42 / 102
第42話 アシュフォードside
しおりを挟む
あんなに泣いたのは何年ぶりか。
泣きすぎて頭がボーッとして、少し痛んだ。
温室で、小さなアグネスに抱きついて、抱き締めて貰って。
俺は大泣きをした。
アグネスに手を引かれ戻ってきた俺に、侯爵夫人が微笑みながら
『畏れながら、ご一緒に昼食をいかがでしょうか』と誘ってきた。
俺達が温室に行っていた間に、クラリスが落ち着かせたようだ。
せっかくのお誘いだが、あの状況で飛び出してきた王城では皆が俺を待っているし、何より食欲もない。
出来るだけ丁寧に辞退して、今、馬車の中だ。
別れ際、侯爵夫人とクラリスは並んで軽くカーテシーで挨拶をし、彼女達より一歩前に出たアグネスは左手首を俺に見せながら笑うので、俺も同様に左手首の組み紐を彼女に見えるようにして手を振った。
何故だか変な気分だったが、目の前に座る護衛が懐から封筒を取り出して俺に渡したので、そちらに意識がいく。
「侯爵令嬢から預かりました」
俺に渡せなかったから、預けたか。
中には、一回り小さな封筒と2つ折のメモが入っている。
先ず封筒を開けると、薄紫のカードが入っていて、やはり愛の言葉と俺の名前が記されていた。
なんて……覚悟はしてたが、これは。
何と言っても、色が薄紫なのはひどい。
普段から、俺が個人的な手紙やカードに用いてる色だ。
それを知っている人間なら、容易く俺が出した本物だと思うに違いない。
これはここで破くより、王太子に見せた方がいいか。
確認確実が好きな兄本人が破いた方が、あれこれ聞かれるより早い。
同封されたメモの方にはクラリスが走り書きしたように、要点だけが綴られていた。
『受け取りは母が出掛けた後なので、気付いていません。
使用人達には、妹への内緒の贈り物を代わりに受け取った事にしてありますので、妹に知らせる者はおりません。
明日は祖母によばれていて、動けませんが、明後日以降にアローズへ返品に参ります
父や弟にも話が漏れることはありませんので、ご安心を』
助かった、何だかんだ言っても、クラリスの方で対処はしてくれていたんだ。
使用人達にもアグネスに内緒だと口止めしてくれていたようだし、侯爵夫妻に伝わっていないのも助かった。
父や弟を後から思い出したように最後に付け加えているのが、意外なところで気遣いを見せるクラリスらしかった。
餞別をどんと上乗せしようと思う。
それをどんな形で持ち出すかは、俺よりしっかりしているクラリス本人が決めるだろう。
良かった、これでこっちは収まったか。
だが、あれからイライザ嬢は針の筵だったかもしれない。 彼女には確認せずに申し訳ないことをしたから、そのフォローはしないといけない。
ギルには改めて頭を下げるか。
しばらくは気まずくなるだろうな。
まだまだ解決とまではいかないな。
自分で蒔いた種だ、自分で何とかしないといけない。
◇◇◇
俺が王城に戻ると、そのまま王妃陛下の間に通された。
ここは母としての顔をした王妃陛下と会う場合に、よく使用される。
中には両親とユージィンが待っていた。
ここにギルバートがいないと言うことは、イライザ嬢はまだ落ち着けていないのか。
怯えた小動物の彼女を思うと、こんな羽目に合わせて申し訳ない気持ちになる。
まず父から尋ねられた。
「破棄と回収は、うまく行ったのか」
俺は頷いて、父にクラリスからの封筒ごと渡した。
父は先にカードを読み、舌打ちして。
母に回して、メモを読み出した。
母も苦い表情でカードを眺め、兄に渡す。
その順でメモも回った。
「スローンの上の、賢明だな。
アシュは、こっちじゃ駄目だったのか」
「駄目です」
何を言ってるんだ。
横で母が笑っている。
「この子じゃ、面倒見てくれる若い乳母が来てくれたのと同じよ。
しっかりしてるから、アシュは楽して大人になれないわ」
「しっかりしてて楽させてくれるなら、いいと思うけどなぁ。
じゃあ、ギルは?
ガードナー、あれはちょっと弱すぎるだろ」
「来月、お式よ。
今から差し替えは無理」
「あいつは何で、あんなのがいいんだろう」
安心したせいで、くだらない事を言い合う両親には目もくれず、兄はカードをビリビリに破き、メモだけを俺に返した。
「これで最悪は回避出来たな。
もしドレスの返品が成されなくても、侯爵に見つかった時はアグネス嬢への贈り物を姉が預かっただけだと、使用人が証言してくれる」
「……あの侯爵は誤魔化せない。
サイズが全然違うし、俺の趣味に合わない」
「サイズが合わないなら、デビュタント用のドレスを先に贈りました、でいい」
「4年も先に贈る馬鹿だと思われるな。
大体、デビュタントは白いドレスだろ。
アグネスには、ちゃんと彼女が望むデザイナーを呼んで、彼女が思う通りのデザインで作らせる」
「……」
「色々迷うなら、何着だって作る。
全部の各々のドレスに合わせた靴も、何もかも。
アグネスが望むもの全部だ」
自分でも何言ってるんだ、と思った。
アグネスのデビュタントでしたいと計画していた事を話していた。
クラリスやイライザ嬢を、あのドレスを、冗談のネタにして欲しくない。
聞いていて不愉快だった。
俺の失態を笑い話にしてくれているのかも知れない。
だが、罵られた方がましだった。
俺はこうして有耶無耶にして、自分の失敗を誰かのせいにして、ずっと許されてきたんだ。
両親は黙り、兄は微妙に笑っている。
ここは私的な場で、両親は両陛下じゃない。
ギルだって本気なんだ。
イライザ嬢を傷付ける奴は、弟でも許さない勢いだった。
ギルバートにはイライザが。
俺にはアグネスが。
他に代わりは居ない。
冗談でも言わないでくれ。
他には誰も要らない。
◇◇◇
今夜は満月、静かな夜だ。
俺が入国前に読んだトルラキアの資料には、あの国では月にも何か意味があると書いていた。
この国では月は単なる月でしかない。
気候も言語も文化も異なるあの国へ、クラリスはひとりで向かう。
留学旅券は、最大2年。
2年の間に、ストロノーヴァ公爵家に近付くのは不可能だろう。
却って、バロウズの財務大臣令嬢のままの方が機会はある。
クラリスが先生の出自を、知っていたのかは聞いていないが、頼まれていた調査書には記載している。
ストロノーヴァ先生はまだ結婚していない。
トルラキアの貴族は終身、つまり死亡するまで当主であり続ける。
現公爵家当主は、先生の祖父だ。
この人が存命の間は好きにさせて貰っている感じだった。
だが父親のイオンが後を継げば、先生も誰かを娶らされるだろう。
ストロノーヴァは王族に繋がる血筋だ。
諦めるのも、それでも追いかけるのも判断するのはクラリスだ。
今ならまだ取り止められる。
この報告書は来週末、現金と旅券と共に渡す。
そして、俺は。
アグネスに、全て話す。
クラリスに恨まれても、もうアグネスに隠すのは嫌だ。
何もかも。
温室でのことも、全部話す。
頭から水を、もう一度かけてくれ。
嘘ばかり、誤魔化しばかりの俺を浄めてくれ。
胸が苦しい。
手首に巻いてくれた組み紐を見るたびに、胸が痛むんだ。
明日は王太子と外務大臣が西国のラニャン王国の外交官と会う。
王太子に必ず立ち会えと言われている。
明日の朝、俺は侯爵家に先触れを出し……
明後日、聖女から悪魔払いを受ける。
泣きすぎて頭がボーッとして、少し痛んだ。
温室で、小さなアグネスに抱きついて、抱き締めて貰って。
俺は大泣きをした。
アグネスに手を引かれ戻ってきた俺に、侯爵夫人が微笑みながら
『畏れながら、ご一緒に昼食をいかがでしょうか』と誘ってきた。
俺達が温室に行っていた間に、クラリスが落ち着かせたようだ。
せっかくのお誘いだが、あの状況で飛び出してきた王城では皆が俺を待っているし、何より食欲もない。
出来るだけ丁寧に辞退して、今、馬車の中だ。
別れ際、侯爵夫人とクラリスは並んで軽くカーテシーで挨拶をし、彼女達より一歩前に出たアグネスは左手首を俺に見せながら笑うので、俺も同様に左手首の組み紐を彼女に見えるようにして手を振った。
何故だか変な気分だったが、目の前に座る護衛が懐から封筒を取り出して俺に渡したので、そちらに意識がいく。
「侯爵令嬢から預かりました」
俺に渡せなかったから、預けたか。
中には、一回り小さな封筒と2つ折のメモが入っている。
先ず封筒を開けると、薄紫のカードが入っていて、やはり愛の言葉と俺の名前が記されていた。
なんて……覚悟はしてたが、これは。
何と言っても、色が薄紫なのはひどい。
普段から、俺が個人的な手紙やカードに用いてる色だ。
それを知っている人間なら、容易く俺が出した本物だと思うに違いない。
これはここで破くより、王太子に見せた方がいいか。
確認確実が好きな兄本人が破いた方が、あれこれ聞かれるより早い。
同封されたメモの方にはクラリスが走り書きしたように、要点だけが綴られていた。
『受け取りは母が出掛けた後なので、気付いていません。
使用人達には、妹への内緒の贈り物を代わりに受け取った事にしてありますので、妹に知らせる者はおりません。
明日は祖母によばれていて、動けませんが、明後日以降にアローズへ返品に参ります
父や弟にも話が漏れることはありませんので、ご安心を』
助かった、何だかんだ言っても、クラリスの方で対処はしてくれていたんだ。
使用人達にもアグネスに内緒だと口止めしてくれていたようだし、侯爵夫妻に伝わっていないのも助かった。
父や弟を後から思い出したように最後に付け加えているのが、意外なところで気遣いを見せるクラリスらしかった。
餞別をどんと上乗せしようと思う。
それをどんな形で持ち出すかは、俺よりしっかりしているクラリス本人が決めるだろう。
良かった、これでこっちは収まったか。
だが、あれからイライザ嬢は針の筵だったかもしれない。 彼女には確認せずに申し訳ないことをしたから、そのフォローはしないといけない。
ギルには改めて頭を下げるか。
しばらくは気まずくなるだろうな。
まだまだ解決とまではいかないな。
自分で蒔いた種だ、自分で何とかしないといけない。
◇◇◇
俺が王城に戻ると、そのまま王妃陛下の間に通された。
ここは母としての顔をした王妃陛下と会う場合に、よく使用される。
中には両親とユージィンが待っていた。
ここにギルバートがいないと言うことは、イライザ嬢はまだ落ち着けていないのか。
怯えた小動物の彼女を思うと、こんな羽目に合わせて申し訳ない気持ちになる。
まず父から尋ねられた。
「破棄と回収は、うまく行ったのか」
俺は頷いて、父にクラリスからの封筒ごと渡した。
父は先にカードを読み、舌打ちして。
母に回して、メモを読み出した。
母も苦い表情でカードを眺め、兄に渡す。
その順でメモも回った。
「スローンの上の、賢明だな。
アシュは、こっちじゃ駄目だったのか」
「駄目です」
何を言ってるんだ。
横で母が笑っている。
「この子じゃ、面倒見てくれる若い乳母が来てくれたのと同じよ。
しっかりしてるから、アシュは楽して大人になれないわ」
「しっかりしてて楽させてくれるなら、いいと思うけどなぁ。
じゃあ、ギルは?
ガードナー、あれはちょっと弱すぎるだろ」
「来月、お式よ。
今から差し替えは無理」
「あいつは何で、あんなのがいいんだろう」
安心したせいで、くだらない事を言い合う両親には目もくれず、兄はカードをビリビリに破き、メモだけを俺に返した。
「これで最悪は回避出来たな。
もしドレスの返品が成されなくても、侯爵に見つかった時はアグネス嬢への贈り物を姉が預かっただけだと、使用人が証言してくれる」
「……あの侯爵は誤魔化せない。
サイズが全然違うし、俺の趣味に合わない」
「サイズが合わないなら、デビュタント用のドレスを先に贈りました、でいい」
「4年も先に贈る馬鹿だと思われるな。
大体、デビュタントは白いドレスだろ。
アグネスには、ちゃんと彼女が望むデザイナーを呼んで、彼女が思う通りのデザインで作らせる」
「……」
「色々迷うなら、何着だって作る。
全部の各々のドレスに合わせた靴も、何もかも。
アグネスが望むもの全部だ」
自分でも何言ってるんだ、と思った。
アグネスのデビュタントでしたいと計画していた事を話していた。
クラリスやイライザ嬢を、あのドレスを、冗談のネタにして欲しくない。
聞いていて不愉快だった。
俺の失態を笑い話にしてくれているのかも知れない。
だが、罵られた方がましだった。
俺はこうして有耶無耶にして、自分の失敗を誰かのせいにして、ずっと許されてきたんだ。
両親は黙り、兄は微妙に笑っている。
ここは私的な場で、両親は両陛下じゃない。
ギルだって本気なんだ。
イライザ嬢を傷付ける奴は、弟でも許さない勢いだった。
ギルバートにはイライザが。
俺にはアグネスが。
他に代わりは居ない。
冗談でも言わないでくれ。
他には誰も要らない。
◇◇◇
今夜は満月、静かな夜だ。
俺が入国前に読んだトルラキアの資料には、あの国では月にも何か意味があると書いていた。
この国では月は単なる月でしかない。
気候も言語も文化も異なるあの国へ、クラリスはひとりで向かう。
留学旅券は、最大2年。
2年の間に、ストロノーヴァ公爵家に近付くのは不可能だろう。
却って、バロウズの財務大臣令嬢のままの方が機会はある。
クラリスが先生の出自を、知っていたのかは聞いていないが、頼まれていた調査書には記載している。
ストロノーヴァ先生はまだ結婚していない。
トルラキアの貴族は終身、つまり死亡するまで当主であり続ける。
現公爵家当主は、先生の祖父だ。
この人が存命の間は好きにさせて貰っている感じだった。
だが父親のイオンが後を継げば、先生も誰かを娶らされるだろう。
ストロノーヴァは王族に繋がる血筋だ。
諦めるのも、それでも追いかけるのも判断するのはクラリスだ。
今ならまだ取り止められる。
この報告書は来週末、現金と旅券と共に渡す。
そして、俺は。
アグネスに、全て話す。
クラリスに恨まれても、もうアグネスに隠すのは嫌だ。
何もかも。
温室でのことも、全部話す。
頭から水を、もう一度かけてくれ。
嘘ばかり、誤魔化しばかりの俺を浄めてくれ。
胸が苦しい。
手首に巻いてくれた組み紐を見るたびに、胸が痛むんだ。
明日は王太子と外務大臣が西国のラニャン王国の外交官と会う。
王太子に必ず立ち会えと言われている。
明日の朝、俺は侯爵家に先触れを出し……
明後日、聖女から悪魔払いを受ける。
116
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
全部私が悪いのです
久留茶
恋愛
ある出来事が原因でオーディール男爵家の長女ジュディス(20歳)の婚約者を横取りする形となってしまったオーディール男爵家の次女オフィーリア(18歳)。
姉の元婚約者である王国騎士団所属の色男エドガー・アーバン伯爵子息(22歳)は姉への気持ちが断ち切れず、彼女と別れる原因となったオフィーリアを結婚後も恨み続け、妻となったオフィーリアに対して辛く当たる日々が続いていた。
世間からも姉の婚約者を奪った『欲深いオフィーリア』と悪名を轟かせるオフィーリアに果たして幸せは訪れるのだろうか……。
*全18話完結となっています。
*大分イライラする場面が多いと思われますので苦手な方はご注意下さい。
*後半まで読んで頂ければ救いはあります(多分)。
*この作品は他誌にも掲載中です。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる