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エピローグ
しおりを挟む──そして、一年ほどが経過した、春の日。
「……オミ、久しぶり。今年は、直哉くんと一緒に来たよ」
「初めまして……になるの、かな?」
優恵は、直哉と一緒にあの交差点にやってきていた。
供花を置き、並んでしゃがみ、手を合わせる。
この一年間で、二人の人生は大きく変わった。
優恵は今も愛子と栞と一緒にいて、他にも友達と呼べる存在が増えた。
龍臣や事故のことは、愛子と栞にだけ話て理解してもらっている。
直哉は少しずつ運動することを始めていて、今は居酒屋でアルバイトをしながら、颯と一緒にスポーツに挑戦していたりする。
二人の交際は順調に進んでいて、お互いの両親との関係も良好。
今は同じ大学に進むため、直哉が優恵や颯に教えてもらいながら必死に勉強している。
龍臣に救われた命を持つ二人は、今もこうして支え合いながら一緒に前を向いている。
「私ね、友達ができたの」
毎年"ごめんね"しか言えなかった。だけど、今年は言いたいことがたくさんある。
直哉と出会えたこと。あの事故の後の真実を知れたこと。友達ができたこと。学校が楽しいと思えるようになったこと。直哉と付き合うようになったこと。
その全ては、龍臣のおかげ。
龍臣が命を救ってくれたから。
龍臣が直哉へと命を繋いでくれたから。
だから、こうして今、二人は手を取り合うことができているのだ。
「ありがとう」
二人の重なる声に、当然返事はない。だけど。
「──優恵」
立ち上がった直哉が、優恵に手のひらを出す。
「そろそろ行こう」
「……うん」
そして、優恵は笑顔で自分の手を重ねた。
ぐいっと引いて、優恵を起こす。
あの時、絶望の海の底から見えた、希望の光。
それを掴んだ水面の先には、雲ひとつない澄み切った青空が広がっていた。
──End.
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