とろけるような、キスをして。

青花美来

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第一章

再会(2)

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「新婦が入場します」


アナウンスと共に扉が開き、自身の父親と腕を組んで入場した晴美姉ちゃん。

バージンロードを一歩ずつ歩く姿はやはりとても神秘的。美しいという言葉がよく当てはまる。


「……綺麗」

「そうだな」


結局私は、当たり前のように隣に陣取った先生と一緒に参列することになった。

式は滞りなく進み、誓いの言葉を経てキスを交わす。

晴美姉ちゃんには昔からお世話になりっぱなしだったから、嬉しいのと少し寂しいのとでなんだか気持ちがぐちゃぐちゃになりそうだった。

その後は披露宴。

先生と一緒に会場に移動すると、私の席はまたまた先生の隣だった。親族席には恐れ多くて座れないと言った私のために仕事関係者のテーブルに席を用意してくれたらしい。


「お、隣じゃん」

「知ってる人が隣で良かった」


いくら地元とは言え、晴美姉ちゃんとはそこそこ歳も離れているから共通の知り合いなんてほとんどいない。一人ですみっこの方で参列すればいいかと思っていたものの、やはり知っている人の隣は安心するもの。晴美姉ちゃんの配慮に感謝せねば。

披露宴の間は先生がたくさん話しかけてくれたおかげで、楽しく参加できた。

二人の生い立ちを振り返るスライドショーでは、晴美姉ちゃんが私の子守りをしている昔の写真が出てきたり、深山先生や他の先生方と一緒に写っている写真が出てきたり。時折指差しながら先生と笑い合う。

終盤の新婦から両親への手紙に感動して泣きそうになったりもした。

うっすらと滲んだ涙を拭いた後。写真撮影の時間では晴美姉ちゃんとツーショットも撮ることができて大満足だった。

カメラマンさんにも撮ってもらい、私のスマートフォンでも撮ってもらい。晴美姉ちゃんも自分のスマートフォンで撮ってもらっていた。

後で撮った写真を送り合おう。そう思って席に戻ろうとすると、晴美姉ちゃんが思い出したかのように


「美也子、せっかくだから深山先生とも写真撮ったら?」


と笑顔を向けた。


「え?」

「振り袖姿、どうせ今のやつしか写真撮ってないんでしょ?」

「それはそうだけど……」

「深山先生も美也子と二人で写真撮りたいでしょ?」


まさか、そんなわけないでしょ。

そう思って晴美姉ちゃんに断りを入れようとしたら。


「確かに。撮りたい」

「え!?」


まさかの返事に、固まった。


「ほら、美也子!深山先生!私が撮ってあげる!」


晴美姉ちゃんにそう言われて、断る間も無くノリノリの先生が私を引き寄せる。

ぴったりと先生にくっついた肩が、やけに熱く感じた。


「ほら、美也子もっと笑って」

「え……うん」


何故か晴美姉ちゃんが写真を撮ってくれて、よくわからないけど先生につられるようにカメラにぎこちない笑顔を向けた。

何故今日の主役が私たちにカメラを向けているのか、その主役がとても楽しそうだから聞くのはやめた。


「後で送っとくねー!」


そう言って晴美姉ちゃんはすぐに他の人との写真の時間になり、今度は撮られる側に戻っていた。


「みゃーこはこの後は?いつ東京戻るの?」


席に戻ってから晴美姉ちゃんを眩しく見つめていると、先生が話しかけてくる。


「私?……この後はちょっと実家の方見に行って、今日はホテル泊まる予定。明日の最終便で向こう戻るよ」


今日は土曜日だ。仕事の関係もあり、明日の最終便の飛行機のチケットを取っていた。


「一人で実家行くの?」

「うん。別に帰省したからって会うような友達もいないし、ホテルのチェックインまで時間あるし。どうせなら久しぶりに街中とかそれこそ高校とか、いろいろ見に行きたいなって思ってたから、その辺ぶらぶらしてる予定だよ」


上京してから、初めての帰省だった。

いろいろ見たいところがあるけど、誘うような友達なんていない。

晴美姉ちゃんを見つめながら答えると、


「じゃあそれ、俺も付き合っていい?」


と言われて、思わず振り向いた。


「え?先生が?なんで?」

「なんでって言われても。せっかく久しぶりに会ったし、みゃーこともっと話したいなと思って。それに高校も行くなら、関係者の許可が無いと今入れないから」

「あ、そうなの?」


その辺は全く考えていなかった。確かに部外者が勝手に入るわけにはいかないか。


「うん。だから俺がいた方が何かと便利だと思うよ」

「先生も暇なの?」

「うん。この後何も予定無い」

「……じゃあ、お願いしようかな」

「よし、決まり!」


嬉しそうな先生は、最近の学校生活をいろいろと話してくれた。あの先生が転勤したとか、この先生が寿退社したとか。

私が在籍していた頃の教頭先生が今校長先生をやっているとか。

同じテーブルにいる人たちが正に学校関係者だ。

言われてみれば懐かしく見えてくる顔ぶれに、いつのまにか先生の話を楽しく聞いていた。


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