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僕たちの物語『結』
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僕たちの物語『結』
僕たちの物語の終わりそして
???「本当にいいんだな?」
???「後悔しても遅いぞ。お前が選択するそれは、おそらく今の彼にとって1番の苦痛だ。」
?⁇「いいの。」
???「…彼は何か罪を犯したのかい?」
???「いいえ、なにも。」
淡々と答えていた少女はニヤリと笑う。
不気味な笑顔は、なにかを心より願う少女のそれとは似て非なるものだった。
???「わかった、では代償として……」
???「ずっと…ずっと見てるからね和」
その顔はまるで……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
走って家に帰る。
念願のパスワードが手に入ったのだ。
気になる疑問が増えたがそれは今はどうでもいい。
それよりもいち早くこのUSBメモリーの中身を見たかった。
今の僕の、1番の希望……
家に着く。
急いで靴を脱ぎ、自室へと走る。
ゲーミングチェアーを押し退け、パソコンを立ち上げる。
「早く、早くしろ」
立ち上がるまでの時間が永遠のように長く感じられる。
じれったい…
だめだ、ひどく苛立っている。
少し落ち着かなければ。
と思っていた矢先に
やっとのことパソコンが立ち上がる。
USBメモリーをパソコンに差し込む。
そして、例のパスワードの画面が表示される。
パスワードを打ち込む。
『私の願いを打ち壊そうとする者へ』
「……これは、動画?」
パスワードを入力し終えると出てきたこの無機質な画面と、動画の再生ボタン…
そして、
不気味
その一言では言い表せないほどのインパクトのあるこの一文。
おそらく、いや、確実にこのメッセージはこのUSBメモリーの中身を見ているものに向けてのものだろうことはすぐに理解できる。
再生ボタンをクリックしてみる。
『あなたは、和君には私の願いはわからないでしょう?』
いきなり彼女の声が、美華の声が僕しかいない部屋に、いや、家全体にこだまする。
久しぶりに聞けた彼女の声は…今の僕を鏡で見ているように
とても苛ついている。
……しかも図星だ、
確かに僕は彼女が何を考えているのかわからない……
彼女が、ここまでして存在を消そうとしたのか、だが、消すにしては痕跡が残りすぎている気がする。
自身の存在を消すならなぜ自分の部屋を消さなかった?
それに、彼女の願いなんてわかるはずもない……
…待てよ?
これはまるで僕に語りかけるように作られていないか?
彼女は、こうなることを、僕が見ることを見越してこれを作ったのか?
疑問が増える。
『どうせ私のことなんてわからないでしょう?
わからないあなたに教えてあげる。
私の願いは、和君をできるだけ苦しめること』
笑いを堪えるような、怒りを隠すような声で彼女は続ける。
何を言っているのか分からなかった。
僕に、苦しんで欲しかった?
なぜだ、僕たちは、少なくとも僕は付き合うほどには仲が良かったと思っている。
『あ、ちなみに和君は何も悪くないよ。』
いきなり表示される口調が変わる、いつもの彼女のように優しい口調。
その裏に見え隠れする黒い感情……
『あなたは私に対してすごく良くしてくれたと思う。』
いつもの調子で言ってくる彼女。
一拍の間が開く。
『……気持ちが悪いぐらいに。』
とても冷たい、氷のような言葉が部屋に鳴り響く。
…吐き捨てるような、どこか諦めているような言葉に僕は思わず思考を止めてしまう、僕にはもう完全に彼女が何を考えているのか分からなくなってしまった。
理解したくない。
何かを言っていたようだが脳の処理が追いつかない。
『…………だから苦しんで、苦しんで、苦しんで絶望してほしい。』
『こうなった経緯を少し説明しようか?』
嘲笑うかのような言葉に再び引き込まれる。
「こうなった……経緯?」
『まずはこの場面から始めようか。』
画面が変わる。
ここは……
「グッッ」
唐突な頭痛。
その頭痛はひどく、月並みな表現ではあるが、まるで頭を鈍器で殴られたような、そんな痛みに眩暈がする。
???「まだ、まだその時じゃないよね。美華」
誰かがそこにいる事に、気が付かなかった。
……動画に気を取られすぎた。
殴られる距離まで近づかれた事に気がつかないほどに、
「な、なぜあなたがここに、家にいるんです……」
ああ、だめだ、意識が遠のいていく。
視界が暗転していく……
気を失っていた。
頭をさする。
ネチャリと嫌な感触がする。
だがなぜか痛くない。
手を見る。
血だ、血がついている。
なのに僕の頭には傷口がない。
血は確かに出ている…
だが、血が出てきたはずの傷口が見当たらない。
「どういうことだ?」
僕は至って冷静だった…いや、冷静を装っていた。
僕を殴ったであろうその人物は既にいなくなっていた。
顔は、見えなかった。
だが、声は覚えている。
彼女の、美華の母の声。
パソコンを探る。
「……嘘…だろ?」
冷静を装っていた僕はついにその不安を抑え込むことができなくなる。
パソコンの周りを全てひっくり返すように探す。
そこに確かにあったはずのUSBメモリーは、無くなっていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『今この本を見ているあなたたち、』
『あなたたちにはきっとまた会うでしょうね。』
『だってこれは、"私たち"の物語なんだから。』
『そして、あなた達が見ていたのは"私たち"の物語の一面に過ぎないのだから……』
『まだ、まだまだこの話を終わるには早すぎるよ。』
『次に会うときはこの話の過去の話でもしてあげようか。』
『そして、私の本当の願いを……まぁ、いいか。』
『君たちには関係ないからね。』
『それじゃあ。また会おうね。』
僕たちの物語『結?』 (完)
僕たちの物語の終わりそして
???「本当にいいんだな?」
???「後悔しても遅いぞ。お前が選択するそれは、おそらく今の彼にとって1番の苦痛だ。」
?⁇「いいの。」
???「…彼は何か罪を犯したのかい?」
???「いいえ、なにも。」
淡々と答えていた少女はニヤリと笑う。
不気味な笑顔は、なにかを心より願う少女のそれとは似て非なるものだった。
???「わかった、では代償として……」
???「ずっと…ずっと見てるからね和」
その顔はまるで……
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走って家に帰る。
念願のパスワードが手に入ったのだ。
気になる疑問が増えたがそれは今はどうでもいい。
それよりもいち早くこのUSBメモリーの中身を見たかった。
今の僕の、1番の希望……
家に着く。
急いで靴を脱ぎ、自室へと走る。
ゲーミングチェアーを押し退け、パソコンを立ち上げる。
「早く、早くしろ」
立ち上がるまでの時間が永遠のように長く感じられる。
じれったい…
だめだ、ひどく苛立っている。
少し落ち着かなければ。
と思っていた矢先に
やっとのことパソコンが立ち上がる。
USBメモリーをパソコンに差し込む。
そして、例のパスワードの画面が表示される。
パスワードを打ち込む。
『私の願いを打ち壊そうとする者へ』
「……これは、動画?」
パスワードを入力し終えると出てきたこの無機質な画面と、動画の再生ボタン…
そして、
不気味
その一言では言い表せないほどのインパクトのあるこの一文。
おそらく、いや、確実にこのメッセージはこのUSBメモリーの中身を見ているものに向けてのものだろうことはすぐに理解できる。
再生ボタンをクリックしてみる。
『あなたは、和君には私の願いはわからないでしょう?』
いきなり彼女の声が、美華の声が僕しかいない部屋に、いや、家全体にこだまする。
久しぶりに聞けた彼女の声は…今の僕を鏡で見ているように
とても苛ついている。
……しかも図星だ、
確かに僕は彼女が何を考えているのかわからない……
彼女が、ここまでして存在を消そうとしたのか、だが、消すにしては痕跡が残りすぎている気がする。
自身の存在を消すならなぜ自分の部屋を消さなかった?
それに、彼女の願いなんてわかるはずもない……
…待てよ?
これはまるで僕に語りかけるように作られていないか?
彼女は、こうなることを、僕が見ることを見越してこれを作ったのか?
疑問が増える。
『どうせ私のことなんてわからないでしょう?
わからないあなたに教えてあげる。
私の願いは、和君をできるだけ苦しめること』
笑いを堪えるような、怒りを隠すような声で彼女は続ける。
何を言っているのか分からなかった。
僕に、苦しんで欲しかった?
なぜだ、僕たちは、少なくとも僕は付き合うほどには仲が良かったと思っている。
『あ、ちなみに和君は何も悪くないよ。』
いきなり表示される口調が変わる、いつもの彼女のように優しい口調。
その裏に見え隠れする黒い感情……
『あなたは私に対してすごく良くしてくれたと思う。』
いつもの調子で言ってくる彼女。
一拍の間が開く。
『……気持ちが悪いぐらいに。』
とても冷たい、氷のような言葉が部屋に鳴り響く。
…吐き捨てるような、どこか諦めているような言葉に僕は思わず思考を止めてしまう、僕にはもう完全に彼女が何を考えているのか分からなくなってしまった。
理解したくない。
何かを言っていたようだが脳の処理が追いつかない。
『…………だから苦しんで、苦しんで、苦しんで絶望してほしい。』
『こうなった経緯を少し説明しようか?』
嘲笑うかのような言葉に再び引き込まれる。
「こうなった……経緯?」
『まずはこの場面から始めようか。』
画面が変わる。
ここは……
「グッッ」
唐突な頭痛。
その頭痛はひどく、月並みな表現ではあるが、まるで頭を鈍器で殴られたような、そんな痛みに眩暈がする。
???「まだ、まだその時じゃないよね。美華」
誰かがそこにいる事に、気が付かなかった。
……動画に気を取られすぎた。
殴られる距離まで近づかれた事に気がつかないほどに、
「な、なぜあなたがここに、家にいるんです……」
ああ、だめだ、意識が遠のいていく。
視界が暗転していく……
気を失っていた。
頭をさする。
ネチャリと嫌な感触がする。
だがなぜか痛くない。
手を見る。
血だ、血がついている。
なのに僕の頭には傷口がない。
血は確かに出ている…
だが、血が出てきたはずの傷口が見当たらない。
「どういうことだ?」
僕は至って冷静だった…いや、冷静を装っていた。
僕を殴ったであろうその人物は既にいなくなっていた。
顔は、見えなかった。
だが、声は覚えている。
彼女の、美華の母の声。
パソコンを探る。
「……嘘…だろ?」
冷静を装っていた僕はついにその不安を抑え込むことができなくなる。
パソコンの周りを全てひっくり返すように探す。
そこに確かにあったはずのUSBメモリーは、無くなっていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『今この本を見ているあなたたち、』
『あなたたちにはきっとまた会うでしょうね。』
『だってこれは、"私たち"の物語なんだから。』
『そして、あなた達が見ていたのは"私たち"の物語の一面に過ぎないのだから……』
『まだ、まだまだこの話を終わるには早すぎるよ。』
『次に会うときはこの話の過去の話でもしてあげようか。』
『そして、私の本当の願いを……まぁ、いいか。』
『君たちには関係ないからね。』
『それじゃあ。また会おうね。』
僕たちの物語『結?』 (完)
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