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第二章
第一話
しおりを挟む突然放たれた怒気にすっかり当てられているうちに・・・つまり、ビビって身体と思考を硬直させている間に、あれよあれよ、と青年は僕を僕のアパートに引き摺り込んだ。引っ越し準備が中途半端になっている僕の部屋の扉は、青年が何故か所持していた合鍵でもって解錠がなされている。そこからも、僕と彼との間にあった深い関係性が見て取れて、これから何をどうしたらいいか分からなくて、心底弱り果ててしまった。日はとっくに暮れているし、まだあまり親しく無い人と二人きりになるのは気が引ける。こうなった以上、認識の擦り合わせをする必要はあるのは分かっていても、僕は上手く其方に誘導する話術を持ち合わせていなかった。
「あのさ、き・・・聡君、荷解きは有り難いんだけど、もう夜も遅いし、明日にしない?話したい事もあるしさ。家まで遠い様なら、タクシー呼ぶから」
今の僕の身体が精神年齢とどれほど乖離しているのかは分からないけれど、タイムスリップをする前の感覚と、身体の作りや見た目の印象からすると、聡と名乗った青年の年齢は、二十代前半と言った所だろう。僕達の関係性はまだ全く明らかにはされていないけれど、今日の所はお引き取り頂いて、僕が冷静さを取り戻すだけの時間を設けてから、お互いの認識の擦り合わせをしていければと思った。しかし、聡は。
「俺の家は、ここです。俺達、新しい家に引っ越しして、今日からそっちで一緒に住む予定だったので」
驚きの内容に、耳を疑い、言葉を失う。だけど、僕が慌てて疑問を呈する前に、聡は手前にあるダンボールから、見知らぬ写真立てを取り出した。そして、僕はその写真立ての中にある写真を見た瞬間に、聡の言葉に嘘がない事を知った。
聡をそのまま小さくした様な快活とした印象の少年を、真っ黒に日に焼けた僕が後ろから抱き締めている。お互いに弾ける様な笑顔で写真に収まっているそれに、僕は再び言葉を失った。
「この写真は、おじさんに・・・貴方の父親に撮って貰ったんです。山梨にある貴方の実家の前で」
確かにその写真の背景には、俺の生家が写り込んでいた。一緒に育ってきた、という部分については信じ難い面もあるけれど、荷造りしていたダンボールからこんな物が出てきてしまっては、最早この状況を受け入れるしかないだろう。それに、僕の特異体質について話しても、聡は特別驚いている様子も見せなかった。それでいて、懐かしむ様に、愛おしむ様に、写真に視線を落とす聡の横顔を眺めているうちに、次第に僕自身も気持ちの整理が付いてきて。溜息を静かに零してから気持ちを切り替えて、聡の隣に腰を下ろし、彼が取り出しては並べていく物品の数々を黙って観察していった。
まだ、全てを信じた訳では無かったけれど、軽く荷解きしたダンボールから出てくる二人分の食器や生活用品、僕じゃ絶対に着ないハイブランドの洋服や下着類に、複数のアクセサリー。極め付けに、聡の名前が印字された高校時代のジャージなんかも発掘されたとなれば、段々と聡に対する罪悪感が胸にじわじわと湧いてきて。どんな関係性にせよ、こんな事になって、きっと、僕と始める新生活を楽しみにしていた筈の彼をガッカリさせてしまったんだろうな、と思いながらチラッとその横顔に視線を移した。
すると、問題の聡と、ぱちりと目が合ってしまって。盗み見していたのは僕だけじゃなかったのか、と。僕なんかよりも、もっとずっと前から僕の事を見つめていた彼に、思わず挙動不審になって、目を逸らした。
「聞かないんですか、俺がどんな奴なのかとか、俺達がどんな関係性だったのか、とか」
物事の確信を突くのが上手い子だ。素直とも言い換えられるけど、単純に美徳だと思えた。僕は、聡みたいな真っ直ぐな生き方は出来そうにない。それを、出逢ってから三十分で、まざまざと思い知った。
「聡君を傷付けてしまうんじゃないかと思って、聞けなかったんだ。ただ、聞いてもいいなら、やっぱり聞きたいかな」
僕達がどんな関係性か分からない以上、慎重に言葉を選んだ。初対面だからという理由も当然ある。これから先何度繰り返すか分からないタイムスリップの果ての、無限に広がる未来の道の一つではあるけれど、今の僕にとって、聡という存在はイレギュラーだ。いつか、タイムスリップを繰り返していく中で、初対面の彼に出会うタイミングがやってくるだろう。僕がそれを回避すれば、今体験しているこの未来にも、影響を与えてしまうかもしれない。だとしたら、今の僕がやるべき事はただ一つ。情報収集だ。
「貴方って、そういう所、全然変わらないんですね。まぁ、いいですよ。俺達の関係は・・・そうだな」
ごくり、と固唾を飲んで聡の返事を待つ。すると、真剣な表情を見せる僕を、ふっと口の端だけで笑ってから、彼はゆったりとした口調で説明をし始めた。
「僕達の関係性は、一言では表せません。だけど、一つだけ言える事は、貴方が俺の全てだと言う事です。そして、貴方も、きっと・・・そう思ってくれていた」
その口調に、言葉の一つ一つに、隠しきれない僕に向けた熱が込められていて。僕の心臓はどきり、と飛び跳ね、顔には熱が籠り、視線はそこら中を漂って、えっと、あの、と言動が一気にしどろもどろになってしまった。
聡は、そんな僕を見て少しだけ驚いた様な表情を浮かべると、わぁ、と小さく感嘆の声を上げて、頬を微かに紅潮させて、きらきらと輝く瞳を此方に向けた。
「貴方が狼狽える所、初めて見ました。やばいな。こんなに可愛いなんて、反則ですよ。見た目は同じなのに、狡いなぁ。貴方は、本当に狡い・・・いつだって、そうでしたけどね」
本当に狡いのは、今の君だと思うんですが。蕩けそうな笑顔を、此方に向けて。斜め下から僕の俯いた顔を覗き込まれると、同性とはいえ、滅茶苦茶に恥ずかしい。その顔辞めて、近付かないで、と低く短く告げても、えー?と嬉しそうに声を上げたまま、うきうきとはしゃいだ空気を身に纏い、にじり寄って来る。しまいには、何故か腰に手を回されてしまい、それこそ、距離を取る所ではなくなってしまった。
「なんで、やだ、近い・・・まだ、全然話も終わってない、し」
「うん、ごめんね。だけど、どうしても我慢出来ない。こんな可愛くて初心な貴方見てたら、俺・・・」
汗を握り締めていた手の平を開かれて、掬い上げる様にして手を取られると、そのまま指と指を絡めて緩く手を繋ぎ合い、その甲に唇を落とされた。
僕が呆気に取られていると、聡の行動は更にエスカレートしていき、最終的には背後から抱き竦める様に腕を腰に回され、ちゅ、ちゅ、と手の指から手首に掛けてまで音を立てて唇を落としてから、うっとりと耳元で囁かれてしまった。
「教えてあげたい。俺の事も、男も、一から全部」
それが何を指し示しているのかくらい、流石の僕にも分かるから、いやいや、をする様に首を小さく横に振って、ぎゅっと身体を固めて、腕に力を込めて、聡の手を振り払った。
「揶揄わないで。聡君には悪いけど、僕と君とは初対面なんだから。今までがどうだったからは知らないけど、だからこそ、勝手は許さないよ」
「どう許さないんですか?」
「もう、君には会わない。そして、金輪際君には関わらない。これから先の未来も、そして過去もね」
きっぱりと口にすると、聡は僕の手を取っていた手からあっという間に力を抜いて、そのままギュッと、僕の上半身を後ろから抱き締めた。肩口に顔を寄せ、甘える様にして軽く頬擦りしてから、溜息と共に、ごめんなさい、と謝罪を口にする。だから、一先ずは一難去ったのだろうな、と胸を撫で下ろした。
「ごめんね。でも、これは大切な事だから・・・今までどうだったかは知らないし、申し訳ないなとは思うけど、今までと同じ対応を求められるのは、僕にとっては辛いんだ。だから、徐々に今の僕に慣れていってくれると嬉しいな」
「・・・分かりました」
父や幼い僕と関わりがあるという事は、聡は本当に未来の僕にとって、とても大切な存在なのだろう。だから、ある程度は彼の話を間に受ける事にして、お互いの認識を擦り合わせていく作業と、荷解きしてしまった荷物を片付ける作業に没頭した。
聡は、五歳の時、孤児院を訪れた父と僕とに拾われ、僕と共に、幼い頃からずっと義兄弟として育ってきた事や。周囲には黙ったまま、恋人の様な関係を築いていたという衝撃的な事実を話していった。更に、暫くこの部屋で半同棲していたが、プライバシーの問題と手狭になったという理由から、新居に引っ越す事が決まっていた事を説明してくれた。
情報量が多過ぎて、一度に受け入れられるキャパシティを越えてしまった僕は、ただただ聡の話を聞くだけの相槌ロボットと化していた。これまで出会った事すらなかった僕達が、こんなにも濃い関係性を築いているだなんて。過去が一部改編されているどころか、今までの僕の人生が殆ど丸ごと改編されている。これは、一体どういう事なんだ。
父からは、これだけの歴史改変があった事は電話でも聞いていない。だとすれば、これはこの時間軸の父にとって、ごく普通の成り行きだったという事になる。聡だけがこの世界でイレギュラーだったと思っていたけれど、それは違った。この世界で僕という存在だけが、イレギュラーなんだ。
頭がすっかり混乱していたけれど、それ以上に現実的な問題が発生し、話は一旦頓挫した。荷物の再梱包が終わったタイミングで、どちらが先に風呂に入るか揉めたのだ。引っ越し業者に連絡して、引っ越しは明日に伸ばしたらしいので、時間はたっぷりある。僕はこの部屋の持ち主でもあるし、ここは人生の先輩らしく先に入るかな、という気持ちも無くはないけれど、これだけの事があっても慌てず騒がず僕を受け入れてくれた聡を慮って、先に入るように促した。すると彼は、事もなげに。
「なら、一緒に入りましょうよ。昔からそうだったから、そうじゃないと落ち着かないんです。ね、葵さん。貴方を傷付ける様な事はしないって約束するから・・・いいでしょう?」
今さっき話した内容はどこに吹き飛んでしまったのか。痛む頭を抱えて聡の意見を却下し、再度の申し出をする。今まで通りには接しないで、徐々に慣れさせて、と。すると、聡は身体に異変が無いかだけ見たいから、必要以上に心配はしないでと、却下したその場で平然と宣い始めた。本当に、僕達の関係性は一体何なのか。複雑過ぎて信じたくは無いけれど、付き合ってると言われればある程度は納得できる。でも、実際に聡の話をどこまで信用したらいいのか分からなくて、狼狽えてしまう。大事にはしてくれているみたいだから、悪い人ではないと思いたい所だけど、Tシャツの上からでも見える範囲にはびっしりとタトゥーが掘られているし、眉にピアスも空いているし、やんちゃはやんちゃなんだろうな、という印象が拭えなくて、躊躇してしまう。彼女と共に見たTⅤではそんなもの彫っていなかったのに、いつの間にこんなに厳つい見た目になってしまったのか。そんな、僕の怯えに近い感情を読み取ったのか、聡は明るい口調で僕の不安を解消しようとした。
「大丈夫、頭の中は違っても、身体は俺が大切に想う貴方のままだから。俺には見ただけで分かるよ。だけど心配だから、やっぱりちゃんと確認させて下さい。でも、必要以上に怖がらないで。そして、身体でも心でも、安心して俺を受け入れて」
一ミリも安心できる要素を感じ取れないのに、僕はいつの間にか無意識のうちに首を縦に振っていた。それを、にんまりと深い笑みを浮かべて受け入れた聡は、僕の腰を腕で抱え込み、自分の身体に密着させ、顎を引いて唇を深々と合わせた。
「んっ・・・?!、む、ぅ・・・は、ん・・・っ」
初めて経験する、受動的なキス。頭をガツンと殴打された様な強烈な驚愕と衝撃にうっかり反応が遅れてしまう。気が付いた時にはぬとぬとと口内を聡の舌が縦横無尽に這い回っていて、あまりの心地良さに僕の腰はすっかり力が入らなくなってしまった。だけど、同性に性欲の矛先を向けられているにも関わらず、何故、不思議と嫌悪感が湧いてこないのかだけが、ひたすらに疑問だった。
「ま、っれ、あ、やだ・・・っ」
腰が抜けて、上半身を無意識に聡に預けると、そのタイミングで彼は僕の身体をフローリングの床に転がして、僕の服を脱がせ始めた。来ている物も少ないので、Tシャツと短パンと下着だけ下ろせば、脱衣が完了してしまう。あっという間に真裸に剥かれてしまった僕に、ぎらぎらと情欲に濡れた眼差しを向けた聡は、僕と目を合わせたまま、自分も服を脱ぎ、さっさと真裸になった。鍛え抜かれた美しい身体に、びっしりとタトゥーが描かれている。それを認めた瞬間に、僕はそのまま、ぶるりと全身を震わせた。何ら抵抗らしい抵抗が出来ないうちに、初対面の人間に人としての尊厳を毟り取られてしまった。だから、言葉を発する前に、情け無さが頭と胸を締めていって。僕はいつの間にか、ぽろぽろと涙を溢してしまっていた。
「泣かないで、葵さん。ごめんね、怖かった?痛い事は絶対にしないし、いつもしてる事をするだけだから、心配しないで」
「ほんと、に?」
「うん。気持ちいい事しかしない。だから、安心していて」
「・・・わか、た」
僕の従順な態度を見て満足気に微笑んだ聡は、僕を軽々と横抱きにして抱えると、真っ直ぐにシャワー室に歩みを進めた。だけど、僕の腰の辺りには、硬く熱い肉棒がぐにぐにと押し当てられていて、この青年の興奮が止まることを知らないのだという事実を、僕に教えていた。
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