転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮

文字の大きさ
76 / 92
北西の国・ミルヴェーデン篇

パスタでしゅ

しおりを挟む
 ペチペチと頬っぺたを叩く音と軽い痛みで目が覚めた。

「んぅ……」
「ぷぷ~」
「ん……。はり?」
「ぷっ」
「おあよー」

 いつの間にか寝ていたみたいね、私。玻璃がぽよんぽよんと跳ねて私を起こしてくれたみたい。
 玻璃にありがとうとお礼を言って起きると、大人たちはストーブの前でなにやら食材の整理をしていた。玻璃が鳴くと私が起きたことに気づき、すぐに呼ばれる。

「ステラ、おはよう」
「おあよーごじゃいましゅ」
「実はステラが寝ている間に、一度町に寄ったのよ」
「その時に面白い形の乾燥パスタを見つけてね」

 町に寄ったんかーいっ! と一人突っ込みをしていたら、またお金を渡された。前回よりは少ない金額だったが、それでも金貨一枚分はあるというんだから凄い。
 で、魔物を換金したお金で食材や調味料をいろいろ買っていたそうなんだけれど、珍しいことにこれから行く国の特産物のひとつ、パスタが売られていたそうだ。
 パスタ自体はどこの国でも作られているが、特産物として売っている国のパスタは小麦が違うらしく、他国と比べると段違いで美味しいらしい。しかも、麺としての長いパスタだけではなく、地球だといわゆるショートパスタと呼ばれる類いのものが出回っていて、それが売られていたとこのとで買ってきたらしい。
 なのでそのショートパスタを見せてもらったんだが。
 定番のマカロニにペンネ、リボン形のファルファッレ。ネジみたいになっているフリッジに、シェル型のコンキリエと板状のラザニア、お米の形をしているリゾーニとクスクス。
 どれもよく見た形だった。
 いいねいいね! あれこれ作りたいね!

「あら~、ステラちゃんのお目目がキラキラしてるわ~」
「本当だ。ステラ、こんなのもあったんだが、知っているか?」

 キャシーさんにからかわれつつ、テトさんに見せられたもうひとつの食材は、なんとラーメンの乾麺だった。しかも、ちゃんぽんに使うような太い麺と細い麺の二種類だ。
 残念ながらちぢれ麺はなかったが、それでもラーメンが食べられるのは嬉しい!

「お~! ラーメンでしゅ!」
『ラーメン?』
「スープやおやしゃい、おにくといっしょにたべる、めんでしゅよ」

 寒い日だけじゃなく、お酒を飲んだあとに食べても美味しいと言うと、大人たちの目がキラン! と光った。

『ステラ! すぐに食べたい!』
「無理でしゅ」
『なんで!?』
「まず、スープのだしをとらないといけないでしゅ。ほかにもあじたまとか、チャーシューもよういしたいでしゅ」

 特にチャーシューは味を染み込ませるのに時間がかかるからね~。あと味卵も。
 石油ストーブもどきを使う予定なんだから、それで味を染み込ませると言うと、大人たちは渋々ながらも納得した。
 というとこで、休憩所に着くまで晩ご飯のご相談。パスタを見た以上、あれこれ作って食べたいんだよね。
 なのでそれを相談した結果、マカロニ入りのポテサラとペンネを使ったグラタン、ラザニアを作ることに。ファルファッレとコンキリエは別の日にサラダとして使うようにして、クスクスをスープに入れることにした。
 ロングパスタもいろいろあって、日本でよく食べられていたスパゲッティーニや天使の髪の毛という意味を持つカペッリ・ダンジェロ。リボンのように幅広のパスタであるタリアテッレとフェットチーネもある。
 ちなみに、パスタの名前は幅や太さによって違うのだ。0.1ミリ違うだけで名前が変わるんだぜ~? 面白いよね。
 ロングパスタはスパゲッティーニを使い、ペペロンチーノかペスカトーレにしようかなあ。なぜか魚介類も買って来てくれたみたいだし、ペスカトーレにしよう。
 てなわけで、テトさんに料理の説明をしているうちに宿泊する休憩所に着いたので、料理開始。
 パスタを茹でるためのお湯を沸かしている間に、必要な野菜と魚介を洗って処理する。あと、チャーシュー用のお肉はオークのもも肉がいいかな?

「バトラーしゃん、オークのももにくがほしいでしゅ」
「んと……この大きさでいいか?」
「あい。これをよっつにきってほしいでしゅ」
「わかった」

 バトラーさんにもも肉を出してもらったら、二キロはありそうなめっちゃデカい塊肉だった。さすがに火を通すにも時間がかかるので四等分にしてもらい、スーお兄様にお願いして丈夫な糸を出してもらい、凧糸代わりにして肉に巻き付ける。
 お肉が入る大きさの鍋をテトさんに用意してもらうと、その中にお肉とスライスしたしょうが、ぶつ切りにしたネギをいれたあと、石油ストーブもどきを鞄から出す。
興味津々な大人たちに使い方を説明したあと電気ストーブもどきを鞄にしまい、肉の入った鍋を石油ストーブもどきの上に置いてもらった。
 そのあと水と酒を入れ、あとはじっくりことこと一時間ほど煮込めば一回目は終わりだ。
 私がそんなことをしている間にパスタを茹で始めたテトさん。あとは具材入りのホワイトソースを作ったり、ラザニア用のミートソースを作ったり、スープを作ったりしているうちにパスタも茹で上がった。

「あとは、これとこれをまじぇて――」

 耐熱容器にラザニアとグラタンを入れ、チーズをかけてオーブンへ。それが終わったらペスカトーレを作り、器に盛り付ける。
 サラダとスープも同時進行していたので出来上がりが早いね!

「できたぞ。さあ、食べようか」

 テトさんの合図で馬車内にテーブルと椅子がセットされ、それぞれ座る。もちろん私はお子様用の椅子にすっぽりと嵌っている。
 玻璃は初めて見る料理に興味津々のようで、顔を近づけて料理を眺めている。食べるか聞くとサラダの前に移動したので玻璃用に取り分ける。

 目の前には熱々で湯気がたっている料理がたくさん並んでいる。
 久しぶりのパスタだぜ! いただきまーす!

しおりを挟む
感想 517

あなたにおすすめの小説

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。 享年は25歳。 周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。 25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。