結婚してしまえば、不誠実な貴族どもとは違う、誠実で健気なあの子のことだ、他の誰とも知らぬ者にフェレルの愛情を盗まれることはなくなる。
フェレルは俺のものだ、婚約者となったからといって、情けをかけようなんて気を起こすな。
そうなれば、お前の子供もお前の愛する平民騎士もお前自身も、生きていられないと思え」
「承知しております」
「申し訳ありません、教育不足でした」
「薬を飲ませていない妹か娘がまだあるのだろう?」
側近パンギス、侍女ダージのあるロズス家は、薬物の元となる植物の生産から、薬への製造を行っていた。
それだけではなく、娼館も運営していて、貴族を相手にする高級な娼館から、スラム街にある場末の娼館まで手広くやっている。
娼館に属する者ならば姦通罪は適応されないため、情慾を持て余した者たちが足繁く通う。ロズス家は裕福だった。
薬は酒に混ぜて飲むもので、効果があるうちは気分を高揚させ、切れれば悪夢を見せる。一度使えば、薬を使わなければ気が狂うほどの依存性があり、使う度に精神がすり減り廃人と化す。
ヴァルグードの祖父の代は、酒欲しさに隷属するよう薬入りの酒を奴隷に飲ませていたが、効果の切れた奴隷が幻覚を見て主人を手に掛けたり、廃人となれば労働力として使い物にならなくなる。奴隷の貴族殺しが問題となり、法律で禁止された薬物だ。
ロズス家は密かに、薬の効果が切れなければいいと、娼館に売られた娼婦や男娼に飲ませ、逃げだせないように薬で縛り付けていた。娼館なら、動かなくなった廃人でも需要がある。
娼館には、平民や孤児だけではなく、貴族から堕ちた者も売られてくる。
没落貴族が堕ちたり、子沢山だったり、貧乏な貴族が子供を持て余して売って金に変えたり、正妻以外との間に出来た子供を密かに売ったり。
貴族の血を引く娼婦や男娼は、現役貴族に人気だ。夫婦のどちらかが原因で子供が出来づらかったり、セックスを厭うが子供は作らなければならないとなった事情で奴隷に堕ちた高貴な血を買い、子供を産ませるのだ。
平民を管理する貴族が少なくなれば、国は成り立たない。
家を継がせる子供を作るためとはいえ、パートナー以外とのセックスをよく思わない者のために、シリンジを使ったセックスをしない妊娠方法を生み出したりと、貴族社会に貢献していた。
ヴァルグードがロズス家に目を付ける前は隠して薬入りの酒を使っていたが、ヴァルグードがパンギスを側近に取り立て、ロズス家の国への貢献が王族に認められた。
現在、違法薬物の使用は娼館で管理するならと、黙認されている状態だった。公ではないが、この国の貴族なら皆が知っている。
子供を産ませるために買われる娼婦、男娼は、生まれる子供に悪影響だと薬入りの酒を飲まされている者は厭われ、貴族の血を引く者は子供を産ませる商品となるよう薬を使われていない。
ロズス家の家長と長男は見目麗しい娼婦を、商品を躾けると称してつまみ食いし、何人も孕ませていた。
生まれた子供は当然、ロズス家――貴族の血を引いていて、貴族の子供を産む商品として薬を使われていない。
「十五になった私の娘が五人あります」
「ダージの補佐に一人付けてやれ。ダージだけで監視も世話もとなると大変だろう。不意に抵抗されれば、いくら食事を抜き体力をつけさせていないとしても、相手は男だ、隙を見せれば逃げ出すかもしれない。用心に越したことはない」
それに毎日の風呂の用意は手間が掛かる。湯を運ぶ作業は女一人の力では難しい。
「承知しました」
「それより、今日出たベーコンを作っている精肉屋と牧場の買い付けも任せる。俺のフェレルが好きだと言ったのだ、メイドなんかあとでいい、抵抗するなら親族を攫って娼館に落として人質にすればいい、昼にでも持って来れるようにしろ」
「すぐに買い付けてまいりす」
側近パンギスは一礼をする。妹の死体など存在しないとでもいうように一瞥もくれず、足早に出ていった。
貴族にとって、嫡子以外は家のための道具でしかない。役に立たない道具は捨てられ、役に立つ道具は重用される。
「ベラド、ゴミを片付けろ」
「かしこまりました」
従者はメイドの首と死体を抱え、外へと運び出す。
「エレジア、賢いお前ならわかっているだろうと思うが、お前とフェレルの婚約は仮初めのものだ。フェレルがよりこの王宮から逃げだせなくするためのものでしかない。
お前と結婚してしまえば、不誠実な貴族どもとは違う、誠実で健気なあの子のことだ、他の誰とも知らぬ者にフェレルの愛情を盗まれることはなくなる。
フェレルは俺のものだ、婚約者となったからといって、情けをかけようなんて気を起こすな。
そうなれば、お前の子供もお前の愛する平民騎士もお前自身も、生きていられないと思え」
「承知しております」
35
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。
皆さまありがとうございます。
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
番外編。
リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。
――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる