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部長と間違いのキス

鈍感を自覚させた結果

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 食器を洗い終わった俺は、コーヒーをセットしている彼女を呼び、ソファーを叩いて「ここに座れ」と言うと実行してくれた。そして彼女が隣に座った途端に腰を引き寄せて抱き上げ、膝の上に乗せた。戸惑う彼女に溜息をつく。

「……お前って、結構鈍いよな。どんなにアピールしても気付かないし、周りの反応にも気付かない」
「……は?」
「俺はそれがイラつくし、辛くもある」
「ぶ、ちょう……?」

 困惑している彼女に苦笑したあと、チュッと音を立ててキスをした。

「……これでもわかんないか?」
「わかんない、です」
「じゃあ、これなら?」

 本当にわかんないのかと内心でイラつきながらも、もう一度長いキスをすると彼女の顔が真っ赤になった。

「ん……っ」
「……本当に、わからないのか?」
「……全然わかりません。それに、部長には中里さんが……」

 そんなことを言う彼女に首を傾げる。なぜこのタイミングで真沙子の名前が出るんだ? と思い、多分いつもの愚痴のことだと思って話す。
 話しながら頬や耳にキスを落としながら、以前も彼女とは別れたと言ったこと、真沙子とは幼なじみであること、真沙子には付き合っている人がいること、あの喧嘩はそれを隠すための目眩ましであること、明日あたり婚約発表でもするんじゃないかと言えば、彼女は真っ赤になったまま目を丸くしていた。

「は? ……婚約、発表……?」
「くくっ、キスだけで真っ赤になって……可愛いヤツ」

 更に赤くなる彼女の顔を見つつも、自覚してもらうために彼女に真剣に話す。

「本当にわからないか? 散々スキンシップして、手も繋いでるのに? 胸まで揉んでるのに?」
「えっと……?」
「はあ……ここまで鈍いとは……。俺は、好きなヤツでもない女の胸なんか揉んだりしないし、一緒に風呂に入ったり、看病する為だけに家になんか入れたりしないぞ?」
「……は?」

 ここまで言ってもわからないなんてとがっくりしつつ、やっぱり鈍いヤツにははっきり言わないとダメだなと内心溜息をついて、彼女に告白する。

「お前が好きだ。多分、かなり前から好きだったんだと思う。はっきり好きだと気付いたのは……ってそれはいいか。関係ないし」
「ちょ、は?! ええっ?!」
「……本当にわからなかったんだな……。それはそれで傷つくぞ……。羽佐間さんにも田代さんにも田嶋先生にも『アイツは鈍いぞ』って言われてたんだが、これほどとは……この鈍感め」

 盛大に溜息を溢すと、彼女は「いや、まさか、平凡な私を好きだなんて思ってなかったし……」とかブツブツ言っていたから、さすがにプチッと来てデコピンした。

「い、痛い……」
「当然の報いだ。お前は? どうなんだ?」
「わ、たしも……、部長が、好き、です」

 聞き逃しそうなほど小さな声でそう言った彼女。それが嬉しくてギュッと彼女を抱き締めたあとで、あの日と同じキスをした。
 角度を変えて何度もそのキスをし、彼女がボーッとしている間に彼女を風呂場に連れて行って全裸にし、手にビニールをかけて中に押し込んだ。

「ほら、洗ってやるから」
「んあっ、んんっ」

 いつもと同じように彼女の身体を洗う。だが今日は秘裂も一緒に洗う。

「今日はここも洗わないとな」
「ひゃっ、やっ、ああっ」

 片手を腰に回し、片手は秘裂に指を這わせて擦りながら、わざと洗わなかった胸に吸い付き、乳首をしゃぶる。

「あんっ、部長、やめ……っ、あっ」
「そのまま感じて啼いてろ」
「あっ、はん……っ、ああっ」

 喘いで啼く彼女の声を聞きつつ濡れ始めた秘裂に指をしばらく這わせると、泡を洗い流してから抱き上げ湯船に浸かる。彼女を自分のほうに向けて膝にのせ、腰を掴んで引き寄せると、秘裂に肉竿を充ててゆっくりと腰を動かし始めた。

「やっ、なに……? ああっ」
「ん? 俺の股間に付いてるやつ」

 秘裂の上の粒も一緒に擦りながら、目の前で揺れる乳首に吸い付いては舐め、キスをしながら腰を振る。力が抜け始めたところで風呂から上がり、彼女と自分の身体を拭いてから彼女を抱き上げると、あの寝室へと連れて行ってあの日と同じように彼女の胸に顔を埋め、胸を揉み始めた。

「今日はベッドの上だからな……好きなだけ堪能できるな」
「あ……、は……んっ」

 彼女の胸を揉みながら乳首に頬擦りをし、そのまま顔をずらして口に含んで吸い、舐める。ピクピクと震えながら喘ぐ彼女だが、お風呂にいる時よりもその声が小さい。
 交互に胸の先端を舐めては揉み、指で乳首を摘んで捏ねると、その声は徐々に高くなって行く。

「んんっ、ぁん」
「押さえるな。声を俺に聞かせてくれ」
「んあ、でも、恥ずかし……ひゃんっ、ああっ、あっ」

 突然下を少し身体をずらして彼女の秘裂を肉竿で擦ると、彼女の声が更に高くなり、今や完全に甘く喘いでいた。

「……それでいい。風呂場みたいにそのまま啼いてろ」
「あっ、やっ、あんっ」

 時々秘裂を擦り彼女の胸に愛撫を施しながら、首筋に唇と舌を這わせて耳を舐め、舌を絡めるキスをして行く。

「あっ、部長……っ、んんっ、はうんっ」

 首筋をもう一度舐めながら下へと這わせ、鎖骨を舐め、胸を舐めて乳首を口に含む。そのまま吸い上げ、舌で舐め、歯を立てながら唇でしごいて行く。

「やあっ、ああっ」
「いやじゃないだろう? お前の……亜沙子の身体は気持ちいいと言っているぞ? ここも、乳首も」
「ああっ、んんっ、んんんっ!」

 顔を上げて彼女の唇を貪りながら両乳首を摘まんで捏ね回しながら腰を動かすと、彼女の背中が反り、胸を俺の手に押し付け、びくびくと震えて弛緩した。多分イったんだろう。刺激が強すぎたかとは思うが、その手は緩めない。

 今まで何人もの女と付き合った。もちろん抱きもしたし、満足もした。
 だが、こんなにも焦がれるほどに、貪るように女を求めたのは、彼女が初めてだった。
 彼女が鈍感すぎて待たされたからなのか、単に今までの女と違うからなのか、それはわからない。
 くるくる変わる表情は見ていて飽きないし、一緒にやる料理も楽しい。彼女は別段お喋りなわけじゃない。
 だが、何も言わなくても、ただそこに彼女がいるだけでホッとできる。

 身体を少しずらすと、左腕を彼女の背中に入れて抱き込み、胸を揉む。唇を離すとそのまま乳首にまた吸い付き、右手は身体を撫で、太股を撫で上げて秘裂に触るとびしょびしょになるほど濡れていた。くちゅりと音を立てる秘唇を愛撫し、蜜壺に指を入れる。

(狭い……)

 身長差もあるだろうが、多分彼女は初めてなんだろう。ゆっくりとほぐさなければ、彼女の身体を傷つけてしまう。
 そうは思うものの、早急に繋がりたいという欲望もないわけじゃない。
 ゆっくりと指を出し入れしながら蜜壺をほぐして行く。乳首から唇を離し、肌をきつく吸いながら下を目指した。
 太股をきつく吸い、秘裂を舐め、愛撫し、蜜を吸い上げる。
 イくたびに徐々にほぐれて行く彼女の蜜壺に、指の本数を増やして行く。

「ああっ……部長が好き、……っ、ひゃん」

 そろそろいいか、と思って蜜壺に肉竿の先端を入れた時、彼女が突然そんなことを言った。全くこいつはと思いつつも「俺もだ」と呟いてキスを落としたあと、ゆっくりと蜜壺に埋めて行く。

「痛ぁ……っ! やっ、痛い!」
「力を抜け、亜沙子。力を抜かないとお前が痛い思いをするぞ」
「んあっ! わかんな……っ、ああっ!」

 仕方ないと諦めて腰を掴むと「ちょっと我慢しろ」と言って一気に中に押し込み、そのま彼女の唇にキスをする。

「ぃあっ、んんんっ」

 繋がったまま彼女にキスをし、乳首を摘まんで捏ね回していると徐々に彼女の身体が緩んで来たので、ゆっくりと腰を動かし始めた。

「……痛いか?」
「へ、いき……っ、あっ」
「最初はゆっくり、な」
「あ……っ、あん……っ、はぁ……、ん……」
「……それでいい。動くから、そのまま啼いてろ」
「あっ、あんっ、ふあ……っ、ああっ」

 彼女の中を擦っては止め、キスをしたり耳を舐めては腰を動かしては止め、首筋に唇を這わせ、乳首を吸い、捏ね回しながら腰を動かす、というのを繰り返す。
 以前だったらとっくに悦がらせてイかせて何度も突き上げていたし、相手の女もそれに満足していた。だが、なぜか彼女にはそうしたくなかった。
 ゆっくりと、長い時間彼女と繋がっていたかった。

「っ、はっ、亜沙子……」
「ひあ、ん……っ、ぶ、ちょう……っ」
「ふ……っ、俺の名前を呼べ、亜沙子……」

 ゆっくりと胸を揉み、腰を動かしながら亜沙子の名を呼べば、中がキュッと締まって肉竿を締め付ける。

「はっ、亜沙子……っ」
「んあっ、ま、さき、さん……っ、ああっ、あああんっ!」

(そんな蕩けきった顔で言われたら……っ)

 彼女の顔を見て、揉んでいた手を止めて腰を掴むと、腰を振るスピードを一気に上げる。

「あっ、ダメっ! やあっ、ああっ! あああっ!」
「っく、亜沙子……っ、亜沙子……っ」
「やっ、わた、し……、んあっ! あああんっ! また……っ、ああっ!」

 イってビクンビクンと震える彼女に構わずそのまま腰を振る俺に、彼女は背中を反らせたまま頭を左右に振る。三度彼女をイかせてようやく彼女のあとを追うように中に飛沫を吐き出した。
 そのまま抜くことなく彼女に覆い被さり、首筋に顔を埋めて乱れた息を整えていると、彼女が俺の背中をペシペシと叩いた。まあ、痛くも痒くもないが。

「うう……ひどいです、部長……」
「そうか?」
「そうですよ! 私、初めてだったのに……! 痛いって言ったのに! それに、それに……!」
「それに?」

 上目遣いで睨む彼女は何とも可愛いが、可愛いだけで、怖くはない。

「部長の、あの、その……あんっ、やっ」
「それに、俺がなんだ?」

 キュッ、と乳首を摘まんで緩く捏ね回しながら腰もゆっくりと動かすと、彼女は可愛く啼いた。

「あっ、あんっ、も、無理……っ」
「俺がなんだ?」
「~~~~~! 部長の、って、おっきいの……? あっ、あああんっ!」
「……お前、俺を煽ってんのか?」
「っ、違っ、ああっ!」
「明日は仕事があるから今日はこれで我慢するが、明後日から三連休だし、明日の晩は楽しみにしてろよ。今日以上にアンアン啼かせてやるから」

 そう言って、フェラをさせるとか胸で擦ってもらうのもいいな、教えるのが楽しみだと考えながら、今度は彼女を激しく抱いた。


 翌日、社長自ら自分の息子である副社長の婚約発表をした。相手が真沙子だと知らなかった連中の反応は様々で、面白かったが。
 真沙子に対して何かしらの嫌味やいちゃもんをつけに行った連中は、真沙子曰く「どこぞのドラマよろしく、十倍返しにして返り討ちにしてあげたわ」だそうだ。
 婚約しようが結婚しようが、仕事は一切手を抜くようなことをするやつじゃないから、その辺は心配していない。

 俺との絡みもあってか、彼女と真沙子がいつの間にか仲良くなっていたのは幼なじみとしては嬉しいが、彼女の頬にキスしたことが許せなくて、その場に一緒にいた副社長と一緒に怒ってやった。


 彼女と一緒に住むようになって一年。
 結局彼女を家に返さず、彼女を激しく抱いてぼんやりしている翌日にお互いの両親に会いに行き、同じように激しく抱いてぼんやりしている間に婚姻届を書いてもらい、ぼんやりしている間に一緒に住むことを承諾させた。

「部長と一緒だし、幸せだから、まあ、いっか」
「……なら、もっと幸せにしてやろう。というか、いい加減名前で呼べ、亜沙子。俺はずっと名前で呼んでるだろうが。罰として、今日は寝かせない」

 久しぶりだしな、と内心で呟き彼女にキスをする。あの日と同じキスを。それは、二人だけの合図。


 ――俺が勝手に決めた合図は、いつの間にか彼女を抱く、という合図になった。

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