26 / 45
応援できるか否かの境界線
しおりを挟む一月ももうすぐ終わりを告げようとしている今日、圭一郎の委員会が終わるのを一人教室で待っている。
「あれ?まっきー?」
声を掛けてきたのは、クラスの女の子の今井 咲ちゃんだ。この子は俺の事を『まっきー』と呼んでいる。
「あれ?咲ちゃん。どーした?忘れ物?」
「そ。筆箱忘れた。まっきー何してんの?」
「圭一郎待ってる。」
「まっきーと野田君って、本当に仲良しだよね。」
「うん・・・羨ましいだろ?」
「ははっ!何それ。別に羨ましくないし!あっでも。」
「ん?でも何?」
「ねえ、まっきー。ちょっと相談いい?」
「ん?何?」
なーんか嫌な予感がする。まさか・・・
「私さ、好きな人が居るんだ。」
ほら、やっぱり。・・・勘弁してくれ。応援なんて出来ない。
「そんなん俺に言っていいわけ?」
「まっきーなら大丈夫。信頼してるし!」
「ふーん・・・・で??相談って?」
「私さ・・・友也くんの事が好きなんだよね。」
そっちか!!!焦ったわ!!良かった、圭一郎じゃなくて!
それなら応援出来るよ!いくらでも応援するよ!!
「友也くんって、今彼女いる?」
「いや、居ないよ。」
「好きな人は?」
「うーん。本当はどうか分からないけど、俺達に言ってこないって事はいないんじゃないかな。」
友也は常に「彼女ほし―」って言ってるし、好きな人が出来ると直ぐに報告してくるヤツだ。今は何も聞いてないから、おそらく居ないのだろう。
「そっか・・・。でも、好きな人いないって事は、私の事も何とも思ってないってことだよね。」
「んーーー。そうかもしれないけど、今から好きにさせることはできるんじゃね?」
「うーん。でもどうすればいいかな。」
どうすれば・・・か。友也のタイプって、そう言えば聞いたことないな。
「友也がどんな子を好きなのか、俺も詳しくは知らねーけど・・・取り敢えず、積極的に話しかけてみれば?・・・あいつ今流行ってるあの漫画にハマってるぞ。何だっけ・・・ほら。」
「あー。『サラマンダーの進撃』?」
「そうそう、それ!」
「それなら私も読んでる。」
「おっ。共通点見つけたな!」
その時、教室のドアが勢いよく開き怖い顔の圭一郎が大股で近づいてきて、俺の腕を引っ張った。
「直樹。今井さんと楽しそうに何話してるの?」
あ、こいつ勘違いして嫉妬してるな。
「野田君。ごめん!私が相談にのってもらってたの。」
「今井さんごめん。直樹を返してもらっていい?」
「おいおい、圭一郎。少し落ち着け。」
「野田君って、まっきーの彼氏みたーい。」
「そうだよ。」
「「え?」」
おい、圭一郎。冷静になれ!何を言っているんだ。咲ちゃんが固まってるじゃないか!
「俺、直樹のこと好きだから。直樹を返してもらうね。」
「えーっと・・・圭一郎?・・・ちょーっと落ち着いてみようか?」
「・・・あ。ごめん。俺言っちゃった。」
「う・・・ん。言っちゃったな。誤魔化せない程度に。」
「えっ!?二人って・・・そうなの?そういう関係なの?」
「咲ちゃん。ごめんね。キモイかもしれないけど・・・内緒にしてて。」
「まっきー大丈夫。私、キモイなんて思ってないよ。ビックリしただけ。」
「うん。」
「本当、ビックリしただけだからね。心配しないで!」
「うん。ごめんね。」
「まっきーが謝る必要ないでしょ!私、まっきーの事、本当に友達だと思ってるからね。」
「うん。ありがとう!」
「絶対に言わないから、その代わりに応援しててね!私の事!!」
「そんなの、そんな条件無くても応援するし!」
「今井さん、ありがとう。ごめんね。」
「いいよ。私さ、友也君のことが好きなんだ。それでまっきーに相談してたの。」
「えっ!!友也か!!そうか、いいね。応援する。」
「うん。ありがとー!」
「じゃあ、咲ちゃん。俺ら帰るわ。明日から積極的に攻めろよ!」
「了解!頑張る!!じゃあね!!」
友也に春が訪れる日も、そう遠くはないのかもしれないな。
俺たちは、途中のコンビニで買った肉まんを半分こして食べながら帰っている。
「なあ、圭一郎。さっきのは流石にマズいぞ。」
「そうだな。ごめん。」
「相手が咲ちゃんで良かったな。」
「うん。」
「俺さ、圭一郎が嫉妬してくれるの嫌じゃないんだ。」
「え?そうなの?」
「うん。それだけ俺の事を思ってくれてる証拠みたいなもんだから。」
「直樹の事が好きすぎて暴走する。」
「うん。でもさ、せめて高校だけでも平和にすごしたいじゃん?」
「そうだな。」
「でもさ。俺も圭一郎のこと好きだし誰にも取られたくないから、気持ちの中ではバレるならバレても良いとは・・・思ってるよ。」
圭一郎は俺の言った言葉に、凄く嬉しそうな笑顔を見せた。
そうなんだよ。俺だって本当は皆に『圭一郎は俺のだ』と大声で叫びたいんだ。
でも、圭一郎と一緒に高校生活を満喫したいから我慢してるんだよ。
「肉まん、半分じゃ足りなかったな。」
「圭一郎が半分こしたいなんて乙女みたいなこと言うからだろ。」
「だって、直樹とやりたい事リストの一つだったんだよ。」
「何だよそのリスト・・・・今度見せてみろよ!!」
「えっ嫌だよ。恥ずかしいだろ。」
「全部、叶えてやるよ。」
「なおきぃぃぃぃ!」
「うわっ!外で抱きつくな!!」
圭一郎の願いは何だって叶えてやりたいよ。些細な事でも。
これからも圭一郎と変わらず過ごしていけることと、咲ちゃんの恋が実る事を願いながら帰った町並みは、バレンタイン色に染まり始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる