自重をやめた転生者は、異世界を楽しむ

饕餮

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セガルラ国編

第44話 村興しの準備

 午後はアクセ作りにかかりっきりになり、しっかり彼らを指導した。ついでにビーズを見せてみたら、彼らは「やってみたい!」と言ったので、十センチ四方の木箱をたくさん作ってから砂浜へと連れて行き、ビーズ作りを教えてみる。

「「で、できた……! やった!」」
「おめでとう! なら、どんどんいろんな色を作ってみようか」
「「はいっ!」」

 色見本として、私が作ったビーズを彼らに見せる。例えば緑。
 一口に緑と言っても、濃いものから薄いものまで、いろいろある。それは青や赤にも言えることで、赤と青を混ぜるとどうなるかとか、白や黒など、とにかくいろんな色を錬成させたのだ。
 彼らは作ることが好きみたいだからね~。本当に楽しそうに錬成している。
 木箱がいっぱいになったところで村に帰り、ビーズアクセ作り。まずは私が見本を作り、彼らがそれを真似ていく。
 最初はそれでいいんだよ、練習なんだから。
 糸は普通の糸を使い、ちょっとだけ丈夫になるように錬成させ、それからブレスレットを作らせた。金具で止めるものでもいいけれど、あれは構造を知らないと作れないし、使う人も知らないとどうやって嵌めていいかわからないからね。
 だからこそ、糸だけで一周するようなデザインにしてみた。それが一番簡単にできるから。
 それができたらグラデーションを練習させ、それもできたら、今度はちょっとしたものを作ってもらう。花だったり葉っぱだったり、女性や子どもが買いやすいようなデザインにしたのだ。
 緑色のグラデーションに花や蝶がぶら下がっているものや、猫や鳥などの可愛らしい動物をあしらったもの。蔦を絡ませたように見えるデザインに葉っぱや花をぶら下げたりと、考え付くものをたくさん作った。
 それを彼らに練習させて一通り作れるようになったあとは、村にいる女性からオーダーをもらって作る、という練習をさせた。もしあの漁港やこの村で売るなら、自分好みのものを作ってくれるほうが嬉しいと思うんだよね。
 店先に出すのはあくまでも見本で、別の色でこういうものが作れますよとの謳い文句があれば、きっと買ってくれるはず。
 まずは腕輪で試してもらって、それからネックレス、かな?
 てなわけで、村の女性や子どもたち全員に集まってもらい、見本を見せながら彼らにオーダーメイドの腕輪を作ってもらう。もちろん、イヤリングも作ってもらった。

「あ、アリサ! 手伝ってよ!」
「ダメよ。それは君たちのレベル上げも兼ねているんだから。もし女性たちがお客さんだったら、どうするの? わざわざ私を呼ぶの? 私は旅人なのに?」
「「……」」
「ほら、頑張って。これを乗り切ればきっとレベルがいくつか上がっているはずだから」

 レベルが上がれば、その分作る早さも上がる。そう説明してアクセを作らせる。もちろん、話術を併用してお客さんを怒らせたりしないようにと話せば、顔を引きつらせながらも彼らはやりきった。

「「……はあぁ……。疲れた……」」
「お疲れ様。自分のステータスを見てみなさいな」

 装飾品を作るためのスキルレベルがどこまで上がったのか、確認してもらう。すると、彼らは一気にレベルが4にまでなっていた。おお、凄いじゃん!

「この村で採れる材料を使って装飾品を作るのなら、充分なレベルよ。あとはネックレスを作れるようになればいいんじゃないかしら。そのために鎖を作る練習をさせたわけだし」
「「なるほど……」」
「それから、鎖を革紐にしてもいいの。その場合、デザインを変えると雰囲気も変わって、男性でも手にとってもらえるようになるわ」
「たとえば?」
「そうね……こんなのはどうかしら」

 このあたりで採れるものだと、フォレストウルフの牙や爪、一角兎の角だ。ウルフの爪や牙はそのまま牙の形のまま使う。
 たいらになっているところを金属で加工するか、革紐を使って組み紐の状態にする。そこに牙をぶら下げれば、カッコいいデザインになるのだ。他にもイヤリングで培った技術を使って真珠をネックレスにしたり、海岸に落ちている綺麗な貝殻を使ってネックレスにしたり。
 金属以外はほとんどがこの地で材料を賄えるんだから、原価はタダに等しい。だからこそ、真珠以外は安くすむし、平民が手にできるアクセサリーになるはず。

「ビーズを使ったものなら、何もつけていないものなら大銅貨五枚、そこになにかしらのモチーフをつけたら銀貨一枚でいいんじゃないかしら。真珠の場合は、金属を使っているから銀貨二枚。それでいいんじゃない?」
「なるほど……」
「安い、あるいは高いと感じるのであれば、商業ギルドに相談して、値段を決めてもらいましょう。そうすれば、文句を言われることもないしね」
「そうだね」
「そうするか」

 二人してうんうんと頷いている。あとはどんなデザインを見本にするのか、しっかりと話し合えばいいのだ。
 私の場合は宝石を使うことになるから、宝石のカットを見せる必要がある。まあ、ここで売るつもりはない。
 宝石が出ない以上、どうにもできないからね。
 あれこれ自分たちで話し合ってデザインを考え、それに基づいて腕輪やネックレスを試作する二人。ダメな部分は改良して、洗練されたデザインにしていく。
 やる気が凄いよ、本当に。これなら、漁港に行っても大丈夫な気がする。
 まあ、心配なところはあるから、もし売りに行くことを考えているのであれば、一緒についていこう。漁港で売るにしても、期間限定で売って、それ以降は村に来てくれと言えばいいだけだ。
 謂わば、村興しの一環だ。

「アリサ。その……一度、漁港で売ってみようと思うんだ」
「そうね、いいと思う。ただ、作ったものを身に着けている女性も必要だと思うわよ? こうなりますよ、という見本になるからね」
「確かに」
「もちろん、君たちも、男性用のものを身に着けてね。それも宣伝になるから」

 おお、売る気満々じゃん! その調子でどんどんお金を稼げばいい。そして村に来てもらったら、ツナが入ったパンを売ればいいと思う。
 あの漁港では、ツナは売らない。絶対に作りたいって言い出すだろうから。
 もしアクセの売り上げが順調で、村に来てもらうことに成功したら、佃煮類も村で売ればいいんだし。そのあたりは村長むらおさと話し合って決めてと、丸投げした。
 私はここに定住するわけじゃないからね。
 売りに行くのは明日。とにかく今日はひたすら練習して、彼らの他にも女性に二人ついてきてもらうことになった。その準備としてビーズを「これでもか!」と作ってもらい、対処できるようにする。
 もし売り切れるほどになったら、そこでおしまい。欲しいなら村に来てと言えば、しっかり誘導できるだろう。
 漁港の町からこの村まで、馬車で二時間くらいの距離だからね。すっごく遠いってわけではないのだ。
 女性たちも誰が行くのか決まり、お昼を用意して早朝に出発することにした。
 まあ、それは置いといて。
 散々作ったというのに、材料が足りるかどうか不安だとぼやく彼らに、その不安が解消されるまで、思う存分ビーズを作らせた。そして私はというと、彼らが持ち運べるような大容量のマジックバッグを作ったり、真珠用の化粧箱を作ったりと手伝い、彼らが満足したころには日が暮れ始めていた。
 結局、今日一日の工程で、彼らはレベル6まで上げたのは凄い。それが自信に繋がったのか、とてもいい顔をしていたのが印象的だった。

 そして翌日。村を出たら町に行き、まずは屋台と場所を借りるために商業ギルドへ赴く。そこでしっかりと話をして、値段も決めた。
 ビーズアクセは、子ども用は大銅貨三枚、大人は銀貨一枚。真珠を使ったものは、イヤリングが銀貨三枚、ネックレスは銀貨五枚になった。そして牙や爪を使ったものも銀貨三枚。
 これは革紐の処理に手間がかかるからこその値段だ。そして金属は貴重だからこそ、少しだけ高くなっている。
 それでも、日本に比べたら断然安い。これは真珠に対する認知度と手間暇の違いともいう。
 認知度が広がってくれば、値段は跳ね上がるとみているけれど……どうなるかな?

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