単純な俺たちのありふれた恋の話

みーくん

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圭一郎は企てる

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 先日のバレンタインも幸せだった。

 そして今日、金曜日の夜。俺の可愛すぎる恋人の直樹が泊まりに来ている。



「直樹。この映画面白いらしい。一緒に観よう!」

「え?どんなの?何系?」

「んーアクションって言ってたかも。」



このDVDは絶対に直樹と一緒に観たいやつだ。それは何故かというと・・・。

 実はこのDVD。最初はアクション系なのだが、実際のところはホラー映画だからだ。



 直樹は『おばけ』が嫌いだ。普段から可愛い直樹はおばけが絡むと無限の可愛さを惜しみなく出してくるのだ。果てしなく可愛い直樹の姿を見たくて、このDVDをわざわざ準備した。



「アクションか!いいよ。観よー。」

「ほら、直樹これ使って。」



 直樹に大きめのクッションを渡す。

いつもなら、俺が後ろから抱きしめているか横にピッタリくっついて過ごすのだが、今回はワザと2mくらいの距離を空けて座る。



「楽しみだなー。」なんて言いながらクッションに頭を乗せてゴロンする直樹がクッションをスンスンしてる!



「あ、圭一郎の匂いがするー。」



!!!やめて直樹!そんな可愛い事されたらDVD観る前に襲っちゃうから!今日の目的はDVDだから!!



「反射して見にくいから電気消すね。」



 よし。これで準備は整った。



 始めは「すげー」「迫力あるな」なんて言っていたが、ストーリーが面白くて、俺も直樹も真剣に見入ってしまった。40分過ぎた辺りからストーリーがホラーに傾いてきて、ハッと直樹を見る。



!!!体育座りしてる!!!



さっきまでゴロンとして観ていたのに!可愛い!もう可愛い!!ちょこんと膝に顎を乗せて丸まってる!!しかも、大きな音が鳴るたびに背筋がビクッてなってる!!!



本当は今すぐに抱きしめてあげたいけど、まだダメだ!



1時間を過ぎると、アクション要素など全くなくなり、完全にホラーだ。



 チラッと直樹を盗み見る。



!!!!!!!近付いてきてる!!

2mあった距離が半分くらいになってる!!



 俺はそれから、画面を見るのをやめ直樹を観察する事に集中する。バレないように横目で。



あ!!!少しずつ近付いて来る!!目線はテレビに向けたまま、俺の方に足と尻をスリスリしながら近付いてくる!!!



 横目でも分かるくらいに眉を下げ、目をウルウルさせて、口がへの字になっている。か、か、可愛い。抱きしめたい。もう充分だ!抱きしめたい!可愛い!!



 抱きしめようとした瞬間、ピンポーンと家のインターホンが鳴った。その音にすらビクッとなる直樹が可愛い。



「ごめん。ちょっと待ってて。」



 せっかく直樹を抱きしめようと思ったのに何だよ!と思い玄関に向かうと宅配便だった。サッと受け取りを済ませて早足で部屋に戻る。



???直樹が居ない???

!!!!!!!!!!!!



 ベッドの上で布団を頭からすっぽりかぶり、顔だけ出して丸まってる直樹がいた。



「けぇ~いちろ~。ひとりにしないでぇ。」



 俺は今度こそ、直樹に飛びつき布団ごと抱きしめた。



「ごめんね。大丈夫だよ。怖かった?」

「こわかったぁ~。」

「もう大丈夫だよ。一人にしないから。」

「後ろからギュッてしてほしい。」



ああああああ。可愛い可愛い可愛い!!!



弱々しい声で訴えてくる直樹が可愛い。

怖いくせに観るのをやめない直樹が可愛い。

俺がちゃんと居るか確認するためにチラチラ見てくる直樹が可愛い。



「怖かったら観るのやめてもいいんだよ。」

「でも圭一郎のオススメだから。観たかったんだよぉ。」



ごめん。ごめん直樹。俺が観たかったのはDVDじゃないんだ。直樹が怖がる可愛い姿が見たかったんだ!!!



 映画はまだ終わってないけれど、もう我慢できない。可愛い可愛い恋人を抱きしめて深いキスをする。何度も「可愛い」「大好き」と囁きながら。



キスをしている時のトロンとした目が可愛い。

キスの合間に見せる笑顔が可愛い。

「もっとして」と強請る直樹が可愛い。

幸せそうな顔を見せる直樹が可愛い。



愛してる。愛してる。本当に愛してる。







キスをすれば当然ムラムラするわけで・・・。



「直樹。抱きたい。」

「いいよ。しよう。」

「でも今日、加減できないかも。」





「いいよ。抱き潰して。」





!!!!!



 俺の恋人は何なんだ!?可愛くてエロいとか!!本当に最高だ!



 直樹だけは何があっても手放さない。ずっと一緒にいたい。ずっと俺だけを見ていてほしい。



 こんな最高な恋人がいる俺は、世界一の幸せ者だ。



 そして今夜も愛する人を抱き潰す。



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