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過去篇
プロローグ
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彼が好きだった。いつの間にか好きになっていた……好きになってはいけない人だったのに。
『姫を……拙者の姫を返せ!』
切れ長の目の奥の、鋭い眼光が私の心を真っ直ぐに射る。
ズキンと鳴った鼓動と共に現実に引き戻され、瞑っていた目を開けるとそこは見慣れた天井だった。
その時、つぅっと目尻から涙が一滴こぼれ落ちる。
「……ゆ……め……?」
夢だった、でも確実に夢じゃなかった――それがひどく辛い。
薄い唇、高い鼻梁、切れ長の目、獲物を狙うような鋭い眼光。
でも、時に優しい光を宿した眼差しを未だに忘れられずにいる。
起き上がって溜息をつき、頬に伝った雫をティッシュで拭き取る。
心が通じていると思っていた。
たとえ戻れなくても、ずっとこのままここに居られればと思っていた。結局それは彼に拒否されたことで、願いが叶うことはなかったけれど。
「ふっ…うっ……」
今は家に誰もいないと分かっていても、つい声を殺して泣いてしまった。
どんなに泣いても枯れることなどない、拭っても拭っても溢れてくる雫を止めることはできなかった。
『姫を……拙者の姫を返せ!』
切れ長の目の奥の、鋭い眼光が私の心を真っ直ぐに射る。
ズキンと鳴った鼓動と共に現実に引き戻され、瞑っていた目を開けるとそこは見慣れた天井だった。
その時、つぅっと目尻から涙が一滴こぼれ落ちる。
「……ゆ……め……?」
夢だった、でも確実に夢じゃなかった――それがひどく辛い。
薄い唇、高い鼻梁、切れ長の目、獲物を狙うような鋭い眼光。
でも、時に優しい光を宿した眼差しを未だに忘れられずにいる。
起き上がって溜息をつき、頬に伝った雫をティッシュで拭き取る。
心が通じていると思っていた。
たとえ戻れなくても、ずっとこのままここに居られればと思っていた。結局それは彼に拒否されたことで、願いが叶うことはなかったけれど。
「ふっ…うっ……」
今は家に誰もいないと分かっていても、つい声を殺して泣いてしまった。
どんなに泣いても枯れることなどない、拭っても拭っても溢れてくる雫を止めることはできなかった。
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