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1巻
1-2
まあ、実年齢の三十二歳で飛ばされるよりはマシなのかも。ぶっちゃけた話、旅をするとなると体力的にキツイから。
この世界の寿命は魔力量に関係しているらしく、ベテランの魔法使いや魔導師とも呼ばれる人で、三百年が限度。それはどの種族にもいえることで、それ以上長生きはしないそうだ。
「私はどれくらい生きられそう?」
「そうだなあ……延びて百五十年から二百年といったところかな」
「おおう……。充分長生きだけど、もし私が死んでしまったら、契約した従魔は――ノンはどうなるの?」
「従魔たちは契約した主人と同じ寿命になるから、君が死ぬと同時に死ぬよ」
「そう……」
これは安易に契約できないし、死ぬこともできない。もし死にそうになったら契約を解除すればいいと神様にも言われたので、そうすることにしよう。
そうすれば、残りの寿命次第だけど、ノンは生きていられるそうだから。
〈ノンはずっと一緒だよー。死ぬまで一緒にいるのー〉
「そっか……。ありがとう」
私の肩に乗り、ピトっとくっついてそんなことを言うノン。
それから、下界に下りる前に錬金術を使って薬や道具などを作る練習をしたり、剣や薙刀、護身術の動きを練習したり、授けてもらった魔法の練習をしたり。
神様が出してくれた影の魔物を使って、ノンと一緒に戦闘訓練もした。
なんというか……命を狩ることに忌避感がないのがショックだ。転生して、肉体がこの世界のものになったからなんだろうか。
そういえば、戦闘が終わったあとで某国民的RPGのようなレベルアップ音がした。なにかと思えば、本当にレベルアップのお知らせ。
……いいのかよ、それ。
「レベルもあるの?」
「そうだよ。ステータスと念じれば自分のレベルやスキルなどいろいろなものを確認できるからね。ちなみにレベルはダンジョンのための措置なんだ。貴女はだいたいのダンジョンに入れるレベルだよ」
「ふ~ん。ダンジョンってどこにでもあるの?」
「どこにでもってわけではないけど……まあ、ひとつの国に対して、五つから七つ、多いところだと十はあるよ。迷宮都市と呼ばれているところもあるしね」
「かなりあるのね」
「ああ。時々、勝手にダンジョンができることもあるんだ」
「おおい! 勝手にできるってなにさ!」
怖いことを言わないでくれよ~!
戦々恐々としつつ神様からもらった情報を精査していると、魔素やマナと呼ばれるものに行き当たる。地域によって言い方が違うだけみたいだけれど、結局は同じもの。
しいて言うのであれば、魔素が自然由来、マナが体内由来といったところか。
この世界では通常魔素が循環している。だが場所によっては溜まっているところ――魔素溜まりがあるという。主に廃墟となった建物のある場所に、魔素溜まりができやすいそうだ。
その魔素溜まりに魔力が大量に集まるとダンジョンコアができる。
そしてコアがダンジョンマスターを作るなりその場所にいた魔物をマスターに選ぶなりすると、地下や地上の建物がダンジョンになる。
魔素の濃さにもよるが、ある程度の階層ができると地震を伴って入口がパックリと開くんだとか。
ダンジョンには魔物が住み着くから、ダンジョンができたことを知らずに放置して魔物が溢れ出ると魔物による大暴走を起こし、町や村、国を呑み込んでしまう。
魔物に呑み込まれた場所は穢れた土地となり、神官や巫女や聖女。あるいはノンのような神獣に浄化してもらう必要がある。穢れが消えるのを待たないと土地は元に戻らない。
だからこそ、地形やその土地の状態を把握している冒険者と呼ばれる存在がいる。彼らがダンジョンをいち早く発見したり、魔物を狩ったりして、スタンピードを防いでいるという。
騎士や兵士もいるが、基本的に彼らは国を護るために存在しているので、滅多なことではダンジョンに潜らないそうだ。
もちろん、森や草原では騎士や兵士も数減らしをしてくれるが、それだってしょっちゅうしてくれているわけではない。よくも悪くも国優先ってことか。
まあ、王都や町、村の近くにダンジョンができたとなると、また違った対応をするんだろうけれど。
うーん、この世界も人間関係はいろいろありそう。
人間嫌いな私からすれば、買い物をするだけならともかく、王都のような大きな町には住みたくない。できればこぢんまりとした、ほとんど人がやってこないような、辺鄙な場所や小さな村に住みたい。
ノンがいるなら、たった一人森の中で生活してもいいとさえ思える。どこに住むかは旅をしながら、ノンと話し合って決めよう。
「あ、神様。今さらだけど、名前を聞いてもいいかしら。私は桐渕有里沙――アリサと名乗ることにするわ」
「これは申し訳ない。リュミエールと言うんだ」
「リュミエール……灯りね。世界を灯す灯りといったところかしら」
「おや。よく知っているね」
「私がいた世界にある、とある国の言葉――フランス語だもの」
リュミエールはフランス語で灯りを意味する。他にもルミエールやラリュミエールという言葉もあるけれど、私はリュミエールという響きが一番好きだ。
ちなみにこの世界もリュミエールという名前だ。
ということはきっと、リュミエールが主神なんだろう。他の神様もいるのかしら? ……いるみたいね。
まあ、私には関わりがないだろう……たぶん。
紅茶を飲みながらしばらく世界のことなどを含めた雑談をする。そして地上に下りたらどこに行こうかと考えていると、突然リュミエールが首を傾げた。
「どうしたの?」
「魔馬――バトルホースが置き去りにされているんだ」
「確か、額に一本の角が生えている馬よね。とても強い魔物の馬」
与えられた知識を確認しつつリュミエールに問うと、彼が頷く。
「ああ。冒険者が従魔にしようとバトルホースを買ったようだけど、彼はバトルホースの能力を引き出せなかったみたいだね」
「あらまあ。とんでもない冒険者だったのかしら」
どこの世界にも、自分勝手で迷惑な人間がいるのかとげんなりする。
私も自分勝手に生きるつもりだけど、神獣たるノンがいることだし、ノンや他人に迷惑はかけないように生きようと密かに決意する。
「そうみたい。今ならバトルホースしかいないけど、どうする?」
「そうね……従魔になってくれたらラッキーだけど、そうならないだろうし。気になるから、とにかくバトルホースのところに行ってみるわ」
紅茶を飲み干し、席を立つ。
そしてリュミエールを真っ直ぐ見る。柔らかい笑みを浮かべたリュミエールは、人外的なイケメンだ。とあるロックバンドのドラマーに似ている。
まあ、人外的なのは神様だから、当然か。
「また会える?」
「教会や、教会ではなくとも、僕の像があるところで祈りを捧げてくれれば、また会えるよ」
「そう、ならよかった。また会いにくるわね」
「ありがとう」
嬉しそうな顔をして頷くリュミエール。彼も淋しいのかもしれないと思うとなんとも哀れだ。
この世界には、彼に直接会おうと思う住人がいないんだろう。もしくは会えるということすら忘れているか。
なにはともあれ、リュミエールに別れを告げ、地上へ送ってもらう。
そこには、角が生えた真っ黒い馬――バトルホースが膝を折り、蹲っていた。
第一章 増える従魔
冒険者は呪われてしまえ! と物騒なことを考えつつ、バトルホースに話しかける。
「こんにちは」
〈いきなり現れたな……俺を殺すか?〉
いきなり現れた私に対し、とても、いや、かなり盛大に警戒し、歯を剥きだしにして威嚇するバトルホースに苦笑する。
まあ、気持ちはわかる。一度でも酷いめにあって裏切られたら、信じられなくなるのは当然。とはいえ、リュミエールが気にかけた存在だし、教えてくれた彼のためにも助けるか。
つうか、さすがは【全種族翻訳】のスキル。従魔じゃないのにバトルホースの言葉がわかった。……凄いわね、これ。
「まっさかあ! 助けに来たって言ったら、信じる?」
〈なに?〉
目の前にいるバトルホースはとても痩せ細っており、怪我もしているみたい。よし、虐待の被害者確定。
バトルホース自身は動く体力もないようで、蹲ったまま動かない。そして相変わらず威嚇している。だが、このままここに放置すると、魔物に襲われてしまう可能性が高い。
行動にうつして、移動するとしよう。
「ノン、バトルホースに【回復】をかけてくれる?」
〈いいよ〉
〈回復……? おお、神獣にゃんこスライムじゃないか……!〉
ノンが手をかざすとバトルホースの体が光る。バトルホースはすぐに立ち上がった。
そして同時にお腹が鳴る音が。
初めて聞いたよ、動物がお腹を鳴らす音を。
〈……っ〉
自分が鳴らした音が恥ずかしかったのか、私とノンから顔を背けて目を泳がせるバトルホース。食料があればいいが、持っていないんだよなあ。
「お腹がすいてるのね。バトルホースってなにを食べるんだっけ?」
〈……俺はなんでも食う。草だろうと、肉だろうとな〉
「そっか。料理をするにも今は食材がないし……歩けるなら、一緒に森に入ってなにか探そう」
〈……いいのか?〉
「いいってことよ~。ノン、採取の手伝いをしてね」
〈はーい!〉
バトルホースはなんでも食べるのかと若干呆れつつ、近くにある森へと移動する。私に対してはまだ警戒しているので、仕方なしにバトルホースのことはノンに任せ、食料を探す。
とても豊かな森なのか木の実や果物がたくさんある他に、キノコまで生えているのには驚いた。さすがは異世界ってか?
採取した果物や木の実はノンを通して、バトルホースに食べてもらう。
そんなことをしつつ、【鑑定】を駆使して食べられるものを中心に採取していると、開けた場所に出る。
そこには池があった。【鑑定】すると飲めるとなっていたので、すぐに手で掬って口に含んだ。甘さも感じられる、とても美味しい水だ。
底を覗くと下から水が湧き出ているのが見える。これなら持っていけるかな?
その前に、水筒になるような皮を調達しないと。
「喉が渇いているなら、飲みなさい。この水は安全だから」
〈そうか、ありがとう〉
「ノン、枯れ枝拾いを手伝って。君はまだ動くのがつらいだろうから、ここにいなさい」
〈はーい〉
〈わかった〉
お腹の減りがある程度なくなったことでイラつきが減ったのか、バトルホースは私の言葉に素直に頷いた。
そしてノンは嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねて森の中に入っていく。
そのあとをついていきながら、枯れ枝や見つけた食材を拾う。薬草も見つけたので、これで薬を作ろう。そうすれば、リュミエールからもらったお金に頼らなくてすむし。
まあ、最初は使わせてもらうしかないが。
ある程度枯れ枝を拾うと、ノンを呼ぶ。ノンは触手を出して枝を抱えていた。かなり集まったので池に戻ると、バトルホースが寄ってきた。
といっても、ノンの近くに留まっているが。
「さすがに肉が食べられるような魔物はいなかったの。ごめんね。その代わり、果物やキノコがたくさんあったから追加で採ってきたわ」
〈それで充分だ。ありがとう〉
……うん、いい傾向だ。ノンがいるからだとは思うが、多少なりとも慣れてきたかな?
まずは【生活魔法】で竃を作り、薪になる枝を乾燥させてからくべて火を熾す。そして拾った枝の一部を錬金術で串にするとキノコを刺し、火で炙る。お手軽簡単な食べ物だ。
鍋やフライパンがないから、コンロはおあずけだ。それに、今は鍋どころかお皿すらないからね~。これでやりくりするしかない。
しまった、これだったら食器や鍋、ナイフもお願いしてもらえばよかった!
今さら考えても後の祭り。仕方ないなあ……って鞄をあさると、中から武器と防具を取り出して身につけ、テントも張る。私が武器を取り出したことでバトルホースが身構えたけれど、こっちにそんな意図はない。
「肉が欲しいから狩りに行ってくる。あと、君の体力が回復するまで一緒にいるから。今は食べられるものを食べて、体力を回復しなさい」
〈……いいのか? そもそも従魔でもないのに、どうして俺の言葉がわかるんだ?〉
「今さらその質問? 私は【全種族翻訳】というスキルを持っているの。そのおかげね」
〈なるほど……〉
「ほら、このキノコと果物を食べていて。ノン、バトルホースの近くにいてくれる?」
〈アリサが心配なの〉
「大丈夫よ。一匹狩ったら戻ってくるし、遠くまでは行かないから。むしろ、今は戦えないバトルホースを単独で置いていくほうが危険だわ」
痩せ細っているバトルホースは、魔物の格好の餌になってしまう。強い魔物のバトルホースといえど、弱っているところを襲われたらひとたまりもない。
それに、ノンだけが狩りに行ったとして、未だに人間が信用できていないバトルホースと私では、相性が悪い。
それはノンもバトルホース自身もわかっているようで、ノンは渋々ながらも頷いてくれた。
それを見届け、森の中へと入る。
武器は刀だ。神様謹製の刀だからなのか、手入れは必要ないという。便利だね。
薙刀に似た槍ももらったが、今は木が生い茂る森の中だから、槍での戦闘は適さない。
果物や薬草、キノコを採取しつつ注意深く歩いていると、右手のほうから殺気が感じられた。そちらのほうを見れば、大型の魔物――ビッグボアが私に狙いをつけているのが見える。
体高二メートル、体長三メートルはある、とても大きなイノシシだ。
「ビッグボアなら、お肉と皮、牙をゲットできるわね」
当面の食料に困らないと舌なめずりをし、刀を構える。ビッグボアは私に向かってまっすぐ走ってくる。それをひらりと避け、同時に首を斬りつければ、ビッグボアは勢い余って木にぶつかった。そして痙攣したあと、そのまま動かなくなる。
生きるために必要なことだとはいえ、慣れないな。
「ふう……。さて、ロープはないから、この蔦を使って、と」
木の幹に絡まっていた丈夫な蔦を切り取り、木の枝に引っ掛ける。反対側の端をビッグボアの足に結びつけ、【身体能力向上】のスキルを使い、ぐいっと引っ張った。
それからボアの真下に穴を掘ると、首を切り落として血抜きをする。
「この血の匂いに誘われて、他の魔物も寄ってこないかな♪ ブラウンベアあたりなら、いろいろ使えるんだけど」
血抜きをしている間に、あわよくばと別の魔物がくることを期待する。そこに現れたのは、期待通りブラウンベア。しかも二体。
「ラッキー! ということで、先手必勝!」
「グルルゥゥ!」
「グアーッ!」
友好的じゃない魔物の言葉はわからないのか。ある意味ホッとした。できれば言葉を理解する魔物を狩るようなことはしたくなかったし。
これなら遠慮なくいけると、影の魔物と戦ったことを思い出し、素早く近寄って一体の首を斬り落とす。そこにもう一体の手が振り下ろされたがかわし、背後に回って無防備な首を攻撃。
呆気なく戦闘が終わった。カンストしてるスキルって凄い!
「ふぅ~。さすがリュミエールご謹製の刀ね。切れ味抜群じゃない!」
首を斬り落としたというのに、刃こぼれひとつない業物だ。リュミエールに感謝しつつ、ブラウンベア二体の血抜きをする。
その間にビッグボアの血抜きが終わったので、【解体】を発動する。
「〝解体〟」
手で触ってそう呟くと、肉と毛皮、内臓と牙、魔石に分かれた。肉も、肩の部分やお腹の柔らかい部分など、きちんと部位ごとに分かれてくれるのが凄い。
できれば血抜きなしで解体したいけれど、できるかどうかわからないし。それは今度にしよう。今はバトルホースの傷と体力を戻してあげないと。
解体したものをマジックバッグにしまい、食べられない、もしくは使えない内臓と骨は穴の中に入れておく。肝臓と心臓は薬やポーションの材料になるので、それもマジックバッグにしまった。
ここにベア二体の内臓や骨も入れて埋めるので、しばらくそのままだ。
かなり深い穴だから掘り返されることもないし、アンデッドになる心配もない。アンデッドになるのは死んだ人間と、死霊魔術師による術だけだと、リュミエールが染み込ませてくれた知識が教えてくれる。
ノンとバトルホースの元へ戻ろうと移動を始めてすぐ、一角兎が三羽出た。それを撃退したりしているうちに、かなり時間がたってしまった。これ以上はノンが心配するし、私も二匹が心配なので、さっさと戻ることに。
視界の端に写るマップを見つつ移動する。
このマップはゲーム画面のように、左上に小さく表示されている。もちろん、意識すれば大きくすることもできる優れものだ。旅をするなら、これ以上役に立つものはない。
池のところに戻ると、すぐにノンとバトルホースが寄ってきた。
「ごめんね、遅くなったわ。ノンたちは大丈夫?」
〈襲われたりしなかったら大丈夫。心配した! だけど、アリサは大丈夫?〉
「ええ、大丈夫よ。お肉をたくさん狩ったのよ~!」
バナナの葉のような大きい葉っぱがあったので、その上に一角兎三羽分の肉を載せる。他にも狩った魔物を伝えると、喜ぶ二匹。
〈〈おお~!! 大猟!!〉〉
「でしょう? 当面の食料の心配はないし、君の体力が回復するまで、しばらくここで生活しよう」
〈……いいのか?〉
「いいわ。急ぐ旅でもなければ、行く宛てがあるわけでもないし。ね、ノン」
〈うん! たくさん旅したいのー〉
「そうね。まずは腹ごしらえをしましょうか」
〈ノンが枝を拾ってくるのー!〉
〈なら、俺は薪を拾ってこよう〉
「大丈夫? 無理しなくていいのよ?」
〈それくらいは大丈夫だ〉
私がいない間に二匹で話をしたんだろう。バトルホースの警戒がかなり緩んできている。それがちょっとだけ嬉しい。
それに、バトルホースはあまり動けないというのに、薪を拾ってくるという。
無理だけはしないように二匹に言い含め、私は肉を焼く準備を始めた。
そして十分もすると二匹が戻ってきて、竃の近くに枝と薪を置いてくれる。
そのほとんどをノンが持ってきたとはいえ、これだけのものをよく集めたなあ。凄い。ということで、さっそくその枝を使って料理をしよう。
肉は刀で小さく切ってあるから、そのまま串に差して焼けばいい。確か、塩を持たせてくれてたよね、リュミエールは。なのでその塩を使って味付けをする。
「そういえば、君は生で食べるのと焼いたもの、どっちがいい?」
〈生のものも食べるが、今回は焼いたものを食ってみたい〉
〈ノンもー〉
「ふふっ。いいわよ」
たくさんあるから、どれだけ食べても問題ない。足りなくなったら、追加でベア、もしくはビッグボアの肉を出せばいいし。
この世界の寿命は魔力量に関係しているらしく、ベテランの魔法使いや魔導師とも呼ばれる人で、三百年が限度。それはどの種族にもいえることで、それ以上長生きはしないそうだ。
「私はどれくらい生きられそう?」
「そうだなあ……延びて百五十年から二百年といったところかな」
「おおう……。充分長生きだけど、もし私が死んでしまったら、契約した従魔は――ノンはどうなるの?」
「従魔たちは契約した主人と同じ寿命になるから、君が死ぬと同時に死ぬよ」
「そう……」
これは安易に契約できないし、死ぬこともできない。もし死にそうになったら契約を解除すればいいと神様にも言われたので、そうすることにしよう。
そうすれば、残りの寿命次第だけど、ノンは生きていられるそうだから。
〈ノンはずっと一緒だよー。死ぬまで一緒にいるのー〉
「そっか……。ありがとう」
私の肩に乗り、ピトっとくっついてそんなことを言うノン。
それから、下界に下りる前に錬金術を使って薬や道具などを作る練習をしたり、剣や薙刀、護身術の動きを練習したり、授けてもらった魔法の練習をしたり。
神様が出してくれた影の魔物を使って、ノンと一緒に戦闘訓練もした。
なんというか……命を狩ることに忌避感がないのがショックだ。転生して、肉体がこの世界のものになったからなんだろうか。
そういえば、戦闘が終わったあとで某国民的RPGのようなレベルアップ音がした。なにかと思えば、本当にレベルアップのお知らせ。
……いいのかよ、それ。
「レベルもあるの?」
「そうだよ。ステータスと念じれば自分のレベルやスキルなどいろいろなものを確認できるからね。ちなみにレベルはダンジョンのための措置なんだ。貴女はだいたいのダンジョンに入れるレベルだよ」
「ふ~ん。ダンジョンってどこにでもあるの?」
「どこにでもってわけではないけど……まあ、ひとつの国に対して、五つから七つ、多いところだと十はあるよ。迷宮都市と呼ばれているところもあるしね」
「かなりあるのね」
「ああ。時々、勝手にダンジョンができることもあるんだ」
「おおい! 勝手にできるってなにさ!」
怖いことを言わないでくれよ~!
戦々恐々としつつ神様からもらった情報を精査していると、魔素やマナと呼ばれるものに行き当たる。地域によって言い方が違うだけみたいだけれど、結局は同じもの。
しいて言うのであれば、魔素が自然由来、マナが体内由来といったところか。
この世界では通常魔素が循環している。だが場所によっては溜まっているところ――魔素溜まりがあるという。主に廃墟となった建物のある場所に、魔素溜まりができやすいそうだ。
その魔素溜まりに魔力が大量に集まるとダンジョンコアができる。
そしてコアがダンジョンマスターを作るなりその場所にいた魔物をマスターに選ぶなりすると、地下や地上の建物がダンジョンになる。
魔素の濃さにもよるが、ある程度の階層ができると地震を伴って入口がパックリと開くんだとか。
ダンジョンには魔物が住み着くから、ダンジョンができたことを知らずに放置して魔物が溢れ出ると魔物による大暴走を起こし、町や村、国を呑み込んでしまう。
魔物に呑み込まれた場所は穢れた土地となり、神官や巫女や聖女。あるいはノンのような神獣に浄化してもらう必要がある。穢れが消えるのを待たないと土地は元に戻らない。
だからこそ、地形やその土地の状態を把握している冒険者と呼ばれる存在がいる。彼らがダンジョンをいち早く発見したり、魔物を狩ったりして、スタンピードを防いでいるという。
騎士や兵士もいるが、基本的に彼らは国を護るために存在しているので、滅多なことではダンジョンに潜らないそうだ。
もちろん、森や草原では騎士や兵士も数減らしをしてくれるが、それだってしょっちゅうしてくれているわけではない。よくも悪くも国優先ってことか。
まあ、王都や町、村の近くにダンジョンができたとなると、また違った対応をするんだろうけれど。
うーん、この世界も人間関係はいろいろありそう。
人間嫌いな私からすれば、買い物をするだけならともかく、王都のような大きな町には住みたくない。できればこぢんまりとした、ほとんど人がやってこないような、辺鄙な場所や小さな村に住みたい。
ノンがいるなら、たった一人森の中で生活してもいいとさえ思える。どこに住むかは旅をしながら、ノンと話し合って決めよう。
「あ、神様。今さらだけど、名前を聞いてもいいかしら。私は桐渕有里沙――アリサと名乗ることにするわ」
「これは申し訳ない。リュミエールと言うんだ」
「リュミエール……灯りね。世界を灯す灯りといったところかしら」
「おや。よく知っているね」
「私がいた世界にある、とある国の言葉――フランス語だもの」
リュミエールはフランス語で灯りを意味する。他にもルミエールやラリュミエールという言葉もあるけれど、私はリュミエールという響きが一番好きだ。
ちなみにこの世界もリュミエールという名前だ。
ということはきっと、リュミエールが主神なんだろう。他の神様もいるのかしら? ……いるみたいね。
まあ、私には関わりがないだろう……たぶん。
紅茶を飲みながらしばらく世界のことなどを含めた雑談をする。そして地上に下りたらどこに行こうかと考えていると、突然リュミエールが首を傾げた。
「どうしたの?」
「魔馬――バトルホースが置き去りにされているんだ」
「確か、額に一本の角が生えている馬よね。とても強い魔物の馬」
与えられた知識を確認しつつリュミエールに問うと、彼が頷く。
「ああ。冒険者が従魔にしようとバトルホースを買ったようだけど、彼はバトルホースの能力を引き出せなかったみたいだね」
「あらまあ。とんでもない冒険者だったのかしら」
どこの世界にも、自分勝手で迷惑な人間がいるのかとげんなりする。
私も自分勝手に生きるつもりだけど、神獣たるノンがいることだし、ノンや他人に迷惑はかけないように生きようと密かに決意する。
「そうみたい。今ならバトルホースしかいないけど、どうする?」
「そうね……従魔になってくれたらラッキーだけど、そうならないだろうし。気になるから、とにかくバトルホースのところに行ってみるわ」
紅茶を飲み干し、席を立つ。
そしてリュミエールを真っ直ぐ見る。柔らかい笑みを浮かべたリュミエールは、人外的なイケメンだ。とあるロックバンドのドラマーに似ている。
まあ、人外的なのは神様だから、当然か。
「また会える?」
「教会や、教会ではなくとも、僕の像があるところで祈りを捧げてくれれば、また会えるよ」
「そう、ならよかった。また会いにくるわね」
「ありがとう」
嬉しそうな顔をして頷くリュミエール。彼も淋しいのかもしれないと思うとなんとも哀れだ。
この世界には、彼に直接会おうと思う住人がいないんだろう。もしくは会えるということすら忘れているか。
なにはともあれ、リュミエールに別れを告げ、地上へ送ってもらう。
そこには、角が生えた真っ黒い馬――バトルホースが膝を折り、蹲っていた。
第一章 増える従魔
冒険者は呪われてしまえ! と物騒なことを考えつつ、バトルホースに話しかける。
「こんにちは」
〈いきなり現れたな……俺を殺すか?〉
いきなり現れた私に対し、とても、いや、かなり盛大に警戒し、歯を剥きだしにして威嚇するバトルホースに苦笑する。
まあ、気持ちはわかる。一度でも酷いめにあって裏切られたら、信じられなくなるのは当然。とはいえ、リュミエールが気にかけた存在だし、教えてくれた彼のためにも助けるか。
つうか、さすがは【全種族翻訳】のスキル。従魔じゃないのにバトルホースの言葉がわかった。……凄いわね、これ。
「まっさかあ! 助けに来たって言ったら、信じる?」
〈なに?〉
目の前にいるバトルホースはとても痩せ細っており、怪我もしているみたい。よし、虐待の被害者確定。
バトルホース自身は動く体力もないようで、蹲ったまま動かない。そして相変わらず威嚇している。だが、このままここに放置すると、魔物に襲われてしまう可能性が高い。
行動にうつして、移動するとしよう。
「ノン、バトルホースに【回復】をかけてくれる?」
〈いいよ〉
〈回復……? おお、神獣にゃんこスライムじゃないか……!〉
ノンが手をかざすとバトルホースの体が光る。バトルホースはすぐに立ち上がった。
そして同時にお腹が鳴る音が。
初めて聞いたよ、動物がお腹を鳴らす音を。
〈……っ〉
自分が鳴らした音が恥ずかしかったのか、私とノンから顔を背けて目を泳がせるバトルホース。食料があればいいが、持っていないんだよなあ。
「お腹がすいてるのね。バトルホースってなにを食べるんだっけ?」
〈……俺はなんでも食う。草だろうと、肉だろうとな〉
「そっか。料理をするにも今は食材がないし……歩けるなら、一緒に森に入ってなにか探そう」
〈……いいのか?〉
「いいってことよ~。ノン、採取の手伝いをしてね」
〈はーい!〉
バトルホースはなんでも食べるのかと若干呆れつつ、近くにある森へと移動する。私に対してはまだ警戒しているので、仕方なしにバトルホースのことはノンに任せ、食料を探す。
とても豊かな森なのか木の実や果物がたくさんある他に、キノコまで生えているのには驚いた。さすがは異世界ってか?
採取した果物や木の実はノンを通して、バトルホースに食べてもらう。
そんなことをしつつ、【鑑定】を駆使して食べられるものを中心に採取していると、開けた場所に出る。
そこには池があった。【鑑定】すると飲めるとなっていたので、すぐに手で掬って口に含んだ。甘さも感じられる、とても美味しい水だ。
底を覗くと下から水が湧き出ているのが見える。これなら持っていけるかな?
その前に、水筒になるような皮を調達しないと。
「喉が渇いているなら、飲みなさい。この水は安全だから」
〈そうか、ありがとう〉
「ノン、枯れ枝拾いを手伝って。君はまだ動くのがつらいだろうから、ここにいなさい」
〈はーい〉
〈わかった〉
お腹の減りがある程度なくなったことでイラつきが減ったのか、バトルホースは私の言葉に素直に頷いた。
そしてノンは嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねて森の中に入っていく。
そのあとをついていきながら、枯れ枝や見つけた食材を拾う。薬草も見つけたので、これで薬を作ろう。そうすれば、リュミエールからもらったお金に頼らなくてすむし。
まあ、最初は使わせてもらうしかないが。
ある程度枯れ枝を拾うと、ノンを呼ぶ。ノンは触手を出して枝を抱えていた。かなり集まったので池に戻ると、バトルホースが寄ってきた。
といっても、ノンの近くに留まっているが。
「さすがに肉が食べられるような魔物はいなかったの。ごめんね。その代わり、果物やキノコがたくさんあったから追加で採ってきたわ」
〈それで充分だ。ありがとう〉
……うん、いい傾向だ。ノンがいるからだとは思うが、多少なりとも慣れてきたかな?
まずは【生活魔法】で竃を作り、薪になる枝を乾燥させてからくべて火を熾す。そして拾った枝の一部を錬金術で串にするとキノコを刺し、火で炙る。お手軽簡単な食べ物だ。
鍋やフライパンがないから、コンロはおあずけだ。それに、今は鍋どころかお皿すらないからね~。これでやりくりするしかない。
しまった、これだったら食器や鍋、ナイフもお願いしてもらえばよかった!
今さら考えても後の祭り。仕方ないなあ……って鞄をあさると、中から武器と防具を取り出して身につけ、テントも張る。私が武器を取り出したことでバトルホースが身構えたけれど、こっちにそんな意図はない。
「肉が欲しいから狩りに行ってくる。あと、君の体力が回復するまで一緒にいるから。今は食べられるものを食べて、体力を回復しなさい」
〈……いいのか? そもそも従魔でもないのに、どうして俺の言葉がわかるんだ?〉
「今さらその質問? 私は【全種族翻訳】というスキルを持っているの。そのおかげね」
〈なるほど……〉
「ほら、このキノコと果物を食べていて。ノン、バトルホースの近くにいてくれる?」
〈アリサが心配なの〉
「大丈夫よ。一匹狩ったら戻ってくるし、遠くまでは行かないから。むしろ、今は戦えないバトルホースを単独で置いていくほうが危険だわ」
痩せ細っているバトルホースは、魔物の格好の餌になってしまう。強い魔物のバトルホースといえど、弱っているところを襲われたらひとたまりもない。
それに、ノンだけが狩りに行ったとして、未だに人間が信用できていないバトルホースと私では、相性が悪い。
それはノンもバトルホース自身もわかっているようで、ノンは渋々ながらも頷いてくれた。
それを見届け、森の中へと入る。
武器は刀だ。神様謹製の刀だからなのか、手入れは必要ないという。便利だね。
薙刀に似た槍ももらったが、今は木が生い茂る森の中だから、槍での戦闘は適さない。
果物や薬草、キノコを採取しつつ注意深く歩いていると、右手のほうから殺気が感じられた。そちらのほうを見れば、大型の魔物――ビッグボアが私に狙いをつけているのが見える。
体高二メートル、体長三メートルはある、とても大きなイノシシだ。
「ビッグボアなら、お肉と皮、牙をゲットできるわね」
当面の食料に困らないと舌なめずりをし、刀を構える。ビッグボアは私に向かってまっすぐ走ってくる。それをひらりと避け、同時に首を斬りつければ、ビッグボアは勢い余って木にぶつかった。そして痙攣したあと、そのまま動かなくなる。
生きるために必要なことだとはいえ、慣れないな。
「ふう……。さて、ロープはないから、この蔦を使って、と」
木の幹に絡まっていた丈夫な蔦を切り取り、木の枝に引っ掛ける。反対側の端をビッグボアの足に結びつけ、【身体能力向上】のスキルを使い、ぐいっと引っ張った。
それからボアの真下に穴を掘ると、首を切り落として血抜きをする。
「この血の匂いに誘われて、他の魔物も寄ってこないかな♪ ブラウンベアあたりなら、いろいろ使えるんだけど」
血抜きをしている間に、あわよくばと別の魔物がくることを期待する。そこに現れたのは、期待通りブラウンベア。しかも二体。
「ラッキー! ということで、先手必勝!」
「グルルゥゥ!」
「グアーッ!」
友好的じゃない魔物の言葉はわからないのか。ある意味ホッとした。できれば言葉を理解する魔物を狩るようなことはしたくなかったし。
これなら遠慮なくいけると、影の魔物と戦ったことを思い出し、素早く近寄って一体の首を斬り落とす。そこにもう一体の手が振り下ろされたがかわし、背後に回って無防備な首を攻撃。
呆気なく戦闘が終わった。カンストしてるスキルって凄い!
「ふぅ~。さすがリュミエールご謹製の刀ね。切れ味抜群じゃない!」
首を斬り落としたというのに、刃こぼれひとつない業物だ。リュミエールに感謝しつつ、ブラウンベア二体の血抜きをする。
その間にビッグボアの血抜きが終わったので、【解体】を発動する。
「〝解体〟」
手で触ってそう呟くと、肉と毛皮、内臓と牙、魔石に分かれた。肉も、肩の部分やお腹の柔らかい部分など、きちんと部位ごとに分かれてくれるのが凄い。
できれば血抜きなしで解体したいけれど、できるかどうかわからないし。それは今度にしよう。今はバトルホースの傷と体力を戻してあげないと。
解体したものをマジックバッグにしまい、食べられない、もしくは使えない内臓と骨は穴の中に入れておく。肝臓と心臓は薬やポーションの材料になるので、それもマジックバッグにしまった。
ここにベア二体の内臓や骨も入れて埋めるので、しばらくそのままだ。
かなり深い穴だから掘り返されることもないし、アンデッドになる心配もない。アンデッドになるのは死んだ人間と、死霊魔術師による術だけだと、リュミエールが染み込ませてくれた知識が教えてくれる。
ノンとバトルホースの元へ戻ろうと移動を始めてすぐ、一角兎が三羽出た。それを撃退したりしているうちに、かなり時間がたってしまった。これ以上はノンが心配するし、私も二匹が心配なので、さっさと戻ることに。
視界の端に写るマップを見つつ移動する。
このマップはゲーム画面のように、左上に小さく表示されている。もちろん、意識すれば大きくすることもできる優れものだ。旅をするなら、これ以上役に立つものはない。
池のところに戻ると、すぐにノンとバトルホースが寄ってきた。
「ごめんね、遅くなったわ。ノンたちは大丈夫?」
〈襲われたりしなかったら大丈夫。心配した! だけど、アリサは大丈夫?〉
「ええ、大丈夫よ。お肉をたくさん狩ったのよ~!」
バナナの葉のような大きい葉っぱがあったので、その上に一角兎三羽分の肉を載せる。他にも狩った魔物を伝えると、喜ぶ二匹。
〈〈おお~!! 大猟!!〉〉
「でしょう? 当面の食料の心配はないし、君の体力が回復するまで、しばらくここで生活しよう」
〈……いいのか?〉
「いいわ。急ぐ旅でもなければ、行く宛てがあるわけでもないし。ね、ノン」
〈うん! たくさん旅したいのー〉
「そうね。まずは腹ごしらえをしましょうか」
〈ノンが枝を拾ってくるのー!〉
〈なら、俺は薪を拾ってこよう〉
「大丈夫? 無理しなくていいのよ?」
〈それくらいは大丈夫だ〉
私がいない間に二匹で話をしたんだろう。バトルホースの警戒がかなり緩んできている。それがちょっとだけ嬉しい。
それに、バトルホースはあまり動けないというのに、薪を拾ってくるという。
無理だけはしないように二匹に言い含め、私は肉を焼く準備を始めた。
そして十分もすると二匹が戻ってきて、竃の近くに枝と薪を置いてくれる。
そのほとんどをノンが持ってきたとはいえ、これだけのものをよく集めたなあ。凄い。ということで、さっそくその枝を使って料理をしよう。
肉は刀で小さく切ってあるから、そのまま串に差して焼けばいい。確か、塩を持たせてくれてたよね、リュミエールは。なのでその塩を使って味付けをする。
「そういえば、君は生で食べるのと焼いたもの、どっちがいい?」
〈生のものも食べるが、今回は焼いたものを食ってみたい〉
〈ノンもー〉
「ふふっ。いいわよ」
たくさんあるから、どれだけ食べても問題ない。足りなくなったら、追加でベア、もしくはビッグボアの肉を出せばいいし。
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