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第四章
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「……大丈夫だよ。償いとかそういうのはいらないから。本当に、大雅が責任感じるようなことじゃないから、心配しないで。わたしは大雅に思い出してもらって、こうしてまた名前を呼んでくれただけで十分嬉しいよ」
だって、大雅には奈子ちゃんっていう彼女さんがいるでしょう?
その言葉が喉元まで出かかったけど、改めてそれを言葉にするのはつらすぎてできなかった。
「それに、やっぱり謝らなきゃいけないのはわたしの方だよ。大雅に思い出してもらいたいってことしか考えてなくて、たくさん大雅を苦しめた。本当にごめんなさい。嫌われて当然だよなって思ってる」
大雅は優しすぎるんだ。
この二年間のことを考えれば、大雅がわたしを気にかける必要もないし、謝る必要もないし、なんならもう会話したくないレベルかもしれないのに。
大雅は奈子ちゃんと付き合ってるんだから、わたしは潔く身を引くべきだ。
今まで苦しめてしまった分、思い出してもらえただけでわたしは幸せだ。
わたしはわたしで頑張っていくから、大雅はどうか奈子ちゃんと幸せになって──
「芽衣は何も悪くないだろ!」
「……大雅?」
「芽衣は、ただ俺に思い出させようとしただけだろ。後遺症に苦しみながら、それでも俺に思い出してもらおうって。そう思っただけだろう?」
「……うん」
助けたことを感謝されたかったわけじゃない。正直、二人とも生きているんだから今さらそんなのどうでもいい。
ただわたしは、また二人で笑い合いたかっただけ。二人で、また一緒に花火大会に行きたかった。それだけなんだ。
「それを芽衣が謝る必要なんてないんだ。芽衣は、ただ俺に教えてくれようとしただけ。何も悪くない。絶対に芽衣が悪いなんてことないから。それだけは、譲れない」
「……大雅は、本当に優しすぎるね」
ありがとう。わたしを否定しないでくれて、ありがとう。それだけで、わたしはこれから先も生きていける。
でも少しだけ。ほんの少しだけだけど。
「……奈子ちゃんが、羨ましい」
「え?」
ぽつりとこぼしてしまった心の叫びに、ハッとして口元を抑えた。
「ご、ごめん、今のは忘れて」
そんなこと言うつもりはなかったのに、恥ずかしい。
こんなに優しい大雅とこれからも一緒にいられる奈子ちゃんが、心底羨ましい。
でもそんな気持ちは、そっと胸にしまっておかなければ。また大雅を困らせてしまう。
……わたしも、もっと早くに大雅に告白していたら何かが変わっただろうか。いや、多分、無理だったよね。
そう思っていると、
「……奈子とは付き合ってもいないんだ。ただあいつが勝手に彼女気取りしてるだけ」
「……え?」
唐突な言葉に、目を丸くした。
「な、に言ってんの?だって奈子ちゃん、大雅と付き合い始めたって……」
「やっぱり……奈子のやつ……。確かにあいつに告られたけど、俺は断ったんだ。ただそれでも諦めないとかなんとか言われて勝手にすればとは言ったけど……」
「うそ……」
信じられなくて、息を呑む。
「本当だよ。……でもまさか奈子がそんな嘘言いふらすなんて思ってなかった。俺がもっとはっきり断れば良かった」
「大雅……」
奈子ちゃんは多分、本気で大雅のことが好きで。
もしかしたら、今はまだ好きじゃなくても、近くにいればいつかは。そう思って大雅のそばにいたのだろうか。
好きだから、大雅を繋ぎ止めておきたかったのかもしれない。
わたしと、同じだったのかもしれない。
じっと大雅を見つめると、大雅はふぅ、と大きく息を吐いてから口を開いた。
「全部思い出した今なら、はっきり言える。俺が本当に好きなのは、芽衣だけなんだ。俺にとっては芽衣が一番大切で、芽衣しかいらない」
「たい、が」
「あの事故のとき、気が付いたら目の前が真っ暗で。芽衣が倒れてて、血が水溜りみたいにどんどん広がってて。生きた心地がしないって、ああいうのを言うんだなって思う。……俺のせいで、俺の代わりに芽衣がって思ったら、信じたくなくて。目の前で起きてることから逃げ出したくなって、それで全部忘れたんだと思う。……弱いよな、本当。それで芽衣のこと散々傷付けて。情けないよ」
「そんなことないよ」
「何度謝ってもたりないくらいなんだ。芽衣に酷い態度をとった俺のことなんてもう嫌いかもしれない。芽衣にとって、もしかしたら俺はいない方がいいのかもしれない」
「そんなっ」
「──だけど、やっぱり俺は隣に芽衣がいてくれないと落ち着かないし、ダメなんだ」
「……え?」
「芽衣。俺は芽衣のことが大好きなんだよ。昔からずっと。どうしようもないくらいに。許してもらおうだなんて思ってない。でも、俺は芽衣と一緒にいたい。芽衣の隣を一緒に歩きたい。くだらないことで笑い合いたいし、一緒に生きていきたい。できることなら、俺に芽衣の苦しみを半分背負わせてほしい」
……あぁ、きっとこれは夢だ。そうに違いない。
だって、こんな最上級の愛をもらえるなんて、とても信じられない。
でも、頬を撫でる風は生温いし感情が昂って胸が苦しい。
だからきっとこれは現実で、その事実がたまらなく嬉しい。
その反面、相貌失認になったことを今初めて悔しいと思った。
だって、こんな言葉をくれる大雅の表情がわからないなんて。悔しくてたまらないでしょう?
見たい。見たいよ。大雅が今どんな表情でそう伝えてくれたのか、今どんな顔をしているのか。見たいよ。
声だけじゃ、全部はわからないんだよ。
そう思ってしまうほどに、わたしは大雅のことが大好きなんだ。
「芽衣……?どうした、泣くほど嫌だったか?」
「ちがっ……うれしくて。信じられなくて……」
不安そうな声に、早く涙を止めないといけないのにとめどなく溢れ出てくる。
「大雅っ……わたしも、大雅が一番大切。大雅しかいらない。わたしの隣には大雅がいてほしいし、大雅の隣にはわたしがいたい。後遺症のことでたくさん迷惑かけちゃうけど、それでも……できるならっ、わたしは大雅と一緒にいたい」
「芽衣……」
「大雅、だいすき。昔からずっと。大雅がわたしのことを忘れたって、ずっとだいすきだよ」
やっと言えた言葉は涙声で震えていて、二年前にシミュレーションしていたものと全然違った。
多分顔は涙でぐちゃぐちゃだし、笑ったつもりだけど笑えてるのかはよくわからないし、口下手だからちゃんと気持ちが伝わったのかもわからない。
大雅の表情が読めないから、なおのこと怖い思いもある。
だけど、言えて良かった。
それだけでも、心から良かったと思える。
「……芽衣」
呼ばれた声はやけに低くて、ぼやける視界のまま見上げる。
大雅が、ゆっくりわたしの身体を引き寄せて、そっと抱きしめてくれた。
「……芽衣」
「……うん」
「これからは、俺に芽衣を守らせてくれ。だから、もうあんな無茶はすんな。俺ももうあんなに馬鹿なことはしない。もうあんな思いはしたくない。危険な目にあってほしくないんだ」
「……うん。わかってる」
「今度からは、俺が芽衣を守るから。でもそれは償いたいからじゃない。俺が一緒にいたいからだから」
真剣な声色に、感極まって言葉が出せずに何度も頷く。
「"俺が芽衣の目になる"なんて無責任なことは言えないし、俺じゃあなんの力にもなれないかもしれないけど。でも、手を繋ぐことはできるから。隣を一緒に歩くことはできるから。支えることはできると思うから」
嬉しくて、また涙があふれてしまいそうだ。
「二年も待たせてごめん。つらい想いさせてごめん。苦しめてごめん。これからは、ずっと一緒にいるから。俺が芽衣を笑顔にするから」
「大雅っ……」
「今年は無理だったけど、また来年、今度こそ一緒に花火見よう。また浴衣着てさ。ここは混みそうだから、近所の公園とかでもいい。二人でゆっくり見られるところで」
「うん、うんっ……」
少し離れた身体。肩に手を置かれ、ぼやけているのに大雅の視線が真っ直ぐわたしを捉えているのがなんとなくわかった。
「──芽衣。俺と……俺と、付き合ってください」
あまりにも泣きすぎて、涙が枯れてしまうんじゃないかと思った。
幸せすぎて、一生分の運を使い果たしてしまったんじゃないかと思った。
胸がいっぱいで、苦しいくらいで。
でもそれは、嬉しい悲鳴で。
「ほんとうに……わたしでいいの?」
「芽衣がいい。芽衣じゃなきゃ嫌だ。無理。芽衣以外いらない」
「大雅っ……」
「……返事は?」
「っ……よろしく、お願いしますっ……」
返事をすると同時に、大雅がわたしの頬に手を添えて、すっと近寄ってくる。
気が付けば辺りには誰もいなくなっていて、わたしたち二人だけ。
初めてのキスは、月明かりが照らす満点の星空の下。
お互い号泣しながらの、幻想的で甘く優しいキスだった。
だって、大雅には奈子ちゃんっていう彼女さんがいるでしょう?
その言葉が喉元まで出かかったけど、改めてそれを言葉にするのはつらすぎてできなかった。
「それに、やっぱり謝らなきゃいけないのはわたしの方だよ。大雅に思い出してもらいたいってことしか考えてなくて、たくさん大雅を苦しめた。本当にごめんなさい。嫌われて当然だよなって思ってる」
大雅は優しすぎるんだ。
この二年間のことを考えれば、大雅がわたしを気にかける必要もないし、謝る必要もないし、なんならもう会話したくないレベルかもしれないのに。
大雅は奈子ちゃんと付き合ってるんだから、わたしは潔く身を引くべきだ。
今まで苦しめてしまった分、思い出してもらえただけでわたしは幸せだ。
わたしはわたしで頑張っていくから、大雅はどうか奈子ちゃんと幸せになって──
「芽衣は何も悪くないだろ!」
「……大雅?」
「芽衣は、ただ俺に思い出させようとしただけだろ。後遺症に苦しみながら、それでも俺に思い出してもらおうって。そう思っただけだろう?」
「……うん」
助けたことを感謝されたかったわけじゃない。正直、二人とも生きているんだから今さらそんなのどうでもいい。
ただわたしは、また二人で笑い合いたかっただけ。二人で、また一緒に花火大会に行きたかった。それだけなんだ。
「それを芽衣が謝る必要なんてないんだ。芽衣は、ただ俺に教えてくれようとしただけ。何も悪くない。絶対に芽衣が悪いなんてことないから。それだけは、譲れない」
「……大雅は、本当に優しすぎるね」
ありがとう。わたしを否定しないでくれて、ありがとう。それだけで、わたしはこれから先も生きていける。
でも少しだけ。ほんの少しだけだけど。
「……奈子ちゃんが、羨ましい」
「え?」
ぽつりとこぼしてしまった心の叫びに、ハッとして口元を抑えた。
「ご、ごめん、今のは忘れて」
そんなこと言うつもりはなかったのに、恥ずかしい。
こんなに優しい大雅とこれからも一緒にいられる奈子ちゃんが、心底羨ましい。
でもそんな気持ちは、そっと胸にしまっておかなければ。また大雅を困らせてしまう。
……わたしも、もっと早くに大雅に告白していたら何かが変わっただろうか。いや、多分、無理だったよね。
そう思っていると、
「……奈子とは付き合ってもいないんだ。ただあいつが勝手に彼女気取りしてるだけ」
「……え?」
唐突な言葉に、目を丸くした。
「な、に言ってんの?だって奈子ちゃん、大雅と付き合い始めたって……」
「やっぱり……奈子のやつ……。確かにあいつに告られたけど、俺は断ったんだ。ただそれでも諦めないとかなんとか言われて勝手にすればとは言ったけど……」
「うそ……」
信じられなくて、息を呑む。
「本当だよ。……でもまさか奈子がそんな嘘言いふらすなんて思ってなかった。俺がもっとはっきり断れば良かった」
「大雅……」
奈子ちゃんは多分、本気で大雅のことが好きで。
もしかしたら、今はまだ好きじゃなくても、近くにいればいつかは。そう思って大雅のそばにいたのだろうか。
好きだから、大雅を繋ぎ止めておきたかったのかもしれない。
わたしと、同じだったのかもしれない。
じっと大雅を見つめると、大雅はふぅ、と大きく息を吐いてから口を開いた。
「全部思い出した今なら、はっきり言える。俺が本当に好きなのは、芽衣だけなんだ。俺にとっては芽衣が一番大切で、芽衣しかいらない」
「たい、が」
「あの事故のとき、気が付いたら目の前が真っ暗で。芽衣が倒れてて、血が水溜りみたいにどんどん広がってて。生きた心地がしないって、ああいうのを言うんだなって思う。……俺のせいで、俺の代わりに芽衣がって思ったら、信じたくなくて。目の前で起きてることから逃げ出したくなって、それで全部忘れたんだと思う。……弱いよな、本当。それで芽衣のこと散々傷付けて。情けないよ」
「そんなことないよ」
「何度謝ってもたりないくらいなんだ。芽衣に酷い態度をとった俺のことなんてもう嫌いかもしれない。芽衣にとって、もしかしたら俺はいない方がいいのかもしれない」
「そんなっ」
「──だけど、やっぱり俺は隣に芽衣がいてくれないと落ち着かないし、ダメなんだ」
「……え?」
「芽衣。俺は芽衣のことが大好きなんだよ。昔からずっと。どうしようもないくらいに。許してもらおうだなんて思ってない。でも、俺は芽衣と一緒にいたい。芽衣の隣を一緒に歩きたい。くだらないことで笑い合いたいし、一緒に生きていきたい。できることなら、俺に芽衣の苦しみを半分背負わせてほしい」
……あぁ、きっとこれは夢だ。そうに違いない。
だって、こんな最上級の愛をもらえるなんて、とても信じられない。
でも、頬を撫でる風は生温いし感情が昂って胸が苦しい。
だからきっとこれは現実で、その事実がたまらなく嬉しい。
その反面、相貌失認になったことを今初めて悔しいと思った。
だって、こんな言葉をくれる大雅の表情がわからないなんて。悔しくてたまらないでしょう?
見たい。見たいよ。大雅が今どんな表情でそう伝えてくれたのか、今どんな顔をしているのか。見たいよ。
声だけじゃ、全部はわからないんだよ。
そう思ってしまうほどに、わたしは大雅のことが大好きなんだ。
「芽衣……?どうした、泣くほど嫌だったか?」
「ちがっ……うれしくて。信じられなくて……」
不安そうな声に、早く涙を止めないといけないのにとめどなく溢れ出てくる。
「大雅っ……わたしも、大雅が一番大切。大雅しかいらない。わたしの隣には大雅がいてほしいし、大雅の隣にはわたしがいたい。後遺症のことでたくさん迷惑かけちゃうけど、それでも……できるならっ、わたしは大雅と一緒にいたい」
「芽衣……」
「大雅、だいすき。昔からずっと。大雅がわたしのことを忘れたって、ずっとだいすきだよ」
やっと言えた言葉は涙声で震えていて、二年前にシミュレーションしていたものと全然違った。
多分顔は涙でぐちゃぐちゃだし、笑ったつもりだけど笑えてるのかはよくわからないし、口下手だからちゃんと気持ちが伝わったのかもわからない。
大雅の表情が読めないから、なおのこと怖い思いもある。
だけど、言えて良かった。
それだけでも、心から良かったと思える。
「……芽衣」
呼ばれた声はやけに低くて、ぼやける視界のまま見上げる。
大雅が、ゆっくりわたしの身体を引き寄せて、そっと抱きしめてくれた。
「……芽衣」
「……うん」
「これからは、俺に芽衣を守らせてくれ。だから、もうあんな無茶はすんな。俺ももうあんなに馬鹿なことはしない。もうあんな思いはしたくない。危険な目にあってほしくないんだ」
「……うん。わかってる」
「今度からは、俺が芽衣を守るから。でもそれは償いたいからじゃない。俺が一緒にいたいからだから」
真剣な声色に、感極まって言葉が出せずに何度も頷く。
「"俺が芽衣の目になる"なんて無責任なことは言えないし、俺じゃあなんの力にもなれないかもしれないけど。でも、手を繋ぐことはできるから。隣を一緒に歩くことはできるから。支えることはできると思うから」
嬉しくて、また涙があふれてしまいそうだ。
「二年も待たせてごめん。つらい想いさせてごめん。苦しめてごめん。これからは、ずっと一緒にいるから。俺が芽衣を笑顔にするから」
「大雅っ……」
「今年は無理だったけど、また来年、今度こそ一緒に花火見よう。また浴衣着てさ。ここは混みそうだから、近所の公園とかでもいい。二人でゆっくり見られるところで」
「うん、うんっ……」
少し離れた身体。肩に手を置かれ、ぼやけているのに大雅の視線が真っ直ぐわたしを捉えているのがなんとなくわかった。
「──芽衣。俺と……俺と、付き合ってください」
あまりにも泣きすぎて、涙が枯れてしまうんじゃないかと思った。
幸せすぎて、一生分の運を使い果たしてしまったんじゃないかと思った。
胸がいっぱいで、苦しいくらいで。
でもそれは、嬉しい悲鳴で。
「ほんとうに……わたしでいいの?」
「芽衣がいい。芽衣じゃなきゃ嫌だ。無理。芽衣以外いらない」
「大雅っ……」
「……返事は?」
「っ……よろしく、お願いしますっ……」
返事をすると同時に、大雅がわたしの頬に手を添えて、すっと近寄ってくる。
気が付けば辺りには誰もいなくなっていて、わたしたち二人だけ。
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